今回は、私が大学生の時に臨時収入を求めて、中央卸売市場で短期の日雇いアルバイトをした時の体験をもとに、場外卸売市場の店員のお仕事について語らせていただきたいと思います。

【体験者の情報】
名前：鈴木 肇（仮名）
性別：男
職種：場外卸売市場の店員
給与：日給１万円
当時の年齢：２０歳

場外卸売市場の店員の条件

年末年始の海産物の流通は、ある意味、異常な程の取引量となります。この取引を扱うすべての業種は、まさに猫の手も借りたい忙しさです。

卸業者、仲介業者、運送業者、倉庫会社。
あらゆるところが活気よく動きます。

掻きいれ時には人員を確保して繁忙期を乗り切りたいところですが、この忙しさの反動は正月明けには必ずやってきます（正月明けは異常にひまになります）。そこで各社は、日雇いアルバイトを募集して短期の人員を確保しています。

短期間に高収入が期待できる日雇いバイトですが、実は卸売市場では未経験者がなかなか職にありつけないのが実情です。

流通業界というのは非常に狭い世界で、流通品の仕入れ先情報や価格はマル秘情報として扱われ、紹介や身元がしっかりした人を雇い入れる習わしがあるようです。つまり、仕事の出来不出来よりも信用と経験がモノをいうのです。

しかし、信用のない人でも働くことはできます。
中央卸売市場では、「場内」といわれる専門業者がセリで落として取引をするところと、「場外」と呼ばれる少量の取引や一般のお客さんが買える場所があります。

東京で言えば築地のセリ場が場内で、アメ横が場外です。卸売市場の場外も異常な程の人手で、入荷した品物を店内に運ぶだけでもたくさんの日雇いアルバイトを必要とします。

場外で働く場合は、経験や信用は必要なく、体力と遅刻をしないことが条件で採用されます。

場外卸売市場のお仕事

日雇いアルバイトの仕事には、物出し、物はこび、さばき、発注があります。

仕事に就くと最初は物はこびです。
離れた倉庫からトラックに積んで店内まで運ぶ仕事を指します。

どこも人ごみになっていて、店舗近くに車が入ることはできませんので、少し遠くに停めたトラックから体力が続く限り人力で店舗まで運びます。

良く働き、勘がいいと判断されたバイトは店内の物出しになります。
バックヤードに置いた荷物をきれまなく山積みにする作業です。

店内の商品はドンドン売れて行きますので、機会損失が無いように売れる時に品切れなく出すことが重要になります。

そして、さばきとは接客のことです。場外であってもセリのようで向いている人にとっては楽しいお仕事です。威勢のよさと押しの強さが求められ、なにより商品の賞味期限が分かっていなければいけません。つまり商品知識が重要な仕事の能力となります。

なかなか日雇いでこの仕事まで上がって行く人はいませんが、人手不足や急な欠員で任されることもあるでしょう。

仕入値を良く見てグロスで値段をつけます。店の売上がかかっていますので、信用を落とさないよう十分配慮しながら販売額を増やしていきます。

最後に発注です。
これは、通常、その店のオーナーか、もしくは番頭格の人が行います。仕入先はひとつではなく、たくさんの中から交渉し、価格や納品時間を考慮して発注をします。

日雇いで任される可能性があるのは「定番」と呼ばれる発注で、離れた倉庫などで保管していて、仕入先が決まっていて、しかもMAX表示があり在庫数が確認できるものに関して、決められた発注数になると注文をするというお仕事です。

アルバイトの給与

基本的に日雇いは日払いです。
卸売市場では日給制になっていて時給制をとるところは少ないはずです。

また、だいたい食事はまかない食が振舞われることが多いです。
ドリンクや喫煙休憩は各自でとり、特別な規制はありません。

朝が早いため、朝と１０時ころには食事があり、客足が増える昼から夕方までは休みなく働き、夜は夕食、夜食と出てきます。

交通費込みの仕事が多く、徒歩圏内か近くの倉庫会社に車を停めさせてもらえないと、朝４時ころの出勤は難しいかもしれません。

ただ、お給料は高めで、（場外の職種にもよりますが）通常のアルバイト１ヶ月分の賃金を、年末の卸売市場での日雇いアルバイトで稼げるくらいになるはずです。（私のときは日給１万円程度でした。）

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