騙された!土地を買うつもりが他人の税金を払うことに【体験談】

国民健康保険税(または国民健康保険料)は、前年の収入に応じて負担額が決められています。収入が増えればその分上がりますし、減収になればその分下がります。

しかし、その年、収めるべき国民健康保険税(以下「国保税」)は前年の収入を基にして算定されるため、例えば今年リストラにあい生活費にさえ困っていたとしても、国保税はきちんと前年度の収入に応じたものが請求されます。

特に、年によって収入が異なる自営業や派遣労働の場合、この「前年の収入を基準とした額」が、ときに大きな負担になります。

また、(契約上は)不動産収入があるのに、借りている人が賃料を支払ってくれない場合はもっと深刻な問題になります。

なぜなら、

賃料などの収入は「賃料債権」といって、「人に(家や土地を)貸している限り、実際の賃料受け取りに関係なく、全額収入として扱われてしまう」からです。

したがって、実際に受け取っていない賃料の額が高ければ高いほど、理不尽に国保税の額も高くなってしまうのです。

現行の所得税法と、国民健康保険税制度の問題点だと思います。

この、

  • 昨年の収入を基礎に国保税が算定される
  • 実際には受け取っていない収入がある(賃料など)

が重なると、「実際の収入に対して理不尽に高い国保税を請求され続ける」ということになりかねません。

実際に私は、この「所得税法と国保税の落とし穴」にはまっていたことがありました。今回はそのときのことについてお話したいと思います。

体験者の情報

名前:山本 木綿子
性別:女性
滞納した理由:借地人の賃料滞納と、子供の高校進学
何を滞納したか:国民健康保険料
当時の職業:自営業の事務(夫はウェディング関連の個人事業主)
当時の年齢:36歳

何不自由なかった生活

夫と私は、二人共独身時代から社会保険のない職場で働いていたため、ずっと国民健康保険に加入していました。

子供が生まれてから夫が独立して個人事業主になったため、私は夫の従業員(専従者)として働くことになり、事務と経理を担当していました。

幸い良い取引先に恵まれ、事業は順調に成績を伸ばし、贅沢とは言えないものの安定した生活を送る日々。その頃の国保税は、年間20万円前後でした。

私たちの住んでいた町の国保税は、「年払い」と「年7期の分割払い」のうち、好きな支払い方を選ぶことが出来たのですが、うちは「年払い」で支払いをしていました。

毎年確定申告のあと、国保税の支払い期日の前に源泉徴収税の還付金が戻ってきていたので、いつもそれを国保税の支払いに充て、一括払いをしていたのです。

だまされた!?土地を買うつもりが、他人の借金を支払う羽目に

子供が中学生になり、住宅の購入を検討していた時です。知り合いであるBさんから「土地を売りたがっている人がいるから、買わないか?」という話を持ちかけられました。

詳しく話を聞いてみると、土地の持ち主であるAさんが、借金の担保で自宅の敷地を差押えられ、買い手を探しているとのこと。

敷地にはAさん一家(Aさんと、妻のA夫人、末っ子の高校生)が住む家が建っていて、こちらは持ち主がAさんの祖母になっていました。土地と建物が違う名義のため、値が下がり困っている、ということでした。

実際に見に行くと、家はあるものの敷地は広々としていてあと1件は余裕で家が建ちそうです。価格も300坪の土地で100万円ととても安く、子供たちの中学校にも近くて便利そう、ということで決めました。

Aさんと直接交渉して、「うちが150万円で競売に入札して落札できたら、Aさんから100万円の返還を受ける代わりに土地を半分もらう」という約束を取り付けたのです。(実質50万円で150坪の土地を買ったことと同じ)

ところが、実際に手続きが終わってみると、思いもよらないことが起こりました。

Aさんの手元に残るはずだった100万円が全てAさんの滞納していた税金分として、自動的に差し引かれてしまったのです。

裁判所の競売の場合、落札代金から税金滞納分が引かれることはよくあるそうです。Aさんは、妻のA婦人が税金を支払わないで滞納していたことを全く把握しておらず、夫と売買の話し合いをする時にも、そんな話は全く出ていませんでした。

土地を買ったつもりが、結果的に他人の滞納している税金100万円を支払ってあげた形になってしまったのです。

貯金を切り崩して払った100万円です。
家計にも大きな影響が出ました。

当然、「話が違う!」と夫は怒りました。
しかし、仲介してくれたBさんとAさんがお詫びにこられたことや、Aさんが「出て行く先もないから、土地を貸してください。」と頼んできたことから、渋々賃貸することになりました。

突然高くなった国保税!いったい何故?

Aさんと賃貸契約して最初の年。
貸した期間が半年程度だったことと不動産取得税を払ったことで赤字になり、本業のウェディングの分と合わせても収入はそこまで大きくならなかったので、国保税も平年並みで済みました。

ところが翌年から、Aさんが賃料を滞納し始めました。
半年もすると全く払わない状態となり、その年に実際に払ってくれた金額は7万円でした。本当は60万円の払込があるはずですから、53万円が未納になります。

そして確定申告をしようと税務署に相談にいったところ、「不動産所得は受け取っていなくても収入になります。ですから、60万円で申告してください。」と言われてしまいました。

貯金を100万円持って行かれた上、53万円事実上の赤字があるのに!

その年は夫のウェディング事業も不振で、いつも国保税の支払いに充てている源泉徴収税の還付金(確定申告で戻ってくるお金)も激減していました。

家計面でも、ちょうど上の子が高校に進学して、生活そのものも苦しくなり始めていたときです。

そんなとき、届いた国保税の納付書を見て愕然!
それまで25万円程度だった金額が、一気に56万円に膨れ上がっていました!

実際には受け取っていない賃料のせいで、倍以上に増額されていたのです。

増え続ける国保税。分納でしのいだ1年目

国保税が2倍以上の増額を見せた年、本業のウェディング事業は不振の年でした。運悪く、取引先の一つが経営不振に陥り倒産。

夫はどうにか支払いを受け取ることができたものの、取引先がひとつ減ったせいで仕事は明らかに減りました。

自営業は、月々の売上(収入)が毎月違います。
特に、ウェディングは季節で多い時、少ない時というばらつきがあります。安定的に生活していくためには、いつも預金を残しておかなくてはなりません。

そのためには、固定支出(毎月決まって出て行くお金)を、少しでも少なくすることが大切です。

それなのに、国保税が一気に2倍以上の金額になってしまったのですから大変でした。おまけにうちには子供が3人。どうしたって病院にかかる機会は多くなります。

「保険税が払えないから、保険証がない」という状況には絶対できませんでした。

高校の学費と合算で月々7万円の支出増は、当時の収入(月22万円)には相当きつかったです。

私がパートでもできればよかったのでしょうが、その頃は末っ子もまだ3歳未満。預ければまた万単位の保育料がかかってしまいます。

また、もし私が働きに出たら、翌年以降は私の稼ぎの分だけ国保税が上がる、という悪循環になります。私が夫から給料をもらわなくなれば、夫の収入も増えてしまいます。働くに働けない状況でした。

やむを得ず、これまで年払いをしてきた国保料を1期ずつの7回分割に変え、最初の3回まではなんとか支払うことが出来ました。

しかし、冬になるとウェディングの仕事は減り、Aさんの滞納は相変わらずで、家計は苦しくなるばかり。4回目、ついに「今月はもう払えない」という状況になりました。

夫に正直に現状を伝えると、夫は「納付書を貸して」といって、どこかへ出かけていきました。30分ほどで戻ってきて、「分納、って手続きがあるんだって。これで月々の保険税を、払える範囲に下げられるらしい。」と、書類を持ち帰ってきました。

国保税が払えないときは、保険税そのものの金額を減らしてもらう「減免」という制度と、年間の国保税の額は変わらないけれど、月々少しずつ払っていくことができる「分納」という制度がある、ということを、このとき初めて知りました。

「分納」をすると、毎月払えるだけの金額を払えば、短期保険証という期限が1ヶ月の保険証を出してもらえます。払えない分は滞納になりますが、翌年度まで持ち越さなければ延滞金(利息)はつきません。

督促手数料が1回100円程度加算されるだけで済みます。
少しでも早く払い終わりたかった私は、月々1万円の計画書を町役場に提出しました。

「もうちょっと頑張りたいんですけど、すいません。」と、役所に計画書を出したら、「1万円も払ってくださるんですか!?」と逆に驚かれて、こっちがびっくりです。

詳しく聞いたら、月々1,000円の計画でも払わず、何ヶ月も遅れて持ってくる人もたくさんいるのだとか。

ただ、この後も夫の事業は回復せず、何度か1万円を払うこともできない月もあり、この年は12万円を納付して、あとは全て滞納になってしまいました。

滞納2年目に突入。徐々に延滞金も膨らみ...

翌年もAさんは全く賃料を払ってくれず、「もらってないのに収入扱い」は続いて、国保税は高いままでした。

収入が一気に回復することもなく、滞納している国保税は年を越して延滞金が付くようになりました

一方、Aさんは酒浸りでろくに仕事をせず、A婦人の方は夜の仕事もしているとかで毎日きらびやかな服を着て出かけていくのを見かけたことがあります。

車も買い換えたと知り、内心「余裕があるなら滞納している賃料を払ってよ!」と思っていました。

こちらは詐欺にあったようなものなのに、A婦人はありもしない嘘をでっち上げ、まるでうちが悪いかのように吹聴してまわっていたようです。今思い出しても腹が立ちます。

家計の方は、真ん中の子も高校に進学したことで二人分の学費が重くのしかかっていました。更に遠方に住む義父が病に倒れ、主人が仕事を休んで対応に奔走することも多く、出費がかさむ一方でした。

国保税は、毎月少しずつ払っていたとはいえ、一番古いものは2年前になっていましたから、再計算された延滞金は23万、滞納している国保税と合計すると70万円を超えていました。とてもすぐに払えるような金額ではありません。

その頃は末っ子も大きくなったので、月に1万円ちょっとの保育料を負担しながら、私も夫の仕事を手伝う傍ら短期でアルバイトをしたりしていました。

また、大きな子供は新聞配達をしたりして少額でも収入を増やしていましたが、それでも生活は苦しいままです。

お祝い金も国保税の滞納分としてもっていかれる?

年が明けて滞納3年目に入った頃、ようやく少しだけ余裕が出来て、確定申告のあと戻ってきたお金で国保税を20万ちょっと一括納付することができました。そのおかげで、溜まっていた滞納分も50万円台に戻すことができたのです。

そんなとき、市の子育て事業として、うちに「お祝い金」がもらえることになりました。

子供が3人以上いる家庭が対象で、期日に市役所に受け取りに来るよう手紙が届きました。生活が苦しかったときですから、「助かった!」と思って印鑑を持って受け取りに向かいます。

ところが、お祝い金と色紙を受け取ったとき、「このまま○番の窓口へ行ってください。」と言われました。首をかしげつつ、向かってみると、なんと、国民健康保険課です。

「山本さん、国保税を滞納されていますよね?2年分ほど。」

「ハイ。」

「こちらとしても、なるべく納付を急いでいただきたいので...お祝い金の中から、いくらかでも納付していただけないでしょうか。」

お祝い金の拠出元は税金なので、少しでもいいから返してください、ということでした。

「先週、20万円ちょっと納付しているんですが...。」

「えっ?」

「このとおり、納付書もあります。ご確認いただけないでしょうか?」

たまたま持っていた納付書を見せて確認してもらうと、役所のパソコンに入っているデータの方も、ちゃんと納付された記録がありました。

「すみません。こちらにまだ納付されたことが伝わっていなかったので。定期的に納付してくださっているようですし、完納の努力はされているとわかりましたので今回はいいです。」

「そうですか。」

納付した直後だったからよかったものの、お祝い金まで狙われるとは思いませんでした。

Aさん突然の他界!賃貸契約はどうなる?

Aさんが賃料を3年滞納したまま突然亡くなったのは、その年の秋でした。

店子さんである以上葬儀を無視することもできず、お焼香に行きました。そこで、Aさんの親戚という人に呼び止められ「迷惑をかけていると聞いている。相談するから、申し訳ないが四十九日までは待ってくれないか」とのこと。

ことがことだけに、こちらも嫌だとは言えません。
「四十九日過ぎてから連絡を下さい。」とお願いしてその日は帰宅しました。

Aさんが亡くなっても、滞納されている賃料がなくなるわけではありません。

また、土地の貸し借りの件は、Aさん亡き今、ちゃんとした手続きを踏まなければ(Aさんの持っていた)土地を借りる権利は消えてしまいます。どのみち、A夫人と一度話し合う必要がありました。

ところが、四十九日どころか60日を過ぎても、A夫人からの連絡はありませんでした。

おかしいと思ってAさんの親戚に電話を入れると、「相続放棄したから滞納はもうない、って言っていたよ。」というではありませんか!

家庭裁判所に確認してみると、本当にA夫人と子供たちは相続放棄をしたあとでした。A夫人と子供たちは、滞納していた賃料を払わない代わりに土地を借りる権利を失ったのです。

やっとのことでA夫人を呼び出してもらい、このことを説明すると「そんなこととは知りませんでした。法律なんか全然わからないし、これからも住みたいから貸してください。」と平然と言いました。

最初に100万円を踏み倒し、さらに80万円を滞納しているのにも関わらず、この高慢な態度。

人に迷惑をかけている自覚さえなく、好き勝手にしてきた人達に同情する気はもうとうありませんでした。夫は、A夫人と期限を設けて短期間の賃貸契約を結びましたが、A夫人はなんとその分も踏み倒し、ある日黙って夜逃げのように引っ越していきました

弁護士に依頼して解決!

このあたりで自力での解決に限界を感じ、弁護士に交渉を頼むことにしました。

Aさんの自宅を相続したAさんの兄弟と交渉してもらい、最終的に、

Aさんの住んでいた家をもらう代わりに、滞納賃料をチャラにする。
赤字になる分は債権放棄(請求しない)

ということで決着しました。

突然減額された国保税!いったい何故?

この時、うちの滞納していた国保税は68万円!
一番古い保険税は、延滞金と保険税の金額がほとんど同じくらいになっていました。

家の値段と、払ってもらわなかった賃料を差し引いてみると26万円の赤字が出ました。この赤字分の金額を、「もらえなくなったお金」として計上し、確定申告をやり直しました。

すると、国保税が計算し直されて、それまで苦労して払い続けてきたのが一気に下がることになったのです。

丸々1年分は支払い済みになりました。

70万円近くあった滞納分のうち、半分が突然消えてなくなったのです。「もらったことになっていたお金」が「もらえなくなった」とはっきりしただけで、約30万円の国保税が消えてなくなったのです。とても奇妙な気分でした。

3月の終わりに、確定申告でお金が40万円ほど戻ってくるのを待って、やっと未納になっていた国保税349,600円を一括で支払い。ようやく滞納を解消しました。

滞納期間中は、毎月払込に行く度知り合いに会ってしまうのでとても恥ずかしい思いをしました。

また、分納しているあいだは毎月保険証を作ってもらわないとならず、その都度、県外の大学に進学した子供に保険証を送ってあげなくてはなりませんでした。一度、間に合わず、自費診療になってしまったこともありました。

分納を始めてから完納するまで、足掛け4年が過ぎていました。

滞納せざるを得ない制度って変?

やはり、実際にもらっていないお金が収入として計上され、その分、国保税が上がるというのにはどうしても納得できません。明らかに問題だと思います。今後、ぜひ改善してほしい点ですね。

また、「今までもらっているはずのお金」がもらえなくなったとわかった途端、一気に30万円もの国保税が消えてなくなったのも奇妙でした。本当に制度に振り回された4年間だったように思います。

一方で、Aさん家族はその後もずっと消費税以外の税金を滞納し続けていたようです。払うべき税金はもちろん、賃料も踏み倒し、私たちは、その巻き添えをくらった格好で保険税の滞納をせざるを得なくなりました。

しかし、はたから見るとうちよりもAさん家族の生活のほうが裕福に見えたのだと思います。「正直ものがバカを見る」ではありませんが、分割でも払っていた私たちが、バカバカしく感じたことも一度や二度ではありません。

もともとAさんが税金を滞納しているとわかっていれば、土地は買わなかったと思います。しかし、Aさんの納税状況や収入は、個人情報保護法で隠され、知ることはできませんでした。

自分たちはマジメにやっているのに、なんとも報われない思いです。私と同じような状況になってしまう人がいないといいのですが・・・

→ 税金滞納・料金滞納の事例と対処法

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