弁護士から「頑張ってください」と言われた時は涙が出そうに【体験談】

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借金の返済ができずに、次々と借入れを繰り返してしまう自転車操業。

冷静に考えてみれば、自分に返済能力がないことは分かるはずなのに、気がつくと泥沼にはまっているという人が多いようです。

「自己破産」は勇気のいることですが、私の場合は、娘の結婚がきっかけで、現実に返るタイミングを掴むことができました。

体験者の情報

名前:高岡 雄一(仮名)
性別:男性
当時の職業:自営業
当時の年齢:53歳
借金の合計額:650万円
会社名(借入先):西日本銀行教育ローン、消費者金融A、アイフル、プロミス、国内信販、レイク、ノーローン、モビット 借入件数:銀行1件、消費者金融7件
利用時期:2000年3月~2003年11月

教育ローンの返済が重荷になり自己破産するまで

私はかつて自営業の失敗で1300万円の借金を作り、その返済のために家や工場を売却しました。

しかし、その時に残ってしまった銀行の教育ローン300万円の返済をきっかけに、消費者金融7社から次々と借りてしまい、合計650万円もの借金を、再び背負ってしまったのです。

「返済に困ると別の業者で借りて、一時的に返す」

そんな自転車操業を続け、どこからも借りられなくなるまで自分の行動の矛盾に気づきませんでした。

これは、そんな私が借金地獄から自己破産するまでのお話です。

借り入れのきっかけは教育ローン返済と妻の病気

私は家族で小さな工場を経営していました。

しかし中国製品との価格競争に押されて経営が悪化し、気がつけば1000万円の事業者借金と、大学生の娘のために借りた教育ローンの300万円、合計1300万円の借金を背負ってしまいます。

このまま増えたら取り返しのつかないことになる...。

そう考えた私は、自宅と工場を売却し1300万円の借金を返済することにしました。銀行の試算では、自宅と工場を合わせて1300万円の価値があったからです。

しかし実際の売却額は1000万円で、銀行の教育ローン300万円が残ってしまいます

じっくり買い手を探せば良かったのですが、当時の私は早く借金を減らしたいと焦っていました。

「この時にもっと売却額のことを慎重に考えていれば」と悔やんでいます。

もともとこの教育ローンは2年ほど前、娘の大学入学時に金利約3%で借りたもので、本来なら10年ほどで完済する予定でした。

返済を二年後からに設定していたため、ちょうどこの頃に返済が始まり、正確には金利分が増えて320万円ほどになっていたのです。

しかしまだその頃は、320万円の借金を、あまり深刻に捉えていませんでした。

雇われ職人として転職することも決まっていましたし、夫婦共働きなら十分に返済していけると思っていたからです。この時の夫婦の年収は、私300~350万円、妻100万円ほどでした。

しかし、慣れない生活が原因で妻が体調を崩してしまいました。

それがきっかけとなって、毎月3万円の教育ローン返済が、その後の私たちを苦しめることになったのです。

初めて消費者金融でキャッシング

妻が体調不良で仕事を辞めてしまってから、我が家の収入は8万円も減ってしまいます。

他県で一人暮らしをしている大学生の娘に家の事情を話すと、アルバイトを増やすから仕送りはいらないと言ってくれましたが、それでも毎月3万円ほど足りません。

そんな時に見たのが、消費者金融Aの広告です。消費者金融Aはテレビでも頻繁にCMを流していたので、その安心感からすぐに申込みに行くことにします。

転職してからすでに半年ほど経っていましたし、問題なく審査を通ることができました。

その時に消費者金融Aから提示された金利は28%で融資限度額は50万円

とにかく審査を通って、早く借りなくちゃということしか考えられず、金利が高いことにまで頭が回りませんでした。

そしてその日はとりあえず、生活費の不足分である3万円を借りて帰りました。

しかしその後、妻の体調不良が回復することはなく、気がつけば消費者金融7社から合計350万円もの借金をしていたのです。

あっという間に750万円の借金に...

どうして、そんなことになったのか?

言い訳のようですが、8社目の消費者金融に断られるまで、私は自分のやっていることに気づいていませんでした。

これが約1年半の間に借りた、消費者金融7社の内訳です。

  • 消費者金融A、120万円
  • アイフル、90万円
  • プロミス、60万円
  • 国内信販、50万円
  • レイク、10万円
  • ノーローン、10万円
  • モビット、10万円

合計350万円を金利18〜28%で借りていました。

上から順に借入れをしていきましたが5社目のレイク辺りから融資が難しいと言われるようになり、最後のモビットで借りた時には「やってみないと分からないですね」と審査に難色を示されました。

それでもまだ、自分が追い詰められているという自覚はありませんでした。

消費者金融でお金を借り続けながら「妻が働くようにならば返せる」と呪文のように唱えて、返済に困ると別の業者で借りて一時的に返すという自転車操業を繰り返していたのです。

カードキャッシングの場合、銀行のATMを利用する感覚でお金が引き出せるため、金銭感覚がマヒしていたのでしょうね。

しかし8社目のスマイルで10万円の融資を審査してもらい、「うちでの融資はできません」と断られた時、私は一気に現実に引き戻されました。

もうお金が借りられない、つまり、自分で金策を考えるしかないということです。

しかし、時すでに遅く、待っていたのは毎月約13万円にも上る返済生活でした。

延滞から自己破産を決意するまで

この時点でまず取った行動は、その時二ヶ月連続で滞納していた教育ローンの対処でした。

そして銀行窓口に直接出向き事情を話すと、ローンの支払い猶予期間を3年間くれました。

ただし猶予期間にも利息がかかるので、せっかく減らしていた元金約20万円、借金残額280万円が、利息で増えていくという状態になりましたが、背に腹は代えられません。

消費者金融のほうも、どうにか交渉して、最低限利息の約7万円だけでも支払うようにしました。

この頃、ちょうど娘が就職して毎月3万円を送金してくれていたので、7万円なら支払える額でした。そしてなぜか私はこの時、「これなら大丈夫だ」と思ってしまったのです。

普通に考えれば何も解決していないのですが、当時の私には「助かった」という気持ちしかありませんでした。

今思えば、まだどこかで現実逃避していたのでしょう。

それからの約半年間は、ひたすら節約して食事を我慢してでもお金を捻出し、遅延することなく消費者金融7社への利息を支払い続けました。

自分が借金返済の無限ループに迷い込んでいることに気づいたのは、利息返済生活から半年後、娘の結婚が決まった時でした。

恥ずかしながら、娘から「もう仕送りができない」と言われて、やっと現実を直視したのです。

その時、教育ローンは猶予期間中の利息で約300万円に戻り、消費者金融の元金350万円と合わせて650万円になっていました。

過払い金を請求しないと自己破産できない

消費者金融に手を出してから約二年、半年の利息返済生活を経て、私はようやく支払い不可能だと気づき、今後どうしたらいいかを弁護士に相談することにします。

何度も通うことを考えて、職場から一番近い弁護士事務所を選びました。

すると「消費者金融の一部に過払い金が発生しています。そちらを請求してから、自己破産しましょう」と言われます。

知り合いが自己破産した時に大まかな内容を聞いていたので、自分もそれしかないだろうと思っていましたが、過払い金請求のことは全く考えていませんでした。

消費者金融7社のうち4社に過払い金があるため、その問題が解決しなければ自己破産の手続きができないそうなのです。

弁護士に相談後は、毎月の借金返済がストップしましたが、過払い金の請求をする間に、自己破産のための弁護士費用を積み立てておくように言われます。

毎月3~4万円ずつ積み立てて、4社(借金総額320万円)の過払い金の請求が終わるころには30万円を超えていました。

ただ私が詳しい利用明細などを保管していなかったため、過払い金請求には約8ヶ月かかりましたが。

過払い金請求の結果は、4社(消費者金融A、アイフル、レイク、プロミス)と示談交渉となり、借金をゼロにするということで同意しました。

本来なら、どこの会社も過払い金の請求にすんなりとは応じてくれず、裁判となるとそれなりに時間と労力が必要になるそうです。

しかし私は自己破産予定でしたので、すぐに示談に応じてくれました。

もっと早くすれば良かった自己破産

過払い金請求後、やっと自己破産の手続きが始まります。

私には家や車などの資産はなく、作った借金は個人的なものだったので必要な書類や手続きも少なく、裁判所には数回行くだけで済み、約半年ほどで免責が下りました。

過払い金請求、および自己破産手続きにかかった費用は約30万円です。

弁護士への積み立てはずっと続けていたので、自己破産の手続きが終わって余った15万円が返ってきた時には、すごく不思議な気持ちになりました。ずっと返済に追われていたせいでしょうね。

あんなに恐れていた自己破産ですが、弁護士に任せていたらいつの間にか終わっていたという感じです。しかも自己破産のことは、結婚した娘にも話していませんし、仕事場にも知られていません。

裁判所で責められたり怒られたりするかと思っていましたがそんなことはなく、最後に弁護士から「これから、頑張ってくださいね」と、声をかけられた時は涙が出そうになりました。

しばらくはローンやキャッシングなどができませんが、それは自分のためにも良いことだと思います。

「こんなことなら、もっと早く手続きしていれば...」そう悔やみつつ、本当にあの時にやって良かったと思う、自己破産体験でした。

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