借金の整理には抵抗がありました。でも実際は特に不便はしません【体験談】

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消費者金融の返済ができなくなって、破産をした体験を語ってくれた川口さん

キャッシングの返済が苦しい!返済に続く返済で、もうお金がない!!

しかし、それでも借金の整理をためらってしまう人は多いようです。

「周囲に知られてしまうのではないか?」「もうお金が借りられなくなってしまう」など、いろいろとデメリットを考えてしまうみたいですね。

では実際に破産すること、生活しにくくなるのでしょうか?

今回は消費者金融の返済ができなくなって、破産をした女性に話を聞いています。

体験者の情報

名前:川口 咲子(仮名)
性別:女性
当時の職業:漫画家とバイトの二足のわらじ
当時の年齢:28歳
借入件数:5件
会社名(借入先):エイワ、アコム、ニコニコクレジット、ユアーズ、イオンクレジット
利用時期:1993~2003年
借金の合計額:およそ100万円

漫画家になるために、借金を抱えてしまった女性

お話をうかがったのはイラストレーターをしているという河口咲子さん(仮名)、48歳。とても気さくな女性で、自営業のご主人と二人暮らしです。

彼女は独身のころ、漫画家として独立することを目指していました。しかし収入が安定せず、複数の消費者金融から借金を重ね、破産してしまったそうです。

今回は借金を抱えてしまった経緯と、破産の手続について、当時を思い出しながらお話していだだきました。

遠距離恋愛はお金がかかる

― 借り入れのきっかけは?

テキパキと話をする川口さん

今から20年ほど前、私は駆け出しの漫画家でした。

売れっ子の漫画家さんのアシスタントをしていて、月収は20万円くらいです。

その頃、三重県に住んでいた私は、神奈川県にいる今の主人と遠距離恋愛していました。

これが、交通費が3~4万円必要なうえに、2週間に1度のペースで会っていたので、かなりお金がかかりました。

主人の交通費を私が負担することもあったので、給料だけではまったく足りません。

そこで28歳のころ、「エイワ」という消費者金融から、初めてお金を借りました。

― 「エイワ」を選んだ理由は?

いくつかの消費者金融の金利を比較したら、エイワがもっとも低金利だったからです。

グレーゾーン金利が撤廃される前でしたが、金利は18%でした。

ちなみに、グレーゾーン金利については『計算が苦手な人でもよく分かる!グレーゾーン金利の解説と具体例【Q&A】』で解説しています。あわせて読んでみてください。

― どのように申し込みをしましたか?

電話で問い合わせた後、直接店舗で申し込みました。

窓口では必要書類に記入するように言われ、仕事や収入について聞かれたと思います。

家族構成については特にいろいろ聞かれ、すべての手続きが終わるまでに1時間ほどかかりました。

借りることができたのは20万円、返済は月々2万円でした。

借金で漫画家の夢も奪われて

― 返済は順調でしたか?

「借金が増えるのはあっと言う間でしたね」と話す川口さん

いいえ、厳しかったです。

その頃、ある出版社で連載を任されるようになりました。ところが新人は月15万円程度しかもらえないんです。

しかも自分の仕事が忙しくなると、アシスタントの仕事はできないので、その収入が入りません。

反対に今度は自分がアシスタントを雇わなければ、締め切りに間に合わなくて。もちろんアシスタント代は出版社が出してくれるのではなく、自腹です。

かなり忙しいけれど、売れないと収入は増えない...。漫画って厳しい世界なんですよね。

― それでまたお金を借りたのですね?

はい、また消費者金融に頼ることにしました。

「エイワの金利18%よりも低い金利のところはないかな?」と探したら、雑誌で「金利17%」という広告を見つけました。それがユアーズという消費者金融です。

ユアーズも店舗に直接行って申し込みをしました。やはり仕事のことや家族のことを聞かれましたね。

ユアーズで借りたのは20万円、広告の通り金利は17%でした。返済額は月1万円です。

― エイワとユアーズの借金を抱えて、返済はできていたのですか?

収入が増えませんから、もちろん返済は苦しかったです。結局、その返済のために、他の消費者金融から次々と借金をすることになってしまいました。

ニコニコクレジット、アコム、イオンクレジットから、それぞれ10万円。

まさに「転がり落ちる」という表現がぴったりですね。金利はやはり16~18%くらいだったと思います。

その後、エイワから「増枠しないか」という勧誘があったので、50万円まで増枠して、また借金が増えました。

3年ほどで合計5社、総額100万円の借金を抱えてしまったんです。

― 月々の返済額はどれくらいですか?

明るくサバサバとした印象の川口さん

月々の返済額は合計で7万円くらいです。

滞納はありませんでしたが、借りたり返したりの自転車操業で一向に借金が減りません。

しかも漫画家の仕事はなかなか軌道に乗らないまま。とうとう返済のために、漫画を諦めることになってしまいました。

借金がバレた時の夫の反応

― 漫画家を辞めてからは、どうやって生活していたのですか?

中古ゲームショップでアルバイトを始めて、毎月13万円くらいの収入がありました。でもほとんど返済で消えていましたね。

さらに国民健康保険は滞納。そんなギリギリの生活が5年ほど続いたと思います。

その間、主人が地元の三重に来てくれて結婚しました。しかし主人には借金のことはなんとなく言い出せなくて、内緒にしていたんです。

― その後、ご主人に借金がバレたのはなぜでしょうか?

主人は三重に来てから、しばらく私と同じような職場で働いていたのですが、その後「独立して自分の店を持ちたい」と言い出しました。

そして私に「開業資金を援助してほしい」と頼んできたんです。もちろん私にはお金がありません。

それで「もう隠せない」と観念して、借金のことを白状しました。主人はただただびっくりしていましたよ。

― 発覚後、ご主人は助けてくれましたか?

彼もお金がないので、それは無理でした(笑)。でも打ち明けたら、心のつかえが取れましたね。

それで親しい女友達にも、借金のことを話したんです。すると「これで借金を精算して」と、無利子で50万円も貸してくれました。

その友人は実家も裕福で、本人もかなり稼いでいたので、そんな大金をポンと出せたのだと思います。

その50万円でニコニコクレジットとアコムを完済することができました。

借金が払えない時は窓口で相談を

― 残りのエイワ、ユアーズ、イオンクレジットの借金はどうなりましたか?

実はイオンクレジットの返済は何度か延滞してしまっていました。そのためカードの利用を止められていたんです。

さすがに「これはマズい」と思ったので、どうにか自力で完済しました。

一方、残ったエイワとユワーズは終わりが見えなくて。この2社の借金は総額70万円近く残っていました。

― その後どうやって返済したのですか?

月々の返済は、エイワが2万2千円、ユアーズは1万円でした。

それでも苦しかったので、「月々の返済額を減らしてもらえないか」とエイワの窓口に相談したんです。すると快く1万8千円まで減額してくれました。

でも月々の返済額が4千円減ったところで、劇的に状況が良くなるわけではありません。むしろ金額を抑えたせいで、完済の道が遠のいてしまいました。

そのうち、終わりの見えない返済生活のストレスで、私は身も心もボロボロになってしまったんです。

「いのちの電話」で言われた意外な言葉

― どのように解決したのですか?

長い借金生活が終わり、現在は平穏に暮らしていらっしゃるという川口さん

すでに借金をするようになってから10年、私は本格的に心を病んでしまいました。

それでとうとう助けを求めて「いのちの電話」に電話をかけたのです。「いのちの電話」は、自殺予防のために電話相談の活動をしているボランティア団体です。

― いのちの電話でどのようなアドバイスを受けましたか?

私は心のケアのために電話をしたつもりでした。

しかし借金のことを打ち明けたら、すぐに債務整理を勧められたんです。

まさかこういうアドバイスを受けると思っていなかったので、意外でしたね。債務整理という手段があることも初めて知りました。

しかも債務整理に強い司法書士事務所を3件も紹介してくれたんです。

― その後どうしましたか?

もちろん、言われた通り債務整理をすることにしました。すぐに3件の司法書士事務所に電話をかけましたよ。

そのうちの1件が親身で分かりやすい説明をしてくれ、「費用も分割でいい」と言ってくれました。そこでその司法書士事務所に手続きをお願いすることにしたんです。

それは東京の司法書士事務所でした。私が住む三重から遠いですが、当時は地元に債務整理を専門に請け負っている司法書士さんが少なかったので。

債務整理は意外と簡単!?

― どのような債務整理を行ったのですか?

破産した過去を、明るく話して下さった川口さん

すべての借金を免除してもらう破産することになりました。ただし、最初は破産することにためらいがありましたね。

「破産をしたらお金は借りられなくなるし、信用情報に破産した記録が載ってしまう」と言われましたから。

しかし司法書士の先生にも主人にも、「破産した方がいい」と言われて決心したのです。

― 東京の司法書士事務所まで足を運んだのですか?

直接、東京まで会いに行ったのは、最初の1回だけです。それ以降は、電話や郵送だけのやりとりでした。

司法書士の先生の言われた通りに書類を提出して、あとはほとんどおまかせでしたね。

― どんな書類が必要でしたか?

契約書や領収書、あと保険証と住民票です。また住居の登記簿と権利書を裁判所に提出しました。

破産すると、住んでいる家が自分の名義だったら、処分しなければいけないのです。

しかし私が住んでいる家は母の名義だったので、それを証明する必要がありました。

― 破産の免責が下りるまでどのくらいかかりましたか?

3ヶ月くらいです。けっこうスピーディですよね?

私自身に何一つ財産がなかったので、ややこしい手続が必要なかったのかもしれません。

夫もほとんど財産らしい財産がなかったので、特に影響はありませんでしたし。

司法書士の先生に支払った費用も、全部で5万円くらいです。解決してから毎月1万円ずつの分割払いができました。

― 過払い金請求はしなかったのですか?

私が利用した業者は、他の業者に比べて金利が低かったので、過払い金が発生しなかったのです。

これは司法書士の先生も驚いていましたね。だから請求自体やっていません。

破産してよかった

― 友人から借りたお金も、破産の対象になりますよね?

はい、そうみたいですね。でも友人との関係があるので、それは免責してもらっていません。

友人は「もう返済しなくていいよ」と言ってくれていたのですが、きちんとケジメはつけたいですから。

実はあれから10年経ちますが、まだ友人には返し終わっていないんです。今でも毎月5千円ずつ返済しています。

― 破産してから10年経ちますね。現在の生活はどうですか?

破産しましたが、不自由を感じることはほとんどありませんね。精神的にも経済的にも楽になったので、破産してよかったです。

私はやっぱり絵を描くことが好きなので、今はイラストレーターとして細々と頑張っています。主人もあれから独立してお店を経営していますよ。

イラストの仕事があれば、是非発注して下さいね!

インタビューを終えて

苦しかった頃のことを明るく話して下さった川口さん。

彼女の体験から、お金を借りる時の注意点をまとめてみました。

リボルビング払いに注意

川口さんは収入が少ないにもかかわらず、100万円もの借金を抱えてしまいました。

契約時に、「月々の返済額は1万円」などと言われると、「少ないから返済できる」と勘違いしてしまいます。

しかしリボルビング払いは、月々の負担が減る分 元金が減らないため、なかなか完済までたどり着けません。

なお、リボ払いについては『知ってしまえば怖くない!悪魔と呼ばれるリボ払いの利息を簡単解説』で詳しく説明しています。あわせて読んでみてください。

お金を借りるときは、必ず「毎月いくら返済すれば、いつまでに完済できるのか、利息はいくら支払うことになるのか」をよく確認しましょう。

キャッシング業者のホームページにある「返済シュミレーション」などを使うと便利です。

月々の返済額を減らせば、返済が長期化する

返済が厳しくなった川口さんは、業者に「月々の返済額を減額できないか」相談しました。

ただ、返済額を減らすと返済が長期化し、結果的に支払う利息は大きくなります。

長い目で見ると損だということは覚えておきましょう。

本当に辛いときは債務整理を

川口さんは、最終的に破産という道を選びました。最後は法律に助けてもらったのです。

破産には「特定の職業に就けなくなる」「しばらくクレジットカードやローンの審査に通らなくなる」などのデメリットもあります。

しかし近所の人や知り合いに知られてしまうことはありません。

自力での返済が難しい場合は、まず法律家に相談をしてみましょう。

ちなみに、破産以外にも債務整理の方法があります。債務整理については、『「おまとめ」と「債務整理」どっちがお得?比較表』で詳しく説明しています。よかったらあわせて読んでみてください。

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