知っているようで知らない『お金』のことをわかりやすく解説するブログ。

元税理士の受刑者が刑務官達の税金対策のアドバイスをすることで、労働時間中にビールを飲ませてもらうなどの特別待遇を受ける。

かなり前に大ヒットしたハリウッド映画「ショーシャンクの空に」の話です。

まるでこの映画のような話が実際に韓国でありました。受刑者が刑務官に与えたのは税金対策ではなく、株式投資の指南と企業のインサイド情報。

ただ、それが全て詐欺だったというのです。

2012年9月17日、韓国、全羅南道警察庁知能犯罪捜査チームによって緊急逮捕された朴氏(36歳)。朴氏は詐欺の常習犯なのですが、今回の犯罪の現場はなんと刑務所の塀のなかだったのです。

刑務所にやってきた株の達人

朴氏が全羅南道の刑務所に収監されたのは2007年1月。詐欺罪で懲役8年でした。収監直後から彼はある計画をたて、綿密に進めていきます。

最初に始めたのは誰にも知られないように「株式投資の入門書」を何冊か手に入れ読破し、専門用語を交えながら株式投資についていかにもそれっぽく語るようにすること。

それから、他の受刑者や刑務官達が見ている前でわざと経済新聞の株式欄をのぞきこみ株価の動きについて解説したり、株の動きを予測したりしてみせます。

また、その予測が良く当たり解説ももっともらしかったので刑務所内で「株式投資の達人」と呼ばれるようになります。

ここまでは下準備で本番はここからです。
刑務官の一人であるJ氏(49歳)に接近し、自分が某有名財閥の親戚であると信じこませます。

そして「自分には各企業のインサイド情報がいくらでも入ってくるのに刑務所のなかだと何もできない。

一緒に金儲けをしてみる気はないか。」と持ちかけたのです。

刑務官から完全なる信頼を得る

詐欺罪で収監されている受刑者の話なんて、普通なら信じないだろうと思うのですが、彼は「株式投資の達人」と皆に呼ばれていたので、その話に乗ってしまいました。

結局J氏は、朴氏が仮釈放される2009年5月まで毎回数百万ウォンずつ、41回にわたり朴氏の妻と母親の口座にお金を振込み続けます

自分だけではなく、親戚からお金を借りてまで朴氏に渡し、仮釈放される時は活動費という名目で自分のクレジットカード5枚と自家用車まで貸しています。

もちろん、振り込まれたお金は投資には使われず、朴氏の家族の生活費などに使われていました。

途中で朴氏は、J氏に配当金といいながら現金2千万ウォンを渡しています

このお金も投資金として全額朴氏のところに戻っているのですが、そのことでJ氏の、朴氏に対する信頼は更に高まります。

こうして朴氏がJ氏からだまし取った金額は合計5億6,000万ウォン(日本円で約5,000万円)

朴氏逮捕後、J氏がとりもどすことができたのは仮釈放時に貸していた自家用車だけでした。

好き放題、快適刑務所ライフ

朴氏はJ氏から得たお金を上手く活用して刑務所内での快適な生活も手に入れます。

例えば、この刑務所の受刑者達は刑務所近くの農場で労役をしなければならなかったのですが、その労役時の監視役だった刑務官S氏(45歳)に現金950万ウォンを渡し、その対価として一日に何回かタバコを吸わせてもらい、(刑務所内で受刑者はタバコを据えません。)

昼食時には自分だけ肉料理を与えてもらっていました。

同様のやり方でポータブルプレイヤーを持ち込んで自由に映画を楽しみ、刑務官の携帯電話を自由に使わせてもらっていました。

また、刑務所内で禁止されている私服で過ごしていたというから、どれだけ特別待遇を受けていたかが想像ができます。

偶然発覚した全貌

被害者が刑務官だったため、詐欺だと分かった後も告発することもできず、しばらくの間事件は発覚しませんでした。

今回、朴氏の犯行が発覚し、逮捕されるに至ったのは、刑務所内でタバコなどが闇取引されているとの情報提供を受けて捜査していた当局が、刑務官達の口座を追跡していく中で偶然朴氏の犯行を見つけたからでした。

犯行が明らかになり朴氏は逮捕
J氏をはじめとする数名の刑務官達も収賄などの容疑で現在調査をうけているそうです。

当局の発表では、「刑務所の中でこのような犯罪が起こるのは前代未聞。

現場の刑務官を相手に詐欺を働くこと自体難しいことなので、朴氏は徹底的に計画を練って実行したものだと思われる。

余罪があるかは現在捜査中(韓国中央ニュース2012年9月18日)」とのことです。

受刑者の便宜を図り、代価として金品の収賄を行っている刑務官は他にもいるとみて捜査を拡大する予定だそうです。

今回の事件でも、朴氏から950万ウォンを受け取ったS氏はすでに収賄容疑で拘束されています。

犯罪者への接し方においてはプロであるはずの刑務官が次々に騙されてしまったのは、朴氏の下準備や計画が徹底していたこともありますが、その背景には現在の韓国社会の歪んだ現状があることも言われています。

どんどんと格差が広がり、全てのものごとがお金に関連付けて判断される社会になってしまっているため、朴氏の甘い言葉に誘惑されてしまったのではないでしょうか。

参考資料

韓国中央ニュース
http://www.ejanews.co.kr/sub_read.html?uid=48797
(2012年9月18日)

アジア経済
http://www.asiae.co.kr/news/view.htm?idxno=2012091720222155217(リンク切れ)
(2012年9月18日)

国民日報クッキーニュース
http://news.kukinews.com/article/view.asp?page=1&gCode=rgn&arcid=0006447902&code=41122015
(2012年9月17日)

毎日経済
http://news.mk.co.kr/newsRead.php?year=2012&no=598374
(2012年9月17日)

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