更新日:2018/07/20
借金の整理をスムーズに進めるコツを消費者金融の元事務員が解説
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評価を設定してください ×キャッシングやカードローンの返済滞納が続いている。
何度も取り立てが来るけれど、支払えない。
そういうときに頭をよぎるのが、借金の整理(※1)です。
借金の整理にはいくつか方法がありますが、支払う利息の金額を減らしたり、借金そのものを帳消しにすることができます。
さらに、借金の整理を開始すると、取り立てがすべてストップします。
「借金のことを考えると夜も眠れない」という方にとって、これは本当に嬉しいですよね。
そこで、今回は大手消費者金融で、借金の整理に関する事務に携わっていた女性へのインタビューを通じて、借金の整理を行う顧客に対して、消費者金融がどのように対応していたのか、詳しいお話をうかがいました。
※1
借金の整理がよくわからない場合は、借金の整理のまとめ解説をお読みになってみてください。
- 目次
- 借金の整理をすると、その後はどうなる?
- 借金の整理を扱うのはどの部署?
- 取り立てはいつストップするの?
- 過払い金があると、借金の整理ができない?
- 過払い金請求したら、ちゃんと還してもらえる?
- 1日1,000人が借金の整理を希望
- インタビューを終えて
今回インタビューにご協力いただいたのは...
名前:鈴木 洋子(仮名)
性別:女性
勤めていた金融機関:大手消費者金融A社
勤めていた期間:2003年~2007年頃
仕事内容:借金の整理に関する事務
借金の整理をすると、その後はどうなる?
今回お話をうかがったのは、大手消費者金融のA社で事務のお仕事をされていたという鈴木洋子さん(仮名)。
鈴木さんは、「借金の整理をしたい」と申し出てきた顧客の事務処理を行っていたそうです。
通常、返済が遅れると「お支払いをお願いします」という取り立て電話・郵便を受けることになりますが、弁護士(※2)に依頼して借金の整理を開始すれば、こうした取り立てはすべてなくなります。
※2
借金の整理を取り扱う法律家は主に弁護士や司法書士ですが、この記事では便宜上、「弁護士」に統一しています(編集より)。
鈴木さんは、主に「取り立てをストップする」仕事をしていました。
なんと、1日100件以上も取り立てストップの処理を行っていたそうです。
そこで今回は鈴木さんに、「借金の整理を開始すると どうなるのか」について聞いてみました。
- いつ取り立てが止まるのか
- 信用情報にはどんな影響があるのか
- 過払い金請求をすると どうなるのか
これらついて詳しくお話をうかがいました。
借金の整理を扱うのはどの部署?
― 鈴木さんはA社でどんなお仕事をされていたのですか?
2003年から、事務として4年ほど勤務していました。
A社のお客さんのなかには、お金が返せなくなって借金の整理をされる方がいます。
私はその手続きに関する事務を担当していました。
借金の整理には、任意整理、特定調停、民事再生、破産、そしてCMなどでよく耳にする過払い金請求があります。
これらの手続きは、たいてい弁護士を通じて行われます。
つまり、借金の整理が開始された後は、A社はお客さん本人ではなく弁護士とやり取りするのです。
交渉は担当部署が行いますが、その事務作業を行うのが私の仕事でした。
― 鈴木さんが所属していたのはどのような部署ですか?
私が勤めていた2003年~2007年当時、A社には東京・大阪・福岡のそれぞれの支社に債権回収係がありました。
この債権回収係は、下記の4つの部署に分かれています。
- 債権回収部署
- 書類を扱う部署(私がいたところ)
- 弁護士とやりとりをする部署
- 裁判所とやりとりする部署
私がいた大阪支社は、名古屋から山口まで500店舗以上の債権処理を行っていました。
私の部署は管理職も含めて50人ぐらい。
私たちはお客さんや弁護士と直接やりとりはしません。
届いた情報を元に事務処理だけを行う部署でした。
取り立てはいつストップするの?
― では借金の整理をする場合、どのような手続きが行われるのか簡単に教えてください。
借金の整理をするお客さんについて、私たちは以下のような順番で処理していました。
- 1弁護士から受任通知が届く
- 2顧客データベースを確認
- 3取り立てをストップ
- 4信用情報機関へ情報を通知
- 5借金整理の手続き開始
それぞれについて細かく見てみましょう。
弁護士から受任通知が届く
― まず、弁護士から書類が届くのですか?
はい。
まず弁護士から、「そちらの顧客の◯◯さんが弁護士に借金の整理を依頼しました」という旨の書類が届きます。
この書類のことを、受任通知と呼びます。
まれにお客さんから直接電話を受けることもありますが、「どこの弁護士に依頼しているのか?」を必ず確認します。
弁護士と直接連絡が取れないと、手続きには入れません。
顧客データベースを確認
― 受任通知を受け取ったら、何をするのですか?
A社の顧客データベースを見て、どのお客さんが借金の整理をしようとしているのか、確認します。
名前・住所・電話番号など基本的な情報に加え、これまでお客さんとどういうやりとりをしたかも確認します。
ただ、顧客データベース内を探しても、そのお客さんが見つからないことがあるんです。
これは、お客さんの名前や住所が変わったのに、A社に連絡がなかった場合に起こります。
このように、本人を特定できない場合は、住民票などの書類を取り寄せて確認作業を行うことになります。
取り立てをストップ
― いつ取り立てをストップするのですか?
弁護士から受任通知が届き、顧客データベースで本人を特定できたら、すぐに取り立てストップの処理をします。
以降、そのお客さんへの取り立てはストップします。
仮に名前や住所が顧客データベースにあるものと変わっていても、昔の名前や住所がわかれば、すぐに本人を特定できます。
しかし、それができず遠方から住民票を取らなければいけない場合は、1週間~10日はかかってしまいます。
その時は弁護士に、「ご本人を特定できないので、催促の連絡がいってしまうかもしれません」と伝えて、了承を得ておきます。
ただ、「たぶんこの人だろう」と当たりがついている場合は、取り立てを止めるよう顧客のデータに注意書きしておきますね。
その間に急いで住民票を取り寄せ、本人と確定したら正式に処理を進めます。
― お客さんを間違えてしまうことはありませんか?
基本的にありませんが、100%ないとは言い切れません。
なかには、「名前や生年月日が同じで、住所も似ている」という方もいますから。
実際に間違えて別のお客さんの取り立てをストップしてしまったこともありました。
一方で、借金の整理を始めたお客さんに、引き続き取り立てをしてしまったこともあります。
この場合はお詫びするしかありません。
ただ、間違えたら一大事ですから、私たちも非常に注意深く確認作業を行っていました。
信用情報機関へ情報を通知
― 「借金の整理」について信用情報機関に通知するのですか?
はい。
取り立てをストップさせると同時に、「◯◯さんの借金の整理がはじまったこと」をすぐに信用情報機関(※3)に通知します。
そうすると、その方の信用情報に「借金の整理」の記録が残ります。
この記録は最長5年(破産の場合は最長10年)残るので、その後しばらくはローンやクレジットカードの審査に通らなくなるでしょう。
※3
信用情報とは、簡単に言うと「金融機関との取引記録」のことです。クレジットカードやローンを利用すると、信用情報に逐一記録が残ります。また、信用情報機関とは、信用情報を管理している機関です。日本には3つの信用情報機関があります。信用情報や信用情報機関の解説もありますので、信用情報の基礎を知りたい方はこちらをご確認ください(編集より)。
借金整理の手続き開始
― その後、借金整理の手続きが開始されるのですね?
はい。
この後、「弁護士とやりとりをする部署」や「裁判所とやりとりする部署」に書類をまわし、それぞれやり取りがはじまります。
基本的に私の仕事はここまでです。
その後、借金の整理がどのように決着するのか、細かいことまではわかりません。
過払い金があると、借金の整理ができない?
― 借金の整理に応じない場合もありましたか?
弁護士から「借金の整理をする」という連絡が入った以上、それを阻止することはありません。淡々と事務的に対応します。
ただ、なかには応じない場合もあります。
たとえば、
- 過払い金がある
- 支払い能力がある
このような方はすぐに応じず、交渉していました。
もし過払い金があるならそれを返還請求していただき、残った借金の返済にあてればいいのです(※4)。
それによって完済できれば、信用情報には「借金の整理」の記録は残りません。このことについては後ほど詳しく説明します。
※4
法律で定められた上限金利より高い金利で利息を支払っていた場合、それは払いすぎの利息となります。この払い過ぎた利息のことを、「過払い金」と呼びます。過払い金は残っている借金(元金)の返済にあてられますが、それでも過払い金が残った場合はその分を返還請求できます(編集より)。
また、なかには、他社への返済は滞りないのに、A社にだけ借金の整理を申し出てくるケースもあります。
このように、「支払い能力がある」と判断できるケースは、借金の整理そのものを考え直してもらうか、整理の方法を変更してもらえないか交渉します。
たとえば、破産を希望しているお客さんに交渉して、任意整理にしてもらう、といった感じです。
もし破産した場合、借金が全て帳消しになります。
しかし、任意整理なら、その後の交渉によりますが、多くの場合 元金は回収することができます。
A社としては、少しでも返済してもらった方がいいですからね。
過払い金請求したら、ちゃんと還してもらえる?
― お客さんが「過払い金請求」を申し出てきたら、どう対応していましたか?
こちらも淡々と事務的に応じるだけです。邪魔したり、阻止するようなことはしません。
― 過払い金請求をすると、信用情報はどうなるのでしょうか?
過払い金請求をするお客さんのなかには、すでに完済ずみの方と、現在も返済中の方がいます。
すでに完済ずみの方が過払い金請求をしても、信用情報には何も記録されません。
ただ、現在返済中の方が過払い金請求をすると、信用情報には一時的に「借金の整理をしている」と記録されます。
ただし、返還された過払い金によって残っていた借金を完済できれば、その記録はすぐに削除されます。
一方、過払い金を残りの返済にあてても完済できなかった場合は、その借金をいずれかの方法で整理しなくてはなりません。
したがって、信用情報には「借金の整理」の記録が残ります。
― 過払い金請求をすると、その後は借入れ不可となりますか?
いいえ。
過払い金請求後も借入れは可能です。
そのお客さんの利用限度額の範囲内で借入れできます。
ただ、過払い金請求をしたことはA社の顧客データに記録され、それが消えることはありません。
それが必ずしも今後のA社の審査にマイナス影響を与えるとは限りませんが。
1日1,000人が借金の整理を希望
― 借金の整理を希望するお客さんは、いくらぐらい借りているのですか?
A社だけでだいたい50万~100万円ぐらい。
だいたいの方が利用限度額を満額借りていました。
また、A社が提携しているクレジットカードを同時に利用する方もいたので、その場合は併せて300万円以上になることもありました。
さらに、A社以外の複数の金融機関から借りているお客さんがほとんどですから、借金の総額はわかりません...。
こういうお客さんはだいたい2~3ヶ月以上返済を滞納しています。
なかにはすでに差し押さえを受けた方もいると思います。
― 借金の整理を申し出てくる方は、1日にどれぐらいいたのですか?
かなり多かったですね。
過払い金請求も合わせると、1日500件~1,000件くらいにのぼるのではないでしょうか。
私が勤めていた2004年~2007年頃は、過払い金請求がちょうど増えだした時期だったので、特に件数が多かったのだと思います。
特に、過払い金請求のCMが盛んに流されていた2007年頃は、過払い金請求が全体の半分を占めていました。
― では、借金の整理をする方のなかで、破産する人の割合はどれくらいですか?
3割ぐらいでしょうか。
破産する方は借入額が大きく、最低100万円は借りています。
借金の整理をするお客さんの内訳は、過払い請求がピーク時で4割、破産が3割、残りが民事再生や任意整理ということになるでしょう。
インタビューを終えて
法律に詳しいわけでもなく、まったくの初心者としてA社に入社したという鈴木さん。
「研修を受け、仕事をするうちにだいたいのことはわかってきた」と話していました。
鈴木さんが勤めていたA社は業界でも大手の消費者金融ですが、借金の整理を申し出る顧客が大阪支社だけで1日に500~1000人とは驚きですね。
特に過払い金請求が大流行していた2007年頃は、佐藤さんも残業が増えて、非常に大変だったそうです。
さて、今回ご紹介したように、弁護士を通して借金の整理を行えば、借金の取り立てはすべてストップします。
借金の返済に苦しんでいる方は、信頼できる弁護士を探して、早めの対策を取ってくださいね。
ただし、借金の整理を行うと、その記録が信用情報や各社の顧客データに残ってしまうことも忘れないでくださいね。
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