NHK受信料の滞納と差押えについて最低限知っておきたいことまとめ

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NHK契約世帯は受信料を滞納すると差し押さえられる

  • 受信料を払わず裁判書から支払督促がきた後の流れ
  • 最悪の場合は差し押さえも!対象となるのは預金と給与
  • 差し押さえを回避する方法
  • 契約しているかどうかでNHK受信料の時効は異なる
  • もっと深く理解したい場合は、下の記事を読んでね!

「NHK受信料の集金担当者がしつこいです・・・。担当者がぐうの音も出ないように断る方法はありますか?」

「NHK受信料を滞納し続けています。今後解約する予定ですが、過去の滞納分は解約後も請求され続けるのでしょうか?」

「NHKの受信料を払わないと、罰則があったり裁判になったりするんですか?正直、NHKなんてまったくみていません・・・」

なにかと世間をにぎわすことの多いNHK。

2017年にも受信契約を結ばない男性に対し、NHKが起こした裁判(最高裁の判断)がニュースになりましたね。

  • なぜ、みてもいないNHK受信料を支払い義務があるのか?
  • どうして強制的に契約をさせられてしまうのか?
  • 受信料なんて無視しておけばいい!
  • 契約しなければなんの問題もない!

この記事をご覧になっているということは、もしかするとNHKに対して、こんな不満をお持ちなのかもしれません。

ただ、その一方で「本当にこのまま受信料を支払わなくて大丈夫かな・・・?」とわずかに不安になっているのかもしれませんね。

たしかに、NHK受信料の支払いは放っておいてもすぐに問題になることはありません。

しかし、長期間、滞納を続けてしまうことで、財産をNHKに差し押さえられる可能性があるって、意外に知られていないんですよね・・・。

こんにちは。
テレビなし生活のスタートから早13年。「NHKの受信料なんて自分にはまったく関係ない!」と思っていたところ、もしかしたら自分もNHKの受信契約をしなければいけないのかもしれず、やや不安になっているささきです。

NHK受信料の滞納を続けると、書面や訪問で督促があります。

もしかしたら、すでに督促状が届いている人もいるかもしれません。

問題はその先。

「このまま督促を無視し続けていて、本当に問題がないのか?」

ではないでしょうか?

そんなときにまず確認してほしいのが、NHKから届いた督促状です。

督促状の差出人が『NHK』であれば、まだ大丈夫。

なんとでも手の打ちようがあります。

一方で、差出人が『裁判所』の場合はすぐに対応してください。

この督促を無視したままでいると、最悪の場合、あなたの財産がNHKに差し押さえられてしまうかもしれません。

今回は、そんな悲劇を防ぐためにも、NHK受信料を滞納し続けるとどうなってしまうのかについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

元弁護士の猿間先生にご協力をいただき、差し押さえを回避するための方法も具体的に教えてもらいましたので、どうぞ最後までお付き合いくださいね。

また、今回の取材では、NHKと契約していない場合の危険性についてもお伝えしていきます。

そもそもNHKと契約をしていないんだから、支払い義務はないはず・・・。

私も今回の取材まではそう思っていました。

ところがどっこい、実はこの「契約していない」という状態がもっとも危ういんです・・・。

場合によっては、数十年単位のNHK受信料を支払わなければいけなくなる可能性があります。

NHKの受信料を支払うかどうかは、みなさんそれぞれに考えがありますよね。

NHK側の主張に納得できないというお気持ちもわかります。

そこは私も同じです。

しかし、いずれにしても「支払わなかったら法的にどうなってしまうのか?」について知っておいて損はないはずです。

今回の記事がきっかけになり、ひとりでも多くの方にNHK受信料に対する正しい知識が広まればと思っています。

それでは本編にまいりましょう。

この記事のアドバイザー情報

  • 内田 恵子 編集者

    内田 恵子編集者

    東京生まれ。アラフィフ。出版社勤務の後独立。編集・ライター歴30年。ファイグーでは「わかりにくいお金の話を、わかりやすくお伝えすること」「少しでも役に立つ情報をお届けすること」をモットーに、より具体的で、身近に感じていただける記事を目指しています。猫派で今は元ノラを多頭飼い中。日々癒してもらってます。

  • ささき 英雄 編集者

    ささき 英雄編集者

    七夕生まれ、編集・ライティング歴10年。前職ではグルメ雑誌の制作に携わっていましたが、30歳の誕生日をきっかけに独立しました。ファイグーでは「自分の仕事は書くことではなく伝えること」という意識で記事に取組んでいます。担当記事は、利息や審査などライバル記事だらけのテーマが多いです。そのため、「他のどの記事よりも正しい」のは当然として、さらに「どうすれば読みやすくなるか」を日々追求しています。

  • 猿間 トシヒロ 勤務社労士・元弁護士

    猿間 トシヒロ勤務社労士・元弁護士

    元弁護士。弁護士として5年間法律事務所に勤務。
    法律用語が素人に難解な文章で書かれていることに常日頃から疑問を感じており、ウェブコンテンツを通じて、法律をわかりやすく説明することを目指しています。
    現在は、東京都社会保険労務士会に所属し都内の企業において勤務社労士として勤務するかたわら、法律系コンテンツの作成を手掛けています。

NHKの受信料を滞納し続けると最終的には財産を差し押さえられる!

くまお

きのうね~、NHKの人が来たよ~。

また来たの?

にゃんきち
くまお

『ジュシンリョウ?』を払ってほしいんだって。

もしかしてくまお、NHKの受信料を払ってないの?

にゃんきち
くまお

受信料ってなんだい?

・・・。

そのまま未払いが続くと最後は差し押さえになっちゃうかもよ・・・。

にゃんきち
くまお

でも、ぼくんち、メープルシロップしかないけどね~。

NHKの受信料を滞納すると書類や訪問による督促がある

NHKの受信料を滞納した場合、まずおこなわれるのは、書面または訪問による督促です。

書面による督促の頻度は一律で決まっているわけではありませんが、少なくとも毎月1回は督促状が届きます。

NHK受信料滞納者の豊洲さん

私は2018年2月まで、NHKの受信料をまったく支払っていませんでした。

毎月一度、「NHKはあなたの受信料で支えられています」といった内容が書かれた督促状が届いていましたね。

NHK受信料滞納者の月島さん

私は2007年~2012年分の受信料を支払っていません。

督促状は半年に一度のペースで現在も届いています。

また、督促状の送付と同時進行でおこなわれるのが、訪問による督促です。

どれくらいのペースで訪問があるかは滞納者によりますが、毎週1回という高頻度で訪問を受ける方もいますね。

NHK受信料滞納者の豊洲さん

訪問も毎月一度のペースでしたね。

「受信料は税金ではないが、税金と同じくらい大切だ!」「無職でも年金受給者でも生活保護受給者でも、受信料は支払わなければいけない!」といったような説明で高圧的な説教をされるイメージしかありません。

NHK受信料滞納者の月島さん

2011年に住まいが変わったのですが、訪問の頻度はそれぞれ違いました。

引越し前は、月2回のペースでしたね。

21時過ぎの訪問が多く、「夜の訪問は怖かった」という印象しか残っていません。

引越し後は、毎週1回、訪問で督促を受けていました。

「インターフォン越しではなく、出てきてください!」と毎回いわれましたね。

NHKの督促って、なんであんなに態度が悪いんでしょうか?

督促を行うNHKの担当者も滞納者が受信料の支払対象者だから督促をしているわけですが、たしかにこういう横柄な態度で督促をされるといい気はしないですよね。

督促を無視し続けると裁判所を通じて督促状が届く

受信料を払わず裁判書から支払督促がきた後の流れ

NHK受信料の督促はこれで終わりじゃありません。

未払いのNHK受信料を支払わずに督促を無視し続けた場合、裁判所を通じて「NHKが受信料を請求している」という内容の書面が届くことがあります。

これは、支払督促という制度によるもので、先ほど紹介した督促とは少し性格が異なります。

たとえば、「受信料を滞納していたら、NHKから内容証明郵便で督促状が届いた」というケースがありますが、この内容証明とは、「いつ・誰が・誰に対して・どんな書面を送ったのか」を郵便局が証明してくれる制度です。

この内容証明は、「NHKが発送した督促状がいつ滞納者のもとに届いたか」の証拠となるだけで、内容証明郵便で届いた督促状に支払いの強制力はありません。

しかし、裁判所から送られてくる支払督促の書面は違います。

支払督促とは、申立人(今回は場合はNHK)が裁判所を通じておこなう、支払請求の手続きです。

この支払督促の書面(督促状)が届いたら、絶対に無視してはいけません!

なぜなら、これを無視してしまうと、あなた自身が「NHKの受信料を支払わなければいけない」と認めたことになるからです。

支払督促の流れ

参考:裁判所「支払督促」
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_02_13/
<2018/12/05アクセス>

支払督促の書面を受け取ってから2週間以上、なにもせず放置した場合、裁判所が仮執行宣言をします(仮執行宣言が出されると、書面が送られてきます)。

平たくいってしまうと、NHKがいつでもあなたの財産を差し押さえられる状態になってしまうんです・・・!

「でも、実際に差し押さえられることなんて、そうそうないでしょ?」

そう高をくくっている人もいるかもしれませんが、NHKによる差し押さえは実際におこなわれています。

強制執行申立て1,246件の内訳
本人支払い 187件
手続中 711件
強制執行で全額支払い 154件
強制執行で一部支払い 194件

これは、NHKが公開している受信料支払いに関するレポートをまとめたものです。

NHKが2006年11月~2018年6月の間に強制執行(差し押さえ)の申立てをした件数は1,246件。

このうち、348件は差し押さえが実行されているんです。

「NHK受信料を滞納し続けると、財産を差し押さえられる」

このことは、きちんと頭に入れておかなければいけません。

NHK受信料滞納で差し押さえられるのは『預金』と『給与』

最悪の場合は差し押さえも!対象となるのは預金と給与

くまお

大変だよ~。

裁判所からなんか来たよ~。

だからいったでしょ。

にゃんきち
くまお

でも、ぼく、銀行預金とかないし、お給料もゼロだよ~。

メープルシロップを持ってかれちゃうのかな~。

それはないと思うよ。

にゃんきち

仮執行宣言後は、もういつ財産を差し押さえられてもおかしくありません。

元弁護士の猿間先生談

これはNHKに限った話ではありませんが、差し押さえをする側が相手に差し押さえ実施日を伝える必要はありません。

「仮執行宣言後、しばらく音沙汰なしで安心していたら、ある日いきなり・・・」ということもありえます。

ここでは、「差し押さえられる可能性があるのはどんな財産なのか」をまとめていきます。

結論からいいますと、NHK受信料の滞納で差し押さえられる可能性が高いのは、預金給与です。

預金を差し押さえられるとその他の料金が引き落としできずに『滞納扱い』へ

NHKが預金の差し押さえを実行すると、銀行に通知書が届きます。

銀行は、その指示にしたがってあなたの口座にある預金を差し押さえるわけです。

たとえば、『公共料金などを口座振替で支払っている人』の口座がNHKに差し押さえられてしまうと、預金はまず『滞納しているNHK受信料』の支払いにあてられます。

それにより、口座残高が減ったり、ゼロになったりすると、残高不足で公共料金などの引落しができず、滞納扱いになってしまうこともあるので注意が必要ですね。

給与の差し押さえは『手取りの4分の1』まで

NHKが給与の差し押さえを実行すると、勤務先に通知書が届きます。

そうすると、滞納しているNHK受信料は、勤務先からNHKに直接支払われます。

給与の場合、差し押さえられるのは最大でも『給与から税金や社会保険料、通勤費を差し引いた残額の4分の1まで』です。

元弁護士の猿間先生談

収入がなくなってしまうと、滞納者が生活できなくなる可能性があります。

そのため、給与全額の差し押さえは認められていません。

「4分の1までならなんとか・・・」なんて思っていたら大間違いです。

給与を差し押さえられてしまうと、NHK受信料滞納の事実が勤務先に知られてしまいます。

もちろん、それによって解雇されることはないわけですが、会社に知られてしまうのは困りものですよね。

元弁護士の猿間先生談

労働契約法で定められているのですが、会社が従業員を解雇するためには、きちんとした理由が必要です。

そして、『給与の差し押さえ』は解雇理由として認められません。

また、勤務先の給与支払い担当者は、複雑な計算をして差し押さえできる金額を算出する必要があります。

さらに、NHKへの支払いの手間もかけてしまうことになります。

いずれにしても、会社に迷惑をかけてしまうことになってしまうのは困りものですよね。

ちなみに、預金や給与がどのように差し押さえられるかは以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひ今回の記事と一緒にご覧になってみてくださいね。

差し押さえを回避するには『支払い』または『異議申立て』が必要

差し押さえを回避する方法

くまお

どうしたらいいの~?

本来は、支払督促が届く前に、NHKに相談しなきゃいけなかったんだよ。

にゃんきち
くまお

いまさら遅いよ~。

ともかく、すぐに裁判所に督促異議申立書を提出しないとね。

にゃんきち
くまお

イギモウシタテショ?

そうだよ。

督促異議申立書を提出すれば裁判で話合うことになるから、和解もできるよ。

にゃんきち
くまお

出さなかったらどうなるの~?

差し押さえだね。

にゃんきち

預金にしても、給与にしても、差し押さえは避けたいところです。

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。

NHK受信料の一括払いが難しい場合は分割払いの相談をする

差し押さえを回避するもっともシンプルな方法は、NHKが裁判所へ支払督促の申立てをする前に受信料を支払うことです。

とはいえ、受信料の滞納者のなかには「お金がなくて払いたくても払えない・・・」という人も少なくありません。

そんなときは、まずNHK(最寄りの営業センター)に連絡しましょう。

そして、NHK受信料滞納分の支払いを分割にできないか相談してみてください。

NHK受信料滞納者の月島さん

私の場合、訪問してきた職員に直接事情を話して、分割払いにしてもらいました。

裁判所から支払督促が届いたら『督促異議申立て』を行う

すでに裁判所からの支払督促が届いている場合は、支払督促の受取りから2週間以内に裁判所へ連絡してください。

具体的には、督促異議申立書という書面を裁判所へ提出します(郵送可)。

名前は難しそうですが、カンタンにいうと『NHK受信料の請求は不服』というあなたの意志を裁判所へ伝えるための書類です。

大抵の場合、督促異議申立書は裁判所から届く支払督促に同封されています。

また、以下のようにカンタンに記入できる形式のものが多いです。

『和解』や『分割払い』など、選択肢の中から希望欄に印をつけるだけ

説明書も同封されていますので、よく読んで慎重に記入しましょう。

なお、督促異議申立て後は、裁判所から第1回の裁判への呼出状が届き、裁判所で滞納分の支払いについて話合うことになります。

ただし、答弁書を提出すれば第1回の裁判は欠席しても問題ありません。

元弁護士の猿間先生談

「答弁書を提出していない」または「第2回の裁判を欠席した」場合は、NHK側の支払い要求を認めたことになりますので注意してください。

いくら話し合っても折り合いがつかなかった場合、裁判所の判断で和解の手続きが打ち切られ、判決に移行します。

この場合、裁判所から仮執行宣言のついた判決がくだされることになるので、すぐに一括払いをしなければなりません。

ちなみに、裁判所での和解後も、NHKとの和解内容を守らなかった場合は即差し押さえになることもあります。

和解で決まったことは必ず守るようにしましょう。

仮執行宣言付支払督促を受取った場合も『督促異議申立て』を行う

ちなみに、裁判所から送られてきた支払督促に対して異議申立てをしなかった場合、裁判所から仮執行宣言付支払督促が送られてきます。

これが、差し押さえを食い止める最後のチャンスです。

実は、仮執行宣言付支払督促が送られてきた段階で、もうNHKはいつでも差し押さえをすることができます。

ただし、仮執行宣言付支払督促の受取りから2週間以内なら異議申立てができますので、NHKが差し押さえを実行する前に督促異議申立書を提出しましょう。

元弁護士の猿間先生談

すでに差し押さえが実行されていたとしても、仮執行宣言付支払督促の受取りから2週間以内であれば異議申立てをしてください。

そうすれば、NHKの差し押さえをひとまず止めることができます。

受信料滞納の問題が裁判に発展してしまうと、話が一気に複雑になりますよね。

また、支払督促後の流れはただでさえわかりにくく、裁判所によって異なることも多いです。

支払督促がきてしまったら、自分だけでどうにかしようとせず、弁護士や司法書士など専門家に相談してみてください。

受信料の支払い義務があるのは『NHK放送を受信できる世帯』

くまお

でもぼくね、NHKは見たことがないんだよ~。

見たことがなくても、受信できるテレビがあったら受信料を払わなきゃダメだよ。

にゃんきち
くまお

そうなんだ~。

受信できるテレビがあったら契約しなきゃいけなくて、契約したら受信料を払わなければならないからね。

にゃんきち

「うちはNHKを見ていないから受信料を支払う必要はない!」と思っている方は多いと思います。

しかし、あなたのご家庭にテレビがあるのなら、たとえNHKを見ていなくても、受信料の支払い義務は発生します。

その根拠となるのが、放送法第64条です。

放送法第64条によると、『NHKの放送を受信できるもの』を『設置した』人は、NHKと受信契約を結ばなければなりません。

元弁護士の猿間先生談

「受信契約を結ぶ=受信料を支払わなければならない」ので、「NHKの放送を受信できる機器を設置する=受信料を支払わなければならない」ということになります。

なお、『NHKの放送を受信できる機器』とは、主に下記のようなものを指します。

  • テレビ(アンテナ受信、ケーブル受信の両方)
  • テレビチューナー内蔵のパソコン
  • テレビチューナー付きカーナビ
  • ワンセグを受信できる携帯電話

そして、「設置した」とは「放送を受信できる状態にした」ということです。

元弁護士の猿間先生談

かいつまんでいえば、放送の受信ができるテレビその他電子機器を持っていれば、それだけでNHKと受信契約を結ばなくてはならない(つまり、受信料を支払わなくてはならない)ということです。

ただし、テレビがあっても『放送を受信できる状態』でなければ、受信契約を結ぶ必要はありません(受信料を支払う必要はありません)。

たとえば、以下のようなケースです。

  • テレビは持っているが故障している
  • テレビは持っているが、アンテナやケーブルがない

受信契約を結ぶ必要がない場合は解約しよう

「NHKを受信できる機械がない」「テレビが壊れている」といったように、法律上、NHKと受信契約を結ぶ必要がないのに契約してしまった場合は、契約の義務がないわけですから解約しましょう。

しかし、NHKに解約の意思を伝えても、以下のように解約を妨害されることがあります。

  • オペレーターが納得する解約理由がないと、解約書類を送ってもらえない
  • 本当に放送を受信できる機器がないかを確認するためにNHKの職員が訪問

NHKとしては、たやすく解約されては困るため、なんだかんだと解約を妨害するケースが少なくありません。

しかし、そのような場合でも毅然と対応しましょう。

NHKの職員が自宅に訪問したとしても、実際に受信設備がないのなら問題はないわけですから。

ちなみに、NHK受信料支払いの条件や解約方法については以下の記事で詳しく解説していますので、もしよろしければどうぞ。

NHK受信料の時効は5年!ただし未契約者は実質無期限

契約しているかどうかでNHK受信料の時効は異なる

くまお

NHK受信料には、時効はないの~?

あるよ。5年だよ。

にゃんきち
くまお

あるんだ~。

でも、契約している世帯だけだよ。

にゃんきち
くまお

え~。

契約するまで消滅時効が進行しないからね。

にゃんきち

「NHKの受信料に時効はないの?」

答えは、YES。

実は、NHK受信料にも時効があります。

ただし、「NHKと契約をしているのに受信料を滞納している場合」と「NHKと契約せずに放置している場合」で時効にも違いが出てきます。

元弁護士の猿間先生に解説してもらいましょう。

NHK契約世帯の受信料滞納分は時効5年

もともとNHKは、「受信料の時効は10年」と主張していました。

しかし、2014年9月5日、最高裁第2小法廷がこのNHK側の主張を棄却し、時効は5年という判決を下します。

元弁護士の猿間先生談

民法のなかで、時効は以下のように2種類にわけられています。

  • 1一般の債権の時効は10年
  • 2定期給付債権(一定の期間ごとに金銭を支払う性質のもの)は5年

NHKの主張は『1』でしたが、裁判所は『2』であるという判決を下したわけですね。

そのため、NHKと契約した状態で受信料を滞納している場合は、最長でも5年間分しか請求されません。

NHKの公式ホームページをみても『時効は5年』と明記されていますね。

NHK『お支払いに関するQ&A』
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/shiharai_qa.html

ただ、注意したいのは「時効の申し出があった場合」の部分です。

実は、時効というのは放っておけば勝手に成立するものではないんですよね。

時効を成立させるためには、「時効が成立しているので払いません」という援用の手続きが必要です。

時効については以下の記事で詳しい解説していますので、こちらもぜひ一緒にご覧になってみてください。

未契約世帯は5年間分以上請求される可能性がある

先ほどの猿間先生の解説のなかに、ひとつ非常に重要なポイントがあります。

それは、NHK受信料の時効が5年となるのは「NHKと契約している世帯」だということです。

つまり、NHKと契約していない世帯の場合、5年超の受信料支払い義務が発生する可能性があります。

この根拠となっているのが、2017年12月6日の最高裁大法廷の判決です。

少し複雑なので、整理しながらまとめていきます。

まず着目してほしいのが、『契約をすると時効が進行する』という点です。

元弁護士の猿間先生談

時効の進行がスタートするのは、NHKとの契約が成立してからです。

つまり、契約世帯であれば時効は常に進行しています。

一方で、未契約世帯の場合は、文字どおり、『契約をしていない』ので、そもそも時効が進行しないわけです。

そして、受信機器を設置しているにも関わらず契約をしていない場合、裁判によって契約締結の命令が下ることがあります。

元弁護士の猿間先生談

放送法64条では『受信機器を設置した時点で契約が成立するのではなく、受信機器を設置した者は契約をしなければならない』と定められていますので、受信者が契約に応じなければ契約は成立しません。

ただし、受信機器を設置していれば、NHKから契約の締結を求める裁判を起こされる可能性があります。

そして、契約の締結を命じる判決が出た場合は強制的に契約を締結しなければいけません。

そうなったときに問題となってくるのが、「支払う必要があるNHKの受信料は何年分で、その時効はいつからカウントされるの?」という点ですよね。

元弁護士の猿間先生談

たとえば、受信機器の設置が1998年、受信契約をしたのが2018年だとします。

この場合、支払う必要がある受信料は20年分です。

ただし、この『20年分』の時効は2018年の契約時点からスタートします。

つまり、1998年に契約している人が2018年まで受信料を滞納した場合は、時効が認められれば過去5年分の支払いで済む一方で、

2018年にはじめて契約した場合は、2018年の時点で20年分の受信料を支払わなければいけません。

ネット上のクチコミによくあるような「契約しなければ払う必要はない!」「もちろんさかのぼって払う必要はもっとない!」というスタンスは、今後通用しないかもしれませんね。

元弁護士の猿間先生談

受信者側にとっては、契約を結ばないで放置することのほうが危険という状況になっています。

契約をしておけば、過去5年分の支払いで済むわけですからね。

まとめ

いかがでしたか?
それでは最後に、NHK受信料滞納に関するポイントをおさらいしましょう。

NHKの督促について

  • NHKの受信料を滞納すると督促状が届く
    • 少なくとも毎月1回
  • NHKの受信料を滞納すると訪問による督促がある
    • 多い場合は毎週1回
  • 督促を無視し続けると裁判所を通じて督促状が届く
    • 支払督促を無視すると財産を差し押さえられることがある
    • NHK受信料滞納で差し押さえられるのは『預金』と『給与』

NHKからの差し押さえを回避する方法

  • 一括払いが難しい場合は分割払いの相談をすべし
  • 裁判所から支払督促が届いたら『督促異議申立て』を行う
    • 支払督促の受取りから2週間以内に督促異議申立書を裁判所へ提出する
    • 裁判で和解した場合は、条件どおりに滞納分の支払いを行う
  • 仮執行宣言付支払督促が届いたら『督促異議申立て』を行う
    • 仮執行宣言付支払督促の受取りから2週間以内に督促異議申立書を裁判所へ提出する
    • すでに差し押さえが実行されていた場合も、仮執行宣言付支払督促の受取りから2週間以内なら異議申立てで差し押さえをひとまず止められる

NHK受信料の時効

  • NHK契約世帯の時効は5年
    • ただし、時効を成立させるには援用が必要
  • NHK未契約世帯は実質無期限
    • 受信機器の設置時点までさかのぼって全額の支払いが必要な可能性が高い

NHKの受信料を滞納し続けると、最終的には財産の差し押さえによって強制的に支払いをしなければならなくなる可能性があります。

また、「契約さえしていなければ受信料を支払う必要はない」というスタンスが正しいかどうかも、ちょっと考えなおすべきタイミングかもしれませんね。

NHKを受信できる状態にも関わらず契約をしていない場合、それが時効の面では大きなリスクになるからです。

この記事は今後も更新をおこない、NHKの受信料滞納に関する最新の情報をみなさんと共有していければと思っています。

NHKの動向に合わせて、ぜひ定期的にチェックしてみてください。

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