「現在40歳の社会人です。これから看護師になりたいのですが、なんとか看護師学校へ合格できたとして、学費を借りることはできるのでしょうか？」

「看護師になりたいのですが、お金がありません。そこで、できるだけ安い費用で通いたいのですが、お金はいくらいりますか？看護師用の奨学金制度はあるのでしょうか？

看護師を目指したい・・・。でも学費が足りない。

そんなときの最後の頼みの綱が奨学金ですよね。

とはいえ、最近は奨学金の返済問題がニュースにもなっています。

「借りるのはいいけれど、返済ができなくなったらどうしよう・・・」

そう心配になるのは当然ですよね。

しかし、看護師学校の場合、実は看護学生向けに返済義務のない奨学金制度がたくさんあります。

これを知らずに一般の奨学金を借りるなんて、まさに宝の持ち腐れです。

看護師を目指していて、これから看護師学校に通うなら、知っておいてゼッタイに損はありません。

というわけで、こんにちは。
なにを買うのにも価格コムで徹底的に比較をして、毎日セコセコとへそくりを貯め続けているファイグー編集部の木村です。

借りたものは返す。
奨学金は、基本的に返済するもので、一部のものすごく勉強ができる人のみ、返済を免除される。

そんなイメージをお持ちじゃないですか？
最近まで私もそう思っていました。

でも、実際にはそうではないんですね。

3年間、看護師学校を通うのに必要な金額は、国公立でおおよそ60万円、私立ではざっと400万円です。

年間100万円近くものお金を支払うのはなかなか難しいですし、奨学金を借りたとしてもこんな大金を何年もかけて返済してくのは至難の業・・・。

現在私は、40代も半ばに差し掛かろうとしていますが、もし私が奨学金を借りていたのなら、つい最近まで返済を続けていたことになります。

ちょっと恐ろしいですね・・・。

ただでさえ子供にお金がかかるのに、そこへきて奨学金の返済が重なる・・・。

本当に大変だと思います・・・。

そこで、紹介したいのは、条件付きで返済が免除される奨学金制度。

先ほどお伝えしたとおり、通常の奨学金は返済しなければなりません。

しかし、看護学生向けの奨学金制度は、一定の条件を満たすことで返済義務がなくなります。

条件付きで返済が免除される奨学金制度は、大きく分けて以下の3つ。

• 病院の奨学金制度
• 自治体の看護師等修学資金支援制度
• 医療機関と連携している大学、短期大学（看護学科）・看護学校の奨学金制度

これらはすべて、指定された病院で一定期間看護師として勤務することを条件に、返済が免除になる制度です。

申込みは看護師養成施設に進学する前、もしくは在学中に行います。

もちろん、注意しなければならないこともありますよ。

たとえば、以下に当てはまってしまうと、原則的には、貸与された全額の一括返済が必要です。

• 看護師にならなかった
• 正看護師の国家資格を取得できなかった
• 指定された病院に勤務しなかった

仮に一括返済になってしまった場合、一部の奨学金は年利3～10%程度の利息がかかります。

10％というと、カードローンやリボ払いに近い金利ですので、非常に暴利といっていいと思います。

また、貸与がスタートする時期は、自治体・病院・学校によって千差万別。

申請月のうちに審査が終わって貸与がはじまるケースもあれば、審査に1～2ヶ月かかったり、申請した時期を問わず貸与の開始時期が決まったりするケースもあります。

時期にも注意が必要です。

とはいえ、普通に看護師学校へ通い、卒業して、指定の病院に就職すればいいので、ハードルが高いわけではありません。

返済義務のある奨学金を借りてしまってからでは遅いので、事前に調べてオトクに奨学金を借りちゃいましょう！

看護師になるのであれば、こうした制度を利用しない手はありません！

それでは、さっそく本編へまいります！

• 目次
• そもそも看護学生向けの奨学金って？
  • 返済免除の条件は『働くこと』
  • 申請可能な時期は奨学金ごとに異なる
  • 審査に通らなければ奨学金はもらえない
  • 貸与期間一括返済もしくは貸与月数の2倍の月数内：無の上限は原則『正規の修学年数』
  • 貸与額の平均は「月3～5万円」
• 自治体の看護師等修学資金支援制度
  • 自治体の修学資金支援制度のポイント
  • 卒業後でも申請可能な奨学金返還支援制度
• 公立病院の奨学金制度
  • 公立病院の奨学金のポイント
• 私立病院の奨学金制度
  • 私立病院の奨学金のポイント
• 学校と病院が連携している奨学金制度
  • 学校と病院が連携している奨学金のポイント
• まとめ

そもそも看護学生向けの奨学金って？

病院や自治体について調べる前に、まずは看護学生の奨学金に関する基本を確認していきましょう。

返済免除の条件は『働くこと』

今回紹介する奨学金はいずれも、次の3つの条件をすべて満たすことで返済が免除になります。

• 1看護師養成施設（大学・専門学校など）を卒業する
• 2正看護師の国家資格を取得する
• 3指定された病院に一定期間勤務する

必要な勤務期間は自治体・病院・学校によって異なりますが、次の3パターンのいずれかになります。

• 貸与期間と同じ期間
  • 例、奨学金を借りた期間が3年の場合 ➡ 勤務期間も3年間
• 貸与額に応じた期間
  • 例、貸与額100万円 ➡ 貸与期間は1年間
• 貸与の期間・金額を問わず指定された期間
  • 例、2年間、3年間、5年間など

多くの奨学金制度が採用している条件は、貸与期間と同じ期間です。

ちなみに、勤務期間の条件を満たせなかった場合でも、部分的に奨学金の返済が免除されることがあります。

たとえば、本来は3年間の勤務が必要なケースで1年間しか勤務していない場合でも、1年分の貸与額の返済が免除になることがあるんですね。

免除の条件を満たせなかったら原則一括返済

一方、以下のように、返済免除の条件を満たせなかった場合は、奨学金を返済しなければいけません。

• 看護師にならなかった
• 正看護師の国家資格を取得できなかった
• 指定された病院に勤務しなかった

原則的には、貸与された全額の一括返済が必要です。

さらに、大半の奨学金が無利息ではあるものの、一部の奨学金は年利3～10%程度の利息がかかりますので注意しましょう。

分割での返済が認められる場合もありますので、どうしても一括返済が難しい場合は相談してみてください。

たとえば、神奈川県の菊名記念病院は年利3%の利息がかかるものの、貸与期間と同じ期間での分割（貸与期間が3年間なら36回払い）に応じています。

申請可能な時期は奨学金ごとに異なる

奨学金の申請ができる時期は自治体・病院・学校ごとに異なりますが、多くが以下の時期に申請することになります。

• 通年
• 看護師養成施設への合格後～入学直後
  • 合格証書または入学証書が必要
• 看護師養成施設へ入学してから一定期間経過後
  • 成績証明書が必要

申請時期が限定されているものは少数で、大半の自治体・病院・学校が通年で奨学金の申請を受付けています。

審査に通らなければ奨学金はもらえない

奨学金の申請後は、次のような内容の審査が行われます。

• 在学している看護師養成施設の成績表の確認
• 在学している看護師養成施設の推薦状の確認
• 試験
  • 小論文など
• 面接
  • 保護者同伴で面接が必要なケースもある

成績表や推薦状の提出は必須といっていいでしょう。

一方、試験や面接を実施するかは自治体・病院・学校によって異なり、提出書類のみで審査を行うこともあります。

もちろん成績がいいに越したことはありませんが、成績が悪いからといって即審査落ちになるわけではありません。

求人の一環として奨学金制度を紹介している病院もありますから、「今後、病院で働いてもらえる人材かどうか」という点も審査では重要視されます。

保証人・連帯保証人は必須

奨学金の申請には、原則的に以下の2名の保証人・連帯保証人が必要です。

• 申請者と同世帯で安定収入のある人1名
• 申請者と別世帯で安定収入のある人1名

保証人・連帯保証人の住民票や収入証明書の提出を求められることもありますので、事前に準備しておきましょう。

貸与期間の上限は原則『正規の修学年数』

貸与がスタートする時期は、自治体・病院・学校によって千差万別です。

申請月のうちに審査が終わって貸与がはじまる自治体・病院もあれば、審査に1～2ヶ月かかったり、申請した時期を問わず貸与の開始時期が決まったりする自治体・病院もあります。

ちなみに、病院の奨学金の中には『2年目から』『最終学年のみ』といった貸与時期が限定されている制度もありますので、とくに1年目からの貸与を希望する場合は条件をよく確認しておきましょう。

一方、大半の奨学金は、貸与期間の上限を看護師養成施設に在学する正規の修学年数（大学4年間、専門学校3年間）としています。

留年・休学は奨学金の貸与停止の対象となりますので、十分に注意してください。

年度の途中で申請した奨学金の貸与期間は？

通年で申請可能な奨学金は、年度の途中から貸与がはじまった場合に貸与期間がどのようにカウントされるのかも確認しておきたいですよね。

上のチャートにあるような奨学金の場合、2月までに申請が済んでいれば問題なく12ヶ月分の貸与を受けられます。

しかし、貸与のスタートが年度の途中からになった場合は、貸与期間が短くなってしまいますよね。

このようなケースで、年度初め（4月）～貸与開始までの期間分をさかのぼって貸与になるかどうかは、自治体・病院・学校ごとに異なります。

年度初め（4月）までさかのぼって貸与になる奨学金がある一方、あくまでも申請時期に応じた期間しか貸与されないものもありますので、頭に入れておきましょう。

貸与額の平均は「月3～5万円」

貸与額は、大学生の場合で月額5万円（または年間60万円）、専門学生の場合は月額3万円が中心です。

ただ、自治体や学校の奨学金よりも、病院の奨学金のほうが貸与額は高い傾向にあります。

今回調査した全128件の奨学金をベースに計算してみました。

病院の貸与額は公立・私立ともに平均で月額5万円を超えている一方、自治体や学校の平均貸与額は月5万円を下回っています。

大きな金額が必要な場合、病院が実施している奨学金を優先的に検討したほうがいいですね。

ちなみに、少数派ではありますが、月々の貸与額とは別で入学金や入学準備金を貸してもらえる奨学金制度もあります。

自治体の看護師等修学資金支援制度

それでは、返済免除の制度がある奨学金を実際に確認していきましょう。

まずは、地方自治体（または社会福祉協議会など）が募集している修学資金支援制度です。

進学・通学先が看護師養成施設であれば、学校の種類を問わず申請できます。

※下の表は右にスクロールすることができます。

自治体の修学資金支援制度のポイント

• 病院や学校の奨学金に比べて貸与額が低い
• ほかの返還免除のある奨学金との併用不可
• 面接試験を設けている場合が多い
  • 保護者または連帯保証人の面接が必要なこともある

卒業後でも申請可能な奨学金返還支援制度

自治体には学生ではなく奨学金を返済中の社会人を対象とした支援制度もあります。

もちろん、すでに看護師として働いている場合も申請可能です。

※下の表は右にスクロールすることができます。

東京・神奈川・千葉・埼玉において、2019年度に奨学金の返還支援を実施しているのは神奈川県海老名市のみですが、今後は募集する自治体の増加が予想されます。

公立病院の奨学金制度

ここでは、次のような公立病院または公立病院を束ねる団体（自治体や独立行政法人など）が募集している奨学金をまとめてみました。

• 国立、都県立、市区町村立の病院
• 独立行政法人、国立研究開発法人の病院
• 指定管理者制度に移行した公立病院

ここで紹介する奨学金も、進学・通学先が看護師養成施設であれば学校の種類は不問です。

※下の表は右にスクロールすることができます。

※ここで紹介している情報は2019年度のものです。募集要項は毎年変わりますので、最新の情報はホームページなどで確認してください。

公立病院の奨学金のポイント

• 自治体や学校の奨学金に比べて貸与額が高い
• 面接試験を設けている場合が多い
  • 保護者同伴の面接が必要なこともある
• 新入生は申請不可の病院がある

私立病院の奨学金制度

次は、私立の病院または私立病院を経営する法人や団体が募集している奨学金を確認しましょう。

ここで紹介している私立病院の奨学金はいずれも、進学先・通学先が看護師養成であれば申請可能です。

※下の表は右にスクロールすることができます。

※ここで紹介している情報は2019年度のものです。募集要項は毎年変わりますので、最新の情報はホームページなどで確認してください。

私立病院の奨学金のポイント

• 自治体や学校の奨学金に比べて貸与額が高い
• 申請前に病院見学や説明会への出席などを求められることが多い
• 未成年者が申請する場合、保護者同伴の面接を必須としているところが多い
• 試験を設けている場合がある
• 在学中に指定施設でのアルバイトが必要なこおtがある
• 貸与開始後も毎年成績表の提出が必要なことが多い
• 新入生は申請不可の病院がある

学校と病院が連携している奨学金制度

次は、看護師養成施設が募集している奨学金です。

ちなみに、看護師養成施設には大きく分けると次の3つの奨学金があります。

• 1給付型奨学金：返済不要
• 2貸与型奨学金：返済が必要
• 3条件つきで返済免除となる貸与型奨学金：条件を満たせば返済は不要

このうち、ここで紹介するのは③の奨学金です。

※下の表は右にスクロールすることができます。

※ここで紹介している情報は2019年度のものです。
募集要項は毎年変わりますので、最新の情報はホームページなどで確認してください。

学校と病院が連携している奨学金のポイント

• 申請可能な時期が制限されていることが多い
  • 主に入学時
• 希望者全員が返済免除の対象となる場合が多い
• 貸与期間を問わず、返済免除のための勤務年数が指定されていることが多い

まとめ

それでは最後に、今回の記事のポイントをおさらいしましょう。

看護学生向けの奨学金に関するポイント

• 貸与型の奨学金でも、条件を満たせば返済が免除される
  • 看護師養成施設（大学、専門学校など）を卒業する
  • 正看護師の国家資格を取得する
  • 指定された病院に一定期間勤務する
• 申請可能な時期は自治体・病院・学校ごとに異なる
  • 通年
  • 看護師養成施設への合格後～入学直後
  • 看護師養成施設への入学後、一定期間が経ってから
• 審査がある
  • 在学している看護師養成施設の成績表の確認
  • 在学している看護師養成施設の推薦状の確認
  • 試験
    • 小論文など
  • 面接
    • 保護者同伴で面接が必要なケースもある
• 保証人・連帯保証人が必要
  • 申請者と同世帯で安定収入のある人1名
  • 申請者と別世帯で安定収入のある人1名
• 貸与期間の上限は原則「正規の修学年数」
  • 大学：4年間
  • 専門学校：3年間
  • 留年・休学は奨学金の貸与停止の対象となる
• 貸与額の平均は月3～5万円
  • 大学生：月5万円（または年間60万円）
  • 専門学生：月3万円
  • 自治体や学校の奨学金よりも、病院の奨学金のほうが貸与額は高い

東京・神奈川・千葉・埼玉の看護学生向け奨学金のうち、返済免除の条件があるものは網羅するつもりで調査を行いました。

ただし、募集を公に行っていないために今回のリストからは漏れてしまったものの、実は奨学金制度がある病院は他にもあります。

希望の病院があるなら、「奨学金制度がないかを直接問合せてみる」というアプローチもありです。

また、現時点で募集を行っていない自治体や病院が、次年度には奨学金の募集を開始するケースも十分に考えられます。

よりよい条件で奨学金制度を利用できるように、積極的に情報収集をしていきましょう！