更新日:2018/07/20
悪徳金融に注意せよ!口座担保型業者の危険性とその対処法
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こうした看板やステッカーを街で見かけたことはありませんか?
消費者金融や銀行からはもう借りれない・・・
そんな時、こんな広告を見かけたら心が揺れてしまいますよね?
でも、このような宣伝をしているのは、いわゆる違法な貸金業者(悪徳金融業者)です。
絶対に利用してはいけません。
今回は、悪徳金融業者の特徴や手口、恐ろしさを元刑事の栗橋さん(仮名)にお話していただきました。
栗橋さんはこれまでに多数の悪徳金融事件を解決に導いています。
また、最新情報として、急激に被害者が増えている口座担保型業者の手口と危険性についても解説しました。
騙されないためにも必ず読んでおいてくださいね。
この記事の編集者情報
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木村 澪子私が編集者です!
テレビ・雑誌等の取材歴15年。ファイグーではお金の話をわかりやすく、よりリアルにお伝えするために、背景や当事者の気持ちに寄り添う取材を心がけています。銀行マン、証券マン、利用者などからぶっちゃけたお話を聞くにつけ、「消費者も賢くならなければ…」と痛感する日々です。家族は夫・娘・ザリガニ2匹。
絶対に利用してはいけない悪徳金融業者とは?
今から紹介する3つのポイントのいずれかにあてはまる業者は違法業者です(違法金融業者の特徴についてさらに詳しい解説はこちらを参考にしてみてください)。
絶対に利用してはいけません。
1.無届けで営業している
貸金業者として営業するには、国や都道府県で貸金業の登録を行わなければなりません(貸金業法でそう定められています)。
したがって、国や都道府県に登録せずに貸金業を営んでいる業者は違法業者です。
登録されている業者か調べるには?
正規に登録された業者かどうか調べるには、下記のホームページを使ってください。
金融庁「登録貸金業者情報検索入力ページ」
http://clearing.fsa.go.jp/kashikin/index.php
こちらで「商号・名称」のところに社名を入れて検索してください(※1)。
ヒットしなければ、無登録業者(違法業者)です。
ただし、注意してほしいのは、「登録されている業者=安全な業者」ではないということ。
正規の登録業者のなかにも、下記の2と3にあてはまるような違法業者が存在するので、注意が必要です。
※1
社名は正確に入力してください。たとえばプロミスの場合、社名は「SMBCコンシューマーファイナンス株式会社」です。「プロミス」と検索してもヒットしないので注意してください。
2.違法金利を設定している
お金を貸出す際の金利は、出資法により「年率20%まで」と決められています。
つまり、年率20%超で貸出しを行っている業者は違法業者です。
金利(年率)の計算方法
法外な金利をむしり取る業者は、親切に「金利OO%です」などと説明しません。
「1万円貸すから、10日後に1万3,000円にして返してください」と、返済時期と返済金額について説明するだけです。
これを金利(年率)に換算する方法を説明しましょう。
「金利(年率)=利息÷元金×365÷借入日数×100」です。
さきほどの例の場合、1万円を借りて、10日間で発生する利息は3,000円なので、
3,000÷10,000×365÷10×100=1,095%
なんと、1,095%もの暴利ということになりますね。
3.違法な取り立てを行う
現在は取り立て方法が厳しく取り締まりされています。
いくつか禁止されている取り立ての例を挙げてみましょう。
- 午後9時~午前8時以外の時間帯に、電話や訪問等で取り立てを行う
- 借金に関する事実を、借主以外の人(家族、勤務先、ご近所など)に明かしてしまう
- 借主に、「他の人から借りてきてうちの借金を返済しろ」と要求する
- 借主以外の人(家族など)に、「借主に代わって返済しろ」と要求する
こういった取り立ては違法です(違法な取り立ての具体的な内容にはこちらでご確認ください)。
また、借主を脅したり、借主に暴力をふるったり、借主の家やモノを壊したりするのも、当然違法です。
悪徳金融業者の種類を教えて!
ここから悪徳金融業者(違法業者)の種類を挙げていきます。
いずれも共通しているのは、違法な高金利を設定しているという点です。
急増中?ソフトな悪徳金融業者
コワモテが暴言を吐くような取り立てはもう時代遅れ。
最近は優しい・ソフトな悪徳金融業者が主流です。
勧誘方法
ホームページ、インターネット広告、メール、ダイレクトメール、電話、貼り紙などで勧誘を行います。
堂々と違法金利を表示したホームページを公開している業者も多いので、驚きですね。
借入方法・返済方法
多くの業者は無店舗でこっそり営業しているため、ほとんどの連絡が電話、ないしはメールです。
担当者と会うことはほぼありません。
また、お金のやり取りは主に振込みで行います。
返済日は、毎日、1週間後、10日後など業者によってさまざまです。
金利・貸付金額
年率1,000%を超えるような暴利の業者も珍しくありません(当然違法です)。
また、貸付金額は少額で、1万~10万円がほとんどです。
ここが危険!
法外な暴利を設定していますが、対応が丁寧なので違法業者だと気づかない方もいるようです。
年率1,000%超えの暴利
年率1,000%を超えるような暴利を設定していますが、わざわざ業者から「金利1,000%です」といった説明があるわけではありません。
たとえば、「5万円貸すので、1週間後に利息1万円を支払ってください。手数料として3,000円もお願いします」というような説明があるだけです。
これは年率に換算すると約1,322%ですが(手数料も利息として換算しています)、多くの方がよく理解せずに借りてしまっています。
悪徳業者らしからぬ丁寧な対応
業者の言葉づかいや対応が丁寧なので、違法業者だと気づかずに利用する方も多いですね。
ソフトな悪徳金融業者は顧客対応を徹底しているのが特徴です。
たとえ利用者の返済が遅れても、「大丈夫ですよ~」と優しく対応します。
暴力や暴言なんてもってのほかです。
とことん親身に寄り添います。
「なんでも相談にも乗ってくれる」「いつも心配してくれる」「優しい言葉をかけてくれる」などの理由から、すっかり信用してしまう人が多いですね。
ソフトな悪徳金融業者にひっかからないためには?
下記のいずれかにあてはまる場合は、悪徳業者の可能性が高いです。
- 連絡先が携帯電話(いわゆる090金融)
- 無届けで営業している(登録されていない)
- 返済日が翌日、1週間後、10日後などに設定されている(月1回の返済ではない)
- メール、ダイレクトメール、電話、貼り紙、チラシで勧誘された
- 金利についての説明がない
- 金利が年率換算で20%超
このような業者は絶対に利用しないようにしましょう。
基本的に、CMを流しているような大手消費者金融や、金融機関(銀行、信金、信組など)の運営するカードローンを利用すれば安全です。
借り手が詐欺罪に問われることも!?口座担保型業者
口座担保型とは、「担保として口座を預けてくれれば融資可能」などと言って利用者から通帳やキャッシュカードを奪う手口です。
最近特に流行しているやり方ですね。
勧誘方法
ホームページ、インターネット広告、メールなどで勧誘を行います。
しかし、いずれも「即日融資可能」「来店不要ですぐ融資」などの宣伝文句が掲げられているだけで、口座を担保にすることは一切書かれていません。
借入方法・返済方法
業者とのやり取りはメールか電話のみで、実際に業者の人間と会うことはほぼありません。
融資を申込むと、担保として口座を預けるよう指示されますので、通帳とキャッシュカードを業者へ送ります。
その後に融資の実行です。
借入れや返済はすべて銀行振込で行います。
金利・貸付金額
借入れ可能なのは、数万円~20万円の少額です。
金利の相場は明らかではありませんが、年率100%超えなど法外な金利であることは間違いありません。
ここが危険!
法外な利息を取られるだけではなく、他にもさまざまな危険があります。
詐欺罪に問われる可能性も
そもそも通帳やキャッシュカードを第三者に預けたり譲り渡すことは、金融機関の規則に違反しています。
また、担保として差し出すために新たに口座を開設した場合は、詐欺罪に問われる可能性があります(※2)。
一方、すでに持っていた口座を差し出した場合は、詐欺罪ではなく犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称:犯収法)の違反となります。
さらに、預けた口座が振込め詐欺などの犯罪に利用された場合、詐欺の手助けをした共犯として逮捕される可能性もあります(実際、逮捕された事例が数多くありました)。
詐欺罪の罰則は、10年以下の懲役(※3)。
犯収法違反の罰則は、1年以下の懲役か、100万円以下の罰金です(※3)。
いずれも決して軽い罪ではありません。
※2
この場合、金融機関の職員を騙し、通帳やキャッシュカードを騙し取ったということになるので、刑法の解釈では詐欺が成立します。
※3
必ずしも実刑となるわけではありません。「故意に詐欺を手助けしたわけではない」というケースでは、ほとんどの人が執行猶予付き判決か、起訴猶予となります。
口座凍結の恐れ
短期間で不特定多数の人から振込みがあるなど、不審なお金の動きをしている口座は、金融機関から厳しくチェックされます。
そして、「犯罪に利用されている」「不正利用されている」とみなされた場合、あなたの承諾なしで口座を凍結されてしまうことがあるのです。
凍結中の口座は、引出しや振込みが一切できなくなります。
もちろん、金融機関が問題なしと判断すれば凍結は解除されます。
しかし、業者に預けた口座を凍結された場合は、解除されないでしょう(通帳やキャッシュカードが違法業者の手にあるため)。
さらに、他行にあなた名義の口座(業者に預けた口座とは別口座)がある場合、そちらも凍結されてしまうことがあります。
全国の金融機関で、「あなたが違法業者に口座を提供したこと」が共有されてしまうからです
最悪の場合、あなた名義になっているすべての口座(金融機関問わず)が凍結される可能性もあります。
新たな口座開設ができなくなる
あなたが違法業者に口座提供した情報が全国の金融機関で共有されると、それ以降はどこの金融機関でも口座開設できません。
どこに申込みをしても断られてしまうでしょう。
口座担保型の業者にひっかからないために
とにかく、口座に関する要求をされたら、その業者は絶対に利用しないでください。
例)
- 口座を担保に融資します
- 口座を貸してくれたら(レンタルしてくれたら)融資します
- 新たに口座を開設してくれたら融資します
口座担保型の業者を利用したら、損するだけでは済みません。
最悪の場合、あなたが罪に問われてしまいますので、絶対に利用してはいけませんよ。
グレーゾーンの自動車担保ローン
次は、自動車を担保にお金を借りる自動車担保ローン(※4)のしくみやリスクについて解説します。
※4
「車リース金融」「車融資」「車金融」「自動車担保融資」と呼ばれることもありますね。
勧誘方法
多くの場合、看板や張り紙の公告で勧誘しています。
借入方法・返済方法
まずは担保となる自動車を持ち込む必要があります(※5)。
そして、車の査定が終わると、その場で現金を受け取れます。
返済時期や回数などは、担当者との相談で決めていきます。
返済方法は、店舗か銀行振込みのいずれかです。
※5
「車の持ち込み不要」と宣伝している業者は、自動車担保ローンではなく、ただの悪徳業者です。絶対に利用してはいけません。
貸付金額
車の査定額の範囲内で貸付けを受けることができます。
しかし、自動車担保ローン業者の査定額は、中古車市場の相場の半額程度。
たとえば、中古車市場で100万円と査定される車の場合、自動車担保ローン業者では50万円と査定されてしまいます。
金利(手数料)
自動車担保ローンは、大きく2つのタイプに分かれます。
- 金利は合法、手数料は法外
金利は合法(年率20%以内)なものの、高額な手数料を取るパターンです。 - リース料金の名目で法外な手数料を要求
リース料として高額な手数料を取るパターンもあります(※6)。
手数料は、安くて数千円、高いと10万円にもなります。
いずれも、「高額な手数料を取る」だけでは犯罪にならないので、このような手口が横行しているのです。
※6
担保として預けた車を一旦業者のものとします(車検証の名義を変更)。その後、「業者が利用者に車をリースする」という形で、利用者にリース料(手数料)を請求するのです。この場合、利用者から業者への支払いは、「借金の返済」ではなく「リース料の支払い」となるため、出資法や貸金業法の適用外になります。
ここが危険!
高額な手数料もグレーゾーンですが、さらに自動車を売られてしまう危険があります。
自動車が返ってこない!?
返済が滞ると、車を売りとばされる可能性があります。
自動車担保ローンには、下記の2パターンがありますが、いずれも車を売却されるおそれがあります。
- 車検証の名義を「利用者名」から「業者名」に変更済のパターン(利用者は以前と変わらず車を利用できる)
- 車を業者に預けるパターン(車検証の名義は利用者のまま)
前者の場合、車の所有権が業者に移っているので、業者の判断次第で中古車ディーラーなどに売却されてしまいます。
また、後者の場合も無断で名義変更されて売られてしまうおそれがあります。
車が犯罪に利用されることも
担保として預けた車が犯罪に利用された事例があります。
車の名義は利用者のままですから、警察から聴取を受ける可能性がありますね。
悪質な自動車担保ローンにひっかからないためには?
下記のような自動車担保ローンを利用するのはやめましょう。
- 無届けで営業している(登録されていない)
- 手数料が高額
- 融資ではなくリースという名目でリース料を請求される
というより、基本的に自動車担保ローンを利用すべきではありません。
一部、まじめな業者もあるようですが...。
なお、悪質な自動車担保ローンの被害に遭った方の体験談や、自動車担保ローン業者の元従業員が語る実態などの特集も組んでいますので、あわせて読んでみてください。
悪徳金融業者を利用してしまったときの対処法
万が一、悪徳金融業者を利用してしまった場合はどう対処すればいいのでしょうか?
違法金利は返済不要
違法な金利でお金を借りた場合、利息はもちろん、元金さえ返済する必要がありません。
これを法律用語で不法原因給付と呼びます。
不法原因給付とは、「不法な契約や支払約束は無効になる」という民法上の考え方です。
すでに悪徳金融業者に渡したお金はかえってこない
悪徳金融業者から借りたお金は返さないでOKですが、すでに悪徳金融業者に渡してしまったお金を取り戻すのはほぼ不可能です。
残念ですが、すでに渡してしまったお金は高確率で返ってこないと思っておきましょう。
執拗な取り立てを受けたら警察・弁護士に相談を
返済せずに無視を続けたら、業者から執拗な取り立てを受ける可能性がありますよね。
そのときは遠慮なく、警察、弁護士、消費生活センターなどの専門機関に相談しましょう。
警察に相談した場合、捜査のなかで「出資法に違反している」もしくは「違法な取り立てを行っている」などの証拠が出てくれば、警察から業者に警告を行うことができます。
また、弁護士に相談した場合は数万円程度の費用がかかりますが、警察より早い対応が期待できます。
証拠があれば、すぐ電話や文書で警告してくれるのです。
警察や弁護士が介入した時点で手を引く違法業者が圧倒的に多いので、ぜひ相談するようにしましょう。
なお、警察へ相談に行く際の注意点はこちらで解説しています。
業者に口座を渡してしまったときの対処法
誰かに通帳やキャッシュカードを渡してしまった場合は、1秒でも早く金融機関へ連絡して、口座の「紛失・停止の手続き」をしてください(※7)。
その際、口座に身に覚えのない振込みがされていたら、金融機関の職員に「身に覚えがないので、振込人に戻してください」と伝えて返金してもらったほうがいいでしょう。
このような手続きをしておけば、以降 口座が悪用されることはありません。
ただ、後から金融機関や警察に呼び出される可能性はありますので、その場合は正直に事情を話しましょう。
※7
すでにあなたの預けた口座が犯罪に利用された後だったとしても、その後のさらなる被害を食い止めるために口座を停止しておくべきです。自主的に口座を停止しておけば、警察も良い方向に評価します。
自動車担保ローンには打つ手なし!?
「自動車担保ローンが高額な手数料・リース料を設定している」というだけでは犯罪が成立しません。
基本的に、警察は動けないのです。
もし、法外な手数料を要求されて困っているなら、「担保にした自動車を業者にとられてもいい」くらいの覚悟で、弁護士に相談してみるしかありません。
自動車担保ローンは利用しないに限りますね。
まとめ
今回の記事のポイントを解説しましょう。
違法業者の条件
- 無届けで営業している
- 年率換算で20%超の金利を設定している
- 金利(年率)=利息÷借入額(元金)×365÷借入日数×100
- 違法な取り立てを行っている
こんな業者には関わるな!
下記のいずれかにあてはまる業者に関わってはいけません。
- 連絡先が携帯電話(いわゆる090金融)
- 無届けで営業している
- 返済日が翌日、1週間後、10日後などに設定されている(月1回の返済ではない)
- メール、ダイレクトメール、電話、貼り紙、チラシで勧誘された
- 金利についての説明がない
- 金利が年率換算で20%超
- 口座を担保に融資している
- 車を担保に融資している
迷ったときは、大手の消費者金融や金融機関(銀行、信金、信組など)の運営するカードローンを利用しておけば大丈夫です。
また、今回の記事とあわせて悪徳業者にだまされやすい人の特徴も知っておくと良いと思います。
そして、今回は詳しく紹介できませんでしたが、他にも融資にかこつけた詐欺業者がたくさんあるので注意しましょう。
たとえば、下記のような要求する業者はすべて詐欺です。
- 「保証金」「信用料」などの名目でお金を要求する
- 大手消費者金融など、全く別の業者で契約することを要求する
- 「あなたに融資する業者を紹介する」などと言って紹介料を要求する
正規の業者がこのような要求をすることは絶対にありません。
まず詐欺を疑ってください。
なお、悪徳業者や詐欺業者の手口については、日本貸金業協会のホームページでも詳しく紹介されているので、参考になると思います。
日本貸金業協会「悪質業者の手口(3)(詐欺・高金利等)」
http://www.j-fsa.or.jp/personal/damage/modus_operandi3.php
最後に融資関係の詐欺に遭った方の体験談を紹介しておきますね。
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はーい。じゃあこれ「くまくま銀行」の通帳とキャッシュカード。
シメシメ...。でも「くまくま銀行」って聞いたことねーな。
わしが作った銀行じゃけえのぉ
!?
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