詐欺会社の儲け話に騙され、190万の借金を負った体験談

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今から10年以上前の話です。
当時の私は某芸能事務所の養成所を卒業後、売れない芸人をしておりました。

芸人としての仕事は皆無に近い状態なので、アルバイトにいそしむ日々。

そんな私に、ある日おいしいもうけ話が舞い込んできたのです。

「働かなくても定期的な収入が手に入る?!」

私は迷わずその話に飛びつきました。

その先に悲惨な結末が待ち受けているとも知らずに...。

体験者の情報

名前:二村 洋一(仮名)
性別:男性
当時の年齢:22歳
当時の職業:アルバイト
お金に困った理由:詐欺にあい、借金を背負わされた
借金の合計額:270万円

おいしい話にはウラがある!詐欺会社の儲け話にだまされ...

当時の私の職業は、「芸人」でした。
でも、全く売れず芸人としての仕事はほとんどナシ。

アルバイトに明け暮れるむなしい日々が続いていたのです。

そして、だんだんと「なんでもいいから一発当てて苦しい生活から抜け出したい」と思うようになっていました。

そんなある日、知人と食事をしていたときのことです。

知人が「良いもうけ話があるけど、乗らないか?」ともちかけてきたのです。

私は「なになに?どんな話ですか?」とすぐ食いつきました。

知人は続けます。

「マイカー流通センター東海(以下、「M社」とします)って会社があるんだけど、その会社が税金対策のために無関係の人間の協力を求めていてね。その見返りに報酬が出るっていうワケ。協力っていっても大したことするわけじゃないよ。いうなら名義貸しってかんじかな...」

知人の説明によると、その"協力"と"報酬"の概要は下記のようなものでした。

  • 1消費者金融に足を運び、自分の名義でローンを組む
  • 2借りたお金と契約書をM社に預ける。その場で預けた金額の1割を報酬として受け取れる
  • 3その後3か月おきに、同じく預けた金額の1割がもらえる

毎月の返済はM社が負担してくれるとのこと。

「うまくいけば3か月ごとに20万円はもらえる」と言われ、すっかりその気になってしまった私は、その場でOKを出しました。

早速、消費者金融に出向いてローンを組むことに。
当時大手と言われていたところにはだいたい手をつけました。

結果、5社のうち3社からそれぞれ50万円ずつ、1社から30万円、残り1社から10万円の融資を受けることができたのです。

さっそく、借りたお金(合計190万円)をM社の担当者に渡すと、その場で1割(19万円)をもらいました。

また、その後1年間で、計76万円をM社からもらうこととなりました。

※ M社に190万円を貸付け、3ヶ月ごとに19万円を利息として受け取っているのだとしたら、年利換算で40%となります。現在、定期預金の金利は0.1%未満がほとんど。株式の配当利回りは高くても5%~6%程度です。40%の利息を確保できるなんてありえません。こんなに高利回りのおいしい話を聞いたら、まず詐欺を疑ってください。(編集より)

借金はどうなるの?詐欺会社社長の逮捕

働かなくても3ヶ月ごとに19万円もらえる...!
味をしめた私は、アルバイトにもすっかり顔を出さなくなりました。
完全にM社からの報酬をアテするようになっていたのです。

ところが、そんな日々は長くは続きませんでした。

ある日突然、M社の社長が詐欺容疑で逮捕されたのです。

そして、私を含めた被害者一同はある会場に呼び出され、そこで説明を受けることになりました。いわゆる被害者説明会です。

弁護士の話では、「借金が被害者の名義でなされている以上、返済の義務は被害者にある。加害者の指図で借金したことを立証できる書面があればいいが、それがないと難しい」とのこと。

書面...そんなものは当然ありません。
私含め、被害者は全員、口約束でM社と取引していたのです。

※ このようなケースでは書面があれば問題ないということでもないので注意が必要です。なかには、適当な書面を作成して安心させる手口もあります。また、法的に効力のある書面を作成していたとしても、あとあと詐欺会社にお金が残っていなければ、結局だましとられたお金を取り戻すことはできません。書面の有無はあまり重要ではないと考えたほうがいいでしょう。(編集より)

生活は一変!一気に190万円の借金を抱えることに

というわけで、190万円の借金はすべて自分で返済することになりました。

当時の消費者金融の金利は、29.2%もの高金利。
毎月8万円~9万円近くを借金の返済にあてなければならない状況です。

M社からの報酬はすべて遊興費に消えていたので、貯金はゼロ。アルバイトもしていなかった私は、大あわてで高収入の仕事を探し、面接を受けまくるようになりました。

しかし、結果は惨敗...。

結局 面接のため大幅に時間をとられてしまい、短期の日払いバイトでしか収入を得られませんでした。

それだけでは、必要な返済額に到底届きません。

どうしようもなくなった私は、各消費者金融で限度額を増やしてもらい、その分を返済にまわすようになりました。

しばらくはそれでなんとかなっていましたが、そのうちどの消費者金融も限度額を増やせなくなり、もうこれ以上借入れできない状態になったのです。

このとき、借金の総額は270万円までふくらんでいました。

それ以上どうしようもなく、とうとう私は返済を滞納するようになりました。

滞納すると、督促の電話がジャンジャンかかってきますし、電話に出ると ものすごいプレッシャーをかけられます。

朝9時過ぎに起床して携帯電話の電源を入れると、1社から10件以上の着信履歴と留守番電話が入っていたこともありました。

おかげで、精神的にひどくまいってしまいました。

破産で一件落着

結局、私は破産を選びました。

当時は収入のすべてを返済にあてても利息分しか支払えない状況だったので、今でもやむをえなかったと思っています。

破産を申立て、免責が下りたときは「もう返さなくていいんだ」と思い、とてつもなく気分が楽になりました。

最終的に破産を選択するならもっとはやい段階でそうすべきだったと思っています。もう自力での完済が難しいとわかっていたのに自転車操業を続けたせいで、余計借金を増やすことになってしまいました。

また、あのときの私があやしい儲け話に乗らなければ、そもそも借金を負うこともなかったのです。悪いのは確かに詐欺会社ですが、安易に話に乗ってしまった私も軽率でした。

世の中そんなうまい話があるわけもありません。
今後は肝に銘じたいと思います。

名義貸し詐欺ってどんな詐欺?(編集より)

今回の体験者である二村さんは、詐欺に遭い多額の借金を背負うことになってしまいました。

二村さんのケースのように、「あなたの名義で契約してください」と持ちかけてくる詐欺は「名義貸し詐欺」と呼ばれます。

代表的な名義貸し詐欺として、「キャッシング」「クレジットカード」「携帯電話」をそれぞれ契約させるものがあります。

ここでは、この3つの詐欺の手口を、それぞれ会話文(例)にして紹介していきます。

キャッシング編

詐欺師:「ただいま、金融機関の実態調査をしておりまして。可能なら、少しあなたにご協力いただきたいのですが、いかがでしょうか。もちろん報酬はお支払いします」

被害者:「協力って、何をすればいいのですか?」

詐欺師:「消費者金融にあなた名義で申込み、そのまま契約してもらいたいのです。契約後、キャッシング用カードを使って限度額いっぱいまでお金を借りてください。そのお金をこちらに預けてくれれば、その金額の1割を報酬としてお支払いします」

被害者:「返済はどうなるのですか?」

詐欺師:「もちろん、その後の返済はすべてこちらでおこないます」

このように言葉巧みに誘導し、被害者に本人名義でローンを契約させます。

そして、お金を受け取ったあとはドロンです。

被害者は、最初に数万円などわずかな報酬を得ることができますが、それをはるかに超える多額の借金を背負うことになります。詐欺師側が返済してくれるわけもありません。

今回の二村さんが被害に遭った詐欺もこのタイプです。
最近は、報酬を定期的に支払い 相手を信用させるなど、手口が巧妙になっているのですね。

クレジットカード編

詐欺師:「クレジットカードの利用可能額の調査をしています。ご協力いただけませんか?もちろん報酬はお支払いします」

被害者:「わかりました。やります!」

詐欺師:「では、あなたの名義でクレジットカードを作っていただき、こちらの指定する商品を購入してください。報酬として、◯万円をお支払いします。」

被害者:「わかりました。」

詐欺師:「商品代金は、期限が来たらこちらで全額お支払いいたしますので、安心してください」

おおまかな流れはさきほどのキャッシング編と同じですね。

こちらも、被害者は数万円の報酬とひきかえに数十万の支払義務を負うことになります。

また、詐欺師に購入させられる商品は、実際はほとんど価値がない場合が多いので、それを支払いの足しにすることもできません。

携帯電話詐欺

詐欺師:「携帯電話端末の部品を転売したいので、端末を譲ってくれる方を探しています。あなたの名前で携帯電話を契約し、その端末をこちらに譲っていただけませんか?もちろん謝礼はお支払いします。」

被害者:「携帯電話の端末代、利用料金はどうなるのですか?」

詐欺師:「端末は初期費用ゼロ円で買えるもの選んでください(つまり、月々の利用料金と合わせて割賦で支払っていくもの)。また、月々の利用料金はこちらでお支払いしますし、解約手続きもこちらでおこないます」

お察しのとおり、詐欺師は端末代金も月々の利用料金も支払うことはありません。端末を受け取ったら、どこかに消えてしまいます。

この場合 キャッシング、クレジットカードの詐欺より被害が少額で、端末代、事務手数料、利用料金、解約手数料などの計、数万円~10万円の被害総額になりますが、味をしめて何件も契約してしまった場合は、被害額が大きくなります。

さらに、詐欺師に渡してしまった端末は「飛ばし携帯」と呼ばれ、どこかに転売されます。最悪の場合犯罪に使われることもあるのです。

自分名義で契約すれば支払義務はすべて自分に生じる

どんな場合でも、自分名義で契約すれば、その後の支払義務はすべて自分に生じると心得ましょう。

たとえ他人が「私がかわりに支払うから」ともちかけてきても、それを信用してはいけません。契約上は、まぎれもなくあなたに支払義務が生じるからです。

そもそも、他人の名義を使って何かしようなんて、詐欺目的以外何者でもありません。「名義を貸して」と言われたら「あっ、この人、自分で支払うつもりないんだな。騙されちゃいけないな」と思うようにしましょう。

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