更新日:2018/07/20
高収入の在宅ワークに潜む詐欺の罠。主婦が500万円も騙し取られる手口
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評価を設定してください ×今回は、在宅ワーク詐欺で500万円もの大金を失った川崎留美子さん(仮名)のお話を紹介していきます。
どこにでもいる普通の主婦の川崎さんが、なぜ500万円もの大金をだましとられてしまったのでしょうか?
そこにはやはり、悪徳業者の巧妙な手口が隠されていました。
また、記事の後半では、川崎さんの被害について弁護士と元刑事に話を聞いています。
あざとい在宅ワーク詐欺にどう対処すればいいのかをまとめましたので、パソコンでできる副業の仕事を考えている人に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
「自分だけは大丈夫!」と思わずに、悪徳業者の手口や対処法を学んでおきましょう。
1日30分で高収入!スキル不要!
私は、会社員の夫、子ども、姑と地方の小さな町に暮らしています。
夫婦ともに40代の働き盛りです。
私も、子育てや家事の合間をぬって、パートとして働いていました。
町の観光案内所で週3日働き、パート代は多いときで月7万円ほど。
毎日の生活に困ることはありませんが、これから子どもの受験や進学を控えており、少しでも蓄えを増やしたいと思っていました。
しかし、私の町は過疎化が進んでいるため求人は限られていましたし、高齢の姑と同居しているため、長時間外出することもできません。
そのため、自宅でできる仕事を探すことにしたのです。
超魅力的な求人を発見
2015年6月のある日、インターネット上の求人サイトで在宅ワークの情報を探していると、こんなキャッチコピーが目に止まりました。
- 1日30分で高収入!
- いつでもどこでも空いた時間に稼ごう!
- 時給1,000円~
- 子育て中の方、年配の方でもOK!
- スキルは不要
- 初期費用0円
東京のクラウドネット(※1)という会社の求人情報でした。
詳しい仕事の内容は一切書かれていませんが、キャッチコピーに興味をひかれた私は、クラウドネットのフリーダイヤルに電話をかけました。
※1
クラウドネットは、クラウドシステムの旧商号です。2016年4月、消費者庁は「クラウドシステム(旧 クラウドネット)」の手口や被害を公開し、注意を呼びかけました。
ほめ言葉に乗せられて50万円を支払ってしまう
電話には、山口と名乗る若い男性が出ました。
私が仕事内容についてたずねると、「詳しい説明はあとでするから、まずはテストを受けてほしい」とのこと。
テストの中身はというと、「在宅ワークについての文章を書いてほしい。文字数などの指定は特にない。あなたの感性で書いてほしい」とだけ言われました。
テストでも1記事1,000円の報酬が支払われるとのことなので、試しにやってみることに。
私は3日間、1日1記事(300字程度)を書いて、クラウドネット宛てにメールで送りました。
内容は、「在宅ワークなら、姑と同居していて外出がままならなくても働けるし、収入を得ることができる」というような、あたりさわりないものだったと思います。
山口は、私が送った文章をクラウドネットのサイトに掲載し、「どのくらいアクセスがあるか(どのくらいの人に見てもらえるか)」をチェックしたいと言っていました。
「返金保証がある」と聞いて安心
3日間のテストが終了すると、山口から連絡が入りました。
「すごいですよ!こんなにアクセスがあったのは初めてです!」
たたみかけるように褒められたので驚きましたが、思わずうれしくなったのを覚えています。
山口は話を続けました。
「当社の仕事なら、パートより多くの収入が期待できると思います。川崎さんなら間違いありません。ぜひ一緒にやりましょう!」
私は山口の言葉をうのみにして、「ぜひやってみたいです!」と答えてしまいました。
すると山口はこんな提案をします。
「うちの業務をするにあたって川崎さん専用のページをつくらなければなりません。その費用として50万円必要です」
返答に困っていると、山口はすかさずこう言いました。
「もちろん、当社でも利益が出るようにサポートしますし、もし、1ヶ月間 続けてもらって利益が出なければ全額返金します」
私は悩みましたが、「返金保証がついているならやってみよう」と決めてしまったのです。
50万円を支払って契約
すぐに山口から契約書が送られてきました。
契約書にも、「1ヶ月仕事をしても利益が出なかった場合は50万円を返金します」との記述があったので、私は安心して必要事項を記入し、FAXで返送。
そして、50万円を振込み、無事契約完了となりました。
このことは、心配症な夫をはじめ、家族には内緒です。
肝心の仕事内容は、テストとまったく同じでした。
在宅ワークに関する記事を書いて会社に送る。ただそれだけです。
文字数などの指定もありません。
また、報酬については、私のページにアクセスした人が、クラウドネットのメルマガに登録したら1件につき324円、在宅ワークに関するマニュアル(教材)を購入したら1件につき5万4,000円が支払われる約束になっていました。
契約の翌日に追加で100万円を支払う
仕事を始めて2時間くらいすると、「あなたのページにアクセスしたいのにできない」「あなたのページを見るにはどうしたらいいのか」という問い合わせが殺到しました。
事前に山口から、「川崎さんのページ宛に問い合せが入ったら対応してほしい」と言われていましたが、アクセスできないと言われても、どう対応したらいいのかわかりません。
戸惑っていると、山口から電話がかかってきました。
「川崎さんのページにアクセスが集中しすぎて、閲覧できない状態になっています。せっかくアクセスがたくさんあるのに、このままだとお客さんは離れてしまいますよ。ネットの世界はスピードが命です。急いでサーバーの容量を増やさないといけません。100万円必要ですがどうしますか?」
私は悩みましたが、さすがに100万円は高すぎるので、「払えません、無理です」と断りました。
すると山口は、「他の方はサーバーの容量を増やしたことで順調に収入が増え、たくさん稼いでいますよ」と言うのです。
心が揺れました。
私もすでに50万円を払っている手前、1日も早く収入を得たいという焦りがありましたし、サーバーの容量を増やして成功した人たちをうらやましく思う気持ちもあります。
結局、50万円を支払った翌日に追加で100万円を振込んでしまいました。
実は、このとき支払った100万円は、子どものためにコツコツ貯めてきたお金です。
今さら悔やんでも仕方ありませんが、大切な貯金に手を出してしまったことが一番の心残りです。
貯金が底をついたら消費者金融へ誘導
クラウドネットが用意したページをみると、私のページへのアクセス数を確認できます。
私は毎日、300字程度の記事を書いて会社に送っており、アクセスは順調に伸びていました。
メルマガ登録者は毎日数名~数十名はおり、報酬は私の口座に日払いで入金されます。
多いときは1日に6,000円程度の入金がありました。
ただ、その後ふたたび山口から「アクセスしにくい状態がつづいている」と言われた私は、さらに150万円支払ってサーバーの容量をアップすることになりました。
貯金ゼロになっても続く山口からの要求
こうして、契約から1週間ほどで300万円を費やした私の貯金口座は底をつきました。
それでも、山口の要求は止まりません。
「もっとサーバーの容量を増やす必要がある」と言ってお金を要求してきます。
私は「これ以上はお金がないので本当に無理です」と断っていましたが、山口はこう言いましった。
「5万4,000円の教材を買ってもらえるようなページを作るには500万円必要です。他の方は皆さん500万円払って仕事をしているんですよ。川崎さんだけ特別扱いするわけにはいきません。お金がないなら消費者金融で借りればいいじゃないですか!」
たしかに、メルマガ登録の報酬だけで高収入を期待することはできません。
勢いにおされた私は、追加で200万円をつぎこむことに...!
でも、私は借金などしたことがなかったので、何をどうしたらいいのかわかりません。
すると、すかさず山口が細かい指示を出してきました。
「川崎さんのお近くなら○○(住所)に無人の契約機がありますから、そこに行って借りてください」
「収入を正直に申請すると審査には通りません。年収200万円と申請してください」
私は山口の言われるままに契約機で手続きし、レイクで100万円、アイフルで50万円、アコムで50万円、合計200万円を借入れます。
そして、全額をクラウドネットに振込みました。
解約に応じるどころか脅される
追加の200万円を振込んだら、クラウドネットの教材の見本がFAXで送られてきました。
内容を見て、私はがく然とします。
「これが5万4,000円...!?」
教材は10ページ程度で、内容も薄っぺらく、インターネットで検索すればすぐわかるようなことしか書かれていなかったのです。
これを5万円で買う人がいるとは、とうてい思えませんでした。
それでも毎日、一生懸命記事を書いて会社に送りましたが、案の定、教材は売れません。
私は山口に電話して不安な気持ちを伝えました。
すると山口は、さも当然のようにこう言ったのです。
「6月は一番稼ぎにくい時期なんですよ。7月になったら変わるはずですよ。今月は他のお仕事に力を入れてはどうですか?」
私は山口の言葉を信じてがんぼろうとも思いましたが、まもなく消費者金融への返済(3社合計で月5万円)も始まります。
どうしても不安が消えなかった私は、ついにクラウドネットを辞めることにしたのです。
脅すような口調で返金を拒む
契約してまもなくひと月という頃、私は山口に電話をして、「もう辞めたい」と伝えました。
すると、いきなり上司の坂東という男に電話を代わられます。
坂東は強気にこう言い放ちました。
「今やめても返金はできませんよ」
予想外の言葉に私はびっくり。
私が「契約書にも返金するときちんと書いてあるのにどうしてですか?」とたずねると、坂東は平然と言いました。
「あなたは仕事をがんばっていないじゃないですか!やることをやらずに勝手に辞めたいと言っているだけですよね?もし辞めたいというなら1ヶ月は真面目に働いてからにしてください。今辞めても返金できるのは6万円くらいですよ」
坂東の説明は到底納得できるものではありませんが、口下手な私は思うように言い返せませんでした。
すると今度は、「ご主人に内緒でやってるんですよね?ご主人に話しましょうか?」と、脅すようなことまで言ってきたのです。
納得できないと思いつつも、すでに500万円を支払っているので、家族に話されたら困ります。
悔しかったですが、我慢してもう少しだけ続けてみることにしたのです。
やはり詐欺だった! 弁護士に返金交渉を依頼
その後も地道に記事作成を続けましたが、半月経っても状況は変わりません。
教材は一向に売れませんし、メルマガの登録者はむしろ減る一方でした。
どうしても不安をぬぐいきれなかった私は、クラウドネットについて検索してみました。
すると、「クラウドネットは詐欺だ」という書き込みを見つけたのです。
私はとうとう目が覚めました。
「やっぱりそうだったのか!早く手を打たないと!」
すぐさまインターネットで弁護士を探すことにしたのです。
家族に内緒にしていたので、近所の弁護士は避け、東京の弁護士に連絡を入れました。
これまでの経緯を簡単に話すと、「一刻も早く対処したほうがいいです」と勧められたので、すぐ正式依頼し、クラウドネットと交渉してもらうことになったのです。
弁護士のところに、契約書・口座の明細・消費者金融の借入明細などの証拠資料を郵送し、交渉を一任しました。
被害届を出してもお金は返ってこない
弁護士から「警察に被害届を出すと有利になることがある」と勧められたため、地元の警察署にも相談に行きました。
しかし、担当刑事さんからは厳しいお話をもらいました。
「少額だけれど入金があるので詐欺を立証するのが難しい。グレーゾーンだ」
「他にも同様の被害届が多数出ていると捜査は進めやすいけれど、今のところ他県で1件出ているのみ。今の状態で立件するのは難しい」
また、私の望みは、クラウドネットを捕まえることではなく、お金を取り戻すこと。
しかし、刑事さんによると、「被害届を出してもお金が戻ってくる可能性は低い」とのこと。
さらに、被害届には名前を記すので、もしかしたら家族にばれるかもしれません。
そのようなリスクをおかしてまで被害届を出すメリットが感じられず、私は被害届を出さないことしました。
「10万円しか取り返せない?」交渉決裂で破産を選択
弁護士に依頼して2ヶ月が経った頃、坂東から電話がかかってきました。
「なに勝手なことをいってるんだ!お金を返してほしいのはこっちだ!もしおかしいと思ったのなら最初の段階で断れたはずだ!あんたは途中から記事作成も放棄しているし、返金保証の対象にはならないぞ!」
坂東は息つくまもなく、一方的にまくしたてます。
この勝手な言い分には心底腹が立ちましたが、言い返すこともできず、受話器を握りしめて泣くことしかできませんでした。
交渉決裂で返済が間に合わず破産を選択
結局、弁護士に依頼した甲斐もなく、交渉は決裂しました。
クラウドネットには10万円しか返金してもらえないとのことです。
納得いきませんでしたが、これから裁判を起こす時間も余裕もありません。
弁護士と相談した結果、破産手続き(※2)をすることになりました。
このままだと、消費者金融からの借金(利息含め270万円)を返済していくのは難しいため、やむをえない決断だったと思います。
その後、2015年10月に破産を申立て、2016年1月に無事免責(※2)が下り、借金はゼロとなりました。
ちなみに、今回私が500万円もの詐欺に遭い、さらに破産したことを家族は誰も知りません。
夫に知られたら、きっと離婚されてしまうでしょう。
辛いですが、これからもずっと隠し通すしかありませんね...。
※2
裁判所に破産を申立てると、所有している財産をすべて処分し、借金の返済にあてることになります。そのうえで、裁判所の許可が下りれば、残りの借金の支払いが免除されます(これを免責といいます)。
どうしてだまされてしまったのか...今は反省の毎日
破産手続きで免責が下りたため、借金は全額免除となりましたが、300万円の貯金は戻ってきません。
それにしても、小心者の私がどうしてこんな多額の詐欺にだまされてしまったのでしょうか。
ひとつは、ネットビジネスや副業にうとかったことがあると思います。
また、あまり人のことを疑わない性格も災いしたのでしょう。
私は、途中まで山口のことを信用していたのだと思います。
今思うとおかしい話ですが、当時の私は山口に親近感を覚えていました。
山口は1日に何度も電話をくれましたし、仕事の話だけでなく、世間話をすることもありました。
そうしているうちに、知らず知らず信用していたのかもしれません。
今は心から悔やみ、反省する毎日です。
あたりまえですが、一度も会ったことのない人や会社を簡単に信用してはいけませんよね。
ましてや、そんな簡単にお金を稼げるはずがありません。
これからは、少しでも失ったお金を取り戻せるように地道に働いていきます。
ほんとに~?
(しめしめ...)準備するからすぐに10万円用意してくれ!
ジュウマンってどこにあるの?
!?
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