破産申立書、陳述書、債権者名簿、資産目録、家計など全部自分で記入!

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この体験談について

お金を無心してくる母のために借金を重ね、いつの間にか膨れ上がった借金は総額800万円。職もなく、金もなく、返済に追われる日々の中でなんとか自力で破産手続きをし、無事認められた時のことを綴って行きたいと思います。

前回のあらすじ

法テラスで相談に乗ってもらい、自力で自己破産の手続きをすることにした私。裁判所から書類をもらい、ついに本格的に自己破産のための準備を開始しました。

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母の為に800万円の借金を抱えた私が自力で自己破産したときのお話

「自己破産」についての情報収集開始!

自己破産をする!と決めてから、「まずは情報集めをしなければ」と思いました。なにせ、弁護士を雇わずに全て自分でやると決めたのです。

「自己破産がどういうものなのか」をきちんと理解しなければならないので、まずは自己破産についてのホームページを読みあさることから始めました。

驚くことに、自己破産、という語句で検索したら、数百万件ものホームページがヒットしたのです。不謹慎ではありますが「不安なのは私だけじゃない。自己破産しているのも私だけじゃないんだ。」と、どこかホッとしたのも事実です。

そもそも自己破産とはなんだろう?

自己破産について調べていくにつれて、「そもそも自己破産とはなんだ?」という疑問を持ちました。その時には、とにかく借金から逃げるための手段としてしか、自己破産を捕えていなかったのです。

なので、まずは自己破産の仕組みについて調べることにしました。

自己破産は、任意整理や特定調停と同じ、債務整理と呼ばれるものです。自己破産は、債務整理の最終手段でした。

もっと早く借金の現状を把握して債務整理を行っていれば、自己破産をしなくても良かったのではないかとも考えましたが、今更そんなことを言っても仕方がありません。

私に残されていたのは、自己破産しかなかったのです。

自己破産したらどうなる?

裁判所から自己破産が許可されると、それまでの借金の返済が全て免責されます。要は借金が無くなるのです。しかし、家や車などの資産を持っている場合は、それらを全て手放す必要があります。

私は既に退職していましたので関係ありませんでしたが、自己破産の手続きを始めた時に退職した場合、退職金が債権者へ配当されるケースもあるそうです。

一般的に資産と呼ばれるものは裁判所によって債権者に配当され、「私には、もう借金を返済することができません」という状態になって、初めて自己破産は認められます。

ただし、滞納している税金や公共料金は自己破産の対象外になるので注意が必要です。

自己破産のメリットとデメリット

自己破産のメリットは、なんといっても借金がゼロになるということです。必ずというわけではありませんが、自己破産申請者の9割が免責許可を受けていますので、自己破産理由に問題がない場合は高い確率で免責されているのです。

デメリットとしては、自己破産が決定してから5年から10年はクレジットカードを作れなくなり、ローン(住宅ローンや車ローンなど)も組むことができなくなることです。

銀行からの借り入れもできなくなりますので、仕事などで車が必ず必要な場合は、かなり苦労すると思います。

また、他人の財産を管理する職業に就いている方は、資格の制限を受ける場合もあります。

私は車がないことで再就職に苦労しましたが、それ以外は特に困りませんでした。むしろ、クレジットカードが無くなって新たに借金を作れなくなったことが、私にはとっては良いことでした。

周りに知られたらどうしよう...

もし身近な人に自己破産したことが知られたら......。と、不安に思ったりもしました。自業自得とはいえ、「知られてしまったら嫌われるのではないか」「縁を切られるのではないか」と、思ったのです。

でも、調べていくうちに、自己破産は、自分で言いふらしたりしない限り、他人には知られないということがわかりました。

自己破産をしたという事実が戸籍に記されるなんてことはありませんし、親戚や友人に(保証人などになっていなければ)裁判所から知らせがあるわけでもありません。

官報という国が発行する機関誌と、本籍の市町村にある破産者名簿に名前が記されるだけなのです。官報も破産者名簿も、一般の方が読むようなものではありません。

それに、仮に市役所の知り合いが破産者名簿を見たとしても、守秘義務がありますので、言いふらされたりする可能性もありません。それを知った時の安堵感は、全身の力が一気に抜けるほどでした。

もう後には引けない!

自己破産のことを自分なりに調べ、「自分に大きな影響はない」「友人に知られることはない」と、確認しました。

当然、母にも調べた内容は知らせましたが、「ふ~ん」と、興味なさそうに返事をしただけです。まるっきり他人事のような態度に腹が立ちましたが、ここでケンカをしても仕方がありません。

「私は私の事をしよう!」と、必要な書類を全部机の上に並べて「よし!」と、気合を入れました。もう後には引けません。違法業者によって仕事を失い、取り立てのストレスで持病である喘息が悪化した状態では、アルバイトもままなりません。

私には、自己破産しか残された手段がないのです。

「全てをリセットして、人生をやり直すために」

その思いだけを胸に、書類を書き始めました。

自己破産の手続きを始めよう!

いよいよ自己破産の書類を書き始めることにしました。

裁判所から渡された書類を全て完成させなければ、今の地獄から開放されないのです。

自分の人生のため、そして、借金の取立てから逃げるための戦いが始まりました。

自己破産の書類ってどんなもの?

自己破産の申請には、裁判所で貰う書類と、添付書類が必要です。

まず、家族全員が記載された住民票(三ヶ月以内)戸籍謄本の二つを必ず提出しなければなりません。

その他の添付書類は債務者の状況によって異なります。私の場合は、まず持っている通帳を全てコピーしました。

また、私は退職していましたので、過去三ヶ月の給与明細のコピーと源泉徴収票のコピー、退職金証明書を提出しました。

生命保険にも加入していましたので、保険証券のコピーと解約返戻金証明書も取り寄せました。

あと、不動産を所有していないことを証明するため、無資産証明書を市役所で発行してもらい、最後に、借家の土地建物賃貸契約書のコピーを用意して、添付書類の準備は終了です。

破産申立書の記入からはじめよう

まずは破産申立書の記入からはじめました。

これは「債務者(私)が破産の申し立てをしますので、破産者として認めてください」という書類です。記入するのは、住所や名前、電話番号等なので特に問題はありませんでした。

陳述書に記入しよう

陳述書からが本格的な書類になります。

当たり前ですが、嘘の申請をすると破産申請が却下されますので、全て事実を記入しなければなりません。

まずは最終学歴を記入し、職歴も記入します。職歴には月収も記入しなければなりませんので、私は平均月収を計算して書きました。

次は、家族の状況です。

私を含む家族の氏名、年齢、勤務先、月収を記入しました。

私の場合持病もありましたので、健康状態についての記述も行いました。「自分が今、どういった状況であるか」ということを、裁判所に伝える必要があるからです。

そして、負債の状況や差押の有無など......とにかく、次から次へと出てくる項目に心が折れそうになりました。

ですが、ここでくじけてしまっては元も子もありません。自分で自分に気合を入れて一つ一つ記入していきました。

そしていよいよ、破産申立に至った経緯について書いていきます。

最初の借金から最後の借金までのことを、できるだけ細かく、丁寧に書きました。

これらは全て、あらかじめ下書きしてから清書したのですが、それまでの辛かった思いが次々と蘇ってきて、何度も涙を拭きました。

「どうしてこんなことになったんだろう。」

「同級生はみんな結婚して幸福に暮らしているのに、どうして私がこんな辛い目にあわなければいけないんだろう。」

誰も助けてくれない。
自分でなんとかしなければいけない。
という状況は、本当に本当に辛かったです。

債権者名簿の記入

債権者名簿とは、私がお金を借りている借入先の会社の名前と借入金額を記入するものです。これは、あらかじめ用意してあった契約書を元に、時系列で書いていきました。

次々と記入していきながら、「私はこれだけのお金をこんなに多くの会社から借りていたのだ......」と、絶望的な気持ちになりました。

全部で14社。820万円。

収入もろくにない私には、大きすぎる金額でした。

資産(財産)目録の記入

陳述書の中には、資産を記入する欄があります。

もし、家や車、時価10万円以上の貴金属などがあれば全て資産として扱われ、管財人がつくことになるのです。

※(破産)管財人とは・・・破産手続において、申立人の財産の管理をし、処分をする権利を持つ人のことを言います。

幸い、私には何もありませんでしたが、書類を提出する際に裁判所の方から「財産があれば、予納金が高額になるところでしたよ。」と言われました。

※予納金とは・・・自己破産の手続きには色々と費用がかかりますので、申立人は裁判所にその費用を支払わなければなりません。その支払わなければいけないお金のことを「予納金」といいます。破産手続の費用の中で多くを占めるのは破産管財人の報酬なので、管財人がついた場合の予納金は高額になります。

詳しく聞いたところ、もしも管財人がつけば最終的に40万円程度の予納金が必要だったそうです。「財産がなくて、本当に良かった!!」と、心の中で叫びました。

家計の状況の記入

最後は家計の状況です。

自己破産を申し立てる前の月の収入と支出の状況を記入します。

お恥ずかしい話、私は家計簿というものを全くつけていませんでした。返済の事で頭がいっぱいでそんな余裕はなかったというのは建前で、本当は面倒だったのです。

このときに家計の状況について記入して初めて、自分のひと月のお金の動きを知りました。

働いていた時の給料が約17万円。
それに対しての支出が約15万円。

そんな状態で、毎月40万円を超える返済などできるわけがありません

私の経済状態は、もうとっくの昔に破綻していたのです。

書類が出来あがった!!

全てのページに記入をし、間違いがないか、間違えた場所には訂正印で修正されているか、そして、「私がどれだけ経済的に破綻していることを、アピールできているか」を確認し、書類の記入は終わりました。

全て書き終わるまで4時間近くかかりました。今までの数年間を全部書いた4時間でした。

書類ができたら、あとは提出するだけです。

あとは、「運を天に任せる!」といった気持ちで、自己破産申請書を封筒にしまいました。

裁判所に書類を提出

全ての書類を書き終え、添付書類と一緒に裁判所に持って行きました。

売店で予納金として、
約14,000円の印紙
500円切手 4枚
80円切手 40枚
20円切手 8枚
を購入し、書類と共に窓口に提出しました。

確認のためしばらく待たされたあと、「特に問題ありませんでしたので、申請を受付します」と、正式に受け取ってくださいました。その際、「もし、督促の電話がかかってきたら、自己破産の手続きをした旨を返事してください」とも言われました。

自己破産の申請後、裁判所からそれぞれの債権者に「○○○○(私の名前)が自己破産の申請をした」という連絡が送られます。その通知を受け取ったあとは、私個人に督促はできないきまりになっているのです。

そう言われても、毎日眠れない程の督促の電話を受けていた私は、正直半信半疑でした。「たったこれだけで、あの電話が止まるのか?」と思ったのを思い出します。

督促の電話がピタリと止まった!

書類を提出してから数日が経過した頃、あれ程かかってきていた電話がピタリと止みました。

早朝から深夜まで、恫喝するような声で支払いを要求してきた電話がなくなったのです。その時の開放感といったら、言葉では言い表せませんでした

そしてその頃から、私はようやくまともに睡眠を取ることができるようになり、ほとんどなかった食欲も戻ってきました。督促の電話がどれだけストレスだったか......今思い出しても胸が苦しくなります。

意外な報告が...残金ゼロって何?!

書類の提出をしてから1ヶ月後、裁判所から調停期日呼出状が届きました。私が「債権者に対してどういった考えを持っているか、少しでも返済する能力があるのか」などのことを、調停委員が聴取するのです。当日、緊張しながら行った私に、調停委員は意外な事実を告げました。

ひとつの会社が、「あなたの残金はゼロです。」という通知を送ってきていたのです。「一体何事?!」と思ってよく聞いたら、「金利を計算し直し、今まで支払っていた金額と相殺したら、残金がゼロになりましたので、我が社は今回の自己破産には関与しません。」といった内容でした。

ホッとしたのと同時に、「もしかして、他の会社もそんなケースがあるのだろうか」と思いました。ですが、そんな通知がきたのは一社だけで、その他の会社からは何も連絡がなかったそうです。

そして調停委員の方は、現在の私の状況を聞いてくださった上で、「返済は事実上無理」という判断を下してくださいました。

訴状が届いた!!

次に届いたのは、他県の簡易裁判所からの手紙でした。

封を開けたら、そこには「訴状」の文字!!

その瞬間、ショックで倒れそうになりました。今まで自分が訴えられるという経験などなかったのに、そこには被告人として私の名前があったのですから。

震える手で全ての内容に目を通すと、ある一社が、「残金を一括して払って欲しい」と裁判所に申し立てをしたとのことでした。

どうしたらいいかわからず、封筒に書かれてあった裁判所に電話をすると、「同封されている答申書に、現在の状況を書いて返信してくれればいい」とのことでしたので、ありのまま「現在、自己破産申請中で、出向くことは不可能です。お金をお返しできないのは、本当に申し訳ありません。」と書いて送りました。

その数日後、訴えを取り下げたという旨の手紙が来た時は心の底から安堵したものです。

裁判所からの呼び出しと自己破産決定

調停呼出から二ヶ月後、再び私は裁判所から呼び出しを受けました。指定された時間に行ってみると、大勢の人が狭い廊下にひしめき合っています。「何が始まるのだろう」と、思っていると、とある部屋に通されました。

そこにあったのは、ニュースなどでよく見る法廷でした。

椅子に座り、待つこと数分。
正面の扉から、一人の男性が姿をあらわしました。

そして、その男性は「ここにいる者の自己破産を宣告する!」と一言だけ告げて去っていきました。そこで初めて、男性が裁判長だったこと、私の借金が全て無くなったことを知ったのです。

あっという間でした。

時間にして、2分あったでしょうか?
本当にあっという間に私の借金は無くなったのです。

夢見心地のまま、裁判所を出ました。

帰宅し、部屋に入って初めて泣きました。解放された安堵感が一番大きかったと思います。

そしてその日から三ヶ月後、裁判所から正式に自己破産の宣告通知がきて、私の自己破産手続きがようやく終わったのです。

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