自己破産?民事再生?クレジットカード使いすぎ派遣社員の債務整理【体験談】

(0)

この記事を評価する

評価を設定してください
×

軽い気持ちで組んだエステのローンが、全ての始まりでした。

その後医療や生活のための借金を重ね、借入額は積もり積もって260万円。

給料の3分の2が返済に消える事態に、とうとう自己破産を決意しました。

体験者の情報

名前:添田 優子 (仮名)
性別:女
職業:会社員
年齢:30
借入件数:5件
借金総額260万円
借入れの時期:2005年~2011年
債務整理方法:自己破産
債務整理にかかった費用:13万円(法テラスの立替制度を利用)
債務整理を行った時期:2013年はじめ

リボ払いで膨らむ借金

大学を卒業して働き始めるまで、アルバイトもしたことがなかった私。

初任給の日、生まれて初めて手にするまとまったお金12万円に、すっかり舞い上がってしまいました。

借金やローンを組むことの怖さも知りません。

都会でのひとり暮らしを節操なく楽しむうちに、クレジットカードで洋服をどんどん買ったり、エステのため何十万ものローンを簡単に組んだりするようになってしまいます。

当時は総量規制もなく、個人の借り入れが今より簡単に行えたのです。

こうして1年も経たないうちに、クレジットカードの請求額が月10万円を越えるようになりました。

月収は12万円のままでしたから、一瞬まずいと思いましたが、直後にリボルビング払いを知ってしまいます。いくら使っても毎月の引き落としが一定になる点に惹かれ、さっそく支払い方法を変更しました。

月々の返済額は一旦、月3万円前後になります。しかし目先の支出が減ったことで、ますます浪費するようになってしまったのです。

カード枚数も、三井住友銀行、ゆうちょ銀行それぞれのキャッシュカードを兼ねたVISAカード、 ファミリーマート提携のVISAカード、 オリコ、 JCBと合わせて5枚に増えました。

これらをすべてリボ払いにしていました。

思わぬ病気で収入が途絶える

就職して2年を過ぎた頃、私は婦人科系の病気に罹り、病院通いをするようになっていました。

そして健康な頃よりストレスが溜まるせいで、通勤や通院途上の衝動買いがさらに増えてしまいます。

現金は病院での支払いに使ってしまうため、もちろんほとんどカード払い。利用額超過のため、5枚のカードすべてが、次の支払い日まで使えなくなることもしばしばでした。

このような生活を続けているうち、就職して3年目、病状が悪化し、私は会社を退職せざるを得なくなってしまいます。

しかし、この時クレジットカードの利用総額、つまり借金はすでに150万円を越えていたのです。

退職金はなく、健康保険からの手当(傷病手当金)は貰えましたが、半分の7万円ほどが毎月返済に持っていかれる始末。

会社を辞めたため、保険料や年金も自己負担の生活になったのです。

カードローンで更に債務が増加

月7万円の返済、5万円の家賃、各1万5,000円の保険料と年金を差し引くと、毎月1万円ほどしか手元に残りませんでした。

食費をどれだけ節約しても追いつかず、病気のためアルバイトもできなかったので、とうとう生活費を賄うための借金がはじまりました。

まず限度150万円の借入機能が付いていた、三井住友銀行のカードを使って借り入れです。

このカードローンもリボルビング返済方式で、どれだけ借りても、毎月決められた返済日に2万円を振り込めば良いシステムでした。

はじめは助かったと思いましたが、リボルビングということで、2万円のうち1万3,000円が利息にとられていました。

クレジットカードの返済のためにカードローンからキャッシング。私はこの時になって、ようやく自分が深刻な悪循環に陥ったことを自覚したのです。

しかし時既に遅く、病状が回復するまで更に1年間ほど、このような生活をせざるを得ませんでした。

債務整理を考え始める

その後、病気が治り、契約社員でフルタイムの職を得ましたが、生活は楽になりません。

それもそのはず。借り入れの総額は260万円に達しており、手取り15万の給料から月々10万円の返済を行う状況だったからです。

自業自得とはいえ、このままでは未来がない。なんとか、人生をやり直す方法はないだろうか?

通勤電車の中で「債務整理」と書かれた広告に目が行くようになりました。

気になったものの、弁護士費用が高くつくのでは? 両親にばれるのでは? という懸念があり、行動が起こせず1年ほど悩んでばかりいました。

背中を押すきっかけになったのは、インターネットで知った「法テラス」の存在でした。

法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」といい、法務省が所轄する公的な「法律の総合相談所」です。

国が設立した機関ということで安心感があり、すぐさま最寄りのセンターへ電話を掛けました。

法テラス職員と電話でやり取り

私の第一声は「借金問題について相談したいのですが。」それだけ言うと、後は電話に出た女性スタッフがすべて話を進めてくれました。

10分程度の会話でしたが対応はとても親切で、前に進む勇気をもらうことができました。具体的なやり取りは次の通りです。

無料法律相談の要件確認

まず債務総額と毎月の手取り、同居する家族の人数を確認されました。

これは法テラスの法律相談が「経済的に苦しい人」には無料で提供されており、その「経済的に苦しい人」の条件に当てはまるかどうかをチェックするための質問です。

債務260万円、手取り15万円、一人暮らしの私は条件を満たすとのことでした。

相談の予約

センターへ出向くのに都合の良い日を聞かれ、「明日か、来週の金曜日が都合がいい」と答えました。

あいにく翌日はセンターの予約がいっぱいで、翌週となったのですが、すかさず女性スタッフが「一週間も先になってしまいますが、大丈夫ですか? 相談は30分で終わるので、お仕事の昼休みを利用される方もいらっしゃいますよ」と心配そうに尋ねてくれたのです。

「まだ今月分の支払いはできるので、大丈夫です」と答えると、「緊急ではないのですね」と向こうも少しホッとされたようでした。

きっと相談者の中には執拗な取立て等で追い詰められている人もいて、そのような事態を心配してくれたのだと思います。

債務者一覧表の作成

さらに相談当日は10分前までに到着しておくことと、「債権者一覧表」を作ってくることを指示されました。債権者一覧表とは次の項目を表にまとめたものです。

  • 借り入れをしている金融業者, 銀行, クレジットカード会社等の名前
  • 借りた理由(生活費, 旅行, エステなど)
  • 借入額(1万円単位)
  • 直近の返済額

特に決まった書式はなく、表計算ソフトや手書きで自分なりに分かりやすくまとめれば良いとのことでした。

最後に私の「予約番号」を告げられ、電話が終了しました。

弁護士に自己破産を勧められる

いよいよ相談当日。

法テラスセンターの受付で予約番号を伝えると、相談用の質問事項が並んだ用紙を手渡されました。

この用紙に記入する時間も規定の相談時間(30分)に含まれるので、早めに来るように言われたのです。

記入した用紙と、作ってきた債権者一覧表を持って個室に入ります。担当弁護士は既にいらしていて、穏やかな笑顔で迎えてくれました。

電話の内容は既に伝わっており、話はスムーズに始まりました。

まずは債権者一覧表を見せて簡単な会話を交わします。

「では、このお給料の中から毎月10万以上の返済をしているということですか? やりくりできているんですか?」

「いいえ......足りない分はまたカードを使って、という自転車操業になっています」

「そうでしょうねえ......親御さんに援助してもらうことはできないですか?」

「いや、それはちょっと......」

以上のように二、三言やり取りしただけでしたが、早々と「そういうことであれば、自己破産した方が良いと思います」と言われ、思わず「えっ!」と声を上げてしまいました。

ネットで調べたときには、任意整理とか民事再生とか他にも色々方法があったので、あくまで自己破産は最後の手段と考えていた私。

絶句していると、弁護士が「債務総額と収入の差があまりにも大きすぎ、遠からず家計が破綻するのは目に見えています」と判断の理由を説明してくれました。

改めて、自分の現状認識が如何に甘かったか、思い知らされました。

続いて「自己破産は、まあ名前が強烈なだけあって色々と誤解されているんですが、基本的には『人生の再出発を支援する制度』なんですよ」と説明がありました。

あなたも債務整理について少しでも調べたことがあれば、次のような都市伝説(誤った噂)をご存知でしょう。

自己破産すると一生クレジットカードが作れなくなる、ローンも組めなくなる、自己破産したことが戸籍に書かれて家族や勤務先に連絡が行く、預金も全て取られる......などなど。

これらは全て嘘なのですが、それでも私には、一つ気がかりなことがありました。それは、密かに目指していた職業のことです。

自己破産による職業上の資格制限

自己破産をすると就けなくなる職業がいくつかあります。

税理士や行政書士、そして弁護士など、主に顧客の財産を扱う可能性のある職業が含まれているのです。また保険会社のセールス職など、中には意外な職業も含まれて居ます。

気になる場合は必ず、職業ごとに調べることをおすすめします。ただ、調べる場合も注意が必要です。

例えば弁護士法には「破産者であって復権を得ないもの」は弁護士となる資格を有しない、と定められています。

「復権」というのは、裁判所に自己破産の申し立てをして、免責許可決定(債務を免除する決定)が出た状態のことです。

これだけ読むと、職業上の制限があるのは免責許可決定が出る数ヶ月間だけに思えます。

インターネットの質問サイトなどでも、「自己破産しても復権を得れば、どんな職業にだって就けます」と回答されている場合がありますが、実際は必ずしもそうではないようです。

私が話をした弁護士も、「一度自己破産すると、弁護士には一生なれないですね」と言っていました。一体どういうことでしょう?

引き続き、弁護士の例で話をしますので、あなたが他の職業について調べる際も、同じような事情が隠れていないか十分注意するようにしてください。

弁護士は司法試験に合格し司法修習生の修習を終えても、「日本弁護士連合会(日弁連)」の弁護士名簿に登録されなければ、実際の業務を行うことができません。

弁護士法には先ほどの「破産者であって復権を得ないもの」のような、弁護士になれない条件(欠格事由)を定めた条文があります(昭和二十四年六月十日法律第二百五号第七条)。

そしてそれとは別に、弁護士会が登録の申請を拒絶できる条件を定めた条文も存在するのです。

第十二条  弁護士会は、弁護士会の秩序若しくは信用を害するおそれがある者又は次に掲げる場合に該当し弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者について、資格審査会の議決に基づき、登録又は登録換えの請求の進達を拒絶することができる。

e-Gov 法令検索システムより
「弁護士法」
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

ポイントは冒頭の「弁護士会の秩序若しくは信用を害するおそれがある者」。

この部分を根拠にすれば、弁護士会の判断でいくらでも(というのは言い過ぎですが)登録を拒絶できますよね。

自己破産は、言ってみれば借金を踏み倒してしまう行為です。

それを理由に「信用を害する可能性がある」と言われれば、正直なところ、反論することはできないでしょう。

「一度自己破産をすると、弁護士には一生なれない」というのは、法律の規定ではなく、こうした現実を踏まえた言葉だったのです。

以上はあくまでも実務上の話ですから、各業界の内情や時代によって判断基準は変わっていくと思われます。

銀行カードローンでは「任意整理」はできない

私の就きたかった職業についても、同じような運用がなされる可能性がありました。

お話ししていた弁護士は債務整理のエキスパートでしたが、さすがに個別の職業の事情までは断言できず、よりリスクの少ない民事再生でまずは頑張ってみることになりました。

民事再生は別名「個人再生」とも言い、借金を減額して原則3年で完済するように仕切り直す手続きです。

私の場合は260万円の債務が100万円程度になり、それを月に3万円×約3年間、分割で返済することになります。

なぜ「任意整理」が候補に挙がらなかったかというと、私の借金はそれで整理できなかったのです。

任意整理では、債務者(の代理人である弁護士)が直接、債権者(金融業者)と交渉して、いわゆるグレーゾーン金利を基準にした余分な利息をカットします。

これは「出資法」に定める利率=29.2%で課されていた利息を、「利息制限法」に基づく15%~20%(元金により異なる)の金利で計算しなおし、差額を返済の一部に充てるのです。

しかし、私の借入先はどれも銀行のカードローンか銀行系のクレジットカードであり、消費者金融(サラ金)の類は含まれていません。

よって「利息制限法」に則った利息で契約されていて、過払金は出ないことになります。

最近見かける債務相談の広告では、よく「過払い金が戻ってくる」ことが強調されていますが、私のように対象外となることもあるので注意が必要です。

民事再生という方針が固まったところで、相談室のドアがノックされ「先生、お時間です」と声をかけられました。30分経ってしまったようです。

弁護士から「あと2回、無料で相談が受けられます。次回からは私の事務所で行いましょう」と、事務所の地図を渡されました。

その場で訪問日時も決め、その日は終了となりました。

同じテーマのログ(記事)ランキング

人気のログ(記事)ランキング

同じテーマの記事の一覧

カテゴリ一覧

キャッシングの基礎
ローンの基礎知識
キャッシングの体験談
注目の特集
レビュアーによる検証
債務整理体験談
全国各地の自動契約機(むじんくん)の詳細情報
筆者へ質問