おまとめローンに注意!公務員だった私が小規模個人再生をした経緯

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最初に自己紹介をさせていただきます。
私は、元国家公務員として働いていましたが、複数の借金を抱えた末、小規模個人再生という債務整理手続きを経て借金を返済し、堂々と働きながら、25年間の勤務を全うしました。

この原稿では、私が何故借金を抱えることになったのか、いつ債務整理を決断すべきか、債務整理のさまざまな方法、弁護士費用、整理の手順などについて順を追って紹介していきたいと思います。

体験者の情報

名前:長谷川 祐二(仮名)
性別:男性
債務整理方法:小規模個人再生
会社名:労働金庫 市役所共済組合
当時の職業:公務員
当時の年齢:37歳
当時の借金の合計額:500万円
債務整理をしていた時期:2006年8月~2009年7月
債務整理に使った費用:30万円

借金のきっかけは...「せどり」ビジネスの失敗

まず、私が借金することになった経緯についてお話します。

私は公務員でしたから、副業ができません。つまり他の会社でアルバイトをすることができないわけです。

しかし、当時流行していたネットオークションを使った「せどり」をすることは問題がありません。

そこで、片っ端から中古ショップを回って、主にCDやDVDを買いあさり、ネットオークションで売りさばくということをやっていました。

しかし、ネットオークションには往々にして魔物が潜んでいます。

300円で仕入れたCDが70,000円で売れるという大儲けもある反面、仕入れ値より低い価格でしか落札されず赤字を出してしまうことも多いのです。

1年後、年間の収支決算を計算してみたら結構な赤字を出していました。

そこで諦めて撤収してしまえばよかったのですが、「損を取り返してやる」と意地になったのが借金地獄の始まりでした。

増え続ける借金 おまとめローンの罠

一度、消費者ローンに手を出してからは、昔から言うように雪だるまのように借金が増えて行きました

なにしろ職業は天下の公務員。

貸し渋りなどありませんし、給与明細を持っていけば、「通常50万円限度のところを200万円まで広げます。」などと誘ってくる始末。

借り先が多いと支払額も多く、5箇所からの借入で最低返済額1万円×5=5万円。

プチ事業の儲けよりも借金問題のほうが大きくなったときに、救世主のように現れたのが「おまとめローン」でした。

おまとめローンの罠

おまとめローンは、「いくつもある借金を一本化して返済を楽にする」ことが目的のローンですが、実は使い方によっては結構ヤバいことになるおそれがあります。

ズバリ!
おまとめローンを利用しても、借金(利子込み返済総額)が減らないどころか、逆に増えてしまうケースがあるんです。

これには次のような理由があります。

消費者金融から借りている「借金元本+グレーゾーン金利を含む利息額」の総額をおまとめローン会社が代理返済して、その分新たに借金を組むわけですから、おまとめローンの分の利息が加算されて、結局借金総額が増えてしまうのです。

というわけで、返済は決して楽にはなりませんでした。

結果、一度清算したはずの消費者金融にまた行ってしまうことがあります。私がそうでした^^;

こうなると、更に借金を増やすことになって、手の施しようがありません。結局借金は500万円以上になっていました。

ここでようやく私も、自力返済を諦めようと思い始めました。

債務整理窓口を開設している弁護士さんに相談に行くことにしたのです。

弁護士さんに相談したら

担当の弁護士さんは、ちょっとクセモノっぽい風体で、ぶっちゃけ口調でいろいろなアドバイスをしてくれました。

開口一番言われたのは
「退職金予定額の1/8を払って、自己破産すれば?」

この方法は、持ち家もハイグレードなクルマも持っていて、これらは失っても構わないけど、会社は辞めたくないし、退職金も守りたいという人向けの方法です。

しかし、自分の場合。

10年乗ったボロボロの軽車両1台、そして家は借家ですから、守るべき財産はありません。

しかし、退職金予定額は1,000万円以上あり、1/8となると125万円。

これを用意する余裕はありません。

となると、職場を辞めずに借金を整理するために、借金を圧縮して3年間の無利息返済にする方法として、「小規模個人再生」を選ぶことを提案されました。

小規模個人再生は、借金が5,000万円以下で、将来継続的または反復して収入が得られる見込みのある人(例:月給制の正社員サラリーマン)に適用される手続きです。

ただし、大型債権者が反対したり、全債権者の半分以上が反対した場合には、認可されません。

小規模個人再生は、借金総額を20%くらいにまで圧縮して、3年間で分割返済します。(この処理をすると、かつてグレーゾーン金利を取っていた消費者ローンを利用していた場合、法定金利で引き直し計算を行った結果、「すでに返済済み」になるケースも多いのだそうです。)

ただ、債権者が一人でも反対すれば、小規模個人再生は実現できません。

僕の場合は、幸いにして反対する債権者がいなかったので、規模個人再生を選ぶことができました。

弁護士さんの話によると、政府系金融機関や大手銀行などは、小規模個人再生案件が出ると、反対する傾向があるようです。

逆に、かつてグレーゾーン金利を取っていた消費者金融などは、小規模個人再生の話がでると、「あー!もう好きにしてくれ!」と諦めてしまうことが多いとのこと。

ちなみに、弁護士費用は30万円程度です。

即金で求められることはなく、分割にも応じてくれます。

期間は3年間ですから、毎月3,000円程度にすることもできます。

小規模個人再生の前にやっておくべきこと

暴力団も勝てないという最強の法律専門家はやはり強い!

500万円以上あった借金は、結果120万円程度にまで圧縮されることになりました。

ただ、その前にやるべきことがいくつもありました。

まず、定期預金は全額降ろすことです。

借入先の一つが銀行で、そこにわずかでも定期預金がある場合、銀行側は対抗手段として、定期預金も普通預金も全部差し押さえてしまいます。

また、金融機関同士の連携で貯蓄額を調べ上げられて、定期預金があることが発覚した場合、再生計画への異議申立てをされることがあります。

銀行口座はスッカラカンにしておきましょう!!

続いて、会社から「退職金予定額計算書」を貰わねばなりません。

給与担当者に事情を打ち明けるのは気が重いものです。

退職金予定額は1,200万円ほどです。

実はココが危険なところで、
「会社やめて退職金で返済したらんかい!ボケ」

と言われてしまう可能性もあるわけです。

これに対してあの手この手、口八丁手八丁で戦って勝つのは弁護士さんの腕前次第です。

一応、クルマの中古下取り査定額も見積もりをとって提出しました。

見積額が1万円だったので、問題外ということになって、愛車も守れました。

そんなこんなで、再生手続を開始しました。

裁判所の裁定が降りるまでは、返済予定額を毎月弁護士に支払っていく必要があります。

このお金はやがて戻ってくるのですが、個人再生をしても返済能力があると裁判所に示すために必要なのです。

それから半年ほどして、裁判所から裁定が降りました。

ひたすら返済の日々

債権者は労働金庫、会社の貸付制度、アコム、レイク、地方銀行のカードローンの5業者でしたが、グレーゾーン金利で貸し付けていた消費者金融(地方銀行を含む)3業者については、金利引き直しの結果、残っている債務がほとんどないことが判明しましたので、一括払いで終わりました。

消費者金融以外の大型債権者2箇所への毎月の返済額は38,000円です。

これを3年間払い続けるのですが、ここで注意すべきことがあります。

返済期限だけは絶対守ろう!

個人再生を開始したら絶対に返済を遅らせてはいけません!!

1回でも遅れたら個人再生はおジャンです。

今までは、「今月50万円返済して、来月また50万円借りる」といった一時しのぎの方法が使えましたが、個人再生ではそういうわけにはいきません。

一度でも返済が遅れると、債権者から「再生計画の取り消し」の申し立てをされて、今までの苦労が水の泡ということもありえます。

しかも、再生手続が始まると金融機関はどこもお金を貸してくれません。

自分でふんばって返済していくしかないのです。

収入ー返済額=生活費

この生活を絶対厳守する必要があります。

個人再生では、利息は一切かからず、場合によっては引き直しが行われて、お金が戻ってくることさえあるわけですが、ネックになるのは返済期間が3年間ということです。

返済する総額にもよりますが、3年間で完済するとなると、毎月の返済額は決して少なくはありませんので、ここが頑張りどきなのです。

「今までの借金体質だった自分を生まれ変わらせるための期間」と考えるべきでしょう。

それでもやってしまった返済遅延

先程も述べたように、小規模個人再生の返済手続きが始まったら、やるべきことは1つだけ!

「絶対に遅延せずに定額を返済する」ということだけです。

3年間かけて返済するこの手続きは、裁判所も弁護士も一切関知しません。あくまでも自分自身と債権者の間のやりとりになります。

しかし、毎月必ず決まった日に返済を行うのは、なかなか大変です。

なにしろ、これまで染み付いた借金体質が抜けていないと、

「ちょっと遅れても返済すればいいんだろ!」
「今月飲み会が多くて苦しいから来月まとめて2ヶ月分払おう」

などと思ってしまいがちですが、このような発想は絶対ダメです。

少しでも遅れたら、債権者から異議申し立てを出されて再生計画がパァになってしまうことがあります。

かくいう私も、一度だけ返済遅延をやらかしたことがありました。

それは年末のことです。

毎月の返済日は30日と決めていたので、ほとんど何も考えずに、ネット銀行から振込をしたら、「ただいま年末のため、入金日は4日以降になります」とのお返事。

やべえええええええええ!と焦りまくり、三が日が開けてから弁護士に相談しました。

「どうしましょう!どうしましょう!返済遅れちゃいましたー!」

と半泣きで言ったら、

「入金処理を30日までに行なっているのならば、それほど心配する必要はない」

と言われてホッとしました。

これが、年末でなかったら、たちまち異議申し立てをされて、借金が元に戻ってしまう恐れもあったわけです。

個人再生をする人は、絶対に気をつけなければいけないことです。

返済遅延を防ぐには

もし、振込箇所が多くて面倒ということならば、自動引き落としにしてもらえば、一定額を預金しておくだけでオーケーですから楽です。

さらに、会社の給与振込で「第二口座」を指定できるならば、返済額をそのまま第二口座(引き落とし口座)に振り込んでもらえば、もっと楽です。

完全返済まであと一歩

さて、返済期間3年のうち、最初の1~2年目はまだ先が長いので、黙々と返していくだけですが、3年目ともなると一気に支払いを済ませてしまいたい衝動にかられます。

しかし、これもできないのです。

「そんなにまとまった金が用意できるのなら、最初から全部返せ」という話になってしまいます。

ですから、最後の最後まで気を引き締めて、毎月とどこおりなく返済を続けましょう。

返済期間の3年は、借金体質を抜け出すための修行期間なのです。

僕の経験上、最後の6回の返済が実に苦しいものでした。残債はたったの20万円。

ボーナスで全額返済して早く楽になりたいという気持ちを抑えて、ついに完済を果たしました。

完済後の生活はバラ色!

完済したら、つまり最後の支払いが終わったら、その時点で手続きは完了となります。

特に裁判所へ行って完済の報告をしたり、債権者に改めて書類を送ったりする必要はありません。

さて、返済が終わると、これまで返済のために取っておいた36,000円が自由に使えることになります。

返済期間中は、

収入額-返済額=生活費

という計算式で生活してきたのですが・・・

返済額がゼロになったことで、いきなり、

収入額-生活費=パチンコ代や酒代

というような生活にもどるのはオススメできません。

個人再生をはじめる前は、お金が足りなければどこかから借りてくれば良いという考えがありましたが、今後は違います。

信用情報に事故情報が記録されていますから、お金が足りなくなってもどこも貸してはくれません。

ただ、これこそが、借金体質から貯金体質に変換できるチャンスなのです。

「貯金体質」になってやろう

今まで、毎月36,000円の返済で頑張ってこれたわけですから、今度はその金額を貯金に回すことにしました。

収入-36,000円(貯蓄額)=生活費

事故情報は7年間くらい掲載されますので、この貯金生活を7年間続けてみましょう。

なんと、7年で300万円近くも貯まります。

そうしたら、そのまま貯金を続けるのもよし、頑張った自分へのご褒美にクルマや洋服を買うのもよし。

なかなかバラ色の生活ではありませんか!

ショッピングはいつもニコニコ現金払い

ネットショッピングの中には、クレジットカード決済しか受け付けていない店もありますが、クレジットカードが作れない人はどうすればいいのかという問題があります。

しかし現在は「デビットカード」という便利なサービスがあります。

ネット銀行で発行してくれる即引き落としの擬似クレジットカードです。

PayPay銀行など、いくつかのネット専業銀行で提供されています。

即引き落としですから、審査もありませんし、もちろん個人再生をやった人も使えます。

まとめ ~借金は「満たされない心」から~

自分の小規模個人再生の道程を振り返ってみると、物欲からの開放であったことを実感します。

そもそも物欲というのは、次々と新しい物欲を生み出して膨れ上がるという性格を持っています。

たとえば、高級な靴やバッグが欲しくなり、それを買ったとしましょう。

ただ、それで満足かというと決してそういうことはありません。

その靴やバックに見合う洋服が欲しい、その洋服を着ていくパーティに参加したい。

こんな具合にひとつの物欲は果てしなく膨らんでいき、それはやがて自分の収入額を超えてしまいます。

ギャンブルで作った借金も、酒で作った借金も、ルーツは似ているように思います。

それは「満たされない心」です。

自分の満たされない心を埋めるために、物欲や酒に溺れてしまうと言ってもいいでしょう。

小規模個人再生が終わった後、僕は基本的にモノに執着しない心を身につけることができました。

図書館で本を借りて、お気に入りのカフェでまったりくつろぐ。

時々温泉やアロママッサージに行く。

手元には何も残りませんが、言葉にできない充足感が残ります。

そうすると、今までアレが欲しい、これが欲しいと思っていたことが、実はただ単に心の空虚感を埋めるためだったことに気が付きます。

もし、今、物欲と借金であえいでいるようなら、一刻も早く弁護士さんの門を叩くことをオススメします。

ちなみに、これから債務整理をお考えの方は、債務整理バイブル!良心的な弁護士を無料で探す方法を徹底解説!を事前に読んでおくとよいと思います。

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