「知らない番号から電話がかかってきた・・・。番号は債権回収会社らしいけれど、これって無視して大丈夫？」

「債権回収会社を名乗るところから、財産の差し押さえに関するメールが届きました。これは詐欺の勧誘ですよね？」

「3年程前に消費者金融から借りて返済できなくなった30万円の督促がきました。今は収入がないため返済できません。このまま返済しないとどうなる？」

債権回収会社からの突然の連絡。
おどろかないほうがおかしいですよね。

「もしかして、架空請求なんじゃ・・・？」

最近は、債権回収会社を装い架空請求の詐欺をはたらく不届きな輩もいますから、そう疑ってしまうのもムリはありません。

しかし、債権回収会社からの連絡をすべて詐欺だと決めつけてしまうのは、ちょっと危険かもしれません。

なぜなら、本当に未払いの料金や滞納があった場合、督促を無視してしまうことで取り返しのつかない事態を引き起こしてしまう可能性があるからです。

こんにちは。
今回、債権回収会社の実態をお伝えするため、借金の返済を滞納して債権回収会社から実際に通知を受けたことがある方に取材を行った、当サイト・ファイグー編集者の喜多沢です。

この記事をご覧になっているということは、身に覚えのない会社から支払いを命じる封書やメールが届き、不安になっているのかもしれません。

もしくは、債権回収会社に債権が委託されたことで、なにかコワい思いをするのではないかと居ても立ってもいられないのかもしれませんね。

先ほどもお伝えした通り、債権回収会社からの連絡は、架空請求詐欺の可能性があるものの、そのほとんどは実際に支払いを滞納していて、その債権が債権回収会社に譲渡されているケースです。

今回、インタビューに応じてくださった奥田さんもそのおひとり。

奥田さんは仕事と生活のために5社から借金をしたのですが、返済不能になり、借金の一部が債権回収会社に譲渡されました。

その後、急に「債権回収の業務を委託しました」なんていう通知が来たもんだから、とてもあせってしまったそうです。

奥田さんには、そこからどんな督促を受けたのか、当時のことを振り返りながら赤裸々にお話いただきました。

また、奥田さんように消費者金融やクレジットカード会社からのキャッシングをきっかけに債権回収会社から取り立てを受けることもあれば、電気代やガス代などの公共料金や携帯電話・スマートフォンの料金などを滞納してしまい、取り立てを受けるケースもあります。

こういった場合も、債権回収会社からの取り立てを無視してしまうと、財産が差し押さえられてしまう可能性があります。

絶対に無視してはいけません。

その一方で、その請求がもし架空請求詐欺なら、連絡してしまうことでむしろ詐欺被害に遭ってしまうかもしれませんよね。

届いた封書が正規のものなのか詐欺なのかわからないという場合は、どうすればいいのでしょうか？

というわけで今回は、その見分け方を、具体的に解説していきたいと思います。

たとえば、債権回収の業務って、実は法務大臣から認定を受けている会社じゃないとできないって知っていましたか？

さらに、あなたに連絡をしてきた会社が正規の債権回収会社かだれでもわかるように、認定を受けている債権回収会社のリストが法務省の公式ホームページに掲載されているんです。

つまり、このリストを確認すれば一目瞭然というわけですね。

債権回収会社から督促がきている今なら、まだ十分に間に合います。

いっしょに正しい知識を身につけ、債権回収会社に対して適切に対応しましょう。

それでは、ここから本編です！

• 目次
• 計5社からの借金を4ヶ月滞納していたら債権回収会社から封書が届いた（体験談）
• 違法な取立屋とは違う！債権回収会社の実態を徹底解説（編集より）
  • 債権回収会社は法務大臣の認定を受けた正規の業者
  • 債権回収会社の督促は電話と書面が中心
• まとめ

計5社からの借金を4ヶ月滞納していたら債権回収会社から封書が届いた（体験談）

仕入れの費用が払えなくなってアコムを利用

― 最初に借入れをされたきっかけは？

はじめて利用した業者はアコム。2011年のことです。

当時、わずかでも家計の足しになればと、委託販売の形で健康食品や清涼飲料水を販売していました。

自分で商品を仕入れて個人宅を回って販売し、その仕入値と売上金を後から精算するシステムで、月々の手取りは8万円くらいです。

はじめのうちは売上も好調でした。

でも、なぜか会社から「仕入れと売上げの数字が合わないから、差額分を払え」といわれるようになってしまったんです。

私は会社の明細と、自分の手書きの明細を都度照らし合わせていたので、間違えているはずもありません。

その証拠をもとに抗議すると、今度は「あなたが売上げに手を出したのではないですか？」と、逆に犯人扱いされてしまう始末で・・・。

― その会社に騙されていたということはないですか？

いいえ、詐欺の会社ではないと思います。

ただ過去に、「売上に手を出した社員がいた」というウワサはありました。

今から思えば、社員の中で不正をしている人がいて、私は仕入れ値をごまかされていたのでしょう。

しかし、そのときは結局うやむやにされてしまって・・・。

足りない分を翌月の売上から補填したり、貯金で立て替えたりして対処していました。

でも、塵も積もれば山となるではないですが、気づいたときにはものすごい金額になってしまっていたんです。

そんなある日、30万円を翌日までに用意しなければならなくなり、どうしようもなくてアコムから借りることにしました。

― アコムの審査はどのようなものでしたか？

無人契約機で申込んだのですが、使用目的について聞かれた時は「生活費の足しにする」と答えました。

事業者ローンだと審査が厳しくなると聞いたことがあったので、「仕事のため」と答えるのはマズイと思ったんです。

だから、職業も自営業ではなく『アルバイト』と答えましたね。

また、収入証明書として2ヶ月分の給与明細を機械に読み込ませました。

審査にはすんなり通った印象があります。

結果は金利14.5％、限度額は30万円とのことだったので、すぐに満額を借りて支払いに使いました。

アコムには、月々3万円ずつを決まった日にATMから返済する約束です。

アコムからの借入れだけでは足りず三菱UFJ銀行からもキャッシング

― アコムへの返済は順調でしたか？

どうにかアコムへの返済を続けながら働いていたのですが、さらに仕事でマイナスが積み重なってしまいます。

アコムで30万円を借りた5ヶ月後には、また支払いが厳しい状態になっていました。

そこで、今度は、三菱UFJ銀行のクレジットカードのカードローン枠を利用することにしたのです。

― なぜクレジットカードのキャッシング枠を選んだのですか？

2年半前に三菱UFJ銀行の口座を作ったのですが、その時にクレジットカードも勧められました。

当時は使う予定ではなかったのですが、一応カードだけは作っておいたんですよね。

そのカードのキャッシング枠が30万円あったことを思い出し、利用することにしました。

金利は11％くらいだったと思います。
ただ、そのキャッシング枠もすぐに使い切ってしまいまして・・・。

そこからさらに、三菱ＵＦＪ銀行カードローンのバンクイックにも申し込みました。

― バンクイックの審査はどのようなものでしたか？

アコムとそう違いはなかったですね。

職業、月収、家族構成、勤続年数、主人の年収を聞かれたくらいでしょうか。

あとは他社からの借入れですね。

アコムとクレジットカードのキャッシングで60万円の借金があることは正直に答えました。

結果、審査に通り、限度額30万円、金利は14.8％。

月々の返済は6,000円だったと思います。

これで3社から90万円の借金をしたことになりますが、ここまではすべて仕事のための借金でしたね。

医療費や生活費に困ってさらに2社から借入れ

― その後は返済に専念できたのですか？

それが・・・。

主人が病気で入院してしまいまして、その費用が21万円もかかってしまったんです。

しかも医療保険には入っていませんでした。

支払いに困り、今度はイオンカードのキャッシング枠を利用します。

イオンカードは10数年前にショッピング用に作ったカードでしたが、30万円分のキャッシング枠もついていました。

当時の金利は15％くらいだったでしょうか。

結局、入院費や生活費で、イオンからも満額借りてしまいました。

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― 生活は大丈夫だったのですか？

月々の返済額は膨らんでいく一方でした。

そこへ持ってきて、主人の勤め先も経営が厳しく、半年間給料が支払われていない状況が続きました。

家計はいつも火の車でしたね。

さらに、主人も自分名義のクレジットカードで、会社の経費を10万円単位で立て替えることがあったようです。

もちろん経費ですから、あとで戻ってくるものですが、戻るまでにタイムラグがあってキツかったですね。

― ご主人は奥さんが苦しい状況であることを知っていたのですか？

主人は私がどうにかやりくりをしていると思っていたみたいです。

もしかしたら薄々感づいていたのかもしれませんが（笑）。

私は、「主人の信用情報には傷を付けたくない」と優先して返していたので、そのぶん私のほうに皺寄せが来ていました。

それで今度は生活費のために、プロミスからも借りることにしました。2013年の5月のことです。

すでにかなりの借金を抱えた状態だったので、審査も厳しいだろうと思ったのですが、それでも20万円まで借りることができました。

金利は14％。これもあっという間に、限度額いっぱいまで借りてしまいます。

すべての返済を4ヶ月滞納！債権回収会社から通知が届く

― 今の1ヶ月のトータルの返済額はいくらなんですか？

アコムは月々の返済額を1万2,000円に減額してもらって、三菱UFJ銀行カードは1万2,000円、バンクイックも1万2,000円、イオンが2万5,000円、プロミスが8,000円、合計6万9,000円ですね。

ただ、実は今4ヶ月近く滞納している状況でして・・・。

― 4ヶ月も滞納！？業者から催促はないのですか？

業者の方が家に来るとか、そういうことはまったくないですね。

電話やメールがあるだけで、とくに激しい催促はありません。

アコムからは2週間くらい前に債権回収について一度電話があったのと、ホームページのマイページにはいろいろメッセージが届いていると思いますが、まだ確認していません。

三菱UFJ銀行も最初の頃は電話がきていたのですが、滞納してから2ヶ月目に配達記録郵便が届いてからは郵便のみですね。

プロミスはなぜか滞納をして2～3ヶ月はまったく音沙汰なしで、ここひと月くらいでようやく携帯に電話が掛かってくるようになりました。

そもそも家に電話がないから携帯に連絡するしかないのでしょうが、それも仕事中だから取れない、というか取りたくないというか。

― 裁判所からの連絡はありませんか？

それはまだありません。

ただ、イオンクレジットからは「ACSというところに債権譲渡をして、回収処理の業務を委託しました」という連絡がありました。

以前、イオンクレジットには「今は払えないので、もうちょっと待ってください」と伝えたはずなのですが・・・。

そのため、「前に今は払えないとお伝えしたじゃないですか！」とお話したのですが、後日、別の方から電話が掛かってきて、「そんなことは聞いていない！」と・・・。

その後いきなり、「債権回収の業務を委託しました」という郵便が届いたから、もうびっくりですよ。

そして、2ヶ月ほど前に、そのACSからはじめて連絡が来ました。

ちょうど電話に出られなかったのですが、留守電も残されておらず、最初はイタズラ電話かと思ったぐらいです。

ですから債権回収といっても、今のところ誰かが家に押しかけて来たりすることはありません。

― 滞納していることにあせりはないのですか？

もちろん、あせりはあります。

今は健康食品販売の仕事を辞めて、接客業のアルバイトをしています。

でも勤務時間が短く、週6回入っても月収は6万円なので、返済には到底追いつきません。

だから、正社員の仕事を探しているのですが、30歳過ぎの女を雇ってくれる会社はなかなかなくて・・・。

それに借金をしていることをまだ主人に明かしていないんです。

だから、見つからないように督促状を処分したりするのが大変ですね。

常に郵便物を気にして、誰かが取り立てに来るのではないかと気にする生活は、毎日生きた心地がしないですよ。

債務整理をしたいけど、いい弁護士に巡り合わない

― 債務整理は考えていないのですか？

考えています。もう自分の力だけではどうしようもないので。

ネットでいろいろと調べてみたら、【家族に内緒で債務整理ができる】ことがわかったのも大きいですね。

とはいえ、私は法律に関して門外漢なので、自宅から近くて、評判のいい法律事務所はないかと探してみました。

すると、なんとなく雰囲気のよさそうな弁護士事務所を発見。

さっそく相談してみたところ、「家族に内緒ではムリですよ」と冷たく断られてしまいました。

次に、相談した弁護士事務所では、「債務整理は1社あたり3万5,000円かかりますが払えますか？」と・・・。

「収入が安定してからまた来てくださいね」と追い返されました。

どちらもいい印象はありませんでしたね。

― 法テラスに相談してみては？

そうですね。

いきなり弁護士事務所を訪ねるより、まず法テラスに行くべきでしたね。

そこで私の置かれている状況を汲んでくれる弁護士さんを紹介してもらえばよかったのかもしれません。

ただ、法テラスが近くになくて、家から片道1時間半もかかるから、30分の相談のためだけに行くことに抵抗があったんです。

メールで相談しようとしても「とりあえず来てもらうしかない」という反応でしたから。

今は主人の仕事を手伝ったりもしているので、なかなか体が空かないのですが、そんな事をいっている場合ではないですよね。

もう債務整理するしか方法は残されていないと思うので、なんとかその方向でがんばってみたいと思います。

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まとめ

それでは最後に、今回の債権回収会社に関するポイントをおさらいしましょう。

• 債権回収の業務ができるのは、弁護士・司法書士・法務大臣の認定を受けた会社（＝債権回収会社）のみ
• 3つの基準を満たした会社でなければ法務大臣の認定を受けられない
  • 資本金5億円以上
  • 取締役に1名以上の弁護士がいる
  • 暴力団や反社会的組織との関わりがない
• 正規の債権回収会社は法務省のホームページで検索可能
• 債権回収会社の督促の中身はクレジットカード会社や消費者金融と変わらない
  • 電話による督促
    • 電話は基本的に携帯へかかってくる
    • 携帯への電話に応じず、期日までに返済をしなかった場合は自宅や勤務先に電話がかかってくることもある
  • 書面による督促
    • 自宅に督促状が届く
    • 滞納が長引くにつれて、届く書類が『催告書』から『差し押さえ予告書』へと変わっていく
• 債権回収会社が違法な取立てをおこなうことはない

いかがでしたか？

「債権回収を委託しました」という封書が届いたら、なにかコワい思いをするんじゃないかと不安になりますよね。

でも、債権回収会社に電話で恐喝されたり、家まで押しかけられて暴力をふるわれたりするようなことはありません。

その点は安心してください。

とはいえ、返済をしないままでいると、最悪の場合、債権回収会社から裁判を起こされたり、給与や財産を差し押さえられたりすることもあります。

奥田さんもおっしゃっていましたが、返済が難しいなら債務整理を検討しましょう。

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