こんな電話にご用心。一本の電話からはじまる恐ろしい詐欺の実態

今回は電話での勧誘からはじまる恐ろしい詐欺の実態を体験談形式で紹介していきたいと思います。

たった一本の電話がきっかけとなって、在宅ワーク詐欺と融資詐欺に計4回騙されてしまった水谷香織さん(仮名)に当時のお話をうかがいました。

なぜ水谷さんは四度に渡り騙されてしまったのでしょうか?

そこには、水谷さんの純粋さや無知さにつけこむ卑劣なやり口がありました。

騙されやすい人はもちろん、自分は大丈夫と思っている人も、詐欺被害防止のためにぜひ読んでおいてくださいね。

はじまりは一本の電話

今(2016年)から14年前の5月、フリーターで一人暮らしをしていた私のもとに一本の電話がかかってきました。

相手の女性は、ウエアハウスという社名を名乗ったと思います。

電話に出るやいなや、女性は「データ入力に興味はありませんか?」と一言。

私はパソコン業務には自信があったので、「興味あります!」と即答しました。

すると、「ご自宅で当社のデータ入力業務を請け負ってくださる方を探しています。興味をお持ちでしたらお仕事してみませんか?」というのです。

願ってもない話だったので、一週間後に近くのホテルのラウンジで会う約束をして、電話を切りました。

50万円超の教材をローンで購入

約束当日、指定されたホテルのラウンジでウエアハウスの女性と落ち合いました。

女性いわく、仕事内容は、Excelを使った入力業務・Wordを使った入力業務・ビジュアルベーシックを使ったウェブページの作成の3種類。

報酬は はっきりと覚えていませんが、「これぐらいならやってみたい」と思える金額でした。

私は改めて仕事をしたいと伝えると、女性から、「仕事を始める前にExcel・Word・ビジュアルベーシックのテストを受けていただきます」という説明がありました。

そのテストをクリアしないとお仕事できないというのです。

また、テストを受けるにあたって教材が必要で、その値段は50万円とのこと。

私はもともと、Excel・Word・ビジュアルベーシックは得意だったので、「教材はいりません」と伝えたのですが、「あとで必要になりますから」と説明され、結局、教材を購入することに。

一括払いはとても無理なので、先方の勧めるままにローンを組むことにしました。

その場でローンの申込書に記入します。

60回払いで、毎月の支払額は1万円程度だったと思います。

なお、ローンの会社はそのとき初めて目にする社名だったので、中小の会社だったのだと思います。

未使用なのに返品できない!?

数日後、自宅に教材が届きましたが、開封せずに放置し、ウエアハウスのテスト(Excel・Word・ビジュアルベーシックのテスト)を受けることになりました。

ExcelとWordのテストは、指定された文書や表の作成、ビジュアルベーシックのテストは、提示された画像と文書を入れたフラッシュ付きのページを作るという内容です。

制限時間は1つのテストにつき50分でしたが、思ったより簡単な内容だったので、1時間ちょっとですべて終了。

結果は一発合格です。

教材を使わず合格できたので、ウエアハウスに電話し、返品したいと伝えたのですが、「あとで使うことになりますから」と返品を拒否されてしまいました(※1)

試しに教材を開封して中身を見てみたら、書店で売っているマニュアル本をショボくしたような内容でがっかり。

CDもついていましたが、こちらもレベルが低く参考になりませんでした。

※1
今回のように、「仕事を紹介するが、仕事をしてもらうためにはこの商品・サービスが必要」などといって商品を販売する方法は業務提供誘引販売取引と呼ばれます。この場合、契約書を受取った日から20日以内であればクーリングオフが可能です(契約を解除して商品を返品し、返金してもらうことができます)。今回のケースで水谷さんは、そもそも契約書を受取っていないので、たとえ20日が過ぎていてもクーリングオフできます。また、こちらが返品を希望した際、ウエアハウスは「教材は後々必要になる」とウソをついて返品を拒否しています。このように、ウソをついてクーリングオフを阻止しようとした場合も期限に関係なくいつでもクーリングオフできます。

今度は「サーバーが必要」と言われ78万円のローンを組む

テストに合格してから1週間が経過しても、一向に仕事を紹介してもらえる気配はありませんでした。

そんななか、ウエアハウスから委託を受けているという別会社(社名がわからないのでA社とします)から電話がかかってきます。

A社の担当者いわく、「個人情報保護のために専用のサーバーが必要になります」とのこと。

そして、サーバー使用料として78万円が必要だと言われたのです。

サーバー使用料の相場はわかりませんが、78万円はさすがに高額です。

私は悩みましたが、「何千枚という名刺入力を請負うこともあるので、膨大な個人情報を守るためには特殊なサーバーが必要になるんだろう」と勝手に納得。

担当者にも、「この契約を結ばなければお仕事を紹介できません」と言われ、結局、ローンを組むことになってしまいました。

数日後、近くのファストフード店でA社の担当者と会い、そこでローンの申込書に記入します。

今回はOローンで、60回払い、金利4%、毎月の支払額は1万4,000円程度でした。

募集は月1~2件のみ!一向に仕事ができず

これで合計130万円弱のローンを組んでしまった私は、「仕事をたくさんして元を取るしかない!」とやる気に燃えていまいした。

ところが、肝心の仕事は月に1~2件しか募集がありません。

ウエアハウスのホームページにお仕事の情報が掲載されるので、毎日チェックしていたのですが、募集がわずかなため、いつも他の人に先を越されてしまい、気付いたときには募集は締めきられている状態。

結局、いつまでたっても仕事はできませんでした。

「サーバーの契約を解除できる」という話をうのみにしてしまい...

結局、一度もウエアハウスでお仕事しないまま2年半が経過。

そんなある日、また別の会社(社名がわからないのでB社とします)から電話がかかってきました。

B社の担当者いわく、「サーバー使用料の契約を解除できます」とのこと。

当時、サーバー使用料のローンの残債は約40万円でした。

「サーバーの契約を解除すれば残りを支払わなくて済むのか」と思った私は、その話に食いつきます。

しかし、担当者いわく、「サーバー解除料は形のないものなので、その名目ではローンを組めません。別の買い物をしたことにしてローンを組み直す必要があります」とのこと。

こうして、担当者に言われるまま、宝石購入の名目で72万円のローンを組むことになってしまいました(実際に宝石を購入したわけではありません)。

もともとサーバー使用料のローンの残債は40万円なのに、それを解除するため新たに72万円のローンを組むなんて、今思えば意味不明ですが、このときは担当者のたくみな話術にのせられてしまったのです。

数日後、近所のデパートの喫茶店でB社の担当者と待ち合わせました。

そこで、ローンの申込書に記入する予定だったのですが、担当者が用紙を忘れたため、申込みはB社に任せることに。

肝心のローンは、60回払いで金利14%。

毎月の支払額は1万7,000円ほどでした。

消費生活センターへ相談してローンの解約に成功

後日、B社に言われて組んだローンの申込書の控えが郵送されてきました。

今思えばおかしな話ですが、私はB社に住所などの個人情報を伝えていないのに、申込書には私の名前、住所、電話番号などが正確に記入されていたのです。

私はふと思いました。

本来、ローンの契約時の署名は申込者本人行わなければなりませんが、今回はB社の担当者が代わりに署名しています。

私は、「署名が本人でないことを理由にこのローンを解約できるのでは?」と思い立ちました。

早速、ローンの申込書の控えを持って消費生活センターに行き、「勝手にローンを組まれた」と話をします。

対応してくれた消費生活センターの担当者は、「名前や言葉など、3パターンの文字を書いてみてください」と言い、私にペンを差し出しました。

言われた通りに文字を書き、担当者に見せたところ、「ローンの申込書と明らかに違う筆跡」と認めてくれました。

そして、担当者がその場でローンの会社に連絡したところ、解約が認められたのです。

すでに支払済みのものは返金されませんが、以降の支払いは取消してもらうことができました。

しかし、もともとのサーバー使用料のローンはその後も解除されることなく、支払いは続いています。

結局、ウエアハウスで一切仕事をしないまま、教材(50万円)とサーバー使用料(78万円)のローンを払い続けることになったのです。

一本化ローンで再び詐欺に遭う

当時、インターネットにアクセスすると、「一本化」「借り換え」「おまとめローン」という文言をよく見かけました。

私は毎月2社に計2万4,000円程度を支払っていましたが、もっと負担を減らしたいと思い、「ローンを一本化しよう」と思い立ちます。

ネットサーフィンをしていると、たまたま見かけた広告に「金利2.5%」との文字が。

金利に惹かれた私は、早速その会社(C社とします)に問い合わせをしました。

すると、「まずは返済実績をつくる必要があるから、指定する消費者金融で50万円ずつ借り、当社に送金してください」というのです。

支払いはどうなるのか尋ねたら、「支払いは当社で請け負います」とのこと。

私は一本化や借り換えについて全く無知だったので、言われるままに大手の消費者金融3社から50万円ずつ借入れ、C社に送金してしまいます。

金利はいずれも18%程度と高金利でしたが、自分が払うわけではないので気にしていませんでした。

ところが、約1ヶ月後、消費者金融の一社から支払いを催促する内容の書類が届きます。

驚いた私は、どういうことかわからないままATMに行き、1回分(約9,000円)を支払いました。

念のため、他の消費者金融に確認すると、同じく未払いということだったので、それぞれ1回分(約9,000円)を支払います。

ここではじめておかしいと思った私はC社に電話したのですが、すでに連絡が取れず不通になっていたのです。

お金を取り戻すことはあきらめ破産

毎月の支払額が膨らみ、とうとう支払いが難しくなってきました。

そこで、当時、働いていたキャバクラのお客さまに思い切ってC社のことを相談してみました。

すると、そのお客さまから「それって詐欺じゃないの?」と言われたのです。

まさか自分が詐欺に遭っているとは思いませんでしたが、馴染みのお客さまのアドバイスなので、参考にしようと思いました。

法テラス(※2)なら無料で相談できるとのことだったので、一度相談してみることにしたのです。

法テラスでは、弁護士に話を聞いてもらいました。

C社のことを一通り話すと、弁護士に「借金の状況をすべて教えてください」と言われたので、ウエアハウスからA社、B社までの経緯をすべて話します。

すると弁護士が衝撃の事実を口にしました。

なんと、ウエアハウスもA社もB社もC社も、すべて詐欺だったというのです(※3)

一連の業者がすべて詐欺業者だったと知り、私は愕然としました。

悔しい気持ちはありますが、お金を取り戻すよりも毎月の支払いをどうにかしなければならなかったので、相談の末、破産(※4)の手続きをとることにしました。

破産手続きは3ヶ月ほどで無事終了。

無事免責も下り、残っていたローンの支払いはすべて免除されました。

ちなみに、破産の手続き費用は、トータルで15万円ほどかかりました。

※2
法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した法的トラブルに関する総合案内所です。現在は、「申込者およびその配偶者の収入・資産が一定以下」などの一定の条件を満たせば、30分×3回まで、無料で弁護士に相談することができます。法テラス「無料の法律相談を受けたい」
http://www.houterasu.or.jp/nagare/faq/index.html#step2

※3
ウエアハウスとA社は、典型的な在宅ワーク詐欺でした(在宅ワーク詐欺の詳しい解説はこちら)。いずれも「これから紹介する仕事のために必要」と騙し、商品やサービスを購入させます。しかし、被害者が実際に仕事をして収入を得ることはありません(わずかに仕事をして収入を得るケースもあります)。また、B社のケースは在宅ワーク詐欺から派生した詐欺で、二次被害といえるでしょう。C社は典型的な融資詐欺です(融資詐欺の実体験はこちら)。「返済実績をつくるため」などの名目で、被害者に他社から借入れするよう指示し、その借りたお金を入金させるのです。当然、その返済は被害者自身が負うことになります。

※4
破産手続きを行うと、所有財産のほとんどを借金の返済にあてることになります。それでも借金が残ってしまった場合のみ、裁判所の判断で借金がなくなります(免責といいます)。

すぐだれかに相談することが大事

私は今回、何度も詐欺に遭ってしまったわけですが、途中で「なんか変だな」と感じても特にアクションを起こさず、相手の言うとおりにしてしまいました。

もっとはやくだれかに相談していれば、結果は変わっていたでしょう。

私のように、自分で考えたり調べたりするのが苦手な方は、「おかしいな」と思ったらまず誰かに相談してください。

そもそも、仕事をする前から数十万円の費用を要求されることは、通常ありえません。

何事も「お金を要求されたら疑う」というクセをつけるようにしてください。

余談ですが、あれから10年以上経った今でも、たまに「データ入力の仕事をしませんか?」という電話がかかってきます。

おそらく私は、詐欺業者の顧客名簿(カモリスト)に載っているのでしょう。

さすがにあの一件以来、騙されることはなくなりましたが、いまだに電話がかかってくるのは驚きです。

※下記では、詐欺についての対処や体験談を紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
詐欺の被害事例と対処法のログ(記事)一覧
詐欺でお金に困った体験談のログ(記事)一覧

おいしい話には裏があるから、だまされないように注意してね!

えっそうなの? メープルシロップの裏話ってどんなんだろう?

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