ついに自己破産を裁判所に申し立てに行きました

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自己破産の申し立てをするために、書かなければならない書類を全て書き終え、何度も読み直し確認を終えた私は、翌日に裁判所に行こうと決めていました。

妊娠中でお腹も目立つほど大きくなっており、万が一何かあって入院にでもなったら更に申し立てをする時期が遅くなってしまうからです。

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この記事のアドバイザー情報

  • soraki住宅ローン業界の従事者

    宅地建物取引士の不動産営業として、新規マンション企画の立ち上げから物件引渡まで、住宅販売全般を業務としています。ローンに関しても金融機関と情報交換をこまめに行いながら、お客様により良い住宅の提供ができるよう日々接客を行っています。

自己破産のイメージ

私の中で「自己破産」というと、当然イメージは良いものではなく、会社が倒産してしまった社長などがするものだと思っていたので最初はあまりピンときませんでした。

噂では、今持っているお金になりそうなものは全て差し出し、選挙権も無くなる。

借金は何十年もできない。

色んな人に破産者だと知られる。

と聞いていました。

ですが、裁判所にあった担当者に渡されたパンフレットを読むと私の知識が間違っていたことを知りました。

自己破産では選挙権は無くなりません。

確かに今保有している家や車などは売ってお金にし、返済にまわすことになりますが、その時の私は家も無ければ車も持っていません。

住む家も無かったのですからお金に換えられる物がない人はそのままなのです。

官報に名前は載るのでしょうが、それは閲覧しようとしなければ見られないもので、通常は他人に破産者だとは(本人が言わない限り)わからないようです。

借金はもちろんできませんが、私はできない方が良いと思いました。

また困った時に簡単にお金を借りてしまいそうだから。

それでは何の解決にもなりません。

もう、ローンは組めない。全て現金で生活していかなければならないとなれば、どうしたって我慢しなくてはなりません。

本当に必要な物だけを買うという意識も高まります。

そして、それと同時に世の中では私と同じように借金問題に苦しみ、破産や債務整理をしている人が多いということも知りました。

ただ、ギャンブルや自分の欲を満たすためだけに借りたお金の場合、破産の申請はできないことも知りました。

いよいよ自己破産に向け行動を起こす

自宅に帰った私は、これらのことをふまえた上で、もう一度義父と実母と相談することにしました。

そして、親や親せきからもお金を工面してもらえる状況ではなく、私自身も返せずどうにもならないということで自己破産の申請をすることに決めたのです。

裁判所から「一応、渡しておきますね」と言われ頂いた破産申し立ての用紙をすぐに記入することにしました。

私にも、義父と実母の所にも債務者からの電話が日に一度はかかってきており、親に迷惑をかけていることに耐えられなかったのです。

「1日も早く解決したい!」

そう思って何枚もの書類を書き始めました。

書類には、借金の総額をはじめ、どこからいくら借りたのか、それはいつなのか、何の為に借りたのか、借金をした時の収入はいくらだったのか、当時の住まいの家賃はいくらだったのか、食費はいくらかかっていたのか...などなど書かなければならないことが山のようにありました。

そして、両親や兄弟はどこにいるのか、どんな職業なのかまでも書き、とにかく現在は誰からも助けてもらえず破産しか方法が無いという状態を細かく書かなくてはなりませんでした。

借金を繰り返していた時期のことは毎月返済のことだけで頭がいっぱいだったので、しっかり覚えていないこともありましたが、これしか方法が無いのだと思い、慎重に書いていきました。

そして、なんとか全てを書き終え、借金に関する書類(契約書や振込した返済分の領収書など)と一緒にまとめたのです。

いよいよ破産申し立て

そして、再度義父に付き添ってもらい、裁判所へと向かいました。数日前に裁判所からもらっていた「破産申し立ての手続きについて」というパンフレットを見た時に申し立ての際の費用は約15,000円程度と書いてありました。

収入印紙を買って納付するのだそうです。

費用も捻出できない...

もう、私には現金が手元にほとんど無い状態でした。なので、実母からなんとか捻出してもらい、15,000円を持参したのです。

申し立てる費用も用意できない...なんと情けないのだろうと自分に腹が立ちました。

そして、裁判所に入り以前の担当者の方へと案内してもらい、先日対応してくれた担当者に「自己破産の申し立てをします」と話し、書類を提出しました。すると「では、収入印紙を購入して来て下さい」と言われ裁判所の近くの郵便局で購入するよう言われました。

約15,000円ほどの収入印紙を購入し、書類に貼り付けました。

また先ほどの担当者の所に戻り、収入印紙を貼った書類、借入していた時の契約書や返済した時の領収書などをまとめて提出しました。他には、私の預金通帳のコピー(現在、預金はほとんどないという証明の為)も提出しました。

自己破産の申し立ての収入印紙について

一般的には、破産申立手数料の収入印紙税は1,500円です。その他の予納金や切手代まで含めると、費用の総額は1万円を超えるでしょう。

soraki(住宅ローン業界の従事者)

裁判所担当者の対応に戸惑う...

担当者は、中身を確認し

「 はい、これで大丈夫ですのでお預かりします。こちらで確認し、調査したあと1~2ヶ月ほどであなたに裁判所へ来るよう、呼び出しの郵便を送ります。その呼び出しされた日時にまたおいで下さい。本日より債務者への支払いはストップして下さい。取り立ての電話も一時中断されますので、かかってこなくなるはずです。では今日はこれで結構です。」

と早口に言いました。

私は、正直戸惑ってしまいました。

本当に書類を出しただけでいいのかと...。これから確認と調査が行われるとしても、もっと色々なことを根ほり葉ほり聞かれると思っていたのです。

自己破産なんてそんな簡単ではない。そう勝手に思い込んでイメージを膨らませてしまっていたのでした。ですが、緊張からは少し解放されました。

取り立ての電話も一旦止まるということで、親に迷惑がかからなくなると安心しました。

頭の中の「借金」という大きな大きな黒い文字が少し薄くなったような気がしました

裁判所からの呼び出し

1~2ヶ月後に呼び出されるということで、それまでは特に何かするわけでもなく、とにかく出産を目前に控えていたのでただおとなしく過ごしました。

1ヶ月ほどで自宅に郵便が届き、1週間後に裁判所へ来て下さいということが書かれていました。

内容をよく読むと、提出した書類に間違いなどが無いか確認するというようなことが書かれていました。

私はカレンダーをめくり、裁判所へ行く日に大きく「裁判所」と書きました。その日は私の借金がどうなるのかが決まる大事な日になったのです。

出産間近...新たな不安

私はこの頃既に臨月に入っていました。

いよいよ裁判所に行く日になり、私は大きなお腹をかかえて義父と裁判所へ行きました。

「何を言われるんだろう?」
「何を聞かれるのだろう?」
「何故返せない借金を繰り返した?と罵られるのだろうか?」
たくさんの不安が一気に押し出してきました。

私は大きなお腹で裁判所に入るのがなんとなく悪いことをしているかのように思えてしまい、お腹を隠すようにして裁判所へ入って行ったのを今でも覚えています。

今まで2回裁判所に行きましたが、この時が一番緊張していたような気がします。確かに、ギャンブルなどで作った借金ではなく、生活費のための借金でしたが、「やりくりの仕方が悪かったのでは?」と言われれば返す言葉はありません。

借金の重み

私の借金の総額は130万円

車を買ったくらいの借金でしかないのかもしれません。でも、子供を抱えて今すぐ働けない状態の私にはとても重い大きな金額だったのです。

自己破産をすれば、ローンは組めなくなりますし、借金もできなくなります。クレジットカードを作ることすらできません。

手元に現金が無ければ、どんなに必要なものがあったとしても買うことはできません。また、急に重い病気にかかってしまったときは、その治療費もまかなえないかもしれません。

そんなこれからのことに思いを巡らし、不安に思いながら、裁判所の待合室で待ちました。

待合室では...

私の他にも、私と同じように待っている方が数人いました。その方々もなんらかの債務整理の手続き中なのでしょう。1人1人順番に呼び出され、別室で話し合いが行われているようでした。

年配の男性、少し若い男性、中年夫婦...

私のような若い女性、まして大きなお腹をしている女性はいませんでした。

なんだか恥ずかしくなりました。きっと周りの人は「この人、どうしたんだろう」と思っているに違いありません。

早く呼ばれて中に入りたい。そう思いました。みんな沈んだ表情で自分の名前が呼ばれるのを待っていました。

いよいよ自分の名前が呼ばれた!

ついに私の名前が呼ばれ、1人で中に入っていきます。

まず、目の前の椅子に座るよう促され、すぐに担当の人が話し始めました。

「先日、自己破産の申し立てをされましたので、申立書と現在のあなたの状況に相違がないか確認します。」

「はい」

不安だった質問の内容とは?

その後の質問は、

「借金は生活に困り、借りてしまったことに間違いはないですか?」

「ギャンブルは全くしていなかったということで間違いないですか?」

「現在、借金が原因で離婚もされ、1人で出産を控えているのですぐに借金は返せない状態であることに変わりはないですか?」

「身内や親せきなどにも借金を肩代わりしてくれる方はいないということで間違いないですか?」

そんなようなことを5つほど質問され、正直に全て答えました。

すると担当者は、「わかりました。申し立てした時の状態と変わらないのですね。1~2ヶ月後に裁判所からあなたに免責もしくは申し立てを受理できませんという決定の書類が送られてきます。免責という決定がおりれば借金を支払う必要はありません。良いですか?」と言いました。

私は「はい。」とだけ答えて部屋を出ていきました。

正直、免責という言葉の意味がよくわかっていなかったのかもしれません。

ですが、読んで字のごとく、「借金を払う責任から免れる」という意味なのです。免責がおりなかった場合は、また別な方法で債務整理するか、借金を地道に支払っていくか...ということになるそうです。

免責がおりなかったら、私はどうすればいい?!

免責がおりなかったら、その時こそ私はどうしたらいいのだろう?

子供2人を抱えて就職口を探し、生活だけできっといっぱいいっぱいなのに借金が返せるのだろうか?もう祈るようにずっと、「免責」がおりますように...と願っていました。

借金の問題が無くなれば、自立した生活を送れるようになる日はきっと早くなります。だから前向きに私がしっかり子供を育てていくためにどうか今だけ助けて下さい。そんな風に思って裁判所を出ました。

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