更新日:2020/03/28
借入件数42件、借金1,200万円の自己破産手続き。審査に通るのか?
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夫と義父の失業をきっかけに家族で起こした会社。その資金繰りのために私は多額の借金を背負ってしまいました。結果的に私も夫も自己破産することになったのですが、私は借金や義父母のプレッシャーによりうつ病になってしまったのです。結局、病気のせいで夫とも離婚し、母子家庭で生活保護を受けることに・・・。今回は、そのときの様子を体験談形式でお伝えしたいと思います。
前回のあらすじ
うつ病が進行し、私は廃人のようになってしまいました。
ただ、返済のことなど、もう夫に全て任せるには限界があったので、私はひとり暮らしをはじめて自分の返済は自分でやることにしました。しかし、その結果的に家族3人バラバラに暮らすことになってしまったのです。
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自己破産には大金が要る?
私はこのとき、ようやく「借金をなんとかしなければ!」と強く思いました。
それも、今のように自転車操業を続けるのではなく、根本から解決しなければいけないと思いました。
借金がなくなれば自分の病気が治り、また元のように元気に楽しく生活出来る!と思ったのです。
このときはじめて、自己破産を考え始めたのです。
ただ、当時の私の自己破産についての知識(思い込み?)は・・・
自己破産=弁護士先生の力が必要=大金がいる
これだけです。
当然ですが、そのときの私には弁護士先生にお願いするお金なんてありません。
仕事で使っていたパソコンで調べると、やはり自己破産には多額な費用がかかるという事。
"どうしよう。どうしたら良いのだろう・・・"
それから数週間悩み続けました。
モウロウとしているので、考え始めると眠っている。
こんな状況が数週間・・・
そして私がたどり着いたところは区役所でした。
私が1人暮らしをしていたところは市外だったのですが、住民票はそのままにしておいたので、住民票がある区役所の無料相談です。
区役所に電話をして聞いてみると、毎週水曜日だけは予約をすれば弁護士先生に30分間、無料で相談出来るというのです。
私は、その電話で予約をしました。
ただ扱っている内容が自己破産だけではないので、予約がいっぱいで、取れた予約は1ヶ月後ぐらいだったと思います。
区役所の無料相談で話を聞いてみる
そして待ちに待った相談の日。
予約時間の10分ぐらい前に着き、区役所の職員さんに案内され、弁護士先生の居るところまで連れて行かれました。
前の相談者が少し長引いていました。
私は、30分しかないので質問や話したい事を忘れない様にメモして行き、待っている間何度も読み直していました。
- まずは、状況を話す
- そして、この状況を回避するにはどうしたら良いのか聞く
- 仮に自己破産という事になると、どれぐらいの期間がかかり、いくらぐらいかかるのか?
最低限、この3つのことは話そうと思っていました。
そして、いよいよ私の番。
「どうぞお入り下さい。」と言われたので、
「失礼します。」とドアを開けました。
そこに座っていたのは、女性の弁護士先生でした。
私は時間が無いので、椅子に腰かけたと同時ぐらいに話し始めました。
弁護士先生の顔はどんどん険しくなっていき、一瞬、区役所では話してはいけない事だったのかと思いました。
私がほぼ全てを話し終えた頃、弁護士先生からお答えがかえってきました。
「森村さん、いくら家族の為、会社の為と言っても個人名で借りてしまったら、個人の信用問題になるんですよ。確かにあなたの様な方はたくさんいますが、それがそもそもの間違いなんです。自己破産はお勧め出来ませんが、だからと言って返済出来ないのであれば、致し方ないですね。ここではこれ以上のご相談はお受け出来ませんので、市で行っている30分無料相談の方へ行って下さい。」
と、その弁護士先生は、市の弁護士会の電話番号を教えてくれました。
最近は法テラスがありますが、当時はそのような機関はありません。私は市の弁護士会へ相談してみることにしました。
アパートに戻り、早速電話すると無事予約が取れ、相談の日時は2週間後に決まりました。
市の弁護士会へ相談してみることに
やがて2週間が経ち、また相談の日がやってきました。
私は既に1人で公共交通機関を使えないぐらい体が弱っていましたので、今回の相談は友人に頼み車で乗せて行ってもらいました。
向かった先は裁判所のような1室。
細かく分かれている部屋がいくつもありました。
昔の建物で、中は少し薄暗くて、まるでドラマで見る警察の取り調べ室みたい所でした。
担当の弁護士先生は男性。
中年ぐらいでした。
区役所と同じようにメモを持って行き、話しました。
その弁護士先生は、
「債務整理と自己破産という方法しかありませんね。どちらにするか決めて下さい。」と言うのです。
私は債務整理と自己破産の違いすら知らなかったので、お尋ねしました。
きちんと説明をして下さり、十分納得出来ましたが、その場では決める事が出来ませんでした。
どちらも、早急に所有財産を処分しなければいけなかったからです。
私の所有財産は車1台だけでしたが、まずはそれを売らなければならないというのです。
困りました。公共交通機関を使えない私は車を売ってしまったらどうやって病院へ行けば良いのだろう?ととっさに考え、その場では決められなかったのです。
それと、もう1つ。
お金の問題です。
先にも述べましたが、債務整理にしても自己破産にしても費用がかかります。この費用をどうやって用意するかという問題です。
私が言われた金額は、
着手金:30万
成功報酬:50万
合計:80万円
その場で決められなかった私に弁護士先生はご自分の名刺を差し出し、
「ここでの相談はこれ以上お受け出来ませんので、債務整理・自己破産をするのであれば、ここにご連絡下さい。」
名刺にあった連絡先は、その弁護士先生の所属している事務所でした。
ついにスタートした自己破産!
弁護士会に無料相談に行った翌日、主人が仕事から帰ったであろう頃に電話をし、相談しに行った事、内容などを話しました。
すると、主人は
「そんなにかかるのかぁ・・・どうしようかなぁ・・・そうだなぁ・・・」と散々考えていました。
「無理なら払っていかないといけない・・・」
私は主人がお金の工面をする方向で考えているのがわかり、これ以上無理をさせる訳にはいかないと思ったので言いました。
すると主人は、
「なんとかするしかないだろう。」
と言ってくれたのです。
この時の主人は、仏様のように思えました。
それから私名義の車を処分しました。
そしてそれ以降、私の通院用の車は、法人名義の大きな車となりました。
個人で自己破産する場合、その本人以外の名義であれば問題ありませんし、自己破産後であれば、個人名で購入(現金で)する事は出来ます。
それから着手金も主人が用意してくれたので、弁護士先生から頂いた名刺の電話番号に連絡し、その先生に会う予約を取りました。
ここからようやく自己破産が始まったのです。
借金総額はなんと1,200万円!!
まず、弁護士先生に着手金30万円を支払いました。
その後、先生から「借入先のリストを自宅で作り、出来上がったらまた提出しに来てください。」と言われたので、その指示通りリストを作りました。
借入件数は42件ほどでした。
そして、そのリストを提出しに行くと、
「本来なら、自分で借入先に連絡をし、自己破産をする事を伝えてもらいますが、精神病と診断されている森村さんには出来ないと思うので、私が代わりに行います。」と言われました。
そのリスト上の借入先全部に先生が連絡を取り、残債が記されている書類をそれぞれの会社から集め、内容証明を送ったそうです。
その残債の総額、1,200万円。
先生は「よくここまで借りる事が出来ましたねぇ・・・」と呆れていました。
死にもの狂いで集め、気が付いたらこうなっていた雪だるま式の借金。総額を聞いて自分でも驚きました。
それからも、自己破産の書類を作成するために、何度も先生に呼ばれて弁護士事務所へ出向きました。
陳述書を作るために、借金をした理由、借りたお金の使い道(1件ずつ)、どのようにして借り続けたか・・・などを聞かれました。
思い返しながら話をするのはとっても辛くて、何度も話しながら泣いている自分がいました。
そして自分でも書類を揃えなければなりません。
戸籍謄本、住民票、通帳の写し、給与証明など・・・
それを全て先生が調査し、隠し財産などが無いかチェックします。
全て揃った時、先生から
「それでは、これから申立てをしてきます。1~2ヶ月ぐらいすると地方裁判所で面談がありますので、面談の日時が決まり次第、御連絡します。」
と言われ、自宅待機となりました。
ついに面談の日・・・!
そして3週間ぐらい経った頃、先生から連絡が来ました。
「森村さん、○月×日の午前○時に面談となりました。面談の前に少しお話をしたいので、30分ぐらいまえに○○裁判所へ来て下さい。」
思いのほか早かった面談ですが、生まれて初めての事。
借金が綺麗に無くなることよりも、どういう人が裁判官で、何を言われるのか物凄く不安でした。
面談当日。
弁護士先生に言われた通り、30分前には裁判所の前に着きました。
既に先生はいらっしゃり、
「おはようございます。早速ですが、打合せをしましょう。」
と言って、裁判所内に設けられている控室の様な所へ案内されました。
そして打合せ。
「森村さん、裁判官に何か聞かれたらすぐに答えて下さい。聞かれる内容は今まで私が森村さんに聞いてきた事ですので・・・ただ、最後に必ず、『二度と致しません。反省しています。』と言って下さい。 」
と先生に言われました。
いよいよ時間です。裁判官が待つ別室へ入りました。
そこは取り調べ室よりも、ほんの少しだけ明るかった気がします。
裁判官は男性でした。先生よりもう少し年齢はいっていましたが、中年の方でした。
質問された内容は、弁護士先生に聞かれた事とほぼ同じでした。借金の総額や、そのお金を何に使ったか・・・
最後に、
「同じような事はもうしてはいけません。宜しいですね?」
と聞かれ、
「はい。もう二度と致しません。」
と答えました。
あっという間に面談が終わりました。
時間にすると約10分ぐらいだったと思います。
退室し、出たところで弁護士先生が、
「今日はお疲れ様でした。これより裁判所で簡単な審査があり、それに通ればやっと破産手続きが開始されます。またご連絡します。」
とおっしゃいました。
「破産手続きは、これからなんですか?」
と思わず聞いてしまいました。
これだけ色々とやってきたのに、まだ開始されてないとは思いませんでしたので・・・
先生は、
「そうです。まずは審査に通過しないと開始出来ないんですよ。まぁそれだけ大変な事をしてしまったという事で処罰を受けるのですから・・・」と。
「わかりました。またご連絡お待ちしてます。」
そういって先生と現地で解散し、帰宅しました。
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この体験談の目次
- 1話多額の借金を抱えて自己破産!ストレスでうつにもなった私の壮絶人生
- 2話うつ病で廃人のようになり、家族3人バラバラに暮らすことに
- 3話借入件数42件、借金1,200万円の自己破産手続き。審査に通るのか?
- 4話ついに免責許可がおり、自己破産完了!さらなる試練のはじまり
- 5話ついに離婚、家庭崩壊へ。主人と義母の顔が重なり限界でした。
- 6話母子家庭となり、生活保護の受給申請。新生活のスタート
- 7話生活保護中に申込んだクレジットカード。奇跡的に審査通過!
- 8話自己破産、うつ病、生活保護受給、今回の経験を通して学んだこと
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自己破産って処罰なの?