生活保護が認められない事例まとめ。所有していいもの、ダメなもの

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今回のテーマは生活保護。

特に「生活保護の審査」について徹底的に解説していきたいと思います。

生活保護は誰でも受給できるわけではありません。

一定の基準を満たしていないと、審査に落ちてしまうわけですが、実はこの基準、公開されていないんですね。

そのため、本当にお金がなく、困窮している人が生活保護を受けられないという問題が起こっているんです。

たまにニュースや新聞などでも取り上げられています。

そこで今回は、その基準を徹底して調べ上げることにしました。

お話を伺ったのは、生活保護申請の現場を知る、

厚生局(厚生労働省の支局)の元職員Aさん、福祉事務所(東京都)の元職員Bさんです。

  • 審査に落ちる人の特徴
  • お金はいくら持っていても大丈夫なのか?
  • 車を持っていてもいいのか?
  • 家族がいても生活保護を申請できるのか?
  • 年金受給者でも申請できるのか?

主にこのようなことをお話いただきましたので、これから生活保護の申請をされる方は、ぜひ事前にこちらをお読みになって、万全の状態で審査に臨んでくださいね。

この記事の編集者情報

  • 木村 澪子私が編集者です!

    テレビ・雑誌等の取材歴15年。ファイグーではお金の話をわかりやすく、よりリアルにお伝えするために、背景や当事者の気持ちに寄り添う取材を心がけています。銀行マン、証券マン、利用者などからぶっちゃけたお話を聞くにつけ、「消費者も賢くならなければ…」と痛感する日々です。家族は夫・娘・ザリガニ2匹。

生活保護を受けるための条件

まずは、生活保護受給の条件を確認しておきましょう。

原則として、次のような条件にあてはまる世帯は生活保護を受けられます。

  • 1世帯収入(※1)が最低生活費以下
  • 2預貯金・現金・保険・土地・家・車などの財産がない
  • 3援助してくれる家族・親族(親・子・配偶者・兄弟)がいない
  • 4病気などの理由があって働けない
  • 51~4のことを書類で証明できる

※1
ここで言う収入には、働いて得た賃金の他、車や家など何かを売って得た収入、相続したお金、保険金、年金、失業保険などの手当、退職金など、ありとあらゆる収入を含みます。

最低生活費とは?

世帯収入が最低生活費以下でなければ、生活保護の対象になりません。

最低生活費(生活保護基準)とは、憲法が定める「最低限の生活」を営むために必要な生活費のことです。

最低生活費は、世帯の人数、年齢、居住地などによって異なります。

最低生活費はどうやって計算するの?

自分の世帯の最低生活費を調べたい場合、次の手順で計算していきましょう。

1.厚生労働省のホームページで級地を確認する

下記のページのうち、「お住まいの地域の級地を確認」から級地を確認してください。

厚生労働省「生活保護制度」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

2017年現在のものは下記のページで確認可能です。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/29kyuchi.pdf

例)
東京都23区の場合の級地は「1級地-1」

2.厚生労働省のホームページを参考に、生活扶助費を計算する

下記のページのうち、「生活扶助基準額について」を確認してください。

厚生労働省「生活保護制度」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

2017年現在のものは下記のページで確認可能です。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/kijun29.pdf

ここからわかる情報を使って、下記の手順で生活扶助費を計算してください。

(1)生活扶助基準を計算する

まずは、下記の手順で生活扶助基準を計算してください。

「生活扶助基準(第1類)」の「基準額」のうち、世帯内の人にあてはまる金額を確認し、すべて合計する...
例)「1級地-1」の65歳の夫婦2人世帯なら、37,150+37,150=74,300円

「逓減率」のうち、自分の世帯にあてはまる数字を確認する...
例)「1級地-1」の2人世帯なら1.0

「生活扶助基準(第2類)」の「基準額」のうち、自分に世帯にあてはまる金額を確認する...
例)「1級地-1」の2人世帯なら49,460円

×)+が、生活扶助基準です。

(2)生活扶助基準を計算する

また、下記の手順で生活扶助基準を計算してください。

「生活扶助基準(第1類)」の「基準額」のうち、世帯内の人にあてはまる金額を確認し、すべて合計する...
例)「1級地-1」の65歳の夫婦2人世帯なら、38,990+38,990=77,980円

「逓減率」のうち、自分の世帯にあてはまる数字を確認する...
例)「1級地-1」の2人世帯なら0.885

「生活扶助基準(第2類)」の「基準額」のうち、自分に世帯にあてはまる金額を確認する...
例)「1級地-1」の2人世帯なら50,180円

×)+の合計が、生活扶助基準です。

(3)生活扶助基準から生活扶助費を出す

生活扶助基準を比較して、生活扶助費を計算しましょう。

生活扶助基準 < 生活扶助基準×0.9 のとき生活扶助費は生活扶助基準×0.9(※2)

生活扶助基準 > 生活扶助基準×0.9 のとき生活扶助費は生活扶助基準(※2)

※2
母子家庭、身体障害者がいる場合、3歳未満の児童がいる場合、妊婦がいる場合などは別途金額が加算されますが、ここでは省略します。

3.厚生労働省等のページを参考に住宅扶助費を確認する

下記のページから、住宅扶助費を確認してください。

http://www.kaigoseido.net/kaihoo/15/1-6b.pdf

4ページ目の「世帯人員別の住宅扶助(家賃・間代等)の限度額」以降の表で、住宅扶助費を確認できます(※3)

※3
・政令指定都市・中核市以外に居住する人...4~6ページ
・政令指定都市・中核市に居住する人...7~8ページ
・15㎡以下の床面積に住む、政令指定都市・中核市以外に居住する人...9~11ページ
・15㎡以下の床面積に住む、政令指定都市・中核市に居住する人...12~13ページ
・住宅事情によって規定の家賃に収まらない、政令指定都市・中核市以外に居住する人...14~16ページ
・住宅事情によって規定の家賃に収まらない、政令指定都市・中核市に居住する人...17~18ページ

4.生活扶助費と住宅扶助費を合算する

生活扶助費と住宅扶助費を合算したものが、最低生活費となります(※4)

※4
別途、下記のような扶助が最低生活費に含まれますが、今回は省略しています。
教育扶助...小学生以上中学生以下の子供がいる場合
出産扶助...出産する場合
葬祭扶助...葬式を行う場合
生業扶助...子供を高校に行かせる場合、事業を営んでいる場合など

実際いくらになるの?

東京23都区内に住む方の最低生活費をいくつか計算してみました。

世帯の構成 生活扶助費 住宅扶助費(上限) 最低生活費
30歳の単身世帯 7万9,230円 5万3,700円 13万2,930円
70歳以上の単身世帯 7万4,630円 5万3,700円 12万8,330円
65歳の夫婦2人世帯 11万9,200円 6万4,000円 18万3,200円

参考にしてみてください。

具体的な計算の手順は?

たとえば、65歳の夫婦2人世帯の場合を計算してみましょう。

  • 東京都23区は「1級地-1」
  • 生活扶助基準...{(37,150+37,150)×1}+49,460=123,760円
  • 生活扶助基準...{(38,990+38,990)×0.8850}+50,180=119192.3⇒119,200円(※5)
  • 生活扶助基準×0.9...123,760×0.9=111,384円
  • 「生活扶助基準 > 生活扶助基準×0.9」なので、生活扶助費は119,200円
  • 住宅扶助費の上限は64,000円
  • 生活扶助費+住宅扶助費...119,200+64,000=183,200円

よって、この場合の最低生活費は18万3,200円となります。

※5
生活扶助基準もしくは生活扶助基準に10円未満の端数がある場合は、切り上げます。

生活保護の審査に落ちてしまうのはどんな人?

生活保護の申請は福祉事務所で行います(生活保護の申請方法についてはこちらで解説しています)。

申請を受けた福祉事務所は、申請者の世帯に関して、財産、生活状況、家族、収入、仕事等を調査するのです。

そのうえで、厳正な審査が行われます。

審査の結果、生活保護の申請が却下されてしまう人もいます。

そこで、今回は厚生局・福祉事務所の元職員に、「生活保護の審査に通らない世帯の特徴」を聞いてみました。

主に、下記のような方は、生活保護の申請を却下されやすいとのことです(※6)

  • 110万円以上のお金を持っている
  • 2雇用保険や年金など、他の公的制度の給付が受けられる
  • 3売却できる財産(不動産・車など)がある
  • 4家族・親族からの援助が見込める
  • 5借金がある
  • 6働ける状態にある
  • 7福祉事務所に非協力的・不審な点がある
  • 8その他(例、暴力団関係者である)

上記の特徴についてさらに詳しく説明していきましょう。

※6
上記1 ~8のような特徴があるからといって必ず申請を却下されるわけではありません。自治体や福祉事務所によって判断が分かれます。あくまで目安として参考にしてください。

1.10万円以上のお金を持っている

世帯内の預貯金や現金の合計が10万円以上あると、「もうしばらく生活できる」と判断され、申請を却下されやすいそうです。

厚生局の元職員Aさん談

許されるのはせいぜい10万円程度まで。それ以上のお金があると却下されるでしょう。

10万円以上持っていても申請が通るケース

生活に必要な支払い(生活費、家賃、公共料金、税金など)をしたら、たちまちお金が尽きてしまう場合は、却下されにくいでしょう。

2. 雇用保険や年金など、他の公的制度の給付を受けられる

次のような公的制度の給付を受けられる場合は、生活保護の申請が却下されやすいです。

制度の名前 主な内容 申請・相談窓口
失業保険
(雇用保険の基本手当)
失業者に手当を支給 ハローワーク
年金
(老齢年金)
60~65歳以上の方に年金を支給 年金事務所
児童扶養手当 一定以下の所得の1人親世帯(18歳以下の子供がいる)に手当を支給する 市区町村役所
高額医療費制度 1ヶ月間に支払った医療費が限度額を超えた場合、超えた分を返還 加入している健康保険の窓口
傷病手当金 病気やケガで仕事を休んでいる方に手当を支給 加入している健康保険の窓口
住宅確保給付金
生活困窮者自立支援制度
生活が困窮している方に、家賃を支給する
  • 社会福祉協議会
  • 市区町村役所

厚生局の元職員Aさん談

20~40代で最近まで会社に勤めていた方は、失業保険(基本手当)や生活困窮者自立支援制度を活用できる可能性があるので、まずはそちらを利用するようお願いします。

福祉事務所の元職員Bさん談

他の公的制度の受給資格があるかを確認し、該当するならそちらを優先して取得してもらいます。

例えば下記のようなケースがありました。

地方から上京した25歳の男性が生活保護の申請をしてきました。

彼には財産もなく、失業により所持金は10万円程度しかありません。

また、実家も彼を支援できない状況でした。

しかし、彼の場合、住宅確保給付金と雇用保険(基本手当)の申請が可能だったため、まずはこれらの制度を利用してもらい、その間に仕事を探してもらうことになりました。

他の公的制度を受けていても問題ないケースとは?

公的制度の受給額が最低生活費以下で、他に収入がない場合は、生活保護と併用できます。

たとえば、国民年金の支給額は1ヶ月6~7万円程度なので、国民年金のみだと最低生活費を下回るでしょう。

この場合、不足している金額を生活保護で補うことができます。

福祉事務所の元職員Bさん談

国民年金と生活保護を両方受給している高齢者は数多くいます。

3.売却できる財産(不動産・車など)がある

下記のような、売却できる財産を持っている場合は、申請が却下されやすいです。

  • 申請者が住んでいない不動産(家や土地)
  • 申請者が住んでいるが、資産価値が高い不動産
  • ローン返済中の不動産
  • 車やバイク
  • すぐに換金できる高級家具など

福祉事務所の元職員Bさん談

「資産価値が高い」とは、売却した場合、数年暮らせるほどの生活費が得られるものを指します。

住み続けるより売却するほうが良いと福祉事務所が判断した場合は、売却しなければなりません。

不動産や車を持っていても問題ないケースとは?

不動産の所有が認められるのは下記のようなケースです。

申請者が住んでいる
  • 住宅ローン完済済み、またはそもそもローンを組んでいない
  • 住宅ローンを返済中だが、あと少しで終わる
  • 住宅ローンを返済中だが、金額が低い
申請者が住んでいない
  • 売却しても大した金額にならない
  • 売却しても、その後すぐ申請者が困窮する恐れがある
    (働くことが難しいなど)

福祉事務所の元職員Bさん談

申請者が住んでいる不動産の場合、残っているローンが低額であれば認められることもあります。

たとえば、「月2万円を5年で完済」というような場合は認められるかもしれません。

また、自動車の所有が認められるのは下記のような場合です。

  • 公共の交通機関が整っておらず、車なしでは移動が困難
  • 病気や障害のため、車がないと移動が困難
  • 仕事でどうしても車が必要

4.家族・親族からの援助が見込める

下記のように、家族・親族からの援助が期待できる場合は、申請が認められにくいです。

  • 援助を期待できる家族や親族(親、子、配偶者、兄弟)がいる
  • 実家に戻れば問題なく暮らせる
  • 配偶者が健康で、働ける状態にある

厚生局の元職員Aさん談

下記のような方は申請を却下されやすいですね。

  • 20代で、両親の援助を期待できる方
  • 20~60代で結婚しており、夫(妻)が健康で働ける状態にある方

家族・親族がいても問題ないケース

たとえば、親と絶縁状態の場合は援助を受けるのが難しいですよね。

福祉事務所から「家族・親族の援助を受けられない」とみなされれば、生活保護受給の対象となります。

生活保護の審査では、扶養義務者(申請者の親、子、配偶者、兄弟)に、「援助できないか」という問い合わせを行います。

もし、扶養義務者が無回答もしくは援助を断った場合は、「家族・親族の援助を受けられない」とみなされるのです。

福祉事務所の元職員Bさん談

扶養義務者から「援助できない」という意思表示があれば、強制的に援助させることはできません。

また、何度連絡しても回答がない場合は、「援助を受けられない」と判断するでしょう。

また、扶養義務者の生活が苦しく、援助が難しいケースも、「家族・親族の援助を受けられない」とみなされます。

福祉事務所の元職員Bさん談

家族と同居している高齢者が、生活保護を申請するケースはよくあります。

同居家族の収入では申請者を援助できないため、世帯内で1人だけ生活保護を受給するのです。

5.借金がある

下記のような借金がある場合、基本的に生活保護の申請が認められません。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 教育ローン
  • 消費者金融や銀行カードローン
  • クレジットカードのキャッシング

借金がある場合は、まず破産(※7)の手続きする必要があります。

福祉事務所の元職員Bさん

免責が確定していなくても、破産の手続きが開始していれば生活保護を受給できます。

※7
破産とは、債務整理の一種です。裁判所に破産を申立てると、財産をほぼすべて借金の返済にあてることになります。それでも自力での返済が不可能な場合、裁判所が免責を認めれば残った借金の返済義務がなくなります。

借金があっても問題ないケース

下記のような公的機関からの借入れは生活保護と併用可能です。

  • 奨学金
  • 生活福祉資金
  • 母子父子寡婦福祉資金

また、民間の場合、

  • クレジットカード(一括払い、分割払い)
  • 残高が少ない、もしくは月々の支払いが少ない住宅ローン

これらは問題ないケースもあります。

クレジットカードの所有を認めるかどうかは、福祉事務所によって判断が分かれるようです。

厚生局の元職員Aさん談

生活保護の申請にあたり、クレジットカードを解約する必要はありません。

受給開始後の新規申込みやカードの利用も、保護費の範囲内なら問題ないでしょう。

ただし、借金は認められていないので、キャッシング枠を付けることは避けてもらっています。

福祉事務所の元職員Bさん談

クレジットカードの一括払いまでは問題ないと思いますが、リボ払いや分割払いはNGですね。

ただし、より厳しい福祉事務所だと、生活保護受給前にカードを解約させることもあるようです。

6.働ける状態にある

福祉事務所の担当者に、「働ける状態」と判断されると、生活保護を受けるのは難しくなります。

具体的には、世帯内に20~60代の健康な人がいて、下記のいずれかの状態にあてはまる場合は、生活保護を受けられないかもしれません。

  • 就職活動をしていない
  • 現実とかけ離れている就職活動しかしていない(就けそうにもない仕事にしか応募していない)
  • 国家資格を持っている

福祉事務所の元職員Bさん談

20代でも50代でも、健康に問題がなければ働けるものとみなします。

失業しているのに就職活動をしていないなら、「まずは就職活動を」とプレッシャーをかけますよ。

仕事に就くまでのつなぎとして受給が認められるケースも

本人は働ける状態だが、今現在困窮している場合は、仕事に就くまでのつなぎとして受給が認められることもあります。

福祉事務所の元職員Bさん談

失業保険をすぐに受け取れない場合は、一時的に生活保護の受給を認めることもあります。

厚生局の元職員Aさん談

ハローワークで就職活動をすることを条件に、生活保護の受給が認められることがあります。

また、次のようなケースは却下されにくいです。

  • シングルマザー世帯
  • 精神疾患や、軽度の知的障害・発達障害などを抱えている

福祉事務所の元職員Bさん談

精神疾患や発達障害など、何かしらの問題を抱えている方は、就職できなかったり、仕事が続かないケースが多いため、生活保護を認められやすいです。

7. 福祉事務所に非協力的・不審な点がある

福祉事務所に非協力的だったり、不審な点があったりすると申請を却下されてしまいます。

たとえば、下記のようなケースです。

  • 福祉事務所の調査の結果、申請内容にウソがあると発覚した
  • 必要書類(貯金通帳、給与明細など)の提出を拒む
  • 運転免許証、住民票、戸籍謄本などの本人確認書類が一切ない
  • 住民票が別の自治体にある

福祉事務所の元職員Bさん談

調査の結果、申請者のウソが判明することがあります。

たとえば、こちら(福祉事務所)には申請していない口座を持っていることがわかったり、「車を持っていない」と言っていたのに、他の人から「乗っているのを目撃した」というタレコミがあったり...。

このようなケースでは申請が却下されることもあります。

また、福祉事務所からの呼び出しに応じない方や、こちらの求める情報を開示しない方も、却下されることが多いですね。

厚生局の元職員Aさん談

「職場を教えてくれない」「家族や親族の調査を拒む」「給与明細や銀行口座など収入に関するものを隠蔽している」などの不審なケースは、申請が却下されるでしょう。

本人確認書類がなくても問題ないケースとは?

下記のケースであれば、本人確認書類がなくても申請が通るかもしれません。

  • 生活保護申請に詳しいNPOの職員・弁護士・地元議員と一緒に申請する
  • 行き倒れのホームレス

福祉事務所の元職員Bさん談

素性がわからない人が行き倒れて病院に拾われ、そのまま生活保護申請...というのは都心部でよくあるパターンです。

自分の名前もわからないような人でも、受給できることがあります。

8.その他

珍しいケースですが、次のような人も申請が認められにくいです。

  • 暴力団関係者、および同居している家族
  • 外国籍で日本人と結婚している人

ただし、いずれも世帯を分ければ受給できる可能性があります。

生活保護受給者が所有してはいけないもの一覧

生活保護の申請の際は、基本的に財産を処分する必要があります。

では、どのようなものを処分し、何を残せばよいのでしょうか?

福祉事務所の元職員の話を元にまとめてみました(※8)

※8
以下に挙げたものは、あくまでも目安です。実際は、自治体や福祉事務所によって判断が分かれます。

基本的に所有が認められないもの

  • 10万円以上の現金・預貯金
  • 貯蓄性のある保険...生命保険、医療保険、学資保険など
  • 株券
  • 投資用口座
  • 申請者が住んでいない土地や家
  • 消費者金融や銀行カードローンのカード

ここに挙げたものは、基本的に売却もしくは解約しないとなりません。

福祉事務所の元職員Bさん談

保険がすべてダメなのではなく、解約しても数万円程度しか得られない保険なら、解約の必要はありません。

また、貯蓄性がなく、月々の掛け金が低額なもの(1万円以下)なら認められる場合もあります。

また、火災保険は認められます。

可能な限り、処分が必要なもの

  • クレジットカード
  • 生活に必要不可欠とはいえない車、バイク
  • 2台目以上のパソコン、スマートフォン、タブレット
  • 未使用の商品券
  • 高額で売却できる価値があるもの...高級家具、ブランド品、高級時計、高価なオーディオなどの家電、宝石類、美術品など

上記は、可能な限り売却もしくは解約しないといけません。

福祉事務所の元職員Bさん談

換金性の高い高級時計や宝石類、美術品などは、当然売却することになっています。

ただし、隠し持っていたりして見つからないことも多いため、実際は持っていることが多いですね。

所有してよいもの

  • 生活に必要な電化製品...テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジ、トースター、扇風機、掃除機、ストーブ、空気清浄機、除湿器、ドライヤー、ノンフライヤー、美容家電など
  • IT機器...携帯電話、スマートフォン、パソコン、タブレット端末、プリンターなど
  • 生活に必要な家具...ベッド、テーブル、ソファー、椅子、タンス、棚など
  • 自転車、電動自転車
  • 介護用品...介護用ベッド、車椅子、電動車椅子など
  • 水槽
  • 犬猫などのペット

これらは、持っていても問題ないとされています。

福祉事務所の元職員Bさん談

美容家電のように、生活必需品とはいえないものでも所有OKです。

実際には売却できない(たいした値が付かない)からです。

まとめ

ここで、今回のポイントを簡単にまとめましょう。

生活保護を受けるための条件

  • 1世帯収入が最低生活費以下
  • 2預貯金・現金・保険・土地・家・車などの財産がない
  • 3援助してくれる家族・親族(親・子・配偶者・兄弟)がいない
  • 4病気などの理由があって働けない
  • 51~4のことを書類で証明できる

生活保護を受けられない世帯の特徴

  • 110万円以上のお金を持っている
  • 2雇用保険や年金など、他の公的制度の給付が受けられる
  • 3売却できる財産(不動産・車など)がある
  • 4家族・親族からの援助が見込める
  • 5借金がある
  • 6働ける状態にある
  • 7福祉事務所に非協力的・不審な点がある
  • 8その他(例、暴力団関係者である)

ただし、実際は「これに当てはまると生活保護を受給できない」という絶対の条件はありません。

「憲法で規定された健康的・文化的な最低限の生活が送れていない」と判断されれば、生活保護を受けることができるのです。

生活が困難だと思ったら、まずは福祉事務所に相談してみましょう。

福祉事務所の元職員Bさん談

生活保護を受けるための条件にすべてに当てはまっている完璧な(?)人のほうが少ないです。

仕事や年金など、わずかな収入を得ながら、生活保護を受給するケースは決して珍しくありません。

自力ではどうしようもない不足分を生活保護で補いましょう。

厚生局の元職員Aさん談

総合的に見て、「最低限の生活が送れない」と判断されれば、生活保護を受給できます。

場合によっては、収入があっても財産があっても受給できるのです。

最後になりましたが、生活保護のメリット・デメリットや、生活保護費の計算方法についても解説しています。

あわせて読んでみてください。

くまくま区で生活保護を受けるなら、サングラスの所有は認められませんよ!

ガーン!・・・

ただし、メイプルシロップはおっけいです!まったく問題ありません!

・・・?

高級メイプルシロップをくれたら、サングラスの所有も認めてあげますよ!

・・・

・・・

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