失業保険の支給金額、受給資格、申請方法・手順、計算方法、注意点

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失業したらまず失業保険をもらっておこう!

  • 失業保険を受け取るための3つの条件
  • あなたはどの種類の離職者?
  • これまでの賃金の約45~80%を受給可能
  • 受給日数(所定給付日数)は雇用保険の加入期間次第
  • 失業保険受給までの流れ
  • 一般の離職者が損するポイント
  • 病気やケガで働けないときは傷病手当を受け取ろう
  • もっと深く理解したい場合は、下の記事を読んでね!

失業したら、まず心配なのはお金のことですよね。

じゅうぶんな貯金があったり、助けてくれる人がいればよいのですが、ほとんどの方はそうではないでしょう。

日々の生活費にすら困ってしまうかもしれません。

そこで、失業者が安心して次の仕事を探せるよう、一定のお金を支給する仕組み失業保険です。

だれでも一度は聞いたことがあると思いますが、その内実は非常に複雑です。

給付を受けられる期間や金額は、離職理由や在職時の収入によってかなり変わってきます。

また、失業者なら誰でももらえるわけではなく、受給資格があります。

今回は、そんな複雑な失業保険についてできるだけわかりやすくまとめてみました。

ハローワークの元職員にもお話をうかがい、さまざまな質問にお答え頂いています。

「気付かないうちにもらい損なっていた!」なんてことがないよう、ぜひご一読ください。

この記事のアドバイザー情報

  • 田中 靖子 編集者

    田中 靖子編集者

    編集・ライター歴20年。読み手にわかりやすく、正確・誠実に情報を伝えることをモットーにしています。ファイグーでは読み手が求める情報をいかに適切に把握し、発信できるかを日々模索中。ささやかでも生活に役立つヒントをお届けできたら幸いです!現在は保育士とのダブルワーク中。高校球児の母。朝5時起きで白飯大盛弁当づくりが日課です。

失業保険は正式名称じゃない!正しくは『基本手当』

一般的に失業保険として広く知られていますが、実は正式名称ではありません。

いわゆる失業保険は、雇用保険法にある基本手当のことをいいます。

かつては、失業保険法という法律がありました。

しかし、昭和50年に現在の雇用保険法が施行されたため、廃止されます。

そのとき、名称が失業保険から基本手当に変更になったものの、『失業者に支給される』という性格は変わらないため、失業保険という古い呼び名だけが残ってしまったんですね。

失業給付失業給付金失業手当などと呼ばれることもありますが、今回は一番なじみのある失業保険という名称で統一していきます。

全員受け取れるわけではない!失業保険を受けとるための3条件

失業保険を受け取るための3つの条件

失業保険はだれでも受け取れるわけではありません。受給資格(受給条件)があります。

具体的には、以下3つの条件をすべて満たす必要があるのです。

  • 離職翌日から1年以内
  • 直近で就職を希望している
  • 雇用保険に加入している

その1 離職翌日から1年以内

失業保険を受け取れるのは、原則として離職日の翌日から1年間(※1)です。

たとえば、2018年3月31日に離職した場合、2019年の3月31日まで受け取れます。

※1
所定給付日数によって変わります。所定給付日数が330日の方は1年と30日です。所定給付日数についてはのちほど説明します。

その2 直近で就職を希望している

失業保険は、失業者が次の仕事を見つけるまでの間を支援するものです。

つまり、就職を希望していることが大前提。

すぐに働く気がない人、働く気はあるが病気などで働けない人(※2)は、受給申請できません。

※2
病気などで働ける状態ではない場合、受給を先延ばしすることができます。詳しくは後述。

その3 雇用保険に加入している

失業保険の受給資格があるのは、もともと雇用保険に加入していた方だけです。

ただ、雇用保険に加入していただけではダメ。

くわえて、下記の条件を満たさないとなりません。

  • 一般の離職者の場合・・・離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間がある
  • 特定受給資格者および特定理由離職者の場合、下記2つのうちいずれかを満たすこと
    • 離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間がある
    • 離職日より前の1年間で通算6ヶ月以上の被保険者期間がある

ここで耳慣れない言葉が出てきましたね。

特定受給資格者、特定理由離職者、一般の離職者とは、それぞれどのような離職者を指すのでしょうか?

あなたはどの種類の離職者?

また、被保険者期間とは、どういった期間を指すのでしょうか?

特定受給資格者とは?

特定受給資格者とは、会社側の原因で離職した人のこと。

一般的には、会社都合退職という呼び方が浸透していますね。

ここで、特定受給資格者にあてはまる離職理由を一部紹介しましょう。

  • 倒産
  • 解雇(※3)
  • 事業所の廃止
  • 勤務先の移転によって通勤が難しくなった
  • 労働契約を結ぶときに提示された条件と実情が大きく異なった
  • 賃金の3分の1を超える金額が給料日までに支払われなかった
  • 突然、賃金がこれまでの85%未満に減少した
  • 度を超えた時間外労働が発生した(例 離職前の半年間のうち、3ヶ月連続で45 時間以上の時間外労働があった)
  • 上司、同僚などからいやがらせ・パワハラを受けた
  • 直接もしくは間接的に退職を求められた
  • 会社のせいで休業となり、それが3ヶ月以上続いた
  • 労働契約を結ぶ際、契約の更新が明示されていたのに、更新されなかった

※3
解雇された側に、解雇されてもやむを得ない事情(会社に重大な迷惑をかけたなど)があった場合は除外されます。

特定理由離職者とは?

特定理由離職者とは、やむを得ない事情で離職した人を指します。

ここで、特定理由離職者にあてはまる離職理由を一部紹介しましょう。

  • 契約期間が満了し、労働者が契約の更新を申し出たにも関わらず、更新できなかった
  • 体力不足、障害、病気、ケガ
  • 妊娠、出産、育児
  • 父(もしくは母)を扶養しなければならなくなった
  • 家族が病気やケガをしたため、看護しなければならなくなった
  • 会社の移転や配偶者の転勤など、やむを得ない事情で通勤が不可能になった
  • 希望退職者の募集に応じた

一般の離職者とは?

特定受給資格者にも特定理由離職者にもあてはまらない、自分の希望で退職した人一般の離職者となります。

世間では、自己都合退職という呼び方が浸透していますね。

なお、定年退職者も一般の離職者にあてはまります。

被保険者期間とは?

雇用保険に加入していた期間(※4)のうち、働いた日数(有給休暇含む)が11日以上ある月を、『被保険者期間1ヶ月』として計算します。

ここでいう"月"とは、暦の"月"ではなく、離職日を起点として1ヶ月ごとに区切った期間のことを指します。

ややこしいので例をあげましょう。

たとえば、12月31日に離職した場合はどうでしょう。

この場合、

12月1日~12月31日

11月1日~11月30日

10月1日~10月31日...

このように期間を区切っていくことになります(※5)

下記のカレンダーをご確認ください。

区切った期間ごとに色分けしています。

また、日付に『×』がついている日は『働いていない日』です。

被保険者期間10月

被保険者期間11月

被保険者期間12月

オレンジの期間(10月1日~10月31日)のうち、働いたのは18日ですから、被保険者期間にあてはまります。

一方、緑の期間(11月1日~11月30日)のうち、働いたのは9日ですから、被保険者期間にはあてはまりません。

紫の期間(12月1日~12月31日)のうち、働いたのは23日ですから、被保険者期間にあてはまります。

ハローワーク元職員Aさん談

雇用保険の加入日と退職日にも注意してください。

たとえば、下記のようなケースは失業保険を受給できません。

『一般の離職者で、4月2日に雇用保険に加入し、翌年3月31日に退職した』

なおかつ

『4月~翌年3月の12ヶ月間すべての月で11日以上働いた』

なぜなら、12ヶ月より1日だけ足りないため被保険者期間が11ヶ月となってしまうからです。

この場合、雇用保険の加入日が4月1日なら失業保険受給の対象となりました。

このように、数日足りないだけで受給対象外になってしまうケースは非常に多いので、加入日と退職日には注意してください。

※4
採用された日や、勤務開始日が雇用保険加入日(雇用保険の資格取得日)とはかぎらないので注意してください。

※5
たとえば、12月15日に離職した場合は12月15日~11月16日、11月15日~10月16日、10月15日~9月16日...と、期間を区切ってさかのぼっていきます。

途中で転職した場合の被保険者期間はどうなるの?

1年以内に転職した場合は、被保険者期間を通算することもできますが、計算する際は下記の点に注意してください。

  • 1仕事をやめてから転職(再就職)するまでの間に、1年を超える空白があると、被保険者期間を通算できません。この場合は、再就職後の被保険者期間を計算することになります。
  • 2過去に失業保険、再就職手当等の給付を受けていた場合、受給完了以降の被保険者期間を計算してください。
  • 3育児休業給付金を受け取っていた期間を被保険者期間に含めることはできません。育児休業給付金を受け取っていた期間をのぞいて被保険者期間を計算してください。

ハローワーク元職員Aさん談

最後の離職日から1年以内なら、職場が変わっていても被保険者期間を足すことができます。

『転職が多いから失業保険を受け取れない』と思っている人は多いですが、一度ハローワークで調べてみる価値はありますよ。

雇用保険でわからないことはハローワークで確認しよう!

下記について不明点がある場合は、ハローワークに相談してください。

  • 自分は雇用保険に加入しているのか
  • 失業保険の受給資格があるか
  • 被保険者期間がどのくらいあるか
  • 過去に失業保険を受給していたか

ハローワークに相談に行くときは、雇用保険の被保険者番号(※6)と、本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)を持参してください。

ハローワーク元職員Aさん談

アルバイトやパートでも、雇用保険に加入しているかどうかチェックしておいてください。

『あなたはアルバイトだから雇用保険には入れない』という間違った説明をする会社もあるので注意が必要です。

仮に加入資格があるのに未加入だった場合、ハローワークに申し出れば、2年にかぎりさかのぼって雇用保険料を支払うことが可能です。

この場合、ハローワークから会社側に連絡がいきます。

実際に『雇用保険に未加入だったが、後から保険料を支払って失業保険を受け取ることができた』というケースは多いですね。

ちなみに、雇用保険に加入しているかどうかは、給与明細書で確認できます。

雇用保険料が徴収されていれば、雇用保険に加入していることになりますよ。

※6
雇用保険の被保険者番号を紛失した場合、ハローワークで確認できます。このとき、本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)が必要です。

失業保険でもらえるのは賃金の45%~80%相当

では、失業保険ではいくらの給付金を受け取れるのでしょうか?

失業保険の計算方法

失業保険の計算方法は以下の通りです。

支給総額=基本手当日額×所定給付日数

基本手当日額とは?

これまでの賃金の約45~80%を受給可能

基本手当日額とは、失業保険でもらえる1日あたりの金額のこと。

基本手当日額は、賃金日額の45%~80%相当となります(年齢、賃金日額によって%が変わります)。

賃金日額とは?

では、賃金日額とは何でしょうか?

賃金日額とは、離職前半年間に支払われた賃金総額(ボーナス、退職金は含まない)を180で割った金額のことです。

所定給付日数とは?

受給日数(所定給付日数)は雇用保険の加入期間次第

所定給付日数とは、失業保険を受給できる日数のことです。

最短で90日、最長で330日となっています。

特定受給資格者および一部の特定理由離職者の所定給付日数

特定受給資格者および一部の特定理由離職者(※7)の場合、雇用保険の加入期間や年齢によって失業保険の所定給付日数が変わります。

年齢 雇用保険の加入期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 -
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

※7
一部の特定理由離職者とは、特定理由離職者のうち、下記の条件を両方満たす方です。
・契約期間が満了し、労働者が契約の更新を申し出たにも関わらず、更新できなかった
・平成21年3月31日から13年間の間に離職した

その他の方の所定給付日数

一般の離職者など、『特定受給資格者および一部の特定理由離職者』以外の所定給付日数は、雇用保険の加入期間によって変わります。

雇用保険の加入期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
90日 120日 150日

シミュレーションツールを使えばすぐ支給額がわかる!

失業保険の計算方法はとても複雑です。

しかも、基本手当日額の上限が、今後変更される可能性もあります。

ちなみに、現在(平成29年8月)の上限額は下記のようになっています。

年齢 基本手当日額の上限額
30歳未満 6,710円
30歳以上45歳未満 7,455円
45歳以上60歳未満 8,205円
60歳以上65歳未満 7,042円

失業保険の正確な金額を知りたいなら、自分で計算するよりハローワークで問い合わせたほうがはやいでしょう。

とりあえずの目安を知りたいのであれば、下記のような失業保険(雇用保険)自動計算ツールを使ってみてください。

失業大辞典『失業保険の給付金額や期間等を確認』
http://失業.jp/雇用保険失業給付/計算

高精度計算サイト『雇用保険の給付額の計算』
http://keisan.casio.jp/exec/system/1426729546

実際にシミュレーションしてみた

試しに、下記のサイトを使っていくつかシミュレーションしてみました。

失業大辞典『失業保険の給付金額や期間等を確認』
http://失業.jp/雇用保険失業給付/計算

下記の条件でシミュレーションしてみましょう。

年齢 30歳未満
離職理由 自己都合による離職(一般の離職者)
勤続年数 1年以上5年未満
平均月給 25万円

この場合、シミュレーション結果は下記のようになりました。

所定給付日数 90日
基本手当日額 5,344円/日
平均支給額 16万320円/月
支給額合計 48万960円

また、別のケースでもシミュレーションしてみましょう。

年齢 35歳以上45歳未満
離職理由 倒産による離職(特定受給資格者)
勤続年数 10年以上20年未満
平均月給 40万円

この場合、下記のような結果になりました。

所定給付日数 240日
基本手当日額 6,666円/日
平均支給額 19万9,980円/月
支給額合計 159万9,840円

とりあえずの目安が知りたい方は、先ほどのようなツールを使ってシミュレーションしてみてください。

失業保険を受け取るまでの9STEP

失業保険受給までの流れ

では、どのような手順を踏めば失業保険を受給できるのでしょうか?

少々複雑ですが、順を追ってみていきまししょう。

ハローワーク元職員Aさん談

失業保険を受給できるのは、原則として離職日から1年以内なので、一般の離職者(定年退職者のぞく)は急いで手続きを始めましょう。

一般の離職者(定年退職者のぞく)の場合、3ヶ月の給付制限期間があるからです。

給付制限期間についてはのちほど説明しています。

1 離職後、会社から必要書類をもらう

離職後、会社から下記2つの書類を受け取ります(※8)

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)

『雇用保険被保険者離職票(-1、2)』には、『賃金の支払い状況』や『離職の具体的理由』について、会社に記入してもらわなければなりません。

また、会社側と離職者側で食い違いがないよう、両者が内容を確認したうえで印を押す必要があります。

とくに離職の理由は、

『特定受給資格者・特定理由離職者・一般の離職者のうち、どれにあてはまるか?』

をハローワークが判断する要素となるため、しっかり確認してください。

ハローワーク元職員Aさん談

会社側が勝手に『自己都合による退職』と書いて、後から離職者が異議を申し立てるケースが少なくありません。

たとえば、会社が遠まわしに辞めるよう圧力をかけ、それに耐えられずに辞めた場合などは、『会社都合の退職(特定受給資格者)』になる可能性がありますから、ハローワークに相談してみましょう。

※8
『雇用保険被保険者証』や『雇用保険被保険者離職票(-1、2)』を紛失した場合は、ハローワークで再発行できます。本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)を持参しましょう。また、退職した会社の社名や住所を控えてから行きましょう。

2 求職の申込みと受給資格決定

居住地域を管轄するハローワークに行き、必要な書類を提出し、求職を希望すると伝えましょう(これを求職の申込みといいます)。

このときに必要な書類は下記です。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 縦3センチ、横2.5センチの証明写真2枚(正面上半身を写したもの、なおかつ最近撮影したもの)
  • 印鑑
  • 本人名義の普通預金通帳

書類の提出後、『失業保険の受給資格があるか』を審査されます。

問題なければ受給資格の決定です。

このとき、

『特定受給資格者・特定理由離職者・一般の離職者のうちどれにあてはまるか』

を判断されます。

そして、『雇用保険受給資格者のしおり』を渡され、受給説明会の日時を教えてもらったら終了です。

ただし、ここで注意点があります。

この求職の申込みに行った曜日が、失業認定日の曜日になってしまうので、ご注意ください。

例)
水曜日に求職の申込みをしたら、失業認定日も原則水曜日になる

失業認定日についてはのちほど説明しています。

3 雇用保険受給者初回説明会

集団で失業保険の受給について説明を受けます。

このとき、下記を持参してください。

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具等

ここでは下記の書類を受け取りますが、いずれも失業保険の受給に必要な書類です。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書

また、ここで初回の失業認定日(本当に失業しているか確認する日)が知らされます。

4 待期期間

受給資格決定から7日間待期期間です。

この期間は失業保険を受給することができません。

5 給付制限期間(一般の離職者のみ)

一般の離職者(定年退職者のぞく)の場合、待期期間の後に給付制限期間があります。

期間は、1ヶ月以上3ヶ月以内です。

この間 失業保険を受給することができません。

ハローワーク元職員Aさん談

給付制限期間はケースバイケースですが、実際は3ヶ月となるケースが多いです。

6 求職活動

失業保険を受け取るには、求職活動する必要があります。

求職活動とは、下記のようなことです。

  • ハローワークの窓口で相談したり、仕事の紹介を受ける
  • ハローワーク主催のセミナーへ出席する
  • ハローワークが指定する自治体・就職支援会社が行うセミナーに出席する
  • 求人に応募する

失業認定日までに、原則2回の求職活動が必要です。

ただし、初回は雇用保険受給者初回説明会が1回としてカウントされるので、もう1回以上 活動すればOKですよ。

7 失業の認定

指定された失業認定日にハローワークへ行き、求職活動の報告をおこないます。

このとき、下記の書類を提出する必要があります。

  • 失業認定申告書
  • 雇用保険受給資格者証

失業認定報告書に、求職活動の内容を記入し、提出しましょう。

ここで問題がなければ失業が認定され、次回の認定日が伝えられます。

認定日は、原則として4週間に一度やってきます。

一般の離職者(定年退職者のぞく)の場合

一般の離職者(定年退職者のぞく)の場合、給付制限期間中に失業認定日がきてしまいますよね?

それでもハローワークに行く必要があるのでしょうか?

  • 給付制限期間中の認定日(初回)・・・必ずハローワークに行く必要があります。
  • 給付制限期間中の認定日(初回以外)・・・ハローワークに行く必要はありません。

その後、給付制限期間が終わってから最初にやってくる認定日にハローワークへ行きましょう。

このときまでに、2回以上求職活動をしておく必要があります(※9)

※9
一般の離職者の場合、給付制限期間終了後の最初の認定日までに3回以上の求職活動が必要となるケースがあります。

8 受給

失業認定日から5営業日以内に、指定した口座に振り込まれます。

なお、特定受給資格者および特定理由離職者の場合、初回に振り込まれるのは『基本手当日額×12~13日分』です。

たとえば都内のハローワークの場合、求職の申込みをした日から3週間後に初回の認定日が設定されます。

4月1日に求職の申込みをしたなら、初回の認定日は4月20日です。

この場合、4月8日~4月19日までの12日間分の基本手当日額を受給できることになります(4月7日までは待期期間なので、除外される)。

給付制限期間なし

ただし、上記の例では、土日祝日関係なく認定日を設定しています。

実際は、認定日がハローワークの休業日とぶつかったら、別の日(前日など)に変更されるでしょう。

ハローワーク元職員Aさん談

会社都合で退職した場合でも、求職の申込みから初回の失業認定日まで最短3週間はかかります。

初回の認定日から失業保険の振込みまでは、さらに数日~1週間かかります。

また、3月など離職者が殺到する時期は、より多くの期間が必要になるので、注意してください。

一般の離職者(定年退職者のぞく)の場合

初回に振り込まれるのは、『基本手当日額×給付制限期間終了の翌日~失業認定日の前日までの日数分』です。

たとえば、4月1日に求職の申込みをし、受給資格が決定したとします。

この場合、4月1日~7日までは待期期間です。

その後、4月8日から7月7日まで給付制限期間となります。

そして、給付制限期間終了後の認定日が7月22日だった場合、

初回に振込されるのは、7月8日(給付制限期間終了の翌日)から7月21日(認定日の前日)までの14日間分です。

つまり、『基本手当日額×14日分』となります。

一般の離職者の図

ただし、これはあくまでも一例です。

認定日はハローワークが指定するので、給付制限期間終了の翌日~認定日の前日までの日数が必ず14日となるわけではありません。

また、上記の例は、土日祝日関係なく認定日を設定しています。

実際は、認定日がハローワークの休業日とぶつかったら、別の日(前日など)に変更されるので注意してください。

9 その後

以降は、原則として4週間に一度 失業認定日がやってきます。

認定日にハローワークへ行き、求職活動(最低2回必要)について報告し、失業の認定を受けたら、失業保険を受給するという繰り返しです。

再就職が決まるまで、もしくは、所定給付日数が終了するまで続きます。

あなたは本当に『一般の離職者』?ハローワークに相談しよう

一般の離職者が損するポイント

ここまで紹介したように、離職理由によって、受けられる失業保険に大きな差があります。

やはり一般の離職者は不利です。

たとえば、特定受給資格者・特定理由離職者にくらべて、所定給付日数が2分の1以下になることがあります。

また、一般の離職者だと給付制限期間が発生するので、受給開始を最大3ヶ月先延ばしにされます。

余裕のないときにはツライですよね。

このように、離職理由の見極めは非常に大切です。

一見、自己都合の退職に見えても、本当は会社都合の退職であることが少なくありません。

たとえば、下記のようなケースです。

  • 上司に毎日ひどい暴言を浴びせられ、それに耐えられなくなった従業員が退職した
  • ほとんどいやがらせのような意味のない仕事を押し付けられ、耐えられなくなった従業員が退職した
  • 連日、度を超えた残業が発生し、それが何ヶ月も続いたため耐えられなくなった従業員が退職した

泣き寝入りする前に、かならずハローワークに相談してみましょう。

ハローワークが調査した結果、『離職の原因は会社にある(特定受給資格者である)』と認めてもらえることもあります。

ただし、担当者に訴えるだけでは足りません。

ハローワークに動いてもらうため、在職中から証拠を集めておきましょう。

  • 証拠となる会話や発言をICレコーダーで録音
  • 証拠となるものをカメラで撮影
  • 毎日、どのようなことがあったか事細かに日記をつける
  • 同僚に証言してもらう

このようなものがない場合、覚えていることを紙に書き出すだけでもかまいません。

また、会社にメスを入れたい場合は、捜査権がある労働基準監督署に相談を持ちかけてみましょう。

全国労働基準監督署の所在案内
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html

離職前でも、離職後でもかまいません。

『自分の能力が足りなかったからだ、弱かったからだ・・・』と泣き寝入りせず、必ず相談するようにしてくださいね。

病気やケガで働けないときはどうすればいい?2つの対処法

病気にかかったり、ケガを負っている場合は、すぐに求職活動ができませんよね。

こうした場合はどうすればいいのでしょうか?

受給開始の延長が可能(最大4年間)

失業保険を受給できる期間は、通常、離職日の翌日から1年間です。

ただし、病気・ケガ・介護・出産・育児などで30日以上働けなくなった場合、働けなくなった日数だけ受給開始を延長してもらえます。

この場合、受給可能な期間は離職日の翌日から最大4年間です。

延長を希望する場合は、働けない状態になった日の翌日以降、できる限り早めにハローワークに行って手続きしてください(郵送でも可)。

手続きに必要な書類は下記です。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
  • 印鑑
  • 必要に応じて医師の診断書などの証明書類
  • 委任状(本人以外が手続きする場合のみ)

ハローワーク元職員Aさん談

出産や育児のために退職した場合、受給開始延長の手続きをしておらず、後々、失業保険がもらえないというケースはよくあります。

『しばらく働けないからどうせもらえない』と思い込んでいる人が多いのです。

ちなみに、60歳以上65歳未満の定年退職者のうち、当面は就職を希望しない方も受給開始延長の申請ができます。

ただし、延長できる期間は最大1年であることを覚えておきましょう。

また、延長の手続きは、離職日の翌日から2ヶ月以内におこなってください。

傷病手当をもらうことができる

病気やケガで働けないときは傷病手当を受け取ろう

ハローワークで求職の申込みをした後、病気やケガのため15日以上働けない状態が続いた場合、傷病手当を受給できます(※10)

支給される金額は、失業保険の額と同じです。

ただし、傷病手当と失業保険を同時に受給することはできません。

傷病手当を受給した日数は、失業保険の給付日数から差し引かれます。

傷病手当の受給を希望する場合は、病気やケガが治った後、次の失業認定日までにハローワークへ行って、傷病手当支給申請書(※11)を提出し、傷病の認定を受けてください。

こちらは郵送での提出も可能です。

※10
雇用保険の傷病手当は、健康保険の傷病手当金とは別物です。なお、健康保険の傷病手当金をもらっている場合は、雇用保険の傷病手当を受け取ることはできません。

※11
傷病手当支給申請書は、ハローワークで受け取れます。インターネットからダウンロードも可能です。申請者と医師が各々記入する欄があります。

まとめ

最後に、今回のポイントをまとめておきましょう。

失業保険受給の条件

下記の条件をすべて満たす必要があります。

  • 失業保険を受け取れるのは、原則として離職日の翌日から1年間
  • 直近で就職を希望していることが前提
  • 一般の離職者の場合・・・離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間があること
  • 特定受給資格者および特定理由離職者の場合、下記2つのうちいずれかを満たすこと
    • 離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間がある
    • 離職日より前の1年間で通算6ヶ月以上の被保険者期間がある

失業保険はいくらもらえるの?

  • 支給総額=基本手当日額×所定給付日数
  • 基本手当日額は、賃金日額の45%~80%相当
  • 所定給付日数は、最短で90日、最長で330日
  • 正確な支給額を知りたいならハローワークで問い合わせたほうがいいが、目安を知りたい場合は計算ツールを使って算出できる

失業保険の受け取り方と手順(一般の離職者の場合)

  • 1離職後、会社から必要書類をもらう
  • 2居住地域を管轄するハローワークに行き、必要な書類を提出し、求職を希望することを伝える
  • 3雇用保険受給者初回説明会で、失業保険の受給について説明を受ける
  • 4受給資格決定から7日間は待期期間で、その後、1ヶ月~3ヶ月の給付制限期間がある
  • 5給付制限期間中に初回の失業認定日があるので、ハローワークに行く
  • 6給付制限期間終了後の認定日までに2回以上の求職活動を行う
  • 7給付制限期間終了後の認定日にハローワークへ行き、求職活動の報告を行う
  • 85営業日以内に、指定した口座に基本手当が振込まれる

あなたは本当に『一般の離職者』?

  • 一般の離職者は不利
    • 特定受給資格者・特定理由離職者にくらべ、所定給付日数が2分の1以下になることも
    • 給付制限期間が発生するので、受給開始を最大3ヶ月先延ばしにされる
  • 一見、一般の離職者に思えても、実は特定受給資格者・特定理由離職者であることが少なくないため、不審に思ったらかならずハローワークに相談すること

病気やケガで働けないときは受給開始の延長も可能

  • 病気・ケガ・介護・出産・育児などで30日以上働けなくなった場合は、働けなくなった日数だけ受給開始を延長できる(この場合、受給可能な期間は離職日の翌日から最大4年間)
  • 働けない状態になった日の翌日以降、できる限り早めにハローワークに行って手続きすること(郵送でも可)

病気やケガで働けないときは傷病手当を受け取ろう

  • ハローワークで求職の申込みをした後、病気やケガによって15日以上働けない状態が続いた場合、傷病手当を受け取れる(傷病手当の金額は失業保険と同額)
  • 傷病手当と失業保険を同時に受給することはできない(傷病手当を受給した日数は、失業保険の給付日数から差し引かれる)
  • 病気やケガが治った後、次の失業認定日までにハローワークへ行って、傷病手当支給申請書を提出する必要がある(郵送も可)

いかがでしたか?

失業保険について、だいたいのことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

やや複雑なことが多いので、詳しいことはハローワークの担当者に問い合わせてみましょう。

ちなみに、ハローワークでの仕事の探し方はこちらで解説していますので、ご興味があればぜひ。

また、失業保険受給中でもアルバイトは可能です。

アルバイトする方法、注意点について詳しくは下記に目を通してみてください。

また、失業保険を受け取る失業者は、ハローワークで公共職業訓練を受けられるってご存知でしたか?

公共職業訓練を受講すると受けとれる技能習得手当についても取り上げていますので、こちらもあわせて読んでみてください。

仕事をやめたら失業保険をもらえるんだよね?

そうだね

じゃあ、明日やめてくらあ

きみ、そもそも働いてないでしょ・・・

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