UR家賃滞納から強制執行。生活保護と低額宿泊所で過ごした体験談

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私の妊娠直後に不況のあおりで主人の給与が激減。

夫は転職を試みましたが、うまくいかず失業状態がしばらく続きました。

私は妊娠・出産直後で外に働きに出ることもできず、ついに家賃を3ヶ月分滞納してしまうことに。

住む場所がなくなる直前に役所に駆け込み、一時避難所を紹介され、生活保護を受けさせてもらった体験です。

体験者の情報

名前(仮名):上村 裕子
性別:女
職業:専業主婦
年齢:38
滞納したもの:家賃
滞納していた金額:39万円
滞納していた時期:2009年9月~2009年12月

妊娠と同時に主人が失業

我が家は、主に営業職の主人の稼ぎで生計を立てていました。
基本給と歩合という形で、収入は平均33万円くらい。

贅沢ではないけれど、標準的な暮らしでした。

ところが結婚して9年目、私の妊娠が明らかになった頃のことです。

不況のあおりで主人の給料が激減してしまいます。
会社から今まで出ていた交通費が出なくなったり、基本給が下がったりで、月収が18万円ぐらいにまで落ち込んでしまったのです。

夫は転職をしようと会社を辞めますが、なかなか思うように再就職できません。

それまで働いていなかった私も、大きなお腹をかかえてアルバイトに出ましたが、臨月近くなってくるとさすがに働けなくなってきました。

そして身の回りの支払いはどんどん滞り、毎月の公共料金も、止められる直前で支払う、ということを繰り返すようになっていたのです。

また、私が妊娠した11月頃から、家賃は1ヶ月遅れで支払っていました。
前の月に支払えないと、督促の用紙が郵送で届きます

私たちは当時UR公団に住んでいて、督促状が来ると、電車ですぐのところにある公団の支社まで出向いて支払いをしていました。

窓口で住まいと名前を告げると、事務のおばさんが延滞金を電卓で計算して出してくれます。約6万円の家賃に、延滞金が加算されて62,000円ほどになっていました。

さらに1ヶ月遅れの支払いなので、本当は当月分を含めて2ヶ月分をまとめて支払うべきです。
しかしそこまでの余裕はなく、とりあえず「1ヶ月分でお願いします」と言うしかありませんでした。

裁判所から「強制執行」の通知

私は翌年8月に無事出産しました。
出産費用は出産手当があったおかげで何とかなりました。

そしてその頃、主人もようやく転職することができたのです。
しかし、結局、手取りは14万円ほど。

これではとても家賃を支払うことはできません。
どうすることもできずに、家賃を滞納する月が続きました。

やがてURからの督促の書面にも、ピンク色の紙に「強制退去」の文字が入るようになります。

そして11月の終わり頃のこと、分厚い封筒が郵便受けに入っていました。
差出人は、「東京地方裁判所」。

ついに来たかと思い封筒を開けると、「強制執行」と書いてあります。

それには以下のようなことが書かれていました。

「指定された日に、裁判所とURの担当者が部屋に行きます。
空いていなくても合鍵で入り、家具などに強制執行の紙を貼るので絶対にはがさないように。
さらに後日、強制執行になるので、その日までに退去しなければならない」

強制執行日は12月21日。
私はその日付を見て、「ついに追い出されるのか」と感じました。

ところが、ここまできてしまうと、かえって冷静な気持ちもあります。
でもまさか自分たちが、こんなドラマのような経験をすることになるとは、思ってもみませんでした。

危機一髪で生活保護を申請

しかし乳飲み子を抱えて、寒空の下で暮らす訳には行きません。

私たちは、最後の手段だと思っていた「生活保護」の相談をしに、区役所へ向かいました。

生活保護は簡単には受けられないと思っていたので、窓口を訪れるまでは、もし受けられなかったらどうしようという不安でいっぱいでした。

ところが、相談すると「もっと早くにきてもらえれば」と担当の相談員に言われました。
収入の基準が決まっていて、「家族3人で手取り14万円だと生活保護の対象になる」とのことです。
私たちはホッと胸をなでおろしました。

その後、自宅に担当者が来て「働きながら、足りない分を生活保護でまかなう」という形で、支援を受けることに決定しました。

次は強制執行までに、住まいを確保しなければなりません。

すると担当者に、一時避難用の住まいがあると言われ、そこに引越すことになりました。
これは東京都福祉保健局が提供している、無料または低額で提供される一時宿泊所です。

無料低額宿泊所(東京都福祉保健局)
※東京都内に180箇所以上あるようです。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/seikatsu/shisetsu/shukuhaku/shukuhaku.html

ただしそこにいられる期限は3ヶ月だけなので、期限内に住まいを見つけて、また引越さなければなりません。
とはいっても、屋根の下でこれからも寝られるのだと思うと、このような施設があることに感謝しました。

追い出されるまで時間ないので、担当者も大忙しのようでした。

自力で引越しを敢行

裁判所とURの担当者が「強制執行」を言い渡す日は、午前10時と指定されていました。

これはショッキングなことなので、主人がすべて応対し、私は赤ん坊をつれて近所のファミレスで待機することになったのです。

主人は構えて待っていたのですが、時間ぴったりに担当者たちがやってきて、事務的に「強制執行当日までに、できる限り家具を搬出しておいてください」と言われただけでした。

そして残った家具は業者が処分するなどの説明を終えて、すぐに帰っていったそうです。
時間にして10~20分くらい、あっけないほど簡単でした。

こうして強制執行前に一時避難先に転居するため、大急ぎで荷物をまとめる日々になりました。
そして引越しの日は、引越し業者は使わず、主人がレンタカーを借りて荷物を運ぶことになりました。

私は赤ん坊のお世話でほとんど手伝えず、主人に任せっきりでした。

主人一人で最低5往復くらいはしたと思います。
また一人で荷物を運ぶので、大型のタンスや食器棚、冷蔵庫は運べません。

まず冷蔵庫はあきらめました。
とりあえず、簡易宿泊所には備え付けの冷蔵庫はあったのでそれを利用することにしたのです。

そして、タンスと食器棚はそのまま置いていくことにしました。
業者が片付けてくれるということだったので、粗大ゴミの手続きをせずに済んで、かえって楽でした。

子供もまだ赤ん坊で良かったと思います。
家を追い出されるというみじめな経験も、分からないままだったでしょうから。

こうして必要な荷物は運び出し、強制執行日には、再び主人のみが立会いました。
前回やってきた人よりも少ない人数で、さらに短い時間であっけなく終わったそうです。

鍵を返却し「滞納分については、あとから弁護士事務所から連絡がいくから」という連絡があっただけでした。

そしてその時に言われたのが「家具をこんなに搬出しておいてくれたんですね。助かります」という意外な言葉。

滞納しているこちらが悪いのに、逆に感謝をされてしまい、その話を聞いた私も思わず笑ってしまいました。

東京都の無料低額宿泊所

行政が用意してくれた借りの住まいは、6階建てのマンションでした。

一見普通のマンションですが、入口に受付があり、職員が待機しています。
私たちは一度も利用しませんでしたが、宿泊者が集う集会所も設置されていました。

宿泊所では担当者がつき、入居を前に改めて今までの経緯を聞かれます。
仕方がないことですが、またみじめな話をしなければならないのかと、少々うんざりしました。

そして鍵をもらって部屋に入りましたが、その広さに驚きました
たまたま空きがないとのことで3LDKの部屋が割り当てられたのです。

ただし壁は薄く、隣の音はかなり聞こえました。
広いリビングはがらんとして家具もありません。

しかし冷蔵庫、ガス台、洗濯機、こたつ台は設置されているので、すぐに生活は始められるようになっていました。
電気ガスの開通は自分たちで手続きをします。

また、掃除担当というのもありました。備え付けのモップなどで、共用部分を掃除するのです。1週間ごとに各世帯が担当するようになっていました。

ほかの世帯との交流は全くありませんでしたが、割と頻繁に新たな入居者が入ってきているようでした。

その後、3ヶ月目に住まいを見つけ、私たちは再度引越しをしました。

生活保護を受けると、家賃の上限は6万円と定められています。
上限ギリギリの家賃6万円で、ある程度のスペースの物件を探したので時間がかかりました。見つけたのは34㎡の物件です。

敷金と礼金、さらに生活にどうしても必要な冷蔵庫代も自治体から出してもらい、無事に引越すことができました。

その際も主人がレンタカーを借り、引越し業者に頼まずに自力で引越しをしたのです。

半年も経ってからやってきた請求

滞納した家賃の請求は、なかなか私たちのところに来ませんでした。
ようやく弁護士事務所から請求が送られてきたのは、強制執行から半年経った頃です。

そこには39万円ほどの未納額が書かれていました。
分割のために弁護士事務所に連絡したところ、毎月15,000円ずつの支払いになりました。

しかし当時はまだ生活保護を受けている最中で、分割にしても支払いはとてもきつかったです。

その後主人が再度転職して、生活保護を抜け出せることになったのですが、やはり生活は厳しく、支払いができない月もありました。

支払いが滞ると、2ヶ月後くらいに弁護士事務所から督促の書面が届き、電話もかかってきます。

とりあえず少額でも振り込んでおくと督促は来ないので、勝手に金額を下げて5,000円ずつ支払っている状態です。
しかしこのままだと完済には5年先くらいまでかかるでしょう。
少々気が遠くなっている今日このごろです。

保護を受けなくなった現在は、家賃6万、生活費は20万円くらいで生活しています。
狭い部屋なので、もう少し広いところに引越すのが現在の夢です。

この記事の筆者

上村 裕子(仮名)
27歳で結婚後、共働きもしていたが、病気のため働けない日々が続く。夫の仕事は波があったが、順調と思われた矢先に不況で収入が激減。そのころ妊娠。現在は子供が小さいため外で働くことに限界を感じ、在宅での仕事を模索している。

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