更新日:2018/07/20
カード現金化(ショッピング枠)を使うと自己破産もできなくなる!
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評価を設定してください ×「クレジットカードの現金化」とは、クレジットカードのショッピング枠の範囲内で、現金を手にすることができるという仕組みです。
業者から指定された商品をクレジットカードで購入し、それをその業者に転売、手数料を引いた現金をキャッシュバックしてもらうことで、直接的な借入れをすることなく現金が手に入ります。
駅売りの夕刊紙やスポーツ新聞、雑誌などに業者の広告が掲載されており、いくつもの業者が今も営業しているようですが、消費者金融等からの借金と比べると色々と問題が多いといわれています。
国も「絶対に利用しないように」と呼びかけているのですが、一体、どんな問題があるのでしょうか。
- 【目次】
- クレジットカードの現金化=高金利での借金
- 現金化業者は違法ではないと主張しているが・・・
- 消費者庁は現金化を利用しないよう呼びかけている
- カード会社の会員規約では、現金化目的の利用を禁止している!
- 現金化は絶対に利用しないこと!
- もし現金化のサービスを利用してしまったら?
- クレジットカードの現金化はぜったいNG!
クレジットカードの現金化=高金利での借金
まず、クレジットカードの現金化の仕組みについて、具体的な数字を挙げて説明しましょう。
クレジットカードのショッピング枠が50万円だとします。あなたはこの枠を使い50万円を手に入れたいと考えています。
そこであなたは、現金化業者が指定する「50万円の商品」をクレジットカードで購入します。
商品が届いた後、その業者にすぐに転売します。(最近では、クレジットカードで商品購入の決済が終わったら、すぐに現金が振り込まれ、その後で商品が届く(現金化業者への返送不要)形が多いようです。)
現金化業者はこの「商品」を手数料の5万円を差し引いた45万円で買い取ります。つまり、いったん買った商品を同じ業者に転売することで、あなたは45万円の現金を手に入れたことになります。
さてここからが問題です。
後日、あなたの自宅にクレジットカード会社から商品代50万円の請求書が届くことになります。
つまり、45万円の現金を手に入れるために50万円の借金をしたことになるわけです。
さてこれは、どのくらいの金利になるのでしょうか?
クレジットカードの支払期限が1ヶ月先だとすると、1ヶ月で45万円の借金が50万円に増えることになるのですから、この間の利息は約11.1%。
年利に換算すると約133%になります。つまり実質的には、年利133%という暴利で借金をすることと同じになってしまうのです。
もし通常のキャッシングが利用できるなら、こんな方法を使ってお金を調達する必要はないはずです(消費者金融の一般的な金利は最大18%程度)。
現金化を利用するということは、すでに普通の銀行や消費者金融から借入ができない場合、ということになります。
当然、そのあとの支払いでも、一括払いや3回払いなどで精算するのは無理でしょうから、50万円を金利手数料15%程度のリボ払いでコツコツ返済していくしかありません。こうなると生活がますます苦しくなってしまいます。
現金化業者は違法ではないと主張しているが・・・
さて、現金化業者は現金化のサービスについてどのように考えているのでしょうか。
いくつかの現金化業者のホームページを見たところ、ほぼ全ての業者で「合法的に運営されており、決して違法ではない」と主張されていました。
「合法である」という主張の根拠は主に、
- 景品表示法で規制する景品ではないため合法化
- (古物商として)公安委員会の許可を受けている
の2つです。
結論から言いますと、現金化は「景品表示法上は」違法ではありませんが、「(古物商として)公安委員会の許可を受けている」については、「リサイクル品などを扱うことができる業者である」として許可を受けているだけであり、公安委員会が現金化そのものについて(法律上問題がないと)認めているわけではない、というのが実情のようです。
現金化業者は現金化のサービスを「違法ではない」としていますが、限りなくグレーなサービスという風に認識したほうがいいかと思います。
消費者庁は現金化を利用しないよう呼びかけている
現金化は、「現金化業者から購入した商品代金をキャッシュバックしてもらう形で資金を提供するもの」であり、金銭消費貸借契約を結ぶものではないので、形式的には貸金業者による融資には該当しないとされています。
このため利息制限法や出資法に直ちに違反するとまではいえない、というのが一般的な見解です。
しかし、消費者庁では、「クレジットカードの現金化は問題が多く、結局は借金を増やすだけになるため、利用しないように」と呼びかけています。
景品表示法上、現金のキャッシュバックの場合は例外的に取引額の20%以上を返しても違法ではないことは消費者庁も認めています。
ただし現金化がいかなる法令にも違反していないことを意味するものではなく、「現金化が問題であることには変わりがない」ともしています。
また、「公安委員会の許可を受けています」という宣伝に対しては、公安委員会は古物商(中古品を売買する個人・業者、金券ショップやリサイクル業などがそれに該当)としての許可を業者に与えているに過ぎず、「現金化が合法で何も問題ないということを保証しているものではない」としています。
カード会社の会員規約では、現金化目的の利用を禁止している!
ほとんどのクレジットカード会社では、会員規約の中で、換金を目的とした利用を禁止しています。
例えば、三井住友VISAカードでは、「会員は、現金化を目的として商品・サービスの購入などにカードのショッピング枠を使用してはならず、また違法な取引に使用してはなりません。」とし、場合によってはカード利用の停止や会員資格を取消すこともあるとしています。
現金化を目的とした利用は絶対NGなのです。
このような取引が発覚すると、会員規約に違反する行為としてカード会社から一括払いを請求される可能性が濃厚です。
最近ではクレジットカード会社もこうした取引に対し、厳しい姿勢で臨んでいます。
現金化は絶対に利用しないこと!
まとめると、クレジットカードショッピング枠の現金化については、取り締まる法律が存在しないことから、今のところただちに違法とまではいえないようです。
しかし、クレジットカード各社は、換金目的での利用を明確に禁止しています。
さらに現金化は、「通常の消費者金融などとは比べ物にならないほどの暴利で借金すること」と同じことであり、急場はしのげたとしても、結局後で返済に困ることが目に見えています。
さらに気をつけなければならないことがあります。
借金を返せなくなり、自己破産という最後の手段に頼ろうとしても、クレジットカードの現金化を利用したという履歴は、破産法252条1項2号の「廉価処分」(信用取引によって商品を購入し著しく不利益な条件で処分)に該当するとされ、免責不許可事由になることがあるそうです。
現金化を利用したせいで、借金を免責してもらうことができなくなる可能性があります。これは覚えておいたほうがよいでしょう。
2011年8月に東京都台東区の現金化業者が、「出資法違反の疑い」により全国で初めて警視庁に逮捕されてから、当局は、現金化業者への監視の目を強めています。
法律の裏をかいた新手の違法業者と変わらないとして摘発に力を入れはじめています。2012年4月には全国で3例目の摘発事例が生まれました。
さらに最近では、プロバイダーやサイト管理者に対し、(100社以上の)現金化業者のネット広告の削除を要請するなど、警察でも取締りを強化しています。
また、2011年2月には東京弁護士会が、
「国(衆議院、参議院、金融庁、経済産業省、消費者庁、警察庁)は、クレジットカードのショッピング枠の現金化について、現行法の範囲内においても現金化業者の取り締まりを行うなど適切に対処するとともに、早急に業としてこのような取引を行うことを直接規制する立法を行うことを検討すべきである。」
という趣旨の意見書を政府に提出しています。
したがって、どんなに困っていても、クレジットカードの現金化だけは絶対に手を出さないようにしましょう。
今は違法ではありませんが、限りなく黒に近いグレーですし、取締りが強化されていることも踏まえると利用すべきではありません。
結局は借金を増やすだけですし、最後の手段である自己破産すらできなくなる可能性がありますので、いいことはひとつもありません。
もし現金化のサービスを利用してしまったら?
では、万が一現金化サービスを利用してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
クレジットカードで現金化業者指定の商品を購入し、商品が自宅に届き、それを業者に返送してから、現金が振り込まれる場合
このケースでは、指定商品の販売業者と利用者の間で、商品購入の申し込みを取り消すことも不可能ではないと考えられます。できれば自宅に届く前、つまり、配送される前に商品購入をやめたいと申し出るのがベストです。
届いてしまってからでも、指定商品の販売業者に、その商品の購入をやめたい意思を伝えて、業者がそれに応じれば、届いた商品を業者に送り返せばよいからです。
商品購入の取り消しについて商品販売業者が応じない場合は、警察か消費者庁に連絡を入れるか、または、弁護士や司法書士事務所に相談しましょう。
現金が振り込まれる前であれば対処は可能です。トラブルを防ぐためにも、利用者自身でクレジットカード会社に購入を取り消したことを伝えましょう。カード会社から商品代金の請求が来ないようにすればよいのです。
クレジットカードで現金化業者指定の商品購入の決済を行い、直後に手数料を差し引いた現金が振り込まれた場合(商品は後日届けられ、業者への返送は不要)
やっかいなのがこのケースです。
利用者は、現金化業者に対して利用の申し込みを取り消す必要があるのですが、現金がいったん振り込まれた後での取り消しはハードルが高いと思われます。
現金化業者が応じてくれない場合、クレジットカード会社に対して、「この取引をやめたい」と主張するという手段があるのですが、現金化の利用自体会員規約で禁止されているものであるため、逆にクレジットカード会社から一括払いを要求される可能性もあります。
さらに、後日 自宅に届けられる商品は、購入額よりもはるかに価値が低いものと思われますので、商品を転売して差額に充てるのも現実的ではありません。
このパターンであれば、振り込まれた現金を他の借金の返済に回さず、手元の資金をなんとか集めて、カード会社に一括で支払ってしまうか、リボ払いでコツコツ返していくしかないのではないでしょうか。
さらに借金が増える結果になってしまうことは、すでに説明したとおりです。
ただ、泣き寝入りするのではなく、警察や消費者庁に連絡を入れるか、弁護士や司法書士事務所に相談しましょう。何らかの打開策が見つかる可能性はゼロではありません。
クレジットカードの現金化はぜったいNG!
最後に、何度も言うようですが、本当にお金が借りられなくて困っている場合でも、クレジットカードの現金化は絶対に利用しないようにしましょう。
自転車操業になっていたり、もう自力で返済するのが難しいという場合は、弁護士や司法書士に一度相談してみることをおすすめします。(最近は、多くの弁護士事務所や地方自治体で、法律家が無料で相談にのってくれるサービスを行なっています。)
借金問題の相談先については、『債務整理バイブル!良心的な弁護士を無料で探す方法を徹底解説!』、『借金返済の相談先の選び方。債務整理を100件以上扱った法律家の話』の記事で詳しくご紹介しています。あわせてぜひご覧ください。
この記事の筆者情報は只今準備中です。
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