私は、自営業の父に頼まれて工面した事業資金や、一度目の結婚相手が抱えていた負債を金融機関で一本化するための連帯保証人になったことで、合計1,200万円の負債を抱え、任意整理を経験したことがあります。

調停の過程ではいろいろなことがありましたが、一時的に楽になったのは事実です。今回は、そのときの体験についてお話したいと思います。

【体験者の情報】
名前：林 俊江（仮名）
性別：女性
当時の職業：会社員
当時の年齢：２６歳
会社名（借入先）：アコム、武富士、プロミス、アイク、北海道拓殖銀行、石狩信用金庫
借入件数：６件
利用時期：1996年１０月借金の合計額：1,200万円
債務整理の種類：特定調停
費用：特になし（切手代、印紙代のみ）

父に頼まれ、消費者金融でキャッシング

私が中学校に入学したころから、父は独立して呉服店を営んでいたのですが、小心者の父は自分で営業ができず、母の身内に着物を買ってもらうのが精いっぱい。

後先考えずに借金を抱え、住宅ローンも滞り、家に債権者が押し掛けるようになるまでにそう時間はかかりませんでした。

また、私の弟は私立大学に通っていましたが、学費は自分でアルバイトをして賄っている状況でした。

そんな中、上の弟が前期授業料の振り込み用に父に渡したお金を、父が自分の支払いに回してしまい、支払期限が迫っているのに金策がつかなくなったというのです！そこで、父は私に「お前が代わりに借金してくれないか」と言ってきました。

当時はバブル期で、私はちょうど大手企業に契約社員として就職したばかり。アルバイトでは考えられない給料を手にしていましたし、何より毎日寝る間を惜しんでアルバイトしていた弟のために借りるしかありませんでした。

まずは給料の振込銀行であった北海道拓殖銀行で人生初のカードローン申し込み。５０万円はすぐに融資されました。

父は「助かった」と喜んでくれましたし、弟の授業料も支払えて一安心。しかし、このとき頭のどこかで、「困ったらお金を借りればいい」という考えが生まれてしまいました。そして、その考えが、後々自分の首を絞めることになっていくのです。

気が付くと借入先が増えていく悪循環に

返済が始まっても、父は何かと理由をつけては（返済用の）お金を渡してくれなかったので、仕方なく私が自分で支払っていくことにしました。（月々の返済額は10,000円ちょっとでした。）

父は多額の借金を抱えているのに真面目に働こうとしません。営業に出るのが嫌で、着物が売れないのは母がお客さんを紹介しないからだと言い、お酒を飲んで暴れたり、暴力をふるうことが何年も続いていて、ついに家で朝から飲み続けるようになっていました。

当時、上の弟が大学生。下の弟は高校生。母はゴルフ場のキャディとして働いていて、生計をたてていましたが、それでも厳しい生活・・・。しかし、私とて家族を養えるほどの収入があるわけではありませんでした。

私は家計を助けるために、それから三度、プロミス、アイフル、アコムで３０万円ずつキャッシングをしました。月々の返済額は50,000円ちょっと。給料日のたびに金融機関をめぐって返済するのはみじめでした。

正直、もう早く家を出ていきたい気持ちでいっぱいでした。
でも、母と弟二人を置いて、自分だけ安全地帯に逃げ込むなんてできない・・・！

そんな中、結婚を申込んでくれた一度目の夫と、望まれるまま結婚したのです。それが、さらなる地獄の入り口だと気付かずに...。

一度目の夫は父と同じ穴のムジナ

一度目の夫とは会社で知り合いました。私は学生時代から長く付き合ってきた恋人と婚約していましたが、父の酒乱と借金のことを相手の両親が知り、破談になってしまったことで、私は深い孤独の海に落ちていました。

家族と暮らす家では毎日のように父が暴れ、経済的にも楽な状況ではなく、私は交際を申込まれた一度目の夫のもとに逃げ込んだのです。

しかし、その夫も父と同じ穴のムジナだと気付くのに、それほど時間はかかりませんでした。大手の製紙会社で役職についているお父さまと専業主婦のお母さま、３つ年上のお姉さまに甘やかされて育ったかつての夫は、見栄っ張りで一流品が大好きなお坊っちゃまだったのです。

私と知り合う直前、そうした見栄っ張りの生活を消費者金融からのキャッシングで埋め合わせていたかつての夫は、両親にその事実を知られ、お父さまに借金を代理弁済してもらっていたのでした。

しかし、夫は自分名義の借金がなくなったのをいいことに、また同じように欲しいものを買うためにクレジットカードをきり、返済額が足りなくなると消費者金融からキャッシングすることを繰り返すようになっていったのです。

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