更新日:2018/04/06
競馬の借金であらゆる支払いを滞納し、退職金の差押えまで要求される【体験談】
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評価を設定してください ×私は他人が羨むような高給取りでした。
ところが株や競馬にハマってしまい、いつの間にか巨額の借金を抱えて、返済や公共料金まで滞納するようになってしまいます。
挙句に違法とされるクレジットカードの現金化にまで手を出し、カード会社からカードを取り上げられてしまいました。どうにもならなくなって個人民事再生に至るまでの体験談です。
体験者の情報
名前:本田 博志 (仮名)
性別:男性
当時の職業:会社員(システムエンジニア)
当時の年齢:30~33歳
会社名:三菱UFJ、三井住友VISA、クレディセゾン、オリックス、EPOSカード、アメリカンエクスプレスカード、JCB、ロブロ、クォーク
借入件数:クレジットカード系5件、消費者金融系4件
利用時期:2006年11月~2009年
借金の合計額:600万円
破滅への道のり
私は25歳の時にギャンブルや投資に興味を持ち、その後、その資金のためにキャッシングでのローンをするようになりました。
その後、おまとめローン等をしたためにさらに借金が膨らみ、クレジットカードの借り入れと合わせると年収を超える金額になってしまいます。
公共料金を滞納したり、クレジットカードの現金化まで利用しますが、最終的には個人民事再生という形で決着しました。
この時に経験した滞納の経緯や債務整理の流れなどについて詳しく説明いたします。
競馬と株に巨額の投資
当時の私は年収約650~700万円、毎月の手取りは約45万円程度ある、高収入の会社員でした。
家賃・光熱費、食費等々の生活費には毎月35万円くらいかかりますが、借金をする前は貯蓄が100万円はありました。
同年代の平均年収よりも多いので、20代後半には複数のゴールドカードを所有しており、周囲から見ればゆとりある生活だったと思います。
そんな私が借金をしたきっかけは、競馬と株です。競馬といっても私の場合は競馬予想会社等に費用を支払い、自分で予想することなく毎週馬券を購入していました。
始めた当初は、競馬の情報会社に月5万円程度を支払い、毎週の馬券代に約10万円をかけていました。ただし勝率は20%程度、収支としてはマイナス10~20万円のことが多かったです。
こうして負けを取り返そうと、少しずつ投資金額が増えていきました。
しかし3~4ヶ月やったところで、負けは50万円以上になってしまいます。
ここでやめてしまえば良かったのですが、マイナス分を取り戻したかったのと、当たった時の快感のようなものが忘れられず、さらに投資金額を増やしてしまいます。
最大では、1週間に50万円をつぎ込んだこともありました。
また、的中率を高めるため、情報料金も月に10万円くらい支払っていました。
そしてついに、100万円くらいあった貯金が20万円くらいに減った頃、つい軽い気持ちでクレジットカードのキャッシング機能を使い始めたのです。
クレジットカードの限度額をあっという間に使い切る
最初はクレジットカードのキャッシングも少額を借りるつもりでした。しかしいつの間にか、5枚のクレジットカードのキャッシング枠、総額140万円を使い切ってしまったのです。
というのもクレジットカードキャッシングは、例え30万円を借りても、分割返済にすれば毎月1~2万円の支払いで済むのです。私も「それなら返せる」と油断してしまいました。
それぞれのクレジットカードの限度額、金利は下記の通りです。
- 三菱UFJ 限度額30万円 金利約18%
- 三井住友VISA 限度額20万円 金利約15%
- EPOSカード 限度額30万円 金利約18%
- アメリカンエクスプレス 限度額50万円 金利約18%
- JCB 限度額10万円 金利約15%
この時点で毎月の返済額は10万円を超えていましたが、節約して何とか毎月返済していました。この時対策を取っていれば、転落しなくて済んだかもしれません。
あえて大手の消費者金融を避けた理由
クレジットカードキャッシングが限界になると、次は消費者金融に頼ることを考えました。
返済に困る月が出てきたこともありますが、相変わらず競馬や株で大きく増やすための元手が欲しかったからです。
ただ、消費者金融には心理的な抵抗があり、多少の恐怖感を持っていました。
ですから私は、アコムやプロミス等の知名度の高い会社は選びませんでした。これらの会社は最初から大きな枠を設定できてしまうので、歯止めが効かなくなりそうだからです。
私が借りたのは、ロブロ(当時はプリーバ)、オリックス、クォーク、クレディセゾン(証書ローン)という会社です。
当時の私の年収は650万円(税込)でしたが、最初はロブロ、クォークの2社から合計70万円借りました。クレジットカードローンと合わせると200万円になります。
しかし最終的にはロブロからは50万円、オリックスからは200万円借り入れました。
ちなみに、ロブロは限度額50万円で金利は約29%、クォークは限度額20万円で金利が約18%でした。
この頃はまだ何とか返済出来ていましたが、生活は苦しくなり始めます。
毎月の給与が入ると手取りの3分の1くらいを返済に充てていたので、「このままではまずい!」と真剣に考えるようになりました。
おまとめローンのせいで膨らむ借金
そこでオリックスから「おまとめローン」の名目で、200万円の融資を受けることにしました。
これで他社の借金を完済すれば、毎月いくつもの銀行にお金を振り込んで返済する必要がなくなります。
また利率の高い会社から借りるのを止めて、利率の低いオリックスに乗り換えられるというメリットがありました。
ところがいったん全社分を返済したものの、手元にはクレジットカードも、消費者金融のカードも残っています。
おまとめローンで借金を一時的に完済した時に、消費者金融だけでも解約しておけば良かったのですが、完済しただけで解約はしていません。ですからそれまでと同じ様に借りることができてしまうのです。
そのためおまとめローンで200万円を借り、さらにそれ以外にも200万円を借りることができる状態なので、「借り入れは最大で400万円まで可能」と私は油断してしまったのです。
しかもこの頃の私は、競馬や株だけではなく、借金返済のために怪しい情報商材の購入にもお金を使うようになっていました。
こうしておまとめで返済したはずのクレジットカードや消費者金融から、またお金を借りてしまいます。
そこで次に、またクレディセゾンで200万円分をおまとめローンとして借りました。しかしそれもオリックスの時と同じで、しばらくするとまた手元に残ったカードで借り入れをしてしまいます。
つまり結局おまとめローンの意味がなく、借金の総額だけが増えていったのです。
こうなると給与の半分くらいが返済で消えるので、生活費が不足してきます。
こうしてクレジットカードのキャッシングにはじまり、消費者金融、おまとめローンを繰り返した結果、雪だるま式に借金が増えていきました。
私は完全に感覚が麻痺しており、銀行預金と借金の区別がなくなっていたのです。
クレジットカードの催促はまず郵便
当初は何とか延滞せずに自転車操業で乗り切っていました。
しかしついに返済できない日がやってきてしまいます。
最初に延滞したのは、毎月約5万円程度を返済していた三井住友VISAカードのショッピング枠です。
延滞は初めてだったので、支払日を過ぎてから私はずっとビクビクしていました。
すると数日後、督促の郵便が届きました。しかし払えずに放置していると、今度は毎日のように電話が来て、家の留守番電話に、毎日1回、多い時は2回メッセージが入るようになります。
内容は「三井住友VISAカードです」と名乗りますが、要件は言いません。「折り返し電話を下さい」と言うだけでしたが、私はその声にも怯えていました。
そして1社延滞すると、雪崩のように他のカードの支払いも延滞するようになりました。
その中でも催促の電話の頻度が多かったのはEPOSカードです。留守電を残さない場合も含めると、毎日3回以上電話がありました。
消費者金融の催促は電話攻撃
クレジットカードを延滞したのに対し、消費者金融はちゃんと支払っていました。そちらのほうが怖いと思ったからです。しかしやがて消費者金融も延滞するようになってしまいます。
クレジットカード会社は、延滞すると最初に郵便が届き、その後電話で督促されますが、消費者金融は郵便はなく、まず延滞翌日から電話が来ました。
しかも毎日3回以上で、携帯電話と固定電話の両方に電話が来るので、5社くらい延滞した月は、毎日携帯が鳴り止まない状態になります。
ただし電話は私の携帯と自宅の固定電話だけで、職場や実家にかかって来ることはなかったので、それだけは救いでした。また留守電は残さないことの方が多かった気がします。
この時何度か督促電話に出たこともありますが、内容は「○月○日までにお支払いください」と言われるだけでした。
口調は優しい人もいましたが、「延滞を繰り返すと一括返済を求める」と厳しく言われたことも何度もありました。
公共料金を滞納するとこうなる
クレジットカードの支払いを滞納すると、カード払いにしている公共料金、電話料金等も一緒に滞納扱いとなります。私が滞納した時にどうなったのかを以下にまとめました。
携帯電話(NTTドコモ)
- 請求書は毎月10日頃に家に届き、月末までに支払う必要がある。
- 期日までに払わない場合督促状が届き、そこに記載されている停止日までに払わないと、停止日当日の朝8時には携帯電話が使用できない状態になる。
- 数日待って欲しいという電話を料金センターにしたところ、最長で5日くらいは待ってくれた。
電気料金
- 当初はクレジットカード払いだったが、3回連続で決済に失敗すると、伝票払いに強制変更された。
- 伝票は毎月月初に届き、大体18日頃までに支払う。
- 支払い日を過ぎても支払わないと、月末くらいに督促状が届き、「支払わないと電気を止める」と警告される。しかし、この時点では、まだ電気が止められることはない。
- 督促状に書かれた期日になっても支払いをしないと、最後通告が届く。これは表に「警告」と書かれた封筒で、中にはピンクの紙が入っており、これが届いてしまったら、その期日までに支払いをしないと本当に電気を止められる。
水道
- 銀行口座からの引き落としにしており、引き落としは2ヶ月に1度だが、滞納を2ヶ月放置したままでも大丈夫だった。
- 滞納中の2ヶ月の間に一度督促状が届いたが、そこに書いてある期限までは水道が止まることはなかった。
クレジットカードの現金化にも手を出す
こうして返済に困っている時、私は次の金策として、クレジットカードの現金化に手を出しました。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠がありますが、キャッシングはすでに上限まで借りていました。
ただし、ショッピング枠が残っているカードがあったので、その枠を有効に使えないかと考えていたところ、「クレジットカード現金化」という方法があることをインターネットで知ったのです。
しかし本来、クレジットカードのショッピング枠は「現金化」することはできませんし、これはクレジットカードの規約違反に当たります。
でも私が見たホームページでは、「違法ではない」ということが説明されていたので、その時はあまり怪しく思いませんでした。
現金化にはいくつかパターンがあります。
1つは業者が指定する適当な商品をクレジットカードで購入し、キャッシュバックを現金で受け取るものです。
私の場合、100円くらいで販売しているようなアクセサリーを20万円で購入、クレジットカード払いをして、その85%を現金で受領しました。
商品を受け取った翌日には振り込まれたので、購入からおよそ4日で現金を手にすることができました。
2つ目は、JRの新幹線の特急券などをクレジットカードで購入し、現金化業者に買い取ってもらう方法です。街中にあるクレジットカード現金化業者は、大体この方法だと思います。
私が行った業者では、最初に受付で書類を書くと、事務員と一緒に旅行会社に新幹線の切符を買いに行かされました。
この時にいくら必要なのかを伝えると、どの区間の切符を何枚買えば良いかを指定されます。そこで切符をクレジットカードで購入し、業者で切符と引き換えに現金を受け取るのです。
クレジットカードの現金化は大きなペナルティが
その後、「JRの切符をクレジットカードで買って換金するだけなら、自分で購入してそれをチケットショップに持って行く方が手元に残る金額は大きい」ということに私は気がつきました。
そこで私は、業者を介さずに自ら現金化をするようになりました。
私は自分で高額な路線を調べてクレジットカードで切符を買い、チケットショップに持って行ってそれを売りました。チケットショップによっては、換金率の良い路線を電話で教えてくれるので、それを聞いてから換金することもありました。
ところが、こうしたことをアメリカンエクスプレスのカードで4ヶ月ほど繰り返したところ、カード会社から電話が入ってしまいます。
その時は毎回30万円近くを換金していたのですが、数ヶ月連続して換金率の高い物(切符、商品券等)を購入すると、例え現金化の業者を利用していなくても、カードの規約違反になるというのです。
私の場合は高額の切符を4ヶ月連続で購入していたので、一括返済とカードの契約破棄を言い渡されてしまいました。
こうして私はますます厳しい状況に追い詰められてしまったのです。
借金の理由がギャンブルだと、自己破産は難しい
最初の借り入れから3年半が経過した頃、私は自転車操業すらも回らなくなり、給与を全額返済にあてても、毎月の返済ができないくらいになっていました。
そしてついに私は、弁護士事務所に相談に行くことにします。
弁護士と司法書士のどちらに相談するか迷いましたが、消費者金融の中でも取り立ての厳しいロブロ、オリックスから借りていたことと、件数が多く金額も大きかったことから、弁護士に相談することにします。
まず弁護士とは、自己破産か個人民事再生のどちらにするかを検討することになりました。
しかし自己破産だと、私の借金の主な理由が競馬やFXであることから、認可されない可能性があります。そこで個人民事再生を選ぶことになりました。
もちろんこの時点で競馬やFXはすでにやめていましたが、弁護士から「個人民事再生の認可が下りるまでは絶対にしないように」と念を押されました。
退職金の差し押さえを要求する業者
弁護士の手続きが始まると、大手のクレジットカード会社からは、ピタリと催促の電話が来なくなりました。
ただし消費者金融からは、その後も携帯に連絡が来たことがあります。
しかし個人民事再生の手続き開始後は、直接業者と連絡を取ることが禁止されているので、電話には出ずに弁護士に連絡をしてもらいました。
しかし書類集めや手続きについては、自分も動かなければなりません。
まず個人民事再生をするには、かなり細かくお金の使い道、借金の経緯等を聞かれます。
また私が話した内容と、銀行口座の入出金の流れが一致するかを確認するため、全ての銀行口座の通帳が必要です。
しかし中には通帳を紛失してしまった銀行もあったので、その時は再発行してもらわなければいけません。
また交渉の中で、一部の業者からは「会社の退職金を前払いしてもらい、返済に充てるように」という要求が弁護士に来ました。
この時は私が会社の規則を確認し、退職金の前払いが制度として存在しないことを示した文書を提示しました。しかし、もしその文書を私が用意できなければ、会社の総務部に業者から連絡が行ったかもしれません。
こうした何度かのやり取りを経て、10ヶ月後くらいに個人民事再生の認可が下りました。
家族、会社、友人等に知られる可能性
私が債務整理をしたことは、誰にも知られていないと思います。
個人民事再生に限って言えば、以下の4つの点に気をつければ、家族にも知られずに手続き可能です。(ただし、自己破産の場合は資産の売却等もしなければならないので、家族には確実に知られると思いますが)
郵便物
私の場合、債務整理が始まってからは、カード会社等からの郵便が家に来ることはありませんでした。
しかし弁護士事務所との郵便のやり取りは頻繁に発生したので、それを見られると疑われるかもしれません。
私は個人民事再生の手続きが終わって数年後くらいに、弁護士事務所から郵便が届いたこともありました。手続き期間が終わっても、気をつける必要があります。
官報の掲載
官報は紙とインターネットがあります。紙の官報には合計で3回掲載されます。
紙の場合は平気だと思いますが、インターネットの官報は怖いです。
個人名で検索をすると、官報掲載期間中は破産・再生情報がヒットします。
大体、インターネットの検索では1ヶ月くらい残っているので、私もその間は怯えて過ごしました。
興信所等の借金調査
興信所には、過去の官報を検索できるサービス等もあるので、簡単に調べられてしまいます。
例えば結婚前に相手の経歴を調べる等で興信所に依頼をされてしまうと、確実に見つかってしまいます。
給与等の差し押さえ等の発生
業者によっては職場や会社の総務部等に連絡をしてきて、給与の差し押さえ等を要求するところもあるそうです。
「普通にカード会社や消費者金融と契約をしただけなら、給与の差し押さえ等はできない」と弁護士が言っていましたが、会社等に知られると困る場合は、事前にしっかり弁護士に伝えておいた方が良いでしょう。
借入れ・滞納について思うこと
私は数多くの滞納を経験しましたが、まとめて返済出来る見込みがないのであれば自転車操業は必ず破綻します。
私は返済だけで給与がほとんどなくなってしまうような自転車操業を1年ちょっと続けましたが、本当に苦しい状況でした。
携帯電話が鳴るのが怖くて仕方ありませんでした。
個人民事再生をしてからはお金の面では楽になり、督促に怯えることもなくなりました。しかしクレジットカードが作れない不便もありますし、誰かに調べられたらどうしようかという恐怖もあります。
そもそも滞納をするくらいなら、借金をするべきではありません。
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