更新日:2018/07/20
夫の逮捕、自己破産。壮絶な借金返済生活にピリオドをうつ【体験談】
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評価を設定してください ×私は以前、合計1,200万円もの負債を抱え、任意整理を経験したことがあります。
任意整理後、がんばって完済を目指していましたが、再婚した夫が失業し、逮捕され、自己破産を余儀なくされました。良心の呵責はありましたが、自己破産して良かったと今では思っています。今回はそのときの経験についてお話したいと思います。
体験者の情報
名前:林 俊江(仮名)
性別:女性
当時の職業:専業主婦。後に正社員として雇用される。
当時の年齢:30歳
会社名(借入先):アイク
借入件数:1件
利用時期:1997年11月~2001年5月
借金の合計額:1,200万円
債務整理の種類:自己破産
費用:弁護士費用20万円
再婚を機に債務を圧縮し、返済を開始したものの...
以前、任意整理のお話をさせていただきました(そのときのお話は、『そのときのお話。家族に頼まれてキャッシング...気づけば契約社員で借金1,200万』からご覧ください)が、私には、父や家のためにした借金 + 一度目の夫の借金の連帯保証人になったことで負った借金 = 合計1,200万円という自分名義の負債を抱えていました。
一度目の夫は離婚することになるのですが、彼には自分の借金を自分で返済しようという誠意はまるでなく、私には連帯保証人として返済義務のある借金が残されました。
その後、縁があって二度目の夫と出会い、私の妊娠を機に入籍。
しかし、二度目の夫も自営業を営む両親の事業資金を援助するため、自分名義の負債を抱えており、それを返済するためにネットワークビジネスに手を染め、さらに借金を膨らませるという事態に陥っていました。
そこで、月々の返済額を圧縮すべく、個人で家庭裁判所に任意調停を申し立て、債務整理を行いました。
2人で12件、月々の返済額が30万円に膨らんでいたものが、特定調停をしたことで18万円まで圧縮され、実家に引っ越すことで生活費を削減しながら、地道に返済を始めました。
しかし、授かった子どもが双子だった私は、つわりで入院するほど体調が悪く、早産防止のために妊娠9カ月から絶対安静を言い渡され、会社員として働き続けることができませんでした。
したがって、夫の収入だけで返済を続けていたのですが、返済をすると生活費がまったく残らないという状況に陥っていたのです。
出産費用も工面できず、出産した病院には出産一時金の入金を待って支払いをせざるをえないほど、生活は困窮していました。
夏場はゴルフ場でキャディをしていた母が、月に30万円以上稼いでいたので、父が働かなくても何とか食べていくことはできました。
でも、冬にゴルフ場が閉鎖になると、その収入が途絶え、一気に生活が苦しくなります。私も在宅仕事で月に2~3万円の収入を得てはいましたが、それは子どものミルク代とおむつ代で消えていきます。
出産後、1年2カ月は何とか自宅で子どもの面倒を見ていたものの、どうしようもなくなって、私は就職先を探し始めました。
運よく正社員雇用してもらえる会社を見つけましたが、フルタイムで働いても手取り額は13万円。保育園の費用を払ったら、残るのは3万円足らず...。
さらに追い打ちをかけるように、夫が勤務先に解雇されたのです。理由は、「公金横領」でした。
夫が失業。収入が途絶えて返済不能に
当時、夫は中古車の売買業者に勤めていました。車の買い取り資金として100万、200万という現金を持ち歩くことも多かったようです。
ある日、顔面蒼白で帰ってきた夫にどうしたの?と問いかけると、「会社の資金を届けに行く途中、コンビニに立ち寄った際、カギをかけずに車から離れたら、その間にアタッシュケースごと現金を盗まれた。どうしたらいいかわからない。」
その言葉を信じた私は、翌日、朝一番で上司に報告するように告げ、紛失した200万円を返済するために何ができるのかを考えました。
でも翌日、いつもより早く家を出た夫は、会社に「お金を紛失してしまいました。申し訳ありません。」というメモを1枚残して行方がわからなくなり、私は上司からの電話でその事実を知らされました。
上司の方は、「弁済してくれれば、事を公にするつもりはない。」と言ってくださり、とにかく社長のところに二人で謝罪に行くようにアドバイスしてくれました。
私は心当たりを探して夫を見つけ出し、「両親に家を処分してもらって、借金を清算して、200万円は二人でコツコツ働いて返済しよう」と話しました。
その翌日、夫とともに社長のところに謝罪に伺いましたが、私たちが任意整理をしていたこともご存じだったので、「自分たちの借金返済のために使ったんだろう!裏切られた!」と激昂され、夫は即刻解雇を言い渡されました。当然の怒りだと思います。
主たる収入源を絶たれた私たちは、すぐに月々の返済に困るようになりました。そしてこのとき、私はすでに3人目の子どもを授かっていたのです。
夫の執行猶予判決を機に、自己破産を決意
解雇の理由が理由だった夫は、自力での就職を諦め、私たちが暮らす土地から車で5時間の地方都市に住む両親のところに戻り、家業を継ぐことに決めました。
こうして別居生活が始まったわけですが、夫の両親の自営業もうまくいっておらず、子どもに借金をしてもらって、細々と仕事を続けている状況でした。
ですから、夫が一日中働いたところで、給料を支払う余裕などなかったのです。
私は冬の間は母に子どもの面倒を見てもらい、自分の給料で実家の生活費をねん出してもらっているような状態。
母が働ける時期が来れば、生活費の負担からは解放されますが、保育料を支払ったら、残るのは通勤交通費だけという生活でした。
そのため月々の返済が滞り始め、家に頻繁に電話が入ったり、債権者が訪れるようになりました。
夫は遠く離れた街で、そうした心理的負担を強いられることはないのです。
そして、夫の両親も、わずか1歳の孫を抱える私の生活の苦しさを理解はしてくれたものの、だからといって夫の給料をきちんと支払ってくれるわけではなく、自分たちの借金の返済を優先させていました。
そんな両親のやり方に腹をたてた夫は、わずか8カ月で私たちが暮らす街に舞い戻り、アルバイトを始めました。そのお給料があれば、何とか月々の返済額は賄えました。
産休に入っていた私は、生活は苦しいものの、督促の電話がなくなったことで精神的にも落ち着けるようになり、無事に3人目の子どもを出産できました。
そして秋を迎え、私が職場復帰を目前にした頃、夫が突然逮捕されたのです。理由は「公金横領」でした。
私も事情聴取を受けましたが、1歳の双子と生後1カ月半の赤ん坊を連れて警察署に出向く私に、刑事さんたちはとても良くしてくれました。
捜査の結果、夫が200万円を紛失した後も、私たちの借金の返済のペースも貯金の残高にもまったく変化がないことは証明されたものの、会社の公金を紛失したことも、正式なルートでなく持ち歩いたことも事実で、有罪判決を覆す状況にはありませんでした。
私は弟や友人・知人に現状を打ち明け、お金を貸してもらえないかと頼んで歩きました。快く助けてくれるひとも、それを機に縁を切られたひともいました。
そんな私たちの現状を知っても、夫の両親も姉弟も、1円たりとも援助してくれませんでした。その事実は、夫を打ちのめしたようです。
私は子どもたち3人を連れて、毎日面会のために警察署に通い、拘置所に移送されてからも、3日に一度は会いに行きました。
逮捕から3カ月半で、「懲役2年6カ月・執行猶予5年」の判決が出て、夫は自宅に戻りました。その夜、二人で話し合って、自己破産を決めたのです。
信頼できる弁護士に相談の上、手続き開始
自己破産をするにあたって、夫と同郷で、拘置所内で知り合った方を親身になって弁護してくださったという弁護士に連絡をとりました。
実は夫の逮捕から遅れること2カ月、私の雇用主が詐欺罪で逮捕され、会社が倒産。
私はかつての勤務先の上司が経営する会社に採用してもらい、ようやく生活の目途はたったものの、夫が無職であることに変わりはなく、実家に戻って家業を継ぐしか選択肢がない状況でした。
弁護士の先生は、そんな私たちに迷わず、「いますぐ自己破産しましょう」と言ってくれました。
弁護士事務所を初めて訪れたのが5月で、夫婦別々に弁護士の先生と家庭裁判所に出かけ、最終的に免責されたのは12月のことでした。
家庭裁判所で申し立て理由の説明をした際に、「特定調停じゃなく、この時点で自己破産しておけばよかったのに。よくがんばったね」と声をかけていただき、涙したことをよく覚えています。
自己破産してから思ったこと
「自分たちが贅沢をしたいとか、ギャンブルでお金を使ったのなら、こんなことは言いません。でも、あなたたちの負債の始まりは、それぞれの両親の問題です。今後、同じ失敗を繰り返さないと決めて、自己破産を選択しましょう」。
先生のその言葉がなければ、「借りたものを返さず踏み倒す」罪悪感から逃れられず、いまも借金に借金を重ねて苦しい生活を送っていたことと思います。
弁護士費用は、夫婦二人合わせて30万くらいでしたが、一括払いなど到底できる状況ではなかったので、月々1万円の返済を、無利子で30カ月続けました。
債務の担保になっていた実家の家屋は処分され、それを機に私の両親が離婚するなど、自己破産で失ったものも小さくはありませんでした。
ですが、クレジットカードやキャッシングができない生活は、必要なものをお金を貯めて買うという、本来あるべき生活に私たちを戻してくれました。
身の丈にあった生活ができるようになったのは、自己破産のおかげだと、いまは断言できます。
精一杯返済の努力をして、それでもどうしようもないと感じたら、自己破産を検討してみてください。
理由が正当で、このマイナスをいつか社会に恩返しするという心を持っていれば、この失敗は取り戻せると私は考えています。
まず、弁護士や行政書士に相談してみることをおすすめします。
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