更新日:2018/07/20
返済の日々から開放されたのもつかの間、再び現れた彼に暴力を...
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私が当時付き合っていた彼氏にだまされて300万円以上もの借金を負い、結果的に自己破産してしまったときのことを綴っています。
前回のあらすじ
離婚後1年。当時付き合っていた彼に頼まれ、私は自分名義で借金を繰り返していました。
借金は増えていき、総額300万円に達するころ、私はようやく債務整理、彼との決別を決意。
しかし、どこの弁護士事務所に相談してもなかなかとりあってもらえず、途方にくれていたとき、ある一人の親切な弁護士さんに「法テラス」のことを聞きます。
そこで紹介された弁護士事務所で弁護士さんに任意整理を勧められ、ついに本格的に債務整理をすることにしました。
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思い切って債務整理への道を歩みだした私でしたが、待っていたのは思ってもみなかった最悪の展開でした。
どうしても避けたかった自己破産。でも、もうどうにもならない窮地へと追い込まれてしまったのです。
返済に追われる日々からの解放
弁護士さんに債務整理を正式にお願いしたあと、私は何年ぶりかで平穏な日々を取り戻すことができました。すぐに債権者に受任通知書というものが送られ、その時点で全ての取り立てが止まります。
ですから、弁護士さんと債権者との間で交渉が成立し、支払い方法が決定するまでの間は一切借金の返済はしなくてすむのです。
毎日毎日返済のことで頭を悩ませる日々。計算機を何度も何度も叩き、借入残高を調べ、他に借りられるところはないか探しまわり、電話が鳴れば督促かと怯える日々。
今月はどうやって返済しよう、お給料日まであと何日、引き落としの日まであと何日、そんな心配に追われることもなくなりました。
お昼休みの時間を潰して銀行を走り回り、休日には隣の市のATMまで走る。そんな必要もなくなりました。
お金の返済に追われないということだけで、こんなにも安心できるものかと、しばらくは気の抜けたような状態が続いていました。
寝ても覚めても頭を離れることのなかった支払いの心配から開放され、夜もぐっすりと眠ることができるようになりました。
過払い金がないと難しい!
しかし、いつまでものんびりとはしていられません。この間に、私にはやらなければならないことがありました。
それは、一度、カード会社数社への支払いを全て済ませて返済を一本化するために個人的にお金を貸して頂いた知人へ返済するための貯金です。
実は、途中で一度、ローン会社からの借金を返済するために、個人的に知人から200万円を借りて、払える分を全て支払っていたのです。
この時点である程度の借金を一本化して、あとはその知人に返済していくつもりでした。
ところが、カードのキャッシング枠が空いたのをいいことに、また彼が借金を繰り返し、気がつくと元の木阿弥に戻ってしまっていたのです。
このことは今でも本当に後悔しています。この時点で任意整理のことを知っていれば、ここまで事態がひどくなることはなかったのに、と。
結局は、途中で個人的にお金を借りて、返済をしていたことが逆に自分を不利にしてしまったようです。私の場合一番の問題となったのは、過払い金がほとんど無いということでした。
法テラスにたどり着くまで、色々な弁護士事務所に電話をしても断られたのは、過払い金請求が出来ないためでした。
多分、普通の債務整理を得意とする事務所では、過払い金請求で得られる成功報酬が大きいのだろうと思います。
しかし、ここで負けてはいられません。大きな失敗でしたが、自分でなんとか返済するしか道はないのです。
返済は月々5万円を私名義の通帳に貯め、全額貯まったらまとめてお返しする、ということでお借りしていたのですが、少しでも早く返済するために生活費を削ってお金を貯めていきました。そのために、夜のドラッグストアでのパートも始めていました。
債権者との交渉が全て成立し、弁済がスタートするまでには半年ほどの時間がかかるとのことでしたので、その間に少しでも多くの貯金をして返済を、と考えていたのです。
債務整理から自己破産へと
ところが、ここでまた、予期せぬことが起きてしまいました。
私が債務整理を始めた直後くらいからほとんど接触を避けていた彼から、別れ話のもつれで暴力を受け、最終的に手切れ金替わりにと言って貯めていたお金を全て奪われてしまったのです。
何年もお金とDVで苦しめられてきた男とやっと完全に縁が切れた安堵感と、数ヶ月間、生活を切り詰めて貯めたお金を全て失った虚無感。
2つの感情が入り交じって、全身から力が抜けたあの時の感覚を今でも鮮明に思い出します。拭っても拭っても、涙が溢れて止まりませんでした。
でも、こんなところで立ち止まってはいられません。私はこの先も、生きて行かなければならないのです。
個人的に借りたお金は200万円。これをまた最初から返済しなければなりません。その上、300万程度まで膨らんでいた借金の返済もするなんて、どう考えても無理だと気づきました。
翌日、弁護士事務所の担当の方に電話をかけました。
「債務整理ではなく、自己破産に切り替えていただけませんか?」
すでに数社との交渉が成立していた段階での変更です。受け入れられるかどうか、一種の賭けのような気持ちでした。
新たな面談の日が決まりました。
私はいったい、何と戦おうとしているんだろう。
先の見えない不安にまた襲われ、挫けそうな心を抱きながら、ただ黙々と時が過ぎるのを待つ日々が続いて行きました。
あなたは被害者なんです
正直、その時に具体的にどのような話をしたのか、今でははっきりと思い出すことはできません。
私は金銭的にも精神的にもだいぶ追い詰められていました。この窮状から逃れたい。ただその一心でした。
なぜそのような状態になってしまったのか、先生に聞かれました。
「実は・・・相手の男性に暴力を振るわれていたんです。そのために怖くて逃げ出すこができませんでした」
そういった瞬間に、先生の顔が変わったのだけは良く覚えています。弁護士事務所の中、先生の目の前に座っているというのに、私は涙を堪えることができませんでした。
「わかりました。方針を変更しましょう。自己破産の手続きを始めます。もうこれ以上苦しむ必要はありませんよ。あなたは何も悪くない。被害者なんですから。」
先生が力強く言ってくれました。
先生がおっしゃるには、今回のような事情がある場合、どうしても借金をしなければならない致し方ない事情があったという理由で、裁判所でも破産を認められるケースがほとんどだということでした。
周囲に知られる心配もない
ただ、債務整理の場合と違うのは、自分名義の財産と認められるものがあると、全て差し押さえになるということです。
今後クレジットカードが作れなくなったり、ローンが組めなくなったり、ということは債務整理の場合も同じですから、それほど大きな違いはありません。
私が最も心配だったのは、この先家族に迷惑がかかってしまわないか、ということでした。弟は公務員ですし、子供たちは就職活動が控えています。
もし私の自己破産が原因となって、子供たちが将来就きたい仕事に就けなくなるようなことになったら、それこそ取り返しのつかないことになってしまいます。
しかし、その心配は全くないということでした。
まず基本的に、自己破産の事実が周囲に知られる心配はまずない、ということです。
国が発行する官報には記載されますが、一般の人の目に触れるようなものではないそうです。見るとしたら、自己破産をした人にもお金を貸す、違法金融業者くらいだそうです。
ですから、余程の事がない限り、家族にも知られることはないというお話でした。
また、本籍地の市区町村の一部の書類に記載されますが、これも公にされる書類ではないので、市区町村役場の職員にも知られる心配もありませんし、戸籍に記載されるものでもありません。
預貯金関係はどうなるのかも不安でしたが、それは何の制約もなく普通に利用できますし、新しく口座を開くことにも全く影響しません。
自己破産は人生の終わりではない
周囲には自己破産をすると選挙権がなくなる、などという人もいますが、それもあり得ません。
一部のごく限られた職種を除いて、資格が剥奪されることもありませんし、仕事が制限されるものでもありません。もちろん、現在の職場に知られる心配もありません。
また、5~7年経てば、クレジットカードを持ったり、ローンを組んだりすることもできるようになるそうです。
一般的に自己破産と聞くと、人生の終わりというような重く暗いイメージがありますが、こうして詳しく正しい中身を聞いてみると、決して「この世の終わり」ではないことがわかります。
以前、私はこの借金の元となった男性に、自分の親が昔自己破産をしているから、自分もクレジットカードを使えない、携帯電話の契約もできない、と言われて全て私の名義を貸していたのですが、それも大嘘だったことがわかりました。
無知というのは、とても怖いことです。
こうして、自己破産に対する不安が払拭され、あとは手続きが全て終了し、裁判所からの連絡が来るのを待つだけとなりました。
この時の私の気持ちは非常に複雑なものでした。
しかし、ここまで来てしまったら、もう後戻りはできません。あとひと踏ん張り。自分と家族の今後の人生を守るための、苦渋の決断でした。
「裁判所から出頭日についての連絡があり、書類も届いている」と、弁護士事務所の担当の女性が電話を下さいました。
いよいよ裁判所に行く日が近づき、私が人生の再スタートを切れる日まで、もうすぐとなりました。
手続きは自分でもできる
自己破産の申し立てに必要な書類のほとんどは、弁護士事務所の方で用意してもらえます。自分で用意するものも数点ありますが、費用はそれほどかかりません。
今回私が事務所で用意していただいた書類の作成は、自分ですることも可能です。
自ら裁判所に行き、手続きも自分ですると、非常に安い金額で申し立てをすることができますので、実際に全てを自分で行う方もいるそうです。
「自己破産の手続き」について、関連した書籍も出版されていますので、それを参考にするといいと思います。
私は法律事務所にお願いしましたので、手続き等の心配もなく、連絡を待つのみとなっていました。
裁判所から書類が届いたということで再び事務所を訪ね、当日必要な書類や連絡事項を書いた紙を渡されて、女性から説明を受けました。
裁判所ではそれほど時間はかからないと言われましたが、裁判所に行く事が初めてでしたので、やはり緊張は感じていました。
ついに自己破産が認められる
当日、時間より少し早めに裁判所に行くと、もうすでに何人かの方が部屋で待っていました。私も本人確認などのあと、その部屋で待つように言われ、椅子に座りました。
パイプ椅子が20脚ほど置かれ、その正面に大きな机があって、書類が山積みになっています。これからこの部屋でどんなことが行われるのか、不謹慎かもしれませんが、不安というより興味が湧いてきました。
昨日の女性の説明では、「実際に自己破産が認められるかどうか」、ここで伝えられるということでした。
おそらく心配はいりません、とは言われたものの、もし認められないとなると、この先どうしたらいいのかわかりません。
まだ空席の目立つパイプ椅子を見ながら、こんなにたくさんの人が自己破産するんだな~、とぼんやりと考えていました。
開始時間間近になり、次々と色々な人が部屋に入ってきました。
男性、女性、若い人、中年の人、本当に様々な人たちが、みな審査の結果を固唾を飲んで待っています。それは、何か不思議な光景を見ているような感覚でした。
時間になり、裁判官と補助の方、2人の男性が部屋に入ってきました。2人ともとても温和な感じの方です。
一同起立をして、開始の宣告が行われ、その後、ここにいる全員の自己破産が認められたことと、なぜ認められたかの経緯の説明、今後の注意点などが伝えられました。
部屋の中に、一気に安堵感が広まります。
そして、一人ずつ決定通知を受け取り、裁判所での全ての手続が終了しました。
これでやっと、私は人生を再スタートするためのスタートラインに立つことが出来たのです。
私たちには未来がある
実は最後に事務所で担当弁護士さんと面談した際、ほぼ間違いなく認められるから心配はいりませんよ、と言われ、思わず聞いてしまったことがあるのです。
なぜこんなに簡単に自己破産が認められるのですか?と。
先生の答えはこうでした。
「自己破産は、人生をやり直したいと願う人たちを救うための制度だからです。人は誰でも間違いを起こします。その時に、やり直しが出来ないとしたらあまりにも不公平です。不景気や会社の倒産、リストラなどで生活のために借金をせざるを得ない人たちもいます。まして、あなたのように、暴力や脅しでこんな事態になってしまった人を救えないとしたら、法の正義は成り立ちません。自己破産を恥じることはありません。国で認められた正当な権利なのですから、これからも自分を恥じることなく、堂々としていてください。」
私は今、借金問題で苦しむたくさんの人たちに、この言葉を届けたいと思います。一生懸命生きているのに、多額の借金に押し潰されそうになり、生きていることすら嫌になる、その気持ちは良くわかります。
でも、私たちには未来があります。
生きている限り、明日に向かって歩き続けなければなりません。
力強く、粘り強く、希望を持って。
私はこれからも自分の足で、一歩一歩歩いて行こうと思います。
この記事の筆者
金森 みゆき(かなもり みゆき)
会社員として勤務しながら、副業アフィリエイターとして月収20万円を安定して稼ぐ。自己破産後に個人的に知人から借りた200万円を、ネットビジネスで得た報酬で3年間で全額返済。現在はあらたなビジネススタイルを模索しながらも、趣味に、勉強にと自由な生活を送っている。
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