更新日:2018/07/20
大手の弁護士事務所は要注意?いい加減な対応で申立まで2年かかった話
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評価を設定してください ×多額の借金を抱えてしまった私は、とある大手弁護士事務所に破産手続の依頼をしました。
ところが、依頼してから裁判所に申立をするまでに、2年もかかってしまいます。
一般的には、依頼をしてから6ヶ月~1年ほどで手続は終わると言われているのに。
大手の弁護士事務所だから安心ということはありません。
本当に大切なのはもっと別のものだったのです。
体験者の情報
名前:桐山 武雄
性別:男
当時の職業:会社員、アルバイト
当時の年齢:39歳
会社名(借入先):アコム、武富士、エイワ、レイク
借入件数:4件
利用時期:平成18年~平成22年
最大で抱えた借金の合計額:700万円
債務整理の種類:破産
債務整理費用:52万円
債務整理をしていた時期:平成22年2月~平成24年3月
この記事のアドバイザー情報
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工藤 崇ファイナンシャルプランナー
(株)FP-MYS代表取締役社長兼CEO。フィンテックビジネスの導入をFP視点でサポート。各種メディアでの執筆、セミナー講師、相談業務など実績多数。
スリルを味わうことが生きがい
私の借金の主な原因はギャンブルです。
パチンコ、スロット、麻雀、競馬、競艇など、ギャンブルであれば何でも手を出すような人間でした。
ギャンブルを始めたきっかけは、職場での人間関係がうまくいかずストレス解消のため。
はまったのは平成17年頃で、平日でもパチンコをしたくなって、会社は休みがちになり、結局翌年に解雇されてしまいます。
解雇された後、すぐにアルバイトを始めましたが、以前よりも自由に時間が使えるようになってしまったので、ギャンブルに費やす時間はさらに増えました。
ギャンブルの面白さは、スリルが味わえることです。
もちろん勝てばお金が入ってくるので嬉しいのですが、それ以上にゾクゾクするスリルを楽しむことが生きがいでした。
この頃、アルバイトで得ていた手取り月収は約18万円。
そのすべてをギャンブルに使ってしまうため、何の躊躇もなく消費者金融から借入をするようになりました。
どこからいくら借りたのかまったく覚えていないほど手当たり次第に借入をし、合計5社の消費者金融から借金をすることになります。
無気力な生活
このような生活が、平成22年2月まで続きました。
借りられるだけ借りて、返済は2~3ヶ月に一度2万円ほどを返済するという、非常にいい加減な金銭感覚でした。
ポストには常に督促状がつまっていて、裁判所からの書類もあったような気がします。
平成22年2月のある日、何気なく督促状を整理しているうちに、そろそろ真面目に返済をしようかと思い立ちました。
督促状を整理すると、債務総額は約700万円あります。
中にはすでに、裁判所からの判決が出ているものもありました。
これは債権者が私を訴えて勝訴したようなもので、この勝訴の判決があれば強制執行ができるのです。
「ダメだ。こりゃ返済できない。」
私はすぐにポストに入っていたチラシの法律事務所に電話して、相談をすることにしました。
ここまでの行動を見て分かるように、私は非常に無気力な人間で、人生を前向きに考えることもなかったのです。
法律事務所のありえない対応
私は平成22年2月、大手弁護士法人に初めて借金の相談をしました。
その場で「すぐに破産になるだろう」という回答をもらい、私は依頼することにします。
この時の弁護士の態度が事務的で冷たい印象を受けましたが、弁護士というのはそんなもんだろうと思っていました。
しかし、その後の対応のひどさには驚かされることになります。
次に事務所から連絡があったのは事務所を訪れた翌月。住民票や給与明細書などの書類を集めて欲しいということでした。
私は時間に余裕があったので、2週間くらいで住民票、給与明細書直近3ヶ月分、そして直近3ヶ月分の家計簿を作成して事務所に送ります。
ところが、その後、事務所から何の音沙汰もなく、次に連絡があった時には、7月になっていました。
この時の電話は担当事務員が代わったという連絡でした。
さらに再度、住民票、給与明細書3ヶ月分、家計簿3ヶ月分を要求されました。
簡単に言われましたが、住民票は無料ではありません。
少し腹が立ちましたが、担当が代わったのなら仕方ないと思い、2週間後くらいに事務所に送付しました。
そしてその翌月に連絡が来ます。
するとまた、担当者が代わったという連絡でした。しかし「手続は進めています」とのこと。
正直、担当者というのはこんなに代わるものなのかと疑問に思いました。
しかし、その後も連絡はありません。次に連絡があったのは、3ヶ月後の11月です。
またしても、今年中に裁判所に破産申立書を提出するので、急いで住民票、給与明細書3ヶ月分、家計簿3ヶ月分を送って欲しいという内容でした。
なぜ何度も必要になるのかの説明もないまま電話は切れました。私は、また書類を集めて1週間後に事務所に送付します。
ところが、そのまま平成22年は終わってしまいました。
翌年2月に、事務所から連絡がありました。
私はこの時すでに破産手続は終わっていると思っていたのです。
しかし今度の電話も、担当者が代わり破産申立ができなかったという連絡でした。
そして、また住民票、給与明細書3ヶ月分、家計簿3ヶ月分を送付して欲しいと要求するのです。
さすがに今回は担当者に怒りをぶつけました。
しかし担当者からは謝罪の言葉もなく、すべて前任者の責任だと主張するだけです。結局、何の進展もないまま電話は終わりました。
私は書類を集めるのがバカバカしくなり、既に何度も送っているのだからそれでなんとかなるだろと思って、特に何もしませんでした。
その後は事務所からも連絡がないまま時間が経過します。
1年半ぶりに手続き再開
それから半年後の8月、久しぶりに事務所から電話がありました。
また担当が代わったという連絡でした。これが何回目なのかもはや把握できません。
言い訳を聞いたところで、怒りをぶつけようと思っていました。
しかし今回の担当者は今までと違い、まず手続が長引いてしまっていることを謝ってくれたのです。
この事務所が謝ったのは初めてことだったので、私はとても驚きました。
事情を聞くと、事務所が抱えている案件が多過ぎるようでした。
しかも破産手続に精通している人材が不足しており、仕事が溜まってしまったというのです。
しかしこの新しい担当事務員のAさんは、破産手続の経験が豊富のようです。
そして11月までに申立をすることを約束してくれました。
それからしばらくして、裁判所に提出する破産申立書を作成するために、電話でAさんから聴取を受けました。
ようやく破産申立のスタート地点に立ったのです。
私はAさんにこれまでの借入や生活状況のすべてを話しました。
これらの内容は最初に弁護士事務所を訪れた時にすでに話していたのですが、Aさんはあの時の弁護士の冷たい事務的な態度とは違い、とても親身になって話を聞いてくれます。
気が付くと1時間の予定でしたが、2時間ほど話し込んでいました。
途中で笑いもあり、自分の隠したい過去をこんなに明るく話せたのは初めてです。
Aさんは「裁判所に提出する破産申立書には真実を記載しなければいけませんが、多少の不都合はあえて記載しないで進めましょう」と言ってくれました。
例えば「ギャンブルをするために借金をした」のではなく、「収入のほとんどをギャンブルに使ってしまったので、生活費がなくなり、生活費に充てるために借入をした」などの記載です。
少しでも印象が良くなるようにという配慮でした。
また電話では、お決まりの書類の説明もありました。
しかしここで初めて、私の書類には不備があったことが分かったのです。
その後は家計簿の作成なども、その都度Aさんに電話で確認をしながら用意しました。
こうして手続を進めるうちに、私はAさんの真摯な態度に動かされて、本当の意味で反省するようになります。
「自分はまだ借金があり、それをゼロにしなければならない。」
「これまでの自分は、ただ甘えていただけだ。」
今後の生活について前向きに考えはじめました。
そして時々Aさんに連絡をして、手続とは関係のない日常の話や人生まで話せる関係になっていたのです。
Aさんは27歳。
私よりもだいぶ若いのですが、まるで師匠のような適格なアドバイスをくれるのです。
私はAさんとの出会いに心から感謝しました。
ありがとう、Aさん
そして平成23年11月。ついに破産申立ができました。
私の自己破産は「管財事件」となったので、そのために積み立てていた管財費用25万円を支払いました。
「管財事件」とは私のようにギャンブルで借金をしてしまった人などが対象となる破産で、申立をするためには最低でも20万円の費用がかかります。
Aさんから破産申立が終わったという電話をもらったときは、うれしくて涙が出そうでした。
しかしここでもAさんは優秀な人で、「これから裁判所に出向き面談が行われるので、最後まで気を引き締めて欲しい」と私は注意されました。
その後は1度だけ裁判所に出向いて、今までの状況を中心に色々質問をされましたが、問題なく終わりました。
実は面談の前にはAさんから連絡があり、当日の流れを説明してくれていたので、気持ちに余裕をもって臨むことができたのです。
そして平成24年3月、ついに免責許可を得て私の借金はなくなりました。
私は弁護士よりも、Aさんに感謝せずにはいられませんでした。
Aさんには改めてお礼が言いたかったのですが、その後6月に私が事務所を訪ねた時には、すでに退職されていました。
唯一の心残りです。今でも感謝しています。
この場で言わせて下さい。
お世話になりました。ありがとうございました。
担当事務員との信頼関係が大切
どのように弁護士事務所を選ぶかは、とても難しい問題です。
大手の法律事務所は、様々な広告を出していますが、広告や宣伝を見ても事務所の内部までは伝わってきません。
ただ私の個人的な意見では、大々的に広告をしている事務所はあまり良くないのではないかと思います。
儲けようとどんどん案件数を増やす一方で、きめ細かい対応が難しくなるからです。
ではどのように弁護士事務所を探せばいいのでしょうか?
それは、専門的に扱っている事務所を見つけることです。
事務所のホームページには、どんな案件を専門にしているのかが記載されています。
大手であれば、債務整理の他に様々な事件を扱っているので、今は儲からなくなってしまった債務整理を担当するスタッフが少ないのが現状です。
しかし「この道20年」といった債務専門の事務所は違います。
専門的に扱っているので、スタッフは内情に精通している人ばかりでしょう。
所長弁護士にも一貫性があります。
そして債務者にとって事務担当者との関係は弁護士との関係以上に大事です。
債務処理は単なる事務的なものと思っていましたが、私とAさんのように信頼関係も欠かせません。
担当者が合わない場合は、思い切って担当者の変更をお願いしてみるのも一つの方法です。
弁護士事務所も実績や規模ではなく、人と人のつながりが良い結果を生むのだと私は思います。
対応が悪いときは早めに別の弁護士事務所へ
残念ながら、今回のように冷たい対応(今回はキャパオーバーが理由のひとつですが)をとる大手弁護士事務所はときどきいます。
「しっかりやってください!」と担当者に怒鳴っても、それで案件を優先させてもらえるとは限りません(担当者変更をお願いすることもひとつの手ですが、相談者側からもこまめに連絡を取ることも大切です)。
最良の方法は、早めに別の事務所に相談しなおすこと。
早ければ早いほど債務整理の方法の選択肢も増えます。
もし「対応が遅いかな?」と感じたら、代替事務所を調べてみることをオススメします。
工藤 崇(ファイナンシャルプランナー)
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