体験談から学ぶ質入れのススメ。利息は高いがメリットも大きい

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質屋というと、最近は「ブランド品を買い取って販売するところ」といったイメージが定着しつつありますが、そもそもは「品物を担保にお金を貸してくれるところ」です。

お金を借りるのですから、返すときはキャンシングと同じように利息がつきます。

ところが最終的に元金と利息が払えなければ、預けていた品物は処分されてしまうのです。

体験者の情報

名前(仮名):上野 由香
性別:女
当時の職業:販売員
当時の年齢:32歳
質屋の名前:河田質店 カドヤ質店
預けていたもの:ルイ・ヴィトンバッグ、ルイ・ヴィトン名刺入れ、ロレックス、パールネックレス、ティファニープラチナネックレス
預け入れ金額:49万円
預けていた時期:2005年4月~2006年8月

キャッシングとはちょっと違う質屋の利用法

私は生活苦のために、キャッシングや質屋を利用してお金を借りていたことがあります。

しかし、同じ借金でも、この二つの方法には大きな違いがあるのです。

質屋の場合は、借入金や支払期限の融通が利く上に、「常連さん」になるといろいろ便宜を計ってくれます。

またキャッシングのように支払いが遅れても催促の電話がかかってくるようなことはありません。

しかし大切な品物を担保にお金を借りると、返せなくなった場合は、品物は処分されてしまいます。質屋の上手な利用方法や、メリット・デメリットについて、体験をもとにお話いたします。

高金利だけど便利な質屋

当時の私はシングルマザー。一人で娘を育てながら、販売員の仕事をしていて、月収は14万円ほどでした。

しかし、実家へ毎月5万円仕送りもしなければならず、残りで家賃や食費、光熱費などを支払うととても足りません。

不足を補うために、サイドビジネスでセールスの仕事もしていましたが、こちらは収入が不安定で、あまり当てにはできませんでした。

そこで持っていたブランド物を質屋に預けて、お金を借り始めました。

質屋でお金を借りる際の流れは、このようなものです。

質屋の選び方

まずどの質屋を利用するかですが、1件の質屋に行くのではなく、何軒かの質屋に足を運んで、借りられる金額を確認して下さい。必ず金額に差がありますから、より高い金額で預かってくれるお店を選びましょう。

私の場合は、2か所の質屋で金額を比べて、高く預けられる方からお金を借りていました。

利用した2つの質屋は、片方はヴィトンを高額で、もう片方はロレックスを高額で預かってくれる店でした。このように質屋にはそれぞれ得意分野があるのです。

私は質屋を使い分けて、バッグやアクセサリー類で3万円、ロレックスの腕時計で35万円くらい借りることができました。

また交渉次第では、預け入れの金額を上げてもらえることもあります。

質屋の金利

キャッシングの金利は「年利」ですが、質屋はほとんど「月利」で計算します。

質屋の利息は月利で5~6%、年利に換算すると、60~72%にあたり、非常に高金利です。

質屋の支払い期限

キャッシングの返済は毎月行わなければいけませんが、質屋の返済期限は3ヵ月です。ですから、3ヵ月以内に元金と利息をすべて支払えば、品物を取り戻すことができます。

ただし期限内に支払いがないと「質流れ」となり、品物は処分されてしまうのです。

返済は3ヵ月目に元金と利息を一括して払えばいいのですが、利息をまとめて払うとかなりの金額になってしまいます。

そこで私は、利息だけを毎月2万5千円ずつ払うという方法を取りました。利息だけでも支払い続ければ、3ヵ月経っても期限は延長され、質屋は品物を売り飛ばさずに保管してくれるのです。

質札

商品を預けると「質札」という札を渡されます。
そこに借りた金額、1カ月の利息、質流れになる期限などが明記されています。

この質札は、とても大事なもので、もし紛失して他の人の手に渡ってしまったら、勝手に商品を引き出されてしまうのです。

私は店の顔なじみでしたから、質屋が勝手に商品を渡すようなことはありませんが、そういう点でも、質屋は便利かもしれません。

仲良くなれば融通がきく質屋

また支払いが遅れそうな場合、連絡を入れておくと、商品を流さずに待ってくれることがあります。

私が利用していた2つの質屋は、1つは個人経営、もう1つは「ロデオドライブ」というチェーン店で、横浜で質屋の他に、中古のブランド品を販売する店舗を持っていました。

この2つの質屋はとても良心的で、支払いが遅れてしまっても、行って謝ると、なんとか処分を待ってもらうことができました。

特に私は「常連さん」になっていたので、かなり融通がききました。

また質屋のオーナーが「私も昔はそうやって、自分の大切なものを入れて家計を守っていったのよ。今は大変でしょうけど、必ずいい時がくるから」と励ましてくれることもあり、非常にアットホームな面もあります。

私はいつも娘を連れて質屋に行っていましたので、オーナーもよけいに不憫に思ってくれていたのかもしれません。娘にお菓子をくれたり、相場よりもちょっと高く預かってくれたりと、何かと便宜を図ってくれました。

返済が難しかったら品物を諦める

当初、私の質屋への返済は順調でした。

ところが1年を過ぎたころ、会社の事情で給料が20%ほど減給してしまいます。そしてこの頃から、利息だけを納めるのもきつくなっていきました。

そこで支払いが厳しい時には、毎月の支払いは諦め、利息の支払期限ギリギリの3ヶ月目に、3ヶ月分の利息を払うようになりました。

ただし「利息が払えなかったら、預けた品物をあきらめて提供すればいい」という点が、キャッシングとは大きく違います。

けれども、私はどうしても手放したくないアクセサリーを預けていたのです。それは母が成人の日のお祝いにくれたパールネックレスとイヤリングのセットでした。

他のものは流れてしまっても、これだけは何とか出したいと、いつも思っていたのですが、なかなか出すことができません。なぜならその質札が、他の品物も合わせた高額な質札になっていたからです。

私ははじめ、生活費の足しにするため、1~2個だけの品を質屋へ入れていたのですが、娘の教材費など、毎月の出費はかさむ一方。

やがて利息さえ払えなくなり、さらに預け入れをするという事態に陥ってしまっていたのです。

これを始めてしまうと、なかなか完済まで持っていくことはできません。

品物を買い取ってもらえば、預け入れより多くのお金が手に入るのですが、私は品物を手放すのが嫌で、いつも預けてはお金を借りるということを繰り返していたのです。

こうして結局、借りたお金は合計50万円近くになってしまいました。

こうなると品物を手元に戻すのはかなり大変で、1年以上、利息だけを支払い続けていたのです

収入が多めの月には、一部の品を質屋から出せることもあったのですが、結局はまた預けるとういうことを繰り返していました。

キャッシングとは違う結末

最終的には金額の少ない商品だけは、なんとか手元に戻せました。もちろんパールのセットも、無事に手元に戻ってきたのです。

でも金額の高いロレックス、ティファニーのプラチナネックレスは無理でした。

質屋のオーナーは、支払い期限を過ぎても3週間以上待ってくれたのですが、手元に戻せるだけの収入は見込めなかったので、あきらめるしかなかったのです。オーナーには、逆に謝られてしまって、かえって申し訳ないくらいでした。

ただし、クレジットカードなどでキャッシングをして、同じような状況になっていたら、もっと悲惨な結末になっていたのではないかと思います。

質屋の場合は、品物は手元に戻らなくなってしまうので、それは悲しいかもしれません。しかし、品物さえあきらめれば、後々まで何かに追いかけられるような、嫌な思いはしなくてすむのです。

ですから少額の借り入れが必要になったとき、もしブランド品など価値のある物を持っているなら、私はキャッシングより質屋をお勧めします。

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