実は危ない車金融。元業者へのインタビューでわかったリアルな実態

「もうお金がない...」

「給料日はまだまだ先...」

そんな時、「車でお金」「乗ったまま融資」という広告に心が動いたことはありませんか?

これは俗に「車融資」「車金融」と呼ばれ、自動車を担保にお金を借りられるサービスです。

こうした広告を駐車場やインターネット上で目にしたことがあると思います。

でもなんとなくあやしい雰囲気がしますよね。

危険なんじゃないか?と思われる方が多いでしょう。

そこで今回は、車融資の業者に勤めていた女性に車融資の実態についてお話をうかがいました。

車融資を行っている業者はどのようなところなのか?

安心してお金を借りられるシステムなのか?

乗ったままというけれど、実際は車を取られてしまうのか?

気になる疑問をぶつけたところ、車融資の実態が明らかになってきました。

今回インタビューにご協力いただいたのは...

名前:松井 優子(仮名)
性別:女性
勤めていた金融機関:地方の中小消費者金融M社
勤めていた時期:2010年~2013年頃
当時の業務内容:貸付業務、顧客への営業、事務

  • 目次
  • 「車でお金」の元消費者金融スタッフに直撃インタビュー
  • 実は常連さんが多い街金の実態
  • 「乗ったままで大丈夫」のカラクリ
  • 30分の審査で現金を手渡し
  • 高額な手数料!それは不正行為では?
  • 保険や自動車税は誰が払うの?
  • 返済できなくなったら車を取り上げられる?
  • 返済できなくなったら車はどうなる?
  • インタビューを終えて

「車でお金」の元消費者金融スタッフに直撃インタビュー

今回インタビューに応じてくださったのは、関西在住の松井優子さん(仮名)。

3年間、自動車を担保にお金を貸す中小の消費者金融でお仕事をされていました。

松井さんは街金という響きとは無縁の明るくテキパキとしたアラサ―女性です。

松井さんから車融資の怪しげな実態を聞き出そうとしたところ、意外にも常連のお客さんが手土産のお菓子を持って立ち寄る、のどかな雰囲気だったとのこと。

ところが、質問を進めていくうちに、社員やお客さんも知らないところで、不正行為が行われていることがわかってきました。

今回は、その車融資の実態を明らかにしたいと思います。

車融資でお金を貸すシステムはどうなっているのか。

マイカーローンの返済中でもお金を借りられるのか。

そもそもこうした融資は違法でないのか。

気になるところを松井さんにうかがいました。

実は常連さんが多い街金の実態

まずは松井さんがお勤めされていた会社の雰囲気をうかがいました。

あまり実態が知られていませんが、どんなところなのでしょうか?

― 松井さんがお勤めされていた会社について教えてください。

私が勤めていたのは、関西地方にあるM社という中小の消費者金融です。

中小といっても、自治体に営業を許可されているれっきとした貸金業者ですよ。

店舗は1店舗のみ、従業員は社長を含め5人だけ。

お客さんが500名程度の非常に小規模な会社でした。

社長は、飲食店・不動産経営など手広くやられている地域の有力一族の人間で、M社の名前は地域では知られていました。

しかも、大手の消費者金融の店舗や契約機等が周辺にまったくなかったので、けっこう繁盛していたんです。

会社は、住宅街の一角に建つビルの2階にあり、建物の中には同じ一族が経営する別の貸金業者も入っていて、ちょうどサラ金ビルみたいな雰囲気でした。

― どのような融資を行っていたのでしょうか?

主に自動車を担保にした融資(以下、車融資)を行っていました。

そのほかに、土地を担保にした融資、自営業者を対象にした事業融資も行っています。

また、10万円までは無担保で融資していました。

このなかで一番利用者が多かったのが車融資で、「車に乗ったままお金が借りられる」というのが特徴です。

― お客さんはどのような人が多いのですか?また、融資の申込みは一日に何件あるのでしょうか?

お客さんはサラリーマンや自営業など、ごく普通の人ばかりです。

手土産にお菓子を持ってきてくれるような、昔からの常連さんが中心でしたね。

ただし、エリアは限られていて、基本的に県内在住や近郊の人でないと貸しません。

万が一、返済ができなくなったお客さんから回収する時、遠方だと交通費がかかりますから。

1日の申込み人数はゼロの時もあれば、1日5~6件の時もあります。

― 松井さんは、どのようなお仕事をされていたのですか?

主に車融資の受付・審査業務を担当していました。

実際に担保にする車を査定して、いくら融資できるか判定する仕事です。

また電話で常連のお客さんに、「どうですか(お金を借りませんか)?」と営業したり、返済が遅れたお客さんに「遅れていますが...」と取り立てることもありました。

「乗ったままで大丈夫」のカラクリ

「車に乗ったままお金が借りられる」という車融資。

あやしい気配がしますが、一体どのようなしくみなのでしょうか。

安全な方法なのでしょうか。

松井さんにうかがってみました。

― 車融資とは、どういう形でお金を貸すのですか?

車を預ける必要はなく、お客さんはいつも通り車に乗りながら融資を受けられます。

そもそもM社では、車を預かる融資はしていませんでした。

ただし、車検証(自動車検査証)の名義をお客さんの名前からM社の名前に変える必要があります。

完済まで、車検証の名義はM社のままです。

※編集より補足
車検証は車の存在と安全性を示す車の身分証明書です。
車検証の名義変更は、車の所有者の変更を意味します。
つまり、車検証の名義をM社に変えると、その車はM社のものになるということです(車検証の名義変更については後ほど詳しく述べます)。

― 車融資は法的に問題ないのですか?

車を担保にしてお金を貸すこと自体は問題ありません。

※編集より補足
車融資そのものは違法ではありませんが、不正行為と思われても仕方ないほど高額な手数料を請求する業者があるようです。
松井さんのお勤めだった業者もそうでした(後ほど詳しく述べます)。

30分の審査で現金を手渡し

実際に車融資を利用すると、どのような手続きが必要なのでしょうか。

M社の融資までの流れを詳しく説明していただきました。

― 申込みからお金を借りるまでの流れはどうなっていましたか?

融資までの流れは次の2段階でした。

  • 1電話で仮審査
  • 2車で来店後に本審査

まず、電話で申込みをしてきたお客さんに、本人の状況や担保にする車について聞き、その情報をもとに仮審査をします。

そして、融資できるとわかれば、実際にお客さんに車を持ってきてもらい、本審査を行うという流れでした。

細かく見てみましょう。

電話で仮審査

― お客さんはどこから申込みをするのですか?

申込みは窓口か電話で受け付けていました。

そもそもM社は雑誌や新聞に広告を出していませんし、ホームページもありません。

唯一の広告は地元の各所に出している「車でお金」という看板です。

新規のお客さんはこの看板を見て、電話で申込んできました。

そして、電話で申込みがあると、融資可否を判断するために、お客さんの情報をいろいろとうかがいます。

― 電話ではどんなことを聞きますか?

名前、住所、電話番号、携帯番号、職業、勤務先の連絡先、他社借入件数と他社借入総額、およその年収を聞きます。

また、担保にする車の車種、型式、年式、色、走行距離、車検日、事故歴がないかも確認しました。

これらのうちで重要になるのは、以下の3つです。

  • 収入があるか
  • 他社借入総額
  • 担保になる車の情報

これらがわかれば、電話がつながっている10分間で融資の可否を判断することができます。

基本的に車の査定額から融資額が決まりますが、他社の借入れが多い人や収入が少ない人はそこから減額されます。

収入があるか

― まず確認するのは、収入の有無なんですね?

はい、収入がない人には融資できません。

たとえフリーターやパート主婦でも、収入があれば融資できる可能性があります。

たとえば、10万円借りたいなら月5万円の収入があれば大丈夫と判断されるでしょう(他社の借入れがない場合)。

収入のない専業主婦の場合は、この2つのうちどちらかの条件を満たさないと融資できません。

  • 配偶者の収入証明書を提出する
  • 配偶者が保証人になる

ただ、このことを説明すると辞退する人ばかりでしたね。

また、年金生活者の場合、年金を受給していることが証明できればOKですが、融資額は10万円程度です。

収入がない、返せる見込みのない人は、その場でお断りしていました。

他社借入総額

― なぜ他社借入総額を確認するのですか?

総量規制があるので、年収と他社借入総額は必ず聞きます。

※編集より補足
総量規制とは、貸金業法の規制です。
総量規制により、貸金業者(主に消費者金融やクレジットカード会社)からの借入れは、個人の年収の3分の1までに制限されています。
つまり、記事中にある他社借入とは、主に消費者金融やクレジットカード会社からの借入れのこと。
銀行からの借入れは含まれません。
また、クレジットカードのショッピング利用も含まれないのでご注意ください。

他社借入総額が年収の3分の1を超えていたら融資できません。

ただ、融資不可と思っても、「うかがった情報ですと融資は難しいだと思いますが、確認してみないとわからないので、一度ご来店ください」という案内をしていました。

お客さんの正式な借入総額は信用情報を確認しないとわかりませんが、これは電話の時点で知ることができません(後ほどで詳しく述べます)。

担保になる車の情報

― 「担保になる車の情報」について聞かせてください。実際に車を見なくても、話を聞くだけで車の査定額がわかるのですか?

はい。
車種、型式、年式、色、走行距離、車検日、事故歴を聞けば、お客さんがウソをついていない限り、だいたいの査定額が出ます。

車の査定額は、インターネットの中古車情報サイト「カーセンサー」などから判断します。

ここに車種や型式等を入力すれば、中古車の査定額が出るんです。

つまり、査定額は中古車市場次第で、売れる車は高い値段がつきますし、売れない車には値段がつきません。

判断が難しい場合は、複数の中古車情報サイトをみたり、ディーラーに電話して相談することもありました。

― だいたい中古車の相場はいくらくらいなのでしょうか?

一般的な軽自動車、自動車の場合は、数万円~100万円くらいまでですね。

走行距離が長く走り過ぎ、年式も古過ぎれば値段はつきませんが、人気のある車なら値段がつくこともあるので、一概に言えません。

トラックを担保にしたい場合は、査定が難しいのでお断りしていました。

― 車の査定額に対し、いくらの融資額になるのでしょうか?

車の査定額に対して、だいたい3割減くらいの融資額を提示していました。

たとえば、車の査定額が100万円と出たら、3割減の70万円を融資します。

― 査定額が高くなりやすい人気の車は?

それも一概に言えませんが、軽自動車はどこでも売れるので、値段がつきやすいですね。

人気の車種はスズキの「ワゴンRスティングレー」、ダイハツ「ムーブ」などでしょうか。

また「クラウン」や「レクサス」のような高級車は高値がつきやすいです。ほとんど持ち込まれませんが。

一方、トヨタの「ハイエース」や「カルディナ」のような古いタイプの車は、値段がつきにくいです。

― どれくらい古いと、値段がつきにくくなるでしょうか?

これも保存状態や車種、走行距離によるので一概に言えませんが、20年前の車だと値がつきにくいでしょう。10年前の車も厳しいかもしれません。

ただし、常連のお客さんなら、10年前の車だとしても、これまでの信用で貸すことがありました。

新規のお客さんは難しいと思います。

でも、人気のある車種なら年代が古くとも、値のつくことがあります。

たとえば、10年以上前に生産されたトヨタの「bB(ビービー)」という小型ワゴン車は、人気があります。

途中のモデルチェンジで雰囲気がまったく変わってしまったので、初代モデルはいまだに値がつくんです。

― 走行距離について教えてください

もちろん長ければ不利になります。

はっきり覚えていないのですが、確か、3千キロ・1万キロ・3万キロという目安があって、これを超えるとそれぞれ10万円ずつ値が下がったと思います。

― 車の色は影響しますか?

やはり、黒、白、シルバーが人気ですね。

ピンクのような変わった色は人気がないので、査定額が低く出てしまいます。

― 仮審査中に出た査定額は電話でお客さんに伝えるのですか?

査定額を出したら、まずは上司に「これぐらいの査定額が出ています。いけると思いますが、どうしましょうか?」と指示を仰ぎます。

そこでOKが出ると、電話でその査定額をお伝えしていました。

たとえば、100万円貸してほしいと希望しているお客さんに「50万円しか融資できませんがどうしますか?」というようなご案内をすることもありました。

車と一緒に来店して本審査

― 電話の仮審査でOKと判断されると、次はどうなるのですか?

お客さんに車で来店してもらい、本審査を行います。

このとき、手続きに必要な書類を持ってきてもらいます。

本審査で行われる手続きは以下の通りです。

  • 実際に車を見て査定
  • 信用情報の照会
  • 在籍確認
  • 必要書類の提出
  • 融資実行

来店から融資まで30分~40分で済むと思います。

実際に車を見て査定

― 実際に車を査定するときは、どんなところを見ているのですか?

車の色、付属品、大きな傷がないか、メーターの走行距離も確認します。

ナビやオーディオなどの付属品がついているかも重要なポイントです。

ナビがあるかないかで10万円ほどの差がつくでしょう。

事故歴の有無はボンネットを開けたり、修復した跡がないかを丁寧に見ます。

本人はうまく隠しているつもりでも、私たちがみれば事故後に色を塗り直した痕はすぐにわかります(笑)

事故を起こしていると、10万円ほど値が下がることもあります。

― 電話の仮審査時の金額より値段が下がることがあるんですね?

はい。

逆に上がることもあります。

― 少しでも査定額を上げるためには、車を見せる前にどんなことに気をつければいいでしょうか?

もちろん綺麗に洗車して、車内も掃除しておいたほうが印象はいいですが、それだけで大きな金額差はつかないと思います。

でも、事故を起こしているなら修理してからのほうがいいですね。

修理費用も査定金額から引きますので。

まぁ、修理費用を借りたいと来店するお客さんも多かったですが。

信用情報の照会

― 「信用情報の照会」とは、どのようなことをするのですか?

先ほども申し上げたとおり、他社借入総額が年収の3分の1を超えていたら融資できません。

※編集より補足
繰り返しになりますが、記事中に出てくる他社借入とは、主に消費者金融やクレジットカード会社からの借入れのこと。
銀行からの借入れは含まれません。
また、クレジットカードのショッピング利用も含まれないのでご注意ください。

申込者の他社借入総額を調べるため、信用情報の照会を行います。

M社のパソコンは信用情報機関とつながっているので、そこにアクセスして申込者の情報を照会します。

これは「個人情報の閲覧」にあたります。

お客さんに「個人信用情報の取り扱いに関する同意書」という書類にサインしていただかなければ、信用情報を見ることはできません。

ですから、来店時にこれを必ず行います。

信用情報をみて確認するのは他社借入総額です。

件数(何社から借りているか)はほとんどみていません。

他社借入件数が多くても、総額が年収の3分の1を超えていなければ問題なしです。

でもすでに年収の3分の1以上の借入れをしているとわかれば、融資できません。

また、借金の整理や破産、返済滞納の記録が残っている人もお断りでした。

※編集より
信用情報について詳しくはこちらで解説しています。

在籍確認

― 勤め先への在籍確認も来店時に行うのですね?

はい。

その場で勤め先に在籍しているかどうかを確かめる在籍確認も行います。

サラリーマンも、自営業も、アルバイトも、全員必須です。

勤め先に電話をかけて「○○さん、いらっしゃいますか?」とたずね、「今、席を外しています」という答えが返ってくればOKです。

自営業で「自宅にしか電話がない」という場合は、その電話が通じていることが確認できればOKでした。

― 大手の消費者金融やカード会社は、「勤務先が本当に存在しているか」の調査も行うようですが、それはしないのですか?

そこまでしませんでしたね。

基本的に在籍確認が取れればOKでした。

必要書類の提出

― ここまでOKなら、融資の手続きに入るのですよね?提出が必要な書類は何ですか?

下記の書類です。

  • 担保にする車の車検証(原本)
  • 強制保険(自賠責保険)の証書
  • 印鑑証明
  • 実印
  • 身分証明書(運転免許証・健康保険証・パスポートのうちどれか)
  • 収入証明書

自動車税の納税証明書や、任意の自動車保険の証書等は必要ありません。

― 車検証はコピーではなく原本を渡すのですね?

はい。

車検証は、車の存在や安全性を示す、車の身分証明書です。

車両番号(ナンバープレートの番号)や車名、所有者名と住所などが書かれています

この所有者名と住所をM社に変更しなければならないので、原本が必要になります。

― 車検証の名義変更の手続きは誰が行うのでしょうか?

お客さんに車検証と印鑑証明を提出してもらえば、名義変更の手続きはM社が行います。

ただし、名義が変更されたあとも、車検証の原本はお客さんへ返しません。

「車検証は車に乗せておかなければいけない」と法律で定められていますが、車検証の原本はM社の金庫に保管していました。

― 車検証の原本を取り上げるとは、なんだかグレーな商売ですね。仮に車検証が必要になったとき(自動車保険の更新や事故を起こしてしまったとき)、お客さんはどうするのでしょうか?

車検証が必要になったら、一時的にお客さんに貸します。

あるいは「車に車検証を乗せておきたい」という人には、コピーを渡していました。

そもそも本物を車検証の提示するようなことは、めったにありません。

自動車保険の手続きなら、コピーで済みます。

それよりも、「家族にあやしまれないために車検証を持っておきたい」という人がほとんどでした。

家族に内緒でお金を借りる人が多かったのです。

なかには、M社名義の車検証のコピーを、わざわざ自分の名前に書き換えているお客さんがいましたよ。

その車検証は法的に意味のない車検証ですから、正式書類として使うことはできませんが、家族対策だったのでしょう(笑)

― 身分証明書と収入証明書も必要なんですね?

はい。

身分証明書は運転免許証や健康保険証、パスポートが基本です。

用意できない場合は、住民基本台帳カードを確認しました。

収入証明書は絶対に必要で、直近3ヶ月以内の給与明細や源泉徴収票など、収入がわかる書類を提示してもらいます。

― 保証人は必要ですか?

未成年以外は不要です。

融資実行

― 車の査定額から融資額が出て、信用情報、在籍確認、必要書類もOKとなったら、その次はどうするのですか?

あとは上司に最終判断をしてもらうだけです。

すでに電話で仮審査をしたときにOKをもらっているので、この時点で大きな変更があることはほとんどありません。

スムーズにいけば、来店から30分でお金を渡せます。

― 融資はどのような形で行われるのでしょうか?

現金手渡しです。

振込みはしていません。

すぐに現金が手に入るので、気軽に利用するお客さんが多かったですね。

― お客さんは皆さんいくらぐらい借りるのでしょうか?

50万円以下が多かったです。

平均の融資額は30万~40万円、一番下は10万円ぐらいかな。本当にいろいろです。

もし、新車を担保にしたとしても、最高150万円くらいですね。

かなりレアなケースですが、こんなことがありました。

あるお客さんが「レクサスの新車を買いたいからお金を貸してくれ、購入した新車を担保にするから」と、まだ担保にする車がない状態で、融資を申込んできたのです。

普通なら車のない状態で融資はできませんが、社長の知り合いだったので、「新車なら、150万円くらい融資できる」ということになりました。

それでM社の社員が150万円を持ってお客さんと一緒に販売店に行き、新車のレクサスを購入しました(もちろん150万円ではレクサスを買えませんから、残りはお客さんが支払っています)。

レクサスの新車価格は500万~1000万円くらいですが、それでも150万円しか融資できませんでしたね。

― マイカーローン返済中の車を担保にする場合、融資を受けられるのでしょうか?

マイカーローン返済中の場合、車検証の名義がマイカーローンの借入先の会社になっているため、貸せません。

ただし、名義を変更してもらえれば融資可能です。

たとえば、査定の結果、35万円を融資できるけれど、マイカーローンが10万円ほど残っていたというケース。

この場合、融資する35万円を使って、残りのローンを完済し、名義を変更してもらいます。

すると、結果的に25万円の融資を受けたことになります。

ただし、マイカーローン完済の手続きは、融資当日に全て済ませなければなりません。

マイカーローンの支払いを後回しにしてしまうと、万が一、逃げられたときに困ります。

ローンの残った車を抱え込むことになってしまいますからね。

― 審査が終われば、いつも通り車に乗ることができますよね?

はい。

車の査定に何日もかかることはありません。

こちらは車検証さえお預かりすればいいのです。

お客さんは現金を受け取って、そのまま車でお帰りいただけます。

高額な手数料!それは不正行為では?

お金を借りるには金利がかかります。

さらに車融資では、金利のほかに手数料という名目で、高額のマージンを請求することが多いようです。

この手数料はどれくらいかかるのでしょうか?

― 車融資の金利はどうなっていましたか?

法律にのっとって、融資額10万円未満は20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%です。

ただし、実は金利のほかに、車検証の名義変更の手数料も取っていました。

― え?手数料も取るのですか?

はい。

普通車は1万5000円、軽自動車は7,000円の手数料でした。

たとえば、普通車を担保にする場合、融資額が10万円なら書類には「10万円融資」と書きますが、実際にお客さんが手にする金額は手数料を引いた後の8万5000円です。

― 実際の手続きでもそんなに手数料がかかるのですか?

車検証の名義変更を陸運局で行うと手数料が必要です

しかし、印紙代などの諸経費だけなので、1,000円もかからないと思います。

※編集より補足
陸運局で車検証の名義変更を行った場合の手数料は500円、収入印紙代は100円です。

ですから、M社は手数料でかなり儲けていたことになります。

― 「金利以外に手数料を取る」というのは、法律的には問題ないのですか?

私は法律のことはよくわかりません。

でも手数料を取るのは問題があるみたいですね。

実は私自身、これがちょっと危険な商売だということを最近知ったのです。

勤めていた頃はそれが普通だと思っていましたし、お客さんも普通と思っていたようです。

でも、今思えば、会社にあった手数料の金額表は持ち出し禁止でしたし、手数料についてお客さんにあえて説明していませんでした。

お客さんから質問があれば説明しますが、されなければ手数料を引いて残った金額を渡していましたね。

― 警察や税務署の監査は入らないのですか?

順番に回っているようですが、私が勤めていた当時は来ていませんでした。

保険や自動車税は誰が払うの?

車検証の名義が変更されると、自動車保険や自動車税はどうなるのでしょうか?

融資後の手続きについても聞きました。

― 車検証の名義がM社に変更された後、自動車保険はどうなるのでしょうか?

自動車保険には、加入必須の「強制保険(自賠責保険)」と、任意の「任意保険」がありますよね。

そのうち、強制保険は、車検証と一緒に預かり、こちらの名義もM社に変更します。

強制保険の更新時は、保険会社からM社に連絡が入りますが、その郵便をお客さんへ転送して、保険料の支払いをお願いしていました。

一方、任意保険はお客さん自身が加入しているものなので、こちらは関係ありません。

― では、自動車税はどうなるのですか?

自動車税もお客さんに支払ってもらいます。

自動車税の請求が役所から届いたら、それをお客さんに転送し、支払いをお願いしていましたね。

― 通常、自動車税を支払うのは車検証の名義人ではないのですか?

たとえば マイカーローンの場合、車検証の名義は借入先の会社になっていますが、自動車税を支払うのは車に乗っている本人です。

車融資はマイカーローンとは違いますが、ローンのようなものなので、同じようにお客さんに支払いをお願いしていました。

返済できなくなったら車を取り上げられる?

車融資を受けた後、返済や追加融資はどうなるのでしょうか?

― 返済はどのようになっていますか?

車融資は返済期限が3年と決まっていたので、その期間内で「どのように返済していくか」お客さんと相談して決めていました。

一括返済の人もいましたが、ほとんどは分割です。

月1万円ほどを2年以上かけて返済する場合が多かったですね。

もちろん、途中で繰上げ返済することもできます。

― 返済の途中で追加融資を受けることはできるのでしょうか?

できます。

ただし、再審査が必要です。

再審査で新たな融資額が決まりますから、そこから現在返済中の残債を差し引き、残った金額を貸します。

― 完済すると、車検証の名義はすぐに持ち主の名前にもどしてもらえるのですか?

はい。

もちろん、もどします。

ただ、再び借りる人も多かったので、名義はずっとM社のままというお客さんもたくさんいました。

また、名義を一度お客さんへ戻したのに、また借りてしまい、すぐに名義をM社に変えるという人もいましたね。

ただし、再び同じ車を担保にする場合も、改めてひととおりの審査を行います。

M社は常連さんの多い会社でしたから、一度完済してしばらく借りていなくても、電話で「どうですか?」と連絡すると、「じゃ、また借ります!」といって再度利用されることが多かったですね。

返済できなくなったら車はどうなる?

もし返済に遅れてしまったらどんな取り立てがあるのでしょうか。

さらに、車が引き上げられることもあるのかを聞いてみました。

― 返済が遅れた場合、取り立てはどのようにしていましたか?

基本的に電話で、「お支払いが遅れているようですが...」と連絡します。

ただし、「滞納期間が1ヶ月を過ぎたら電話をかける、2ヶ月を過ぎたら自宅に回収に行く」などの工程が決まっていたわけではありません。

けっこう長く待ちましたね。

たとえば、2~3ヶ月に1回しか支払いがなかったとしても、本人と連絡が取れていれば、家まで押しかけるようなことはありません。

ずっと連絡が取れなくて支払いもない場合、まれに従業員が家に行くことはありましたが、お金を回収することはなかったですね。

ほぼすべてのお客さんが、遅れてもきちんと返済していたので、車を引き上げるまでになった事例は私の知る限りではありません。

車がないと厳しい地域ですから、きちんと返済してくれる人がほとんどなのです。

― 仮に車を引き上げることになった場合、車はどこに売られてしまうのですか?ガリバーやハナテンのような中古車販売業者に連絡するのでしょうか?

いいえ。

車の引き上げは、社長の知り合いの中古車販売業者にお願していました。

― 車を売る場合、審査時の査定額で売れるものですか?

はい。

査定後もお客さんは車に乗り続けるので、その間に多少の傷はつきます。

しかし、それを見越して3割減の金額を渡しているので、万が一、何かあったとしても損はしないようになっています。

もし、お客さんが返済できなくても、車を売れば融資額を回収できるというわけです。

インタビューを終えて

「事務員募集の求人広告を見て、M社に入りました。勤めていた当時は車融資が問題だなんてまったく気がつかなかったですね」と話す松井さん。

M社は自治体に営業を許されている正規の貸金業者のようですが、それでもいくつかの問題点が見えてきました。

また、車融資を行う貸金業者のなかには、M社よりさらに危険な違法悪徳業者が少なくありません。

「簡単に現金が手に入るから」と安易に近づくと、法外な手数料を取られるだけでなく、大事な車を失ってしまう可能性もあるので注意が必要です。

では、ここで改めて車融資の問題点をまとめてみましょう。

本物の車検証を取り上げられてしまう

車検証の名義を書き換えること自体に問題ありません。

しかし、車検証を取り上げられてしまうことは問題です。

法律では、「車に車検証(原本)を備え付けなければならない」と定められています。

車検証は車の身分証明書ですから、私たちが所持する運転免許証や健康保険証を誰かに取り上げられているのと同じような状態になってしまうのです。

金利以外の手数料を取るのは違法

M社では、融資額10万円未満は20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%の金利となっていました。

この金利は法律にのっとっているので、問題ありません(いずれの法定金利の上限です)。

しかし、問題は「車検証の名義変更手数料」です。

法律では、こうした手数料も金利に含めなくてはならないと定められています。

つまり、本来なら、車検証の名義変更手数料も金利に含めなくてはなりません。

そのうえで、下記金利におさえる必要があります。

法律で決められた上限金利

融資額 上限金利
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

M社は、この点において完全に違法です。

金利のほかに手数料を取ることが問題なのです。

また、手数料の金額も完全に不正行為にあたると思われます。

車検証の名義変更手続きに必要なのは600円程度。

そこをM社は7,000円~1万5000円としています。

ほかにも、車のリース料などの名目で高額な料金を請求する業者が存在するので注意しなければなりません。

強引に車を取り上げる悪質業者

M社では、滞納者に対しても比較的柔軟な対応を取っていたようですが、そういった業者ばかりではありません。

厳しい取り立てを行なったり、なかには突然、車を取りあげる業者もあるそうです。

車融資は、「自動車担保ローン」「車金融」などの名前で広告を出しています。

悪質な業者も少なくないので、安易に利用するのは絶対にやめましょう。

ちなみに、車融資を実際に利用した方にインタビューしていますので、興味があればこちらもぜひ。

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