更新日:2017/08/03
生協の出資金の仕組みを解説。増資と減資を利用して賢くやりくりしよう!
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誰もが一度は聞いたことがあると思います。
なんとなくスーパーマーケットのイメージはあるけれど、生協の組合員になることのメリット・デメリットをきちんと理解している方は少ないのではないでしょうか。
実は、生協には出資という仕組みがあり、使い方次第で賢くお金をやりくりすることができます。
意外に知られていませんが、生協に出資することで、銀行に預けておくよりはるかに高い利回りを得ることができるんですよ。
しかし、生協の出資金は一般のスーパーマーケットにはない独特のシステムですから、わかりにくい部分が多いと思います。
そこで今回、そもそも生協の出資金とは何か、どのように利用していけばいいのかをまとめました。
生協の出資金の仕組みについて学びたい場合に役立つ内容になっていると思います。
- 目次
- そもそも生協とは?普通のスーパーとの違い
- 出資金はいくら払えばいい?
- 配当はいくらもらえるの?
- 出資金の増資にはこんなメリットが!
- 減資の手続き方法とメリット・デメリット
- 【おまけ】使ったお金の一部が還ってくる利用割戻金!
- まとめ
そもそも生協とは?普通のスーパーとの違い
生協は、生活協同組合の略で、組合員で出しあった出資金を元に活動を行う組織です。
目的は、「組合員の生活を豊かにすること」。
生協と名の付く団体はたくさんありますが、それぞれが独立した組織として運営されています。
組合員にならないと利用できない
「生協のサービス」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、店舗や通販での食料品販売ではないでしょうか。
これらのサービスは、出資金を支払って、生協の組合員にならないと利用できません。
普通のお店・スーパーとの大きな違いですね。
ちなみに、生協をコープと呼ぶこともありますが、これは協同組合を意味する英語「Co-operative(コーペラティブ)」からきています。
出資金はいくら払えばいい?
さきほど説明したとおり、生協を利用するためには まず出資金を支払う必要があります。
一部、出資金を払わずども(組合員にならなくても)利用できる生協がありますが、組合員との差別化がされていることがほとんどです。
たとえば、非組合員の場合、商品の価格が割高だったり、利用できないサービスがあったりします。
最低出金額について
出資金は「口(くち)」を単位とし、1口100円~2,000円が相場です。
消費生活協同法では、「組合員は1口以上出資しなければならない」と定められていますので、原則1口分の出資でも問題ありません。
しかし、なかには、「1口100円を最低5口以上」「毎月1口ずつ増資しなければならない」といった独自の条件を設けている生協もあります。
また、ひとりあたりの出資金の上限は消費生活協同法で定められていますが(※1)、こちらも生協ごとに独自に設定されている場合があります。
参考までに、いくつかの生協の出資金額を比較してみましょう。
生協名 | 1口の金額 | 加入時に必要な出資金 | 出資金の上限 |
---|---|---|---|
パルシステム 神奈川 ゆめコープ |
1,000円 | 1口以上 | 組合員の総出資口数の4分の1(※2) |
コープこうべ | 100円 | 10口以上 | 10,000口(100万円) |
コープさっぽろ | 1,000円 | できれば5口以上 | 5,000口(500万円) |
コープみらい | 500円 | 1口以上 | 組合員の総出資口数の4分の1(※2) |
エフコープ | 1,000円 | 1口以上 | 組合員の総出資口数の4分の1(※2) |
このように、加入時に必要な出資金の額は生協によってさまざまです。
加入する前にしっかり確認しておきましょう。
※1
一人の組合員が出資できる金額については、消費生活協同法で「組合員の総出資口数の4分の1を超えてはならない」と定められています。
※2
「組合員の総出資口数の4分の1」を具体的な金額に換算すると、数十億円にのぼりますので、実質的な上限はなしといっていいかもしれません。
生協を脱退するときに出資金は返還される?
出資金は、原則として、生協を脱退するときに全額返還されます。
出資金は、単なる生協の利用料ではなく、生協を運営するために一時的に預けるお金なので、脱退するときに返還してもらえるのです。
なお、出資金を増やしたり、一部を引き出したりすることもできます(詳しくは後述します)。
出資金が返還されない可能性もある
生協が経営破綻してしまった場合、組合員の出資金が返還されない可能性もあります。
ただし、常日頃から、行政庁が生協の事業内容をチェックしているので、急に破綻のような事態に陥ることは考えにくいでしょう。
返還されない可能性もあると頭の片隅に置いておくぐらいで十分です。
配当はいくらもらえるの?
生協の場合、利益(剰余金)が発生すると、組合員に還元される決まりになっています。
これが配当です。
銀行の預金利息と同じようなものだとイメージしてください。
少額ですが、お金が増えるのはありがたいですよね。
配当の金額は?
配当は、「出資金×所定の配当率」で算出します。
配当率は一定ではなく、生協によって異なりますし、年度によっても異なりますが、一般的に年率0.2~0.5%の場合が多いようです。
いくつか例を挙げてみましょう。
生協名 | 配当率(年率) |
---|---|
コープこうべ | 0.03% |
ユーコープ | 0.1% |
パルシステム神奈川 ゆめコープ |
0.3% |
たとえば、出資金1万円、配当率が0.3%だった場合、いくらの配当をもらえるのか、試算してみましょう。
10,000円×0.3%=30円
ここから、所得税(20%)と復興特別所得税(0.42%)を引かれるので、
30円-(30円×20.42%)=23.874円
計23円(1円未満切り捨て)
このケースでは、年間で約23円の配当がつきます。
ちなみに2年目以降は、「出資金+配当」の合計に対して配当率をかけます。
そのため、配当率が毎年変わらなくても、配当は少しずつ増えていくのです。
出資金1万円、配当率0.3%のまま推移すると仮定した場合、10年後には年間237円の配当がつくことになります(※3)。
また、同じ条件で出資金が10万円だった場合、10年後には年間2,408円の配当がつくのです。
銀行の普通預金の利息に比べると、はるかにお得感がありますよね。
とはいえ、生協によって計算方法が異なる場合がありますので、このケースはあくまでサンプルとお考えください。
※3
所得税と復興特別所得税の税率が10年後も変わらないという仮定で試算しています。
配当は現金でもらえるわけではない
配当がついても、あなたの口座に直接振込まれるわけではありません。
配当がついたら、すべて出資金に追加されていきます。
そのため 配当は、生協脱退時に出資金とともに返還されます。
配当がもらえないこともある
配当は、あくまで剰余金が発生した場合のみ発生します。
毎年もらえるとは限らないのです。
また、年度によって配当率が下がることも十分考えられます。
現在の出資金(配当含)の確認方法は?
毎年所定の時期に、配当率や配当の金額を知らせる案内が届きます。
その案内で現在の出資金残高(配当含)を確認できます。
案内が手元にない場合は、加入している生協のサービスセンターや店舗等に問い合わせて教えてもらいましょう(問い合わせの際は組合員番号を聞かれるので、会員証などの用意をお忘れなく)。
また、インターネット上のサービスを行っている生協の場合、組合員専用のマイページから出資金残高を確認できることも多いです。
出資金の増資にはこんなメリットが!
出資金は、後から増やすこともできます。
これを増資といいます。
増資の手続き方法
増資方法は生協によって異なりますが、どの生協も比較的簡単に増資可能です。
いくつか例を挙げてみましょう。
生協名 | 増資の最低単位 | 手続き方法 |
---|---|---|
ユーコープ | 1口(100円)以上 | 店舗:サービスカウンターで申込み 宅配:注文用紙かホームページ(注文サイト)で申込み |
コープみらい | 【積立増資(宅配利用者向け)】毎月500円以上 【1回増資】1口(500円)以上 |
店舗:レジやサービスカウンターで申込み 宅配:注文用紙か電話で申込み |
エフコープ | 100円以上(1円単位) 定期積み立てもあり |
店舗:レジやサービスカウンターで申込み 宅配:注文用紙か電話で申込み |
店舗型の場合は、レジやサービスカウンターで、
宅配型の場合は、注文用紙や電話などで簡単に申込みできます。
少額から増資OKの生協が多いですね。
なかには、買い物で貯まったポイントを出資金に振り替える形で増資できる生協もあります。
また、宅配型の生協のなかには、一度申請すれば定期的に増資し続けられる「積立タイプ」を採用しているところもあります。
なお、脱退時には、増資分も含めた出資金が全額返還されるので、安心してください。
増資のメリット・デメリット
増資のメリットは、配当が増えることです。
配当は、各々の出資金に対して発生するので、増資をすれば、配当も増えます。
一方、デメリットがないわけではありません。
さきほど説明したように、万一生協が経営破綻した場合は、出資金が返還されないリスクがあります。
また、これから説明する減資では、出資金の一部を返還してもらうことができますが、返還されるまでに時間を必要とすることがあります(長い場合は半年以上など)。
そのため、許容範囲を超えて増資にまわしてしまうと、あとでお金が必要になったときに困ってしまうかもしれません。
その点は注意してください。
減資の手続き方法とメリット・デメリット
増資とは反対に、出資金の一部を減資という形で返還してもらうことができます。
減資の手続き方法と返還時期
減資の手続き方法や返還の時期、減資可能額は各生協によって異なります。
コープさっぽろの例をみてみましょう。
コープさっぽろ | |
---|---|
手続き方法 | 店頭または配達員またはコールセンターへ連絡 |
返還の時期 | 減資後の出資金残高が5万円以上の方:申請から15~24日後 減資後の出資金残高が5万円未満の方:申請から1~6ヶ月後 |
減資できる金額 | 出資金の残高が5口(5,000円)以上残るならいくらでもOK |
次に、ユーコープの例をみてみましょう。
ユーコープ | |
---|---|
手続き方法 | 店頭または配達員またはコールセンターへ連絡 |
返還の時期 | 毎年12月20日までの申請分が、翌年3月20日までに返還される |
減資できる金額 | 出資金の残高が5,000円未満にならなければいくらでもOK |
手続き方法は簡単ですが、返還時期はバラバラですね。
長いと半年以上かかるようなので、注意が必要です。
全額返還希望なら脱退しかない
出資金を全額返還してもらいたいなら、生協を脱退するしかありません。
脱退したい場合は、店頭または配達員またはコールセンターへ連絡してください。
ちなみに、脱退には法定脱退と自由脱退(※4)の2種類があり、それによって返還までの日数が異なります。
コープさっぽろとユーコープの例を見てみましょう。
法定脱退 | 自由脱退 | |
---|---|---|
コープさっぽろ | 申請日から15~24日後 | 申請日から1~6ヶ月後 |
ユーコープ | 利用料金の引き落とし後 随時返還 | 毎年12月20日までに申請した分が、翌年3月20日までに返還 |
特に自由脱退の場合、出資金の返還までに時間がかかるようです。
たとえば、ユーコープで12月21日に脱退を申請した場合、出資金が返還されるのは翌々年の3月20日になってしまいます。
「知らなかった!」と後で慌てないように、減資・脱退時の返還ルールについて定款で確認しておきたいですね。
※4
法定脱退...「組合員が亡くなった」「生協の営業地域外に引っ越す」などの理由で脱退する場合。
自由脱退...法定脱退以外の理由で脱退する場合。
減資のメリット・デメリット
メリットは言うまでもなく、手元にお金が入ることです。
ただし、さきほど説明したとおり、場合によっては半年~1年以上先になってしまうので、返還時期には注意してください。
一方、デメリットは配当が減ることです。
配当は出資金に対して発生するので、出資金が減れば自ずと配当も減ってしまいます。
【おまけ】使ったお金の一部が還ってくる利用割戻金!
出資金とは関係ありませんが、生協には利用したお金の一部が還ってくる利用割戻金という制度があるので、おまけに紹介します。
利用割戻金とは、組合員が生協で使ったお金に対して、還元するお金のこと。
こちらも配当と同様に、所定の率(利用割戻率)をかけて算出します(※5)。
いくつか例を挙げましょう。
たとえば、おおさかパルコープ(2014年度)の場合、商品購入代金など年間に利用した額の0.7%が還元されます。
仮に10万円利用した場合、
100,000円×0.7%=700円
この場合は、700円が還元されます。
また、コープみやざき(2014年度)の場合、共同購入と店舗の利用金額に対して0.83%、旅行や共済等のサービス利用金額に対して0.42%が還元されます。
共同購入と店舗の利用金額が5万円、旅行や共済等のサービス利用金額が5万円だった場合は、
50,000円×0.83%=415円
50,000円×0.42%=210円
計 625円
この場合、625円が還元されます。
※5
「利用割戻金は、出資金の一割を超えてはいけない」と消費生活協同組合法で定められています。
利用割戻金の注意点
利用割戻金には、配当と同様に、下記の注意点があります。
- 利用割戻金は現金でもらえるわけではなく、元々の出資金に追加される形となる(脱退時には返還されるが、それまでは、減資を申請しない限り戻ってこない)
- 利用割戻金がもらえるのは、あくまでも剰余金が出た場合のみ
まとめ
最後に、生協の出資金に関するポイントをまとめておきました。
- 生協を利用するためには、出資金を支払って組合員になる必要がある
- 出資金は、原則として、生協を脱退する際に全額返還される
- 出資金の額は一口100~2,000円が相場(生協によって異なる)
- 利益(剰余金)が発生すると、配当がもらえる
- 配当は、出資金×所定の配当率(2年目以降は、出資金+配当の合計に配当率をかける)
- 配当率の相場は年率0.2~0.5%
- 出資金は後から増やすこともできる(増資)
- 出資金は後から引き出すこともできる(減資)
- 減資の手続きをしてから手元にお金が戻ってくるまでには日数がかかる(長い場合は半年~1年以上)
- 自由脱退の場合は、出資金が返還されるまで時間がかかることが多い(長い場合は半年~1年以上)
いかがでしたか?
出資金の配当がもらえると仮定したら、銀行の普通預金よりよほど良い財テクになるかもしれません。
でも、生協が経営難に陥り、出資金が返ってこない可能性もありますから、盲目的に生協に頼るのは危険ですね。
ふんだらけ生協の(もぐもぐ)メープルシロップうまぃ(もぐもぐ)
くまお、なんでそんなにメープルシロップが好きなの?
メープルシロップはあらゆるものの基本だからね。あのビルもいわばメープルシロップからできているんだよ?
へ・・・へぇ・・・(汗)
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とても参考になりました。ありがとうございます。
追伸、『配当の金額は?』の項の『出資金1万円、配当率0.3%のまま推移すると仮定した場合、10年後には年間237円の配当がつくことになります(※3)。』は、増資額ではなく出資額が10年で10倍になった場合の配当額では?と。こちらの勘違いだったら、すみません。