偽装質屋に注意!その悪質な手口と被害実態。質屋を利用時の注意点など

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高齢者から年金を巻き上げる「偽装質屋」が福岡で初摘発されました。

偽装質屋という言葉になじみのない方も多いと思いますが、偽装質屋は質屋を装い、一般の金融機関ではなかなかお金を借りることができない年金受給者や生活保護受給者などを狙ってお金を貸し出し、非常に高い利息をせしめている悪徳金融業者です。

今回は、偽装質屋の手口と被害の実態、偽装質屋の見分け方などを詳しく調査しました。

偽装質屋とは?その悪質な手口

一般的な質屋でお金を借りるときの流れを説明します。

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万一、3ヶ月経っても全額返済が難しいときは、預けていた品物を手放す(「質流れ」と言います。これで品物は質屋のものとなり、お金を返す必要はなくなります)か、金利を支払って、さらに3ヶ月借入期間を延長することができます。

では、偽装質屋でお金を借りるときの流れはどのようになっているのでしょうか?

偽装質屋でお金を借りるときの流れ

通常 質屋でお金を借り、返済が難しくなった場合、担保として預けていた品物を手放せば、利息も元金も返さなくて済むはずですが、偽装質屋はそれを認めず、完済するまで銀行口座から利息を引き落とし続けるのです。

そしてこの場合、年金手帳や通帳が実質的に担保の代わりをしていることになりますが、年金を担保にすることは法律で禁止されています。(一部の公的機関を除き)

偽装質屋の法外な金利

現在 貸金業法では、上限金利が年20%までに制限されています。

しかし、質屋営業法の上限金利は年109.5%に定められている(質屋は年109.5%の金利でお金を貸し出すことができる)ため、偽装質屋はこのような高金利に目をつけ、質屋を装って貸金業を営んでいたと考えられます。

捕捉情報として、偽装質屋ではない実際の質屋は、自主的に金利を下げた営業を行なっています。

上限金利の年109.5%で営業している質屋はほとんどないといっていいでしょう

話を戻します。質屋がこのような高金利を適用できるのは、「短期間で少額の融資」であることが前提だからです。

例えば、

金額:1万円
返済期限:1週間
金利:年20%

上の条件でお金を貸し出した場合、利息はたったの39円!

質屋では、担保として預かった品物の鑑定費用、保管費用などの諸経費がかかるので、貸金業法の金利だとそれらの経費をまかなえないという事情があります。

全国で初めて「偽装質屋」が摘発される

2012年10月。

全国で初めて、偽装質屋2社(福岡)が摘発されました。
その被害者は数千人、貸付金の総額は数億円に上ったそうです。

この偽装質屋では、年98%もの金利を適用、回収していました。

10万円を借りたある被害者の場合、月7万5,000程度の年金を受給されていましたが、2ヶ月に一度の年金支給日に受け取った15万円から、元金10万円と約3ヶ月分の金利2万4,000円の計12万4,000円が口座振替で引き落とされ、手元に残ったのはわずか2万6,000円でした。

2万6,000円で2ヶ月暮らせるわけもありません。

この方は繰り返し偽装質屋でお金を借りざるをえない状況になっていたのです。

ちゃんとした質屋の仕組みを理解しよう

正規の質屋は、都道府県公安委員会から、「質屋営業法」に基づく営業許可を受けて営業しています

質屋で品物に値段をつけることを「鑑定」と言います。
質屋の仕事の中で、「鑑定」はとても重要です。

品物を担保として預かり、それに見合ったお金を貸し出した場合、貸したお金が返済されなかったら、預かった品物を売って、その穴を埋めなければならないからです。

偽装質屋のように ほとんど価値のないものを担保として預かり、10万円を貸し出したら(つまり、ほとんど価値のない品物に10万円の値をつけたことと同じ)、それは質屋の責任です。

その後、お金が返済されず質流れとなっても、本来、その損は質屋がかぶる必要があるのです。

価値の無い品物を持ち込んでお金を借りた人には、何の責任もありません。

したがって、本来は偽装質屋を利用してお金が返せなくなっても「預けていた品物を流してください」と伝えれば、それで終わりです。借りたお金と利息を支払う義務は、品物を流すことで解消されるべきなのです。

しかし、偽装質屋はそれを許しません。

引き落としで利息を引き落とすシステムをつくってしまうので、利息が勝手に引き落とされてしまいます。

また、年金手帳など大事なものを人質ならぬ物質として預けてしまっているケースも多いので、それを取り戻すために利息を支払い続けてしまう方も多いようです。

質屋を利用する時に気をつけること

正規店かどうか確認を

正規の質屋の店頭には、都道府県公安委員会が発行した「○○○(都道府県名)公安委員会許可△△△△△(許可番号)」というプレートが掲示されています。

表示は法律で定められていますので、この表示がなければ違法質店ということになります。

利用する際にはこの表示があるかどうか必ず確認しましょう。

短期の利用がおすすめ

質屋は金利が高いことを頭に入れ、短期で利用することをおすすめします。

質屋を利用する人の中には、どうしても手放せない品物を質入れしてしまい、質流れを避けるために3ヶ月ごとに利息を支払い続ける人も多数います。

ただ、例えば上限金利の109.5%で融資を受けた場合、10万円を1年借りたら利息は10万9500円。
一年間で借りた金額以上の利息を払うことになってしまいます。

実際、同じようにお金を借りるなら消費者金融や銀行から借りたほうが断然金利は安い(高くても年18%のところが多い)です。

借りることができる(審査に通過できる)なら、消費者金融や銀行で借りるほうをおすすめします。

質屋とキャッシングについては、『質屋とキャッシングはどっちがお得?金利で比較すると圧倒的でした』で詳しく特集しています。

納得してから契約を

預ける品物にはどれくらいの価値があり、金利はいくらになるのか、返済総額(利息総額)はどのぐらいになるのかなど、細かいところまでよく確認してから契約しましょう。

中には、金利を低く抑えてくれたり、長期の借入の相談に乗ってくれたりする良心的な質屋もあります。

ただし、明らかに価値のない品物に対して数万円~数十万円を貸してくれる質屋は、偽装質屋の可能性があるので注意が必要です。

質流れの覚悟をする

期限までに完済できない場合のことも十分考えて、いざとなったら預けた品物を手放す覚悟も必要です。

また、はじめから返済するつもりがないなら、買い取ってもらいたいと伝えましょう。
(ただし買い取りは、古物商の営業許可を取得している質店しか行なっていません。)

万が一、偽装質屋を利用してしまったら

質屋とのトラブルが起こってしまったら、まずは消費生活センター(全国共通:0570-064-370)に相談しましょう。
最近は偽装質屋についての相談が増えているようです。

国民生活センター
『全国の消費生活センター等http://www.kokusen.go.jp/map/

また、各地の弁護士会が実施している無料の弁護士相談も頼りになると思います。

日本弁護士連合会
『法律相談ガイドhttp://www.nichibenren.or.jp/contact.html

この記事の筆者

林 亮一(仮名)
フリーライター。1971年生まれ。2007年から某ウェブニュースサイトを中心に、ニュース・ニュース解説記事を執筆中。政治経済・事件から科学ニュースまで、幅広い分野をカバー。

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