更新日:2018/07/20
債務整理のデメリットとおまとめ希望者を狙う悪質詐欺の典型例
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- そもそもおまとめローンとは何なのか?
- おまとめのメリット・デメリット
- こんな人は債務整理すべき!
この3点について解説しました。
ここからは、「債務整理のデメリット」や「おまとめ希望者を狙う詐欺」について解説していきます。
借金をまとめたいと思っていても、すでに自力での返済が難しい場合は、諦めることも大事です。
それ以上がんばっても自らの首を絞めるだけですから、債務整理を検討してください。
そして、借金に苦しむ人を狙った悪質な詐欺も横行しています。
絶対に引っかからないようにしましょうね。
今回の記事を前半から読みたい場合はこちら
意外と知られていないおまとめローンの落とし穴(デメリット)をご覧ください。
この記事の編集者情報
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ささき 英雄私が編集者です!
七夕生まれ、編集・ライティング歴10年。前職ではグルメ雑誌の制作に携わっていましたが、30歳の誕生日をきっかけに独立しました。ファイグーでは「自分の仕事は書くことではなく伝えること」という意識で記事に取組んでいます。担当記事は、利息や審査などライバル記事だらけのテーマが多いです。そのため、「他のどの記事よりも正しい」のは当然として、さらに「どうすれば読みやすくなるか」を日々追求しています。
意外と少ない債務整理のデメリット
前章でも少し触れましたが、債務整理は、借金を整理する法的手続きの総称です。
債務整理にはいくつかの種類がありますが、ここではメジャーな任意整理と破産の2つに絞って、手続きの内容とデメリットを解説していきます。
任意整理とは?
「月々の返済負担が減るなら完済できる」という場合は、任意整理を検討してください。
任意整理を行う場合、通常は弁護士などの専門家に依頼します。
依頼を受けた弁護士は、債権者(金融業者)と話し合い、下記のようなことを要求します。
- 利息や遅延損害金のカット
- 返済計画の見直し(主に月々の返済額の減額)
交渉がうまくいけば、利息や遅延損害金がカットされ、月々の返済額も減額されるのです(もし過払い金(※9)がある場合は、借入残高と相殺されます)。
話し合いの結果、今後の返済計画が決まったら、以降はその計画通りに返済していきます。
※9
もし過去に年率20%超で支払っていた利息があれば、それは過払い金(払いすぎた利息)です。任意整理の際、過払い金があれば、借入残高と相殺されます。また、過払い金が借入残高を上回る場合は、差額分の返金を受けられます。
自分ひとりで任意整理できる?
不可能ではありませんが、一般的ではありません。
専門的な知識や交渉力を必要とするので、普通は弁護士などの専門家に依頼します(※10)。
自力で交渉する場合は、「交渉がまとまらない」「利息がカットされない」などのリスクを覚悟しなければなりません。
※10
弁護士に債務整理を依頼したら、弁護士から債権者(金融業者)に、「債務整理を開始する」旨の通知を送ります。以降、金融業者からの取り立ては止まります(通知を受け取って以降の取り立ては禁止されています)。
任意整理の費用
実際の弁護士に、「任意整理を弁護士に依頼した場合の費用(相場)」を聞いてみました。
着手金 | 2万~4万円 |
---|---|
基本報酬 | 1社につき2万~3万円 |
減額報酬 | 「減らすことができた債務」の5~10% |
実費 | 数千円程度 |
ただし、基本報酬以外の有無は弁護士事務所によって異なります。
例)
- 着手金は無料だが減額報酬が発生する
- 減額報酬はないが着手金は発生する
細かい条件は弁護士事務所によって異なるので、注意してください(弁護士の選び方はこちらが参考になると思います)。
また、任意整理の体験談集も参考にしてみてください。
破産とは?
さきほど説明したとおり、任意整理をすれば「月々の返済額の減額」が期待できます。
しかし、そもそも生活が苦しく 返済していくことが難しい場合は、裁判所に破産を申立てるしかありません。
必要な書類を準備して裁判所に破産を申立て、裁判官と面接します。
その結果、裁判所から免責がおりれば、全ての借金の返済義務がなくなります。
免責がおりないこともあるの?
次のような目的のために借金した場合は、免責が認められないこともあるので、注意してください。
- ギャンブル資金のため
- 株、FXなどの資金のため
- 収入に見合わない浪費のため
また、次のようなケースも、免責が認められない場合があります。
- 意図的に財産を隠したり、譲渡したりした
- 意図的に特定の借金だけ返済してから破産を申立てた
- 破産申立て日より前の1年間で、ウソをついてローンやクレジットカードを契約し、借入れを行った
- 破産の申立てより前に、クレジットカードの現金化を行ったことがある
- 破産手続きに必要な書類を捏造したり、虚偽の申告をしたりした
万が一免責がおりなかった場合は、破産手続き完了後も返済を続ける必要があります。
自分で破産手続きできる?
可能ですが、相応の時間や手間がかかるので、弁護士に依頼するケースが多いです(※10)。
たとえば、破産を申立てるにあたり、住民票・収入証明書・通帳・家計収支表など数多くの書類をそろえる必要があります。
自分で手続きする場合は、「何が必要なのか」「どこに何を記入すればいいのか」などをすべて調べて準備しなければなりません。
一方、弁護士に依頼した場合は、弁護士がすべて教えてくれますし、サポートしてくれます。
また、本人が破産の申立てを行った場合、手続きが開始されるのは最短でも1~2ヵ月後です。
それとは反対に、弁護士が申立てた場合は、最短で申立て当日に手続きが開始されます。
※10
弁護士に債務整理を依頼したら、弁護士から債権者(金融業者)に、「債務整理を開始する」旨の通知を送ります。以降、金融業者からの取り立ては止まります(通知を受け取って以降の取り立ては禁止されています)。
破産にかかる費用
実際の弁護士に、「破産手続きを弁護士に依頼した場合の費用(相場)」を聞いてみました。
着手金 | 15万~50万円程度 |
---|---|
実費 | 2万円程度~20万円以上 |
下記のような場合は、破産管財人(※11)による調査が入り、手続きが複雑になるため、着手金および実費が高額になります(※12)。
- 「生活する上での必要最低限を超えた財産」を持っている場合(※13)
- 申立人が個人事業主の場合
- 免責が許可されない理由がある場合
破産管財人による調査が入る場合、着手金は30万円以上、実費は20万円以上になってしまうでしょう。
ちなみに、弁護士の選び方はこちらが参考になると思います。
実際に破産した方の体験談集もありますので、興味があればご覧ください。
※11
破産管財人は、申立人の財産を調査したり、財産を処分する役割を持った人です。
※12
挙げられた条件にあてはまっていても、破産管財人の調査が入らないケースもあります。判断は個々の裁判所にゆだねられているのです。
※13
「生活する上での必要最低限を超えた財産」の内容については、後ほど説明しています。
任意整理や破産のデメリット
任意整理や破産にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
しばらくはローン・クレジットカードの審査に通らない
任意整理や破産などの債務整理手続きを行った場合、5年間(破産の場合は10年間)はローンやクレジットカードの審査に通らなくなります(※14)。
「しばらくの間は新たな業者と契約できない」ということなので、人によってはメリットかもしれませんね。
※14
債務整理をすると、信用情報に記録が残ります(破産の場合は10年、破産以外の場合は5年)。信用情報とは、個人のローンやクレジットカードなどの利用履歴です。あなたがローンやクレジットカードに申込みをすると、審査で必ず信用情報を確認されます。あなたの信用情報から債務整理の記録が消えない限り、審査に通らないでしょう。
破産したら必要以上の財産は処分される
裁判所に破産を申立てたら、「生活する上での必要最低限を超えた財産」は処分され、借金の返済にあてられます。
「生活する上での必要最低限を超えた財産」とは、たとえば下記のようなものです。
- 99万円超の現金
- 20万円を超える預貯金、家、車、有価証券
このような財産はすべて処分されてしまいます。
破産したら官報に名前が載る
破産すると、官報の「破産手続開始」などの欄に、あなたの名前・住所が掲載されてしまいます。
官報とは、国が毎日発行している広報誌です。
インターネット版の官報なら、無料で直近30日分を閲覧できます。
インターネット版官報
https://kanpou.npb.go.jp/
また、図書館に行けば、過去に官報に掲載された情報を検索することができます。
しかし、普通は、わざわざ官報をチェックする人はいないので、あまり気にする必要はないでしょう(※15)。
官報の存在自体知らない人も多いと思います。
※15
信用情報機関(私たちの信用情報を管理している機関)、役所、金融業者などは日頃から官報をチェックしています。なかでも注意すべきは違法金融業者や詐欺業者です。彼らは、官報に載っている破産者に近づき、新たなカモにしようと企んでいます。ダイレクトメールなどの勧誘には重々注意が必要です。
破産したら一定期間特定の職業に就けなくなる
破産手続き開始から免責決定までの間、下記のような仕事に就くことはできません。
例)
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 弁理士
- 宅地建物取引業者
- 古物商
- 公証人
- 証券外交員
- 生命保険外交員
- 損害保険外交員
- 警備員
- 建設業者
ただし、免責確定後は、このような制限はなくなります。
おまとめ希望者は詐欺や違法業者の餌食!?
最近は、おまとめ・借り換え希望者を狙った詐欺や犯罪が横行しています。
勧誘方法はさまざまです。
インターネット広告、雑誌広告、メール広告、チラシ、ダイレクトメール、電話勧誘、知人からの紹介などなど。
いずれも油断はできません(実際の被害者のインタビューはこちら。「複数の借金を一本化しませんか?」に要注意!借金一本化詐欺【体験談】)。
ここからは、おまとめ希望者を狙った犯罪の手口について解説していきます。
貸します詐欺(別名:融資保証金詐欺)
保証金などの名目で先にお金を支払わせ、実際には融資しない(お金だけだまし取る)詐欺のことです。
「超低金利」や「100万円融資OK」といった魅力的な宣伝文句で勧誘し、被害者が融資を申込むと、先にお金を支払うようにうながします。
例)
「返済実績をつくるため、先にOO万円を支払ってください」
「大手消費者金融の△△△に申込みしていただき、そこで借入れたOO万円を保証金として送ってください」
また、保証金以外にも、次のような名目で支払いを要求されるケースがあります。
- 契約の解除手数料
- 保険料
- 信用情報登録料
- 供託金
実在する銀行名・消費者金融名が使用されることもあるため、社名を信用して騙されてしまう人被害者も多いようです。
紹介屋
他の違法業者と同様、「よそで断られた方でもOK」「低金利で借り換え可能」などの甘い言葉で勧誘します。
そして、融資を申込みしてきた被害者に対して、「うちでは貸せないが、別の業者を紹介する」と言って、別の業者を紹介するのです。
紹介先は、大手消費者金融であったり、違法金融業者であったり、さまざまです。
紹介屋からは、紹介料として、借入額(紹介先で借入れた額)の20~30%を要求されます。
二重被害のリスク
紹介屋に紹介された先が違法金融業者だった場合、法外な金利を要求される可能性が高いです。
それこそ、トサン(10日で3割)や、トゴ(10日で5割)の世界なので、年率に換算すると1000%以上の暴利です(※16)。
そして、なかにはさらに悪質な紹介屋も存在します。
被害者から得た個人情報を使って、勝手に被害者名義で複数の違法金融業者から借入れを行うのです。
この場合、被害者は知らない業者からも取り立てを受けることになります(※16)。
※16
法律で決められた上限金利は年率20%です。これを超える金利で貸付けを受けた場合、返済義務はありません。違法金利でお金を貸す業者には、元金すら返済する必要はない、ということです。そもそも、自分で借入れを行っていないなら、なおさら返済の必要はありません。
整理屋
整理屋は、「複数の債務を一本化」「低金利で借り換え」などの甘い言葉で勧誘し、申込者に任意整理をすすめます。
そして、結託している弁護士事務所を紹介するのです。
被害者が紹介された弁護士事務所に勧められるまま任意整理を依頼した場合、どうなるのでしょうか。
弁護士費用をだまし取られる
まず、「弁護士費用」「仲介手数料」「借入先への返済資金」などの名目でお金をだまし取られるケースがあります。
被害額は、ひと月あたり5~10万円程度です。
このケースでは、依頼を引き受けた弁護士事務所は何もしません(※17)。
被害者は、任意整理の手続きが全く進んでいないのにもかかわらず、お金だけ払い続けることになります。
※17
本当に何もしないケースと、整理屋に加担する弁護士が被害者の借入先に「債務整理開始」の通知だけ送るケースがあります。前者の場合、任意整理を弁護士に依頼したのに取り立てが止まないため、被害者が不審に思い、詐欺が発覚します。被害額も少なく済むことが多いようです。一方 後者の場合は、一旦借入先からの取り立てがストップするため、被害者が詐欺に気づくのが遅れます。なかには、数百万円単位の金額をだまし取られたケースもあるようです。
弁護士費用が割高
整理屋に加担した弁護士が、きちんと任意整理手続きを行うこともあります。
この場合、相場よりだいぶ割高の弁護士費用を請求されることになります。
ソフトな対応の違法金融業者
最近の違法金融業者は、「他社で断られた方もOK」「絶対に即日融資」のような文句で勧誘し、年率1000%を超える暴利で貸付けを行います(※18)。
しかし、その対応は、実に親切かつ丁寧です。
相談すれば親身になってくれますし、返済が遅れたときも怒鳴ったりせず、優しく対応してくれます。
被害者のなかには、「違法業者」と気付かず利用している方もいるくらいです。
※18
法律で決められた上限金利(年率20%)を超える利率でお金を借りてしまった場合は、元金も含めて一切返済する必要がありません。
被害に遭わないためには?
ここまで紹介したような犯罪の被害に遭わないためには、どうしたらいいのでしょうか?
少なくとも、下記のような業者には近づかないようにしましょう。
- 先にお金を支払うよう要求する
- 他の業者を紹介しようとする
- 弁護士事務所を紹介しようとする
- こちらが希望してもいないのに債務整理をすすめる
- 「1週間で利息20%」や「10日で利息30%」など金利が異常に高い(※19)
- 金利は提示せず、「1万円貸すので、10日後に3,000円を返してください」のような返済に関する条件しか話さない(※19)
- 「超低金利」「100万円まで融資OK」「断られた方でもOK」「低金利で借り換え可能」「複数の債務を一本化」といった甘い宣伝文句で勧誘している
無難なのは、銀行や大手消費者金融を利用することです。
しかし、なかには有名業者の名前を騙る手口もありますので、申込む場合は公式ホームページから申込むようにしてください。
違法金融業者の特徴と見分け方や被害に遭った時の対処法はぞれぞれこちらを参考にしましょう。
※19
年率を計算するための式は、
金利(年率)=利息÷元金×365÷借入日数×100
たとえば、「1万円貸すので、10日後に3,000円を返してください」と言われた場合、
3,000÷10,000×365÷10×100=1095
年率1095%となります。
まとめ
今回のポイントをまとめておさらいしましょう。
おまとめのメリット
- 月々の返済回数を減らせる
- 月々の返済負担を減らせる
- 金利が下がることもある
おまとめのデメリット
- おまとめにより金利が下がっても、支払う利息総額はかえって高くなるリスクがある(毎月の返済額が下がるため)
- 意思の弱い人や借金癖がある人は借入れをやめられず、おまとめしても結局完済できない
- 他に借入れがない人に比べて、審査は厳しくなる
おまとめより債務整理向きなのは?
- 毎月の返済負担を減らしたい人
- 大幅な収入減、もしくは支出増があった人
- すぐにお金を使ってしまう人や、意志が弱い人
- 借金のせいで大きなストレスを抱えている人
任意整理(債務整理の一種)とは?
- 「月々の返済額が減るなら完済できる」という場合は、任意整理がおすすめ
- 任意整理では、債権者(金融業者)と話し合い、返済計画を見直していく
- 「利息のカット」や「月々の返済額の減額」が期待できる(過払い金がある場合は借入残高と相殺)
- 弁護士などの専門家に依頼するのが一般的(費用は最低数万円以上)
- 任意整理を行うと、5年間はローンやクレジットカードの審査に通らない
破産(債務整理の一種)とは?
- 返済が難しい場合は破産を選択すべき
- 破産を申立てた結果、裁判所から免責がおりれば、全ての借金の返済義務がなくなる(ただし場合によっては免責がおりないこともある)
- 弁護士などの専門家に依頼するのが一般的(費用は十数万円~数十万円以上)
- 破産すると、10年間はローンやクレジットカードの審査に通らない
- 破産したら、必要最低限を超える財産は処分される
- 破産したら、官報に名前・住所が載る
- 破産したら、免責が確定するまで特定の仕事(弁護士、司法書士、税理士、公認会計士など)には就けない
おまとめ希望者を狙った犯罪の被害に遭わないためには?
下記のような業者には近づかないようにしましょう。
- 先にお金を支払うよう要求する
- 他の業者を紹介しようとする
- 弁護士事務所を紹介しようとする
- こちらが希望してもいないのに債務整理をすすめる
- 「1週間で利息20%」や「10日で利息30%」など金利が異常に高い
- 金利は提示せず、「1万円貸すので、10日後に3,000円を返してください」のような返済に関する条件しか話さない
- 「超低金利」「100万円まで融資OK」「断られた方でもOK」「低金利で借り換え可能」「複数の債務を一本化」といった甘い宣伝文句で勧誘している
いかがでしたか?
おまとめにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
また、「おまとめでは問題を解決できないケース」や「債務整理を選択したほうがいいケース」がありますので、できれば債務整理もあわせて検討してみてください。
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