「複数の借金を一本化しませんか?」に要注意!借金一本化詐欺【体験談】

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早く返済してしまいたいという気持ちで申し込んだ「おまとめ」が詐欺だった体験を語ってくれた上林さん

おまとめローンは、複数の業者からの借入れを一本化することで、利息と月々の負担を抑えられるローンです。今、銀行をはじめさまざまな金融機関で「おまとめローン」が用意されています。

その一方で返済に追い詰められた人の心理に付込む、悪質な「おまとめローン詐欺」も存在するので、注意が必要です。

今回は複数のクレジットカード会社からの借り入れを重ねた結果、「おまとめローン詐欺」に遭ってしまったという女性から話を聞くことができました。

体験者の情報

名前:上林 良子(仮名)
性別:女
当時の職業:専業主婦
当時の年齢:30歳
借入件数:クレジットカード3件、消費者金融3件
会社名:オリコカード、ビザカード、ニコスカード、レイク、アコム、・プロミス
利用時期:2005~2006年
借金の合計額:200万円

一通のメールがすべての始まりだった

お話をうかがったのは、家庭を持ちながら派遣社員として働いているという上林良子さん(仮名)38歳。

過去に「おまとめローン詐欺」に遭い自己破産を経験したという彼女は、どこか自信無さげで、か弱い印象です。

今回は借金の「おまとめ」を謳った貸付詐欺で、消費者金融から多額の借金をすることになった経緯と、最終的に自己破産をするに至った理由について、語ってくれました。

クレジットカードの利用を重ね、気付けば100万円に

― クレジットカードでどんなものを買っていたのですか?

声はか細く、どこか自信なさげに話す上林さん

当時から専業主婦だったのですが、オリコ、ビザ、ニコスのカードを持っていました。これらのカードは働いていた独身時代に作ったものです。

カードで購入していたのは、主に服や健康食品ですね。

主人には内緒でアトピーに効く薬や、肝機能の改善のためのサプリをインターネットで買って、カードで支払いをしていました。

返済には過去の退職金や自分の貯金を充てていましたね。

主人の稼ぎだけでは生活するのが精一杯で、私も生活費以外にお小遣いを貰っていなかったので、自分のものは自分で買うしかなかったのです。

― 全部でどれくらい利用されたのですか?

気付けば、それぞれのクレジットカードで20万円ずつくらい使っていました。

金利も15~16%と高かったから、月々の返済が苦しくなって、返済の為にキャッシング枠を使うこともあったと思います。

クレジットカードのキャッシング枠なら消費者金融より安全だと思ったのですが、あっという間に借り入れが100万円くらいになっていて、漠然と「返済を一本化して月々の負担を減らしたいな」と考えるようになっていました。

「複数の借金を一本化しませんか?」というメール

― 「おまとめローン」詐欺からの最初のコンタクトは、どのようなものでしたか?

「複数の借金を一本化しませんか?」というタイトルのメールが届いたのが最初です。

確か差出人はカタカナの会社名で、「複数の借金を一本化したら月々の負担も軽減するし、利息も減りますよ」という内容でした。

その時まさに悩んでいたことだったので、「これだ!」と思って。それでこちらから名前と電話番号をメールで返信して、すぐに相手から電話がきました。

― 電話ではどのようなことを話したのですか?

「何社から借り入れて、借金はどれくらいありますか?」みたいな質問をされて、「うちで一本化すると、今よりも利息が安くなりますよ」という説明を受けました。

それと本人確認さえ取れれば、手続きはとても簡単だということも言われました。

職業を偽るよう指示されて

時折フフフと笑いながら詐欺の話をしてくれた上林さん

― 実際にその業者から借り入れをしたのですか?

おまとめの業者が言うには「貸金の信用組合みたいな所があって、うちもその組合に加盟しています」と。

それから「まず一番近い消費者金融の無人契約機に行って50万円を借りてください。そのデータがうちに来ると本人確認ができるしくみです」と言われました。

そして最寄りのレイクで「本人確認」をするように言われました。今なら明らかにおかしいとわかるのですが、その時はまったく疑っていませんでした。

― 消費者金融ではどのような手続きをしましたか?

業者に電話で指示されながら、レイクの無人契約機に向かいました。

防犯カメラの前では電話しないように言われていたので、無人契約機のATMには電話を切って入りましたね。

それから「専業主婦では審査に通りにくいかもしれない」と言う業者の指示通りに、主人の会社名を言って審査を受けました。

意図的だったかはわかりませんが、夜8時過ぎの遅い時間だったので、会社に在籍確認ができなかったみたいですね。

でも何故だか審査に通ってしまって。審査は15分くらいで済んで、限度額の50万円を借りることができました。

― 消費者金融から借りたお金はどうされたのですか?

その後はレイクから借りた50万円を、業者の言う「信用会社」に速達で送るように言われて、その指示に従いました。

もう遅い時間だったので普通なら窓口も閉まっているはずなのですが、近くに夜間窓口のある大きな郵便局があるからすぐに送るようにと。

今考えるとなんで信用してしまったのでしょうね。でもその時は早く一本化してしまいたい気持ちが強かったから全然疑っていませんでした。

しかもその翌日くらいにまた連絡があって「本人確認ができなかったので、もう1軒行ってください」と言われて。

もうなんだか後にも引けなくなってしまっていたものだから、言われるままにアコムから30万円、プロミスから20万円を借りて、同じように郵便で送りました。

この時はタイミング良く、前の週に受けていた歯科衛生士の仕事の採用が決まったので、審査の時には職業や「月収16万円貰える見込み」ということを伝えました。それで、スムーズに融資を受けることができましたね。

業者との連絡が途絶え警察に相談

― 業者にお金を送った後どうなりましたか?

詐欺に遭ったことを、すでに過去の出来事のように話してくれた上林さん

それが3箇所から借り入れた100万円を送った後、業者からの連絡が途絶えてしまいました。

不審に思ってこちらから電話をしても繋がらなくなっていて、これで騙されていたことに初めて気付いたんです。もちろんすぐに警察に相談しましたよ。

警察ではこれまでの経緯を説明して、業者の名前、送り先の住所も伝えて、色々と調べてもらったのですが、「恐らく架空の会社だろうし、送り先の住所は私書箱で、すでにお金は回収された後だから追跡することは難しい」と。

「一応、捜査はするけれどお金は戻ってこないでしょう」と言われました。

騙されたことはもちろんショックでしたが、それ以上に100万円の借金をどうしようとパニックになってしまいましたね。

そうしたら警察の人が「弁護士さんに相談して自己破産をしたら気が楽になるのではないか」と法テラスを教えてくれました。

月に10万円の返済、半年で破綻、自己破産へ

― すぐに弁護士に相談して自己破産の手続きをしたのですか?

それが、しばらくは自分でどうにかしようと、半年くらいは頑張って返済していました。採用された歯科衛生士の仕事を始めて、月に18万円ほどいただいていたので。

でも金利もグレーゾーンの21%ととても高く、月々の返済額は10万円と給料の半分以上もあって。

4ヶ月目くらいから返済のためにさらにキャッシングをするような自転車操業状態になっていました。

時々1週間くらい返済が遅れるようなこともありました。催促の電話はかかってくると、ものすごいストレスを感じていましたね。

そんな生活を続けているうちに、半年くらいで限界が来てしまって。

どれだけ返しても元金が減らないというか利息を払っているようなもので、これでは埒が明かないと、ようやく弁護士さんに相談することに決めました。

― 自己破産の手続きとはどのようなものだったのですか?

自己破産...、やはり上林さんにとっても、重い現実のようです。

法テラスで担当してくださった弁護士さんはたまたま金融系に強い弁護士さんだったので、「借金の返済に困っておまとめローン詐欺に遭ってしまった」と言うと、すぐに状況を理解してくれました。

「依頼してもらえれば催促の電話もすぐ止められるから、これからは安心して眠れるよ」と言われて。

こちらから自己破産の手続きに入ったという連絡をした後に、消費者金融が催促をする電話をかけることは法律違反だそうです。それを聞いて、すぐにお願いすることに決めました。

実際の手続きに入ると、どのくらい返済をしたか確認するための通帳と、主人の通帳の残高の写しの提出が必要でした。家族でどうにか返済できないかを調べる必要があったからです。

できれば主人に知られたくありませんでしたが、書類を用意するために打ち明けるしかありませんでした。

もちろん叱られましたよ。それに「お前がやったことだから俺は知らない」と突き放されてしまって。それで泣く泣く両親を頼りました。

両親は「借りたものは返すべき」という意見だったのですが、「定年を控えていて援助は難しい」と弁護士費用の30万円だけを貸してくれて。

それから3ヶ月くらいで自己破産の免責が下りました。

― 自己破産から5年以上経過(現在2013年)していますが、現在カードを利用していますか?

「自分でやらかしたことだからしょうがない」とふっきれたように話してくれた上林さん

2011年の1月にVISAカードを申し込んだのですが審査に落ちてしまいました。

信用情報は5年残るそうですが、自己破産をしたのが2006年だったので、ぎりぎりダメだったのかもしれませんね。同じ頃、インターネットで楽天カードを申し込んでもダメでした。

不便を感じることもあるけれど、今のところ1枚も持っていませんね。

― 当時を振り返ってどう思われますか?

自分でやらかしたことだからしょうがないですね。

詐欺に遭ったことは不幸なことでしたが、ショッピングやクレジットカードのキャッシング枠を無計画に使っていた自分にも責任があったと思います。

今は当時とは別のところで派遣社員として働いているのですが、買い物はお給料が入ってから、現金で買うようにしています。家計簿も付けているし、本当に慎重になりましたね。

主人と二人、ある程度の収入はあるので、なんとなく生活できている感じです。

インタビューを終えて

「おまとめローン詐欺」に遭った経緯と、自己破産に至るまでを淡々と語ってくださった上林さん。現在はクレジットカードやキャッシングに頼らずに生活しているそうです。

詐欺に遭ってしまったことは不幸でしたが、今回のことは彼女の教訓になっていると言えるでしょう。

「おまとめローン」によって借入れを一本化することは、月々の返済額が少なくなったり、月に一度の返済で済むので、返済計画が立てやすくなるなどのメリットがあります。

その一方で、近年「おまとめローン」を装った詐欺が増えているので、注意しなければなりません。

「おまとめローン詐欺」は、一見普通の「おまとめローン」と区別がつきにくいところが厄介です。

彼らはメールや新聞広告・チラシなどで「低金利」「高額融資」を謳って宣伝をします。カタカナの会社名が多いので、消費者金融や信販会社と思ってしまいますが、その中に詐欺業者が紛れ込んでいるのです。

返済に苦しむ人は、新たに融資を受けることが難しいために、こうした業者の宣伝に乗ってしまいやすくなります。

詐欺集団は連絡してきた人に、電話やメールで巧みに誘導し、「保証金」などの名目で振込みをさせます。

上林さんのように「信用情報を確認したい」などと言われ、複数の消費者金融から借入れをさせて、借金を背負わせるのです。

しかし、まともな業者であれば必ず信用情報機関に登録しているので、信用情報を得るために他からお金を借りて送金させるようなことは絶対にしません。

また低金利で高額融資を持ちかけてくる業者も、怪しいと考えましょう。例え新聞に広告を出していても、疑いの目を持つことが必要です。

最近では振り込みではなく、ゆうパックで送金させたり、担当者が直接自宅にお金を集金に来るなど、手口は巧妙化しています。

こうした悪質な詐欺に遭わないために、お金を要求された時には、周囲の人間に相談するなど、冷静に行動することが大切です。

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