自営業の彼の為に借金。人のための借金は自己破産できない?【体験談】

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彼氏が洋食のレストランをはじめたものの、お店は経営難に陥っていまったので、助けてあげたい一心で私は消費者金融から借金をします。

次から次へと借金した結果、複数の借金を抱え最終的に破産することになりました。

しかし「他人のためにお金を借りた」と書類に書くと、免責が降りない可能性もあるので、注意が必要です。

体験者の情報

名前(仮名):河野 陽子
性別:女性
職業:会社員
年齢:42歳
借入件数:7件
会社名(借入先):プロミス、アコム、アイフル、武富士、ワールド、エイワ、地元金融
利用時期:1998年~2003年
借金の合計額:450万円
債務整理にかかった金額:36万円

彼氏のレストランを助けたくて借金

今から10年以上前、私と彼氏はある飲食業の会社に勤務していました。

ある時、会社が新しい洋食のレストランを出店することになり、私の彼が店長となって運営を任されます。

ところが店は不振が続き、このままだと閉店しなければならないという状況になってしまいました。

会社からは「会社の運営では利益が出せないが、個人でやるなら利益も出て採算が取れるかもしれない」と言われ、やめるか続けるかの選択を迫られます。

せっかく店長としてやってきた仕事なので、彼は会社から独立し、運営を委託される形でレストランを続けることになりました。

ちょうど独立した時はクリスマスシーズン。初めの半年は若干利益を出すことができました。

ところが夏になると次第に客足が落ちていき、店は黒字と赤字を繰り返します。そして2年ほど経った時には、再びお金がうまく回らなくなってしまいました。

実は独立した時に、彼はすでに借金があり、準備資金などなくスタートしていたのです。

一方、私はそのまま会社に残り、毎月月給をもらう生活でしたが、資金繰りが苦しい彼のために、月給から毎月のように資金援助していました。

そしてやがて私の方も、貯金が底を尽いてしまいます。

それでも「私なら彼を助けられる」と思い上がって、消費者金融に駆け込みました。

チンピラ風の中堅消費者金融

一番始めに借りた業者はアイフルでした。50万円をすぐに借り入れできました。

当時はサラ金のイメージ改善戦略が盛んで、消費者金融はどこも華やかなCMを制作した頃でした。「クリーン・簡単・安全」というイメージを世間に広めようとしていたのです。

ほとんどの消費者金融は、「あらかじめ電話などで年収や勤務先を伝え、本人確認書類や給与明細などをFAXして先に審査してもらい、OKが出たら店舗窓口に行って最終的なサイン」という手続きです。

最初は緊張しましたが、それほど嫌な思いもしなかったので、そのうち手続き自体に慣れてしまい、アイフルの次はプロミスやアコムと手を伸ばしていきました。

しかし何件か借りると、大手の金融は件数を理由に断られるようになります。

すると、今度は広告を頼りに、中堅の金融会社(ワールドやエイワなど)に借りに行くようになりました。

しかし中堅の金融会社は、大手とは少し毛色が違います。

エイワという金融会社に行った時のこと。

社員の人たちは派手な色のシャツやスーツ、銀縁眼鏡のオールバック、まるで昔のチンピラのような格好をしていて、怖い顔で手続きをしていたのです。

しかもお金を出した後に「にらみ」を利かされて、「ちゃんと返さないとどうなるか分かんないよ」的な脅し文句まで言われました。

今まで見たことのない金融業者の裏の部分を見た気がして、私は急に怖くなります。この時初めて「返済できなかったらどうしよう」ということを真剣に考えました。

けれども何回かの返済を経て再利用するうちに、お店の人が本当のことを教えてくれたのです。

「こんなチンピラみたいな格好してるけど、みんな普通の人。この格好はちゃんと返してもらうための戦略なんだよ」

これを聞いてほっとした私は、中堅で借りることにも抵抗を感じなくなっていきました。

ついに遅れ始める支払い

当時まだバリバリのグレーゾーン金利だったので、どこの金融会社でも10万~30万円の借り入れに対し、金利は28%ほどと高金利、元金がなかなか減らず、返済は厳しかったです。

しかし中には全額返せた業者もありました。

でもATMが気軽に使える業者は、少し融資可能枠ができたらまた借りての繰り返しです。

やがて金利だけでどれだけ払っているのか、見当もつかない状況になっていきました。

借り入れがまだ2~3件だった頃は、支払い金額は月に3万円前後でしたが、たった数年で借金の総額は350万円以上に膨れ上がってしまいまったのです。

また同じようにあちこちから借入していた彼の借金の総額も、おそらく800万円は超えていたと思います。

ある日、彼が「日払い」の金融からも借りているのを知り、愕然としたのを覚えています。

日払いの金融業者とは、法外な金利を取る悪徳業者です。

飲食店だと通常の運転資金を借りるのも難しいので、やむをえず日払いの業者から借りたのでしょうが、金利の高さは40%と、尋常ではありません

彼のレストランは以前よりは繁盛していましたが、利益は薄く、金利を払うだけで精一杯の生活でした。

払っては借りを繰り返し、そのうち払えなくなると電話して言い訳するしかなくなります。

「5日後には返済します」
「あと一週間待ってください」

地元の金融は自分の家族に保証人を頼んだりしていたので、返済が遅れるわけにはいきません。

そこでまず無保証の大手金融に返済できなくなり、カード利用もできなくなりました。

取立ての電話と逃げ回る生活

返済が遅れるようになると、自宅だけでなく職場にも取り立ての電話がかかってくるようになり、そういう時には「いません」と嘘をついてもらったりしていました。

しかしそうしたことが続いていたので、とうとう会社も辞めざるをえなくなってしまいます。

その後は彼のレストランを手伝っていましたが、毎晩自宅に帰っても部屋の電気をつけられず息を潜めて、ドアを叩く音におびえる生活。

幸い家族が嫌がらせを受けたというようなことはまったくなかったですが、私は精神的に追い詰められて行きます。

そのうち電気料金まで滞納してしまい、スイッチを入れても照明が点かなかった時にはさすがに泣いてしまいました。

そして業者が何時間も自宅の前から帰らなかったり、ドアを叩く音も強くなったり、ついにレストランにまで押しかけて来たりするようになりました。

とうとう逃げ回っているうちに、自宅にも帰れなくなってしまったのです。

ここまできて、私はついに自己破産する決意をしました。

私は言い訳することにも、逃げることにも、疲れていたのです。

行政書士の書類で破産申請を断られる

しかし、自己破産するにしても、弁護士に頼む費用なんてもちろんありません。そこで分割払いでやってもらえる行政書士をネットで見つけて、頼むことにしました。

お願いした行政書士事務所は東京にありましたが、私は地方に住んでいました。

そこで手続きの方法を電話で教えてもらい、こちらの事情を話して書類を作ってもらったのです。

ところが、その書類を持って役所の破産申し込み手続きの窓口に行ったら、「お嬢さん、こんな書類じゃ免責は下りないよ。弁護士とかいないの?」と言われてしまったのです。

行政書士が作った書類には「他人のためにお金を借りた」と書かれていたのですが、それを正直に申告してしまうと、私の彼も裁判所に調査され、「その人が払えばいい」と判断されると免責が下りなくなってしまうといいます。

「東京の行政書士に頼んだ?ダメダメあんなの。弁護士に頼みなさいよ。これじゃ受理できないからいったん出直しなさい」と言われ、頭が真っ白になりました。

行政書士に作ってもらった書類なのに通らないことがあるなんて、想像もしていませんでした。分割とはいえ36万円ものお金を払っていたのです

うなだれながら書類を持ち帰り、彼と一緒に書類の内容を見直しました。

そして「借金はすべて私が自分のためにしたもの」と書き直すことにし、行政書士にも弁護士にも頼まずに、自分たちだけで書類を作ったのです。

これを再び役所に持って行ったら、今度はすんなり受理され、その後、手続きを経てやっと免責が降りました。

今となっては、一度目に書類を受理してくれなかった役所の人に大変感謝しています。あのまま受理されても、免責が下りなかったでしょう。

書類のことで行政書士に苦情を言ったら、「東京だったら人口が多いから、毎日大量の破産申し込みがあるため、『他人のために借金』という内容でも通る」と言い訳されました。

10年ほど前の話ですが、今考えると本当かどうか分かりません。

自転車操業になるのはあっという間

私は結局自己破産を選びましたが、決断までには多くの苦悩がありました。

しかし、自己破産したら督促の電話もなく、家に業者が押しかけて来ることもなくなり、支払いからも開放されます。

カードが作れない、新しく借り入れできないという制約はありますが、普通の生活ができるし、買いたい物も我慢しなくていいのです。

本当に穏やかな生活を取り戻すことができました。

その後、彼も破産の手続きをし、レストランは閉店しました。

当時の私は、若かったというか幼稚だったというか、よく考えもしないで借金をし、「そのぐらい、頑張ればすぐに返せる」と思っていたのです。

しかし実際には、次から次へと借金せざるをえなくなり、自転車操業になってしまうまではあっという間でした。

あれから10年ほど経ち、私と彼は結婚して、2人とも新しい会社に就職し、静かに暮らしています。

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