住宅ローンはこうして借りろ!読むだけで審査に落ちなくなる元審査担当者の話

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「3,000万円の住宅ローンを組みたいのですが、審査に通りません。30歳、年収400万円、借金はキャッシングの残高が30万円のみ。審査落ちの原因はやはり年収の低さでしょうか?」

「住宅ローンの事前審査ではじかれてしまいます。自己資金も200万円ほど用意していますし借金もありません。思い当たるのは、残高不足でクレジットカードの引落しができなかったことが何回かあるんですけど・・・」

「住宅ローンに年齢制限とかありますか?もちろん職種などによっても変わると思いますが、銀行が提示した年齢条件を満たしていれば、だれでもローンは組めますよね?」

憧れのマイホーム購入は、人生に何度とない大きな買い物のイベント。
私のような庶民にとっては、数千万円の借金を背負うなんて、もう一生経験することがないと思います。

もちろん、貯金だけで購入できればいいのですが、そんなのは土台ムリな話。

私を含め、ほとんどの方が住宅ローンを利用しての購入するのではないでしょうか。

でも、私はこれまでローンを組んだ経験がほとんどありません・・・。車も買ったことがなければ、高級時計にも興味なし・・・。

そのため、ローンの審査なんてチンプンカンプン。

まったくの門外漢です。

調べてみてわかったのですが、実は、住宅ローンの審査に通らなくて困っている方って、かなり多いんですね。

「複数の住宅ローンへ申込み、立て続けに融資を断られる・・・」

こういう話は珍しくありません。
無知な私からすると、住宅ローンなんてちゃんと働いていればだれでも通ると思っていたので、驚きました。

しかも、そのうちの大半の方が【なぜ自分が審査に落ちたのか?】もきちんと理解できていないのです・・・。

なぜ自分の審査落ちの理由を知らないかというと、住宅ローン会社が審査落ちの理由を申込者に伝えることがないからだそう。

審査落ちの理由を伝えてしまうと、悪い人に悪用されてしまうというのがその理由なんですが、審査落ちの原因もわからずに、闇雲に次の審査へ申し込んでも、まさにムダな努力になってしまいますよね?

まずは、どんな基準で審査していて、具体的な審査ハードルはどの程度なのかを知る必要があると思いませんか?

というわけで、こんにちは。
今回はベールに包まれた住宅ローン審査の裏側をお伝えするため、住宅ローンの審査に携わった経験のある元金融機関勤務の方に徹底取材をしてまいりました、当サイト・ファイグー編集担当の木村です。

この記事をご覧になっているということは、もしかすると住宅ローンの契約ができずに困っているのかもしれません。

しかし、自社の住宅ローンの審査基準について公開している金融機関はまずないので、なぜ審査に落ちたのかも、なにを改善するべきなのかもわかりませんよね・・・。

そこで今回は、銀行や信用金庫で住宅ローンを担当していた元審査担当者にご協力いただき、具体的にどんな審査内容なのかを検証してみました。

その結果、どうして審査に落ちてしまうのかがわかってきたのです。

たとえば、ローンの審査に通らないと、どうしても「年収が低いから」と思ってしまいがちですよね?

でも、実際には年収の高さよりも『職業の安定度』『勤続年数』のほうが重要視されているのです。

そのほかにも、過去5年以内にクレジットカードやスマートフォン・携帯電話の支払いが遅れたことがある場合は要注意。

実は、こういうささいな延滞や滞納が、住宅ローンの審査に落ちる原因になっていることが多いんです・・・!

この記事では、とにかく審査をする側の視点から、どんな人が住宅ローンの審査に通るのか、また落ちるのかを書いています。

ですから、すでに住宅ローンの審査でつまづいている場合はもちろん、これからはじめて審査を受ける方にとっても助けとなる内容になっているはずです!

少し長い記事になりますが、どうぞ最後までご覧になってみてくださいね!

ご協力いただいた金融機関の勤務者

今回の記事を作成するにあたり、4つの金融機関の元融資担当者にお話をうかがいました。

それぞれの金融機関の審査レベル(当サイトで独自判断)は以下の通りです。

名前 勤務先 住宅ローンの審査難易度
佐藤さん 第一地方銀行A かなり厳しい
清水さん 第二地方銀行B やや厳しい
鈴木さん 信用金庫C 普通
関口さん 小売系銀行I やや厳しい

それぞれの担当者の意見も紹介していきますので、参考にしてください。

この記事のアドバイザー情報

  • 木村 澪子 編集者

    木村 澪子編集者

    テレビ・雑誌等の取材歴15年。ファイグーではお金の話をわかりやすく、よりリアルにお伝えするために、背景や当事者の気持ちに寄り添う取材を心がけています。銀行マン、証券マン、利用者などからぶっちゃけたお話を聞くにつけ、「消費者も賢くならなければ...」と痛感する日々です。家族は夫・娘・ザリガニ2匹。

年収1,000万円でも審査落ち!住宅ローンの審査で重要視される6つの要素

「住宅ローンの審査なんて、高年収なら一発でしょ?」なんて思っていたら大間違いです、

なぜなら、実は住宅ローンの審査項目のなかには、年収よりも重要視される項目があるから。

そこで、まずはその重要項目を6つ、ピックアップしてみました。

審査項目 大まかな内容
❶年齢 完済時の年齢が65歳以上だと審査落ちの可能性大
❷健康状態 健康状態が悪いと審査落ちの可能性大
❸物件の価値 違法物件や担保価値が低い物件だと審査落ちの可能性大
❹クレジットカード・ローンの支払状況 延滞の記録があると審査落ちの可能性大
❺キャッシング・カードローンの利用状況 キャッシング・カードローンを利用しているだけで審査に落ちることがある
キャッシング・カードローンの利用残高が多すぎると審査に落ちることがある
❻申込者の情報 職業・雇用形態・勤務先・勤続年数などが審査に影響する

もちろん、様々な項目の総合的な判断により審査結果が出るのは、住宅ローンもその他のローンも同じ。

ただ、なかには審査落ちの致命的な要因になってしまう項目もあるので、注意が必要です。

  • 完済時の年齢が65歳以上だと審査落ちの可能性大
  • 健康状態が悪いと審査落ちの可能性大
  • 違法物件や担保価値が低い物件だと審査落ちの可能性大
  • 延滞の記録があると審査落ちの可能性大

それでは、個々の審査項目について、もう少しくわしくみていきましょう。

年齢に関するポイントは『完済時の年齢』と『団体信用生命保険の年齢条件』

まずは住宅ローンの審査において、年齢がどのように影響するのかをみていきましょう。

完済時の年齢が65歳以上になってしまう場合は審査落ち

住宅ローンへ申込む場合の年齢条件は、おおむねどの金融機関も20~60歳となっています。

しかし、実際には申込時の年齢よりも完済時の年齢が重要視される傾向にあり、完済が65歳以上になってしまう返済プランだと審査通過は難しいです。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

私が勤務していた銀行の場合、申込条件の表記上は『完済時の年齢が81歳まで』でしたが、実際には70歳以上になっても返済が必要な方は申込みの段階でお断りしていました。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

申込時の年齢が高いほど、返済に使える期間が短くなります。

とくに50歳を過ぎると毎月の返済額が高額になってしまうため、融資額が希望よりも下がったり、審査に通らなかったりするケースが多いです。

元小売系銀行I勤務の関口さん

たとえば、返済期間30年で住宅ローンの利用を考えている場合、年齢が40歳以上だと審査条件は厳しくなりますね。

これはあくまでも私が勤めていた銀行の基準ですが、定年時に残債が1,000万円以上残ってしまうような条件での申込みはほとんどが否決となっていました。

ちなみに、定年の時点で残債がある場合は、退職金による一括返済を求められることが一般的です。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

完済時の年齢が高齢になってしまう方には、60代のうちに退職金でまとめて返済してもらえるようにお願いしていました。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

サラリーマンが50歳を過ぎて住宅ローンを組む場合、『退職後の返済計画』という書類を提出していただきます。

基本的には『退職金で一括返済する』または『退職後は子供が返済していく』のいずれかでお願いしていました。

なお、B銀行の場合『年金で返済する』という返済計画は認められません。

団体信用生命保険の年齢条件を満たしていなければ審査落ち

住宅ローンを組むためには、団体信用生命保険に加入しなければいけません。

団体信用生命保険とは、カンタンにいうと、住宅ローンの契約者に万が一の事態が発生した場合に、契約者に代わって生命保険会社が保険金で住宅ローンを返済する制度のことです。

この団体信用生命保険には、主に以下3つの種類があります。

団体信用生命保険の種類 保障内容 申込時の年齢条件
一般の団体信用生命保険 死亡、高度障害 20~65歳前後
3大疾病特約付団体信用生命保険 死亡、高度障害、がん、急性心筋梗塞、脳卒中 20~50歳前後
8大疾病特約付団体信用生命保険 死亡、高度障害、がん(上皮内がんを除く)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性すい炎 20~50歳前後

上記の年齢条件を満たしていない場合は団体信用生命保険への加入ができませんので、必然的に住宅ローンへの申込みもできません。

健康状態が悪いと審査に通らない

先ほどお伝えしたとおり、住宅ローンを組むためには団体信用生命保険への加入が必須です。

そして、団体信用生命保険へ加入するには保険会社に自分の健康状態を告知しなければいけません。

ここで注意したいのは、住宅ローンへ申込む時点で以下のような病気にかかっている場合です。

循環器系の病気 狭心症、心筋梗塞、心筋症、不整脈、心臓弁膜症、先天性心臓病、脳卒中
呼吸器系の病気 慢性気管支炎、ぜんそく、気管支拡張症
消化器系の病気 胃潰瘍、肝炎、十二指腸かいよう、クローン病、肝硬変、すい炎
泌尿器系の病気 腎炎、腎不全、ネフローゼ
目の病気 緑内障、網膜はく離
女性特有の病気 子宮内膜症、卵巣のう腫
精神系の病気 統合失調症、自律神経失調症、アルコール依存症、うつ

上記の項目に該当する場合、団体信用生命保険への加入ができないことがあります。

団体信用生命保険への加入ができなければ、住宅ローンは組めません。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

住宅ローンを組むうえで、健康状態のチェックは必須です。

ひとつでも当てはまるなら、審査のマイナス要因になると思ったほうがいいですね。

「胃潰瘍や高血圧くらいなら大したことない」と思われるかもしれませんが、それが原因で保険に加入できないことも十分にあります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

うつ病のお客さんがいて、慢性的に抗うつ剤を飲んでいたことを告知したら団体信用生命保険が否決になったことがありました。

うつは自殺のリスクが高いからだそうです。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

とくに、心臓や脳に関する病歴は団体信用生命保険の審査では不利です。

ただし、告知事項のうち、ひとつでも該当したからといって加入できないわけではありません。

軽微な病歴・数値なら、保険に加入できることもあります。

元小売系銀行I勤務の関口さん

年齢がいくら若くても、持病を抱えている場合は住宅ローンの審査で不利になりますね。

30代のお客様でも、精神的疾患を持っており団体信用生命保険に通過しなかったことがあります。

違法物件や資産価値が低い物件の場合は審査落ち

購入する土地建物に以下のような問題がある場合も、住宅ローンの審査に通らないことがあります。

  • 違法物件
  • 資産価値がない

それぞれ、くわしくみていきましょう。

違法物件(建築基準法に違反した物件)

違法物件とは、建築基準法に違反している物件のことで、おもに次のようなものです。

図面と現物が異なる

住宅ローンでは、建物の図面を提出する必要があります。

そして、図面と実際の建物に相違がある場合、建築基準法に適合していないとされるため審査に通りません。

たとえば図面上では出入口になっている箇所が、実際には出入りができないなどのケースがあります。

容積率・建坪率が不適合

建築基準法では、地域ごとに容積率(敷地面積に対する建築物の延床面積の割合)と建坪率(敷地面積に対する建築面積の割合)の上限が決まっています。

この基準をオーバーしている物件は違法物件となるため、住宅ローンの審査に通りません。

増改築を繰り返している物件のなかには、容積率・建坪率の基準をオーバーしている物件もありますので、とくに中古住宅を購入する場合は注意が必要です。

建物の土地が公道に面していない

住宅は土地の前面が公道に面していなければいけません。

前面の道路が市や国の道路であれば問題ありませんが、私道はNGです。

接する長さにも決まりがあり、幅が4メートル以上の公道に、物件の土地が2メートル以上接してなければいけません。

この前面道路の基準も建築基準法で定められていますので、条件を満たしていない場合は審査に通りません。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

違法物件に融資したら銀行が法律違反を犯すことになるので、絶対に融資しません。

担保価値が低い物件

住宅ローンへ申込む場合、金融機関は不動産の評価額(不動産市場で売買される価格)から、土地建物にいくらの担保価値があるかを算出します。

金融機関はこの担保価値の範囲内で融資をおこなうため、担保としての価値が低い物件の場合は住宅ローンを組むことができません。

担保価値が低いと判断されるのは、おもに次のような場合です。

耐用年数を過ぎている

住宅には、以下のような耐用年数の基準があります。

  • 木造・・・22年
  • 軽量鉄骨造・・・24年
  • 鉄骨造・・・35年
  • 鉄筋コンクリート造・・・40年

耐用年数を過ぎた物件は評価額が0から10分の1程度となり、担保価値がほとんどなくなってしまいます。

また、建物の耐久性の面でも、築年数の長い物件ほど担保価値は低くなりやすいです。

元小売系銀行I勤務の関口さん

建築物の耐震基準法が改正される以前の物件(昭和56年5月以前の物件)も、審査上はかなり不利です。

罹災物件(地震により被害を受けた物件)

地震などで被災している罹災物件も、基本的には担保価値が低くなります。

ただし、工務店などから発行してもらう工事証明書などできちんと補修工事がされていることを証明できれば、罹災物件でも問題視されない可能性もあります。

その他の審査上不利な物件

以下のような場合も、金融機関によっては審査に通らないことがあります。

  • 土地だけの購入
  • 保留地や借地
  • 本人が居住しない店舗・事務所・賃貸
  • 別荘やセカンドハウス
  • 親族間での売買

信用情報に問題がある場合は審査落ち

住宅ローン審査では、申込者の信用情報をかならずチェックされます。

信用情報とは、ローンやクレジットカード、携帯電話の割賦料金等の利用・返済状況を記したデータです。

この信用情報に次のような問題があると、住宅ローンの審査には通りません。

金融事故の記録がある場合は審査落ち

信用情報に残る記録のうち、以下のように深刻なマイナス情報のことを金融事故といいます。

  • 長期延滞・・・61日以上の延滞
  • 債務整理・・・借金を減額したり帳消しにしたりする手続きのこと
  • 代位弁済・・・返済できなくなった借金を保証会社に肩代わりしてもらうこと
  • 強制解約・・・金融機関から契約を一方的に解除されること

このような金融事故の記録は、信用情報に最長で5~10年間記録されます。

そのため、金融事故の記録が残っている間は住宅ローンの審査には通りません。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

信用情報に長期延滞の記録があった場合、住宅ローンは即否決になります。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

過去に金融事故を起こしていたら、10年~15年は住宅ローンを組むことは不可能だと考えたほうがいいですね。

元小売系銀行I勤務の関口さん

債務整理・破産などの履歴があった場合、最低10年は住宅ローンが組めません。

ちなみに、信用情報と金融事故については以下の記事でくわしく解説していますので、ぜひこちらも読んでみてください。

過去5年以内に1回でも延滞していると審査落ちの可能性がある

先ほど、長期延滞が審査落ちの要因になるとお伝えしましたが、数日程度の延滞が1回でもあると住宅ローンの審査ではマイナスになります。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

『1回だけの延滞』『額も少額』『最終的には遅れて支払っている』場合でも、審査では『ルーズな人』と見られます。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

延滞が一度あっただけで、融資額が減額または融資自体が否決になることもあります。

ちなみに、信用情報には以下のような支払状況に関する過去5年分の記録が残っています。

  • キャッシング・カードローン
  • 上記以外のローン(教育ローン、自動車ローンなど)
  • クレジットカード
  • 携帯電話などの割賦払い

5年以内に延滞の記録が複数ある場合、住宅ローンの審査には通りませんので注意してください。

元小売系銀行I勤務の関口さん

延滞が過去1年間に3回以上あると、審査通過は難しいですね。

私が勤務していた銀行の場合、「本当は支払えるお金があったのに引落し日に入金を忘れた」といった理由なら問題視はしませんでした。

ただし、そのためには通帳のコピーなどで『引落し日の当日にちゃんとお金があったこと』を証明する必要があります。

キャッシングやリボ払いの利用も住宅ローン審査ではマイナス要因

住宅ローンの場合、キャッシングやクレジットカードの利用状況が審査で不利に働く場合もあります。

キャッシング・カードローンを利用していると審査落ちの可能性がある

住宅ローンへ申込む時点でキャッシング・カードローンを利用している場合、延滞などの問題がなかったとしても審査に落ちる場合があります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

過去に、消費者金融3社を利用中で住宅ローン審査に落ちた方がいました。

銀行カードローン1件までなら即審査落ちにはなりませんが、2件以上あると審査落ちの可能性が出てきますね。

ちなみに、消費者金融は1件でも利用していると住宅ローンの審査では不利になります。

元小売系銀行I勤務の関口さん

金融機関の種類を問わず、キャッシング・カードローンを利用している人は住宅ローン審査に通過しませんでした。

キャッシング・カードローンは契約しているだけでも審査では不利になる

ちなみに、キャッシング・カードローンは借入れをおこなっていない状態であっても、契約をしているだけで住宅ローン審査に悪影響があります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

キャッシングの限度額は、借入れがなくても借金と見なされます。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

現在、キャッシングの利用がなくても、枠があるだけで住宅ローンの融資額が減額となる場合があります。

利用していないキャッシング・カードローンの契約が残っている場合は、住宅ローン審査の前に解約しておきましょう。

クレジットカードの『リボ払い』と『キャッシング』は審査で不利になる

クレジットカードを使い過ぎている場合も、審査でマイナスになることがあります。

リボ払いを頻繁に利用している場合は審査落ちの可能性あり

リボ払いの利用が多い場合、延滞などの問題がなくても住宅ローンの審査落ち要因になることがあります。

元小売系銀行I勤務の関口さん

リボ払いでショッピング枠の満額利用状態が2ヶ月以上続いている場合、住宅ローンの審査に落ちる可能性が高いですね。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

日常的なリボ払いの利用は、住宅ローンの融資額が下がる要因になります。

キャッシング利用が原因で審査に落ちる可能性もある

消費者金融や銀行カードローンと同じように、クレジットカードのキャッシング利用も住宅ローンの審査では問題視されます。

元小売系銀行I勤務の関口さん

キャッシングを利用している場合、少額でも、たとえ延滞がなくても審査落ちの可能性があります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

クレジットカードでキャッシングをおこなっていると、たとえ1枚でも審査には悪影響です。

ちなみに、1回払いのショッピング利用が住宅ローンの審査に影響することはまずありません。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

リボ払いやキャッシングを利用していなければ、クレジットカードの利用自体は問題ありません。

なかには、公共料金などをクレジットカードで支払っている方もいますからね。

返済負担比率が高いと審査落ち

住宅ローン審査では、返済負担比率を計算します。

返済負担比率とは、税込年収に対して以下のような返済の1年あたりの合計額がどれくらいあるかを示す割合のことです。

  • すべてのローンの返済額(カードローン、教育ローン、自動車ローンなど)
  • 申込む住宅ローンの返済額
  • クレジットカードのリボ払い支払額
  • クレジットカードのキャッシング返済額

返済負担比率は、次の計算式で算出します。

  • (年間返済額÷年収)×100 = 返済負担比率

たとえば、『年収1,000万円・年間返済額400万円』の場合、返済負担比率は40%になりますね。

  • (400万円÷1000万円)×100 = 40%

どの金融機関も住宅ローンの審査基準のなかで返済負担比率の上限を設定しており、返済負担比率が基準を超えてしまうと審査に通りません。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

返済負担比率が35%を超えると、返済に無理があると判断され、住宅ローンの減額または審査否決となります。

元小売系銀行I勤務の関口さん

私が勤めていた銀行の返済負担比率は、年収400万円未満が35%まで、年収400万円以上が40%まででした。

ちなみに、前章でも紹介したとおり、キャッシング・カードローンの利用状況に問題がある場合、返済負担比率を問わず審査落ちとなります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

消費者金融からのキャッシングが複数ある人は即審査否決となりますので、返済負担比率の計算にまで至りません。

職業や雇用形態など申込者の属性も審査では重要視される

職業・雇用形態・勤続年数なども重要な審査基準になります。

収入が不安定な職業だと審査落ちとなることもある

住宅ローンの審査に通るためには、年収だけでなく収入の安定度が求められます。

以下のような特徴がある職業に就いている場合、審査落ちの可能性が高いので注意してください。

  • 収入が不安定
  • 離職率が高い
  • 危険を伴う

多くの金融機関の住宅ローン審査で不利とされているのは、以下のような職業です。

  • 湾岸貨物作業員
  • 警備員、棟梁、高所作業員・堕道作業員
  • 産業廃棄物処理業の経営者および作業員
  • 火薬製造取扱者
  • サルベージ作業員・泉水作業員
  • テストパイロット・テストライダー
  • 猛獣を扱う職業スタントマン
  • 作家、画家、漫画家、演出家
  • 保険の外交員
  • 政治家

また、以下のような職業も、金融機関によっては問題視されます。

  • 運送業(宅配業者やトラック、タクシーの運転手)
  • 看護師
  • 飲食関係(水商売等含む)
  • 不動産業
  • 金融・証券マン
  • パチンコ業界
  • スポーツ選手、芸能人

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

運送業(宅配業者やトラックの運転手)飲食関係(水商売等含む)パチンコ業界看護師は、過去実績で住宅ローンの延滞率が高く、審査では不利とされていました。

高年収の芸能人やスポーツ選手も、収入が不安定という理由で審査否決になったことがあります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

不動産のディベロッパーとか投資家とか収入が不安定で投機的な仕事は、いくら年収が高くても収入が安定しているとはみなされないので、審査通過は難しいですね。

なお、職業による有利・不利の基準は金融機関ごとに異なりますので、先ほどの職業に当てはまるからといって絶対に住宅ローンが組めないわけではありません。

元小売系銀行I勤務の関口さん

飲食関係、パチンコ業界、看護師は特に不利になる条件ではなかったですね。

一方で、とくに看護師は資格がある職業ですから、有利になります。

雇用形態が正社員以外だと審査落ちの可能性がある

住宅ローン審査には雇用形態の基準もあります。

  • 契約社員
  • 派遣社員
  • 会社役員
  • 自営業(個人事業主、経営者)

このように、雇用形態が正社員以外の場合は審査落ちの可能性が高くなります。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

正社員以外ですと、やはり収入の安定度で不安がありますので、融資額の減額、審査落ちの可能性は高くなってしまいますね。

自営業でも職種や業績次第では問題視されない

自営業に対する評価基準は金融機関ごとに異なりますが、十分に審査に通る可能性があります。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

自営業は基本的に不利で、弁護士会計士税理士司法書士行政書士といった士業の方でも自営の場合は審査に落ちることがあります。

ただし、開業医の場合は自営でも問題なく住宅ローンを組めますね。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

自営の場合は業績を確認しますので、取引状況や売上を見て問題がなければ審査通過の可能性は十分にあります。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

自営業であっても、すでに融資取引がある方であれば住宅ローンを組めるケースはありますね。

決算の数字だけではなく、人柄なども見て審査に臨みます。

勤務先が小規模の場合は審査に落ちる可能性がある

住宅ローンの審査には、勤務先の規模も影響します。

基本的には業績の安定している上場企業・大手企業のほうが審査では有利とみなされます。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

やっぱり、一部上場企業に勤務している方の評価は高いですね。

とくにウチの銀行は保守的で、「一部上場企業だったら大丈夫!」といったある種の偏見がありました。

元小売系銀行I勤務の関口さん

50人以下の小規模な企業は、評価が低くなる傾向があります。

また、『帝国データバンクに登録されている企業かどうか』を勤務先評価の判断基準にしている金融機関もあり、登録がない場合は審査落ちの可能性があります。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

帝国データバンクの情報を見れば、企業の従業員数や資本金、現在の業績など、企業の実態がわかります。

そのため、登録がなく情報が得られない企業に勤務している場合、審査では不利でした。

大手量販店I銀行

帝国データバンクに登録がない場合、たとえその企業が利益を出していても、将来的な安定性が不明です。

そのため、住宅ローンの審査で不利に働くケースがあります。

もちろん、勤務先が帝国データバンクに載っていたとしても、業績次第では住宅ローン審査に悪影響を及ぼすこともあります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

帝国データバンクに情報があっても、赤字で業績がよくない企業の評価は低いですね。

勤続年数が3年未満だと審査落ちの可能性がある

勤続年数も、住宅ローンの審査で重要視される項目です。

基準は金融機関ごとに異なりますが、最低でも勤続3年以上の実績がないと審査落ちの可能性が高くなります。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

一般的に勤続年数は3年以上必要です。

勤続1年で審査に通るケースもありますが、その場合は職業・勤務先・雇用形態の評価がよっぽど高くないと審査通過は難しいですね。

元小売系銀行I勤務の関口さん

規定上は、勤続6ヶ月~1年を最低条件としています。

ただ、これはあくまで最低条件なので、実際には3年以上の勤続年数がないと融資はできません。

ただし、キャリアアップのための転職で収入が増えている場合は、勤続年数が短くても問題視されません。

元第一地方銀行A勤務の佐藤さん

転職後に収入が増えていて、それなりのポストが与えられているなら、勤続年数の短さが不利になることはありません。

医者のように特殊な技能を持っているなら、5回転職していたとしても問題ないですね。

元第二地方銀行B勤務の清水さん

転職の前後の仕事に関連性があり、無職の期間がなく転職している場合は問題ありません。

元小売系銀行I勤務の関口さん

転職の場合、6ヶ月~1年の基準を満たしていて、同じ業界で前回よりも年収が上がっているならば審査に通る可能性は十分にあります。

独身だと評価が下がる金融機関もある

一部の金融機関では既婚者よりも独身者のほうが審査で不利になるケースもあります。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

統計上、既婚者より独身者の方がローンの延滞率が高いです。

また、独身の場合は給与の減少やリストラなどで返済ができなくなるリスクがあるため、審査がより慎重になります。

元小売系銀行I勤務の関口さん

個人的に、独身が不利だとは思いません。

しかし、独身者は守るべき家族がいないので、既婚者と比較すると責任感がないイメージが銀行員にあるのは事実です。

住宅ローン審査で不利になるその他のケース

ここまでに挙げた内容以外でも、次のような理由で住宅ローン審査に落ちる場合があります。

申込内容に虚偽があった

審査の書類等に虚偽の記載があった場合、審査否決となることがあります。

元信用金庫C勤務の鈴木さん

たとえば、『現在の借入内容』に関する申告で、申告内容と信用情報会社の履歴に相違があった場合は虚偽記載と判断されます。

単純な申告間違いならそこまで問題視されませんが、明らかな虚偽申告は即審査落ちです。

反社会的勢力と関わりがある

反社会的勢力に所属している、または反社会的勢力と関わりのある勤務先に勤めている場合、住宅ローンの審査には通りません。

各金融機関には、独自で反社会的勢力に属する人のリストを作成しています。

ここに名前がある人は住宅ローンのみならず、すべての取引ができません。

まとめ

それでは最後に、住宅ローン審査のポイントをおさらいしましょう。

年齢に関する審査基準

  • 完済時の年齢が65歳以上になってしまう場合は審査落ち
    • 申込時の年齢が高いほど、返済に使える期間が短くなるため審査に落ちやすい
    • 定年の時点で残債がある場合は、退職金による一括返済を求められることが多い
  • 団体信用生命保険の年齢条件を満たしていなければ審査落ち
    • 住宅ローンを組むためには、団体信用生命保険への加入が必須
      • 一般の団体信用生命保険・・・20~65歳前後
      • 3大疾病特約付団体信用生命保険・・・20~50歳前後
      • 8大疾病特約付団体信用生命保険・・・20~50歳前後

健康状態に関する審査基準

  • 住宅ローンへ申込む時点で以下のような病気にかかっている場合、審査落ちの可能性が高い
    • 循環器系の病気・・・狭心症、心筋梗塞、心筋症、不整脈、心臓弁膜症、先天性心臓病、脳卒中
    • 呼吸器系の病気・・・慢性気管支炎、ぜんそく、気管支拡張症
    • 消化器系の病気・・・胃潰瘍、肝炎、十二指腸かいよう、クローン病、肝硬変、すい炎
    • 泌尿器系の病気・・・腎炎、腎不全、ネフローゼ
    • 目の病気・・・緑内障、網膜はく離
    • 女性特有の病気・・・子宮内膜症、卵巣のう腫
    • 精神系の病気・・・統合失調症、自律神経失調症、アルコール依存症、うつ

物件に関する審査基準

  • 図面と現物が異なる建築基準法違反の物件は審査落ち
    • 図面上では出入口になっている箇所が、実際には出入りができないなど
  • 容積率・建坪率の上限を超える建築基準法違反の物件は審査落ち
    • 増改築を繰り返している中古住宅を購入する場合は要注意
  • 建物の土地が公道に面していない建築基準法違反の物件は審査落ち
    • 前面の道路が市や国の道路であれば可
    • 私道はNG
  • 耐用年数を過ぎている物件は担保価値が低いため審査落ちの可能性がある
    • 木造・・・22年
    • 軽量鉄骨造・・・24年
    • 鉄骨造・・・35年
    • 鉄筋コンクリート造・・・40年
  • 罹災物件(地震により被害を受けた物件)は担保価値が低いため審査落ちの可能性がある
    • ただし、工事証明書などで補修工事がされていることを証明できれば問題視されないケースもある
  • その他の審査上不利な物件
    • 土地だけの購入
    • 保留地や借地
    • 本人が居住しない店舗・事務所・賃貸
    • 別荘やセカンドハウス
    • 親族間での売買

信用情報に関する審査基準

  • 金融事故の記録がある場合は審査落ち
    • 長期延滞・・・61日以上の延滞
    • 債務整理・・・借金を減額したり帳消しにしたりする手続きのこと
    • 代位弁済・・・返済できなくなった借金を保証会社に肩代わりしてもらうこと
    • 強制解約・・・金融機関から契約を一方的に解除されること
  • 過去5年以内に1回でも延滞していると審査落ちの可能性がある
    • 数日程度の延滞が1回あるだけでも、審査では『ルーズな人』と見られる
    • 5年以内に延滞の記録が複数ある場合は審査落ち

キャッシング・クレジットカードの利用状況に関する審査基準

  • キャッシング・カードローンを利用していると審査落ちの可能性がある
  • キャッシング・カードローンは契約しているだけでも審査では不利になる
    • キャッシングの限度額は、借入れがなくても借金とみなされる
    • キャッシングの枠があるだけで住宅ローンの融資額が減額となる場合がある
  • クレジットカードのリボ払いを頻繁に利用している場合は審査落ちの可能性がある
    • リボ払いでショッピング枠を常に使い切っている場合、審査落ちの可能性が高い
    • リボ払いを利用中の場合、住宅ローンの融資額が下がることがある
  • クレジットカードのキャッシングを利用している場合は審査落ちの可能性がある
    • キャッシングを利用している場合、少額でも、たとえ延滞がなくても審査落ちの可能性がある
  • 1回払いのショッピング利用は問題視されない

返済負担比率に関する審査基準

  • 返済負担比率とは、税込年収に対して以下のような返済の1年あたりの合計額がどれくらいあるかを示す割合のこと
  • (年間返済額÷年収)×100 = 返済負担比率
  • 返済負担比率が35~40%を超えると、融資額の減額または審査落ちの可能性がある

申込者の属性に関する審査基準

  • 収入が不安定な職業だと審査落ちとなることもある
    • 多くの金融機関の住宅ローン審査で不利とされている職業
      • 湾岸貨物作業員
      • 警備員、棟梁、高所作業員・堕道作業員
      • 産業廃棄物処理業の経営者および作業員
      • 火薬製造取扱者
      • サルベージ作業員・泉水作業員
      • テストパイロット・テストライダー
      • 猛獣を扱う職業スタントマン
      • 作家、画家、漫画家、演出家
      • 保険の外交員
      • 政治家
    • 一部の金融機関の住宅ローン審査で不利とされている職業
      • 運送業(宅配業者やトラック、タクシーの運転手)
      • 看護師
      • 飲食関係(水商売等含む)
      • 不動産業
      • 金融・証券マン
      • パチンコ業界
      • スポーツ選手、芸能人
  • 雇用形態が正社員以外だと審査落ちの可能性がある
    • 自営業の場合、職種や業績次第では問題視されない
      • 自営でも開業医の場合審査通過の可能性が高い
      • 自営でも取引状況や売上を見て問題がなければ審査通過の可能性はある
      • 自営業でもすでに融資取引があれば審査通過の可能性はある
  • 勤務先が小規模の場合は審査に落ちる可能性がある
    • 50人以下の小規模な企業は評価が低くなる
    • 帝国データバンクに登録されていない企業は情報が得られないため評価が低くなる
    • 帝国データバンクに情報があっても、赤字で業績がよくない企業の評価は低くなる
  • 勤続年数が3年未満だと審査落ちの可能性がある
    • ただし、キャリアアップのための転職で収入が増えている場合は、勤続年数が短くても問題視されない
  • 独身だと評価が下がる場合もある
    • 統計上、既婚者より独身者の方がローンの延滞率が高い
    • 独身の場合は給与の減少やリストラなどで返済ができなくなるリスクがある
    • 独身者は守るべき家族がいないため、既婚者と比較すると責任感がないイメージが銀行員にある

いかがでしたか?

これまでご紹介してきた要因が一つでもあるからといって、即審査否決になるとは限りません。

しかし、複数の要因が重なると、審査否決になる可能性は高くなります。

とくに住宅ローン審査において、融資否決の原因になりやすいのは延滞なので、ローンやカード、携帯電話の支払いが遅れがちな人は要注意です。

大した金額ではないから1回ぐらい遅れても大丈夫・・・という甘い考えは、今日限りで捨てましょう。

なお、当サイトには住宅ローンの他に、自動車ローンや教育ローンの審査基準を特集した記事もありますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

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