金銭トラブル。大切な友人を失った私の取り立てから集金までの体験談

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留学中、外国人の友人にお金を貸したままお互い帰国。二年の歳月をかけて、国境を越えた集金に奮闘しました。

国は違えど親友同士。

離ればなれになっても、貸したお金は必ず返してくれる。
そう信じたものの実際は・・・。外国人にお金を貸すとこうなります!

体験者の情報

名前:小川 はな
性別:女性
当時の職業:学生
当時の年齢:33歳

メキシコ人にお金を貸す

私は、33歳の頃ハワイに留学していました
周りの留学生は20歳そこそこの若者が中心で、いくら年だといってもせいぜいミソジ前。そんな中、そろそろ『おばさん』にさしかかっている私という存在は、少し異色だったようです。

そんな私ですが、『海外から英語を勉強しに来ている』という目的はみんな同じなわけで、寮に長く一緒に住んでいると、年齢差関係なく仲良くなりました。

私の場合、日本人特有の礼儀ただしさに加え、静かな物腰や大人の落ち着きに、外国人の女の子達は安心感を覚えていたようで、よく慕ってくれました。

ある日、『お金を貸してほしい』とメキシコ人の友達に言われました。

彼女、ブレンダの家はメキシコでは中流以上の家庭ですが、なんせ場所がハワイです。そもそもの物価も高ければ、遊びもショッピングも魅力的なものばかりです。

若い彼女はお金はいくらあっても足りず、毎月仕送りを振り込んでくれる両親も、メキシコでは考えられない金額の請求に目をシロクロさせていたようです。

『100ドル貸して』
と22歳の彼女は言いました。
特に何に使うわけでもなく、ただ生活費が足りないからということでした。

私は彼女と仲が良く、また彼女のことも信頼していましたので快く貸してあげました。そして両親からの仕送りがあると、必ずすぐに返金してくれました。そんなことが、ブレンダとは度々ありました。

一度聞いたことがあります。

「なぜ私に借りるのか」と。

『他の学生は、私と同じで親にお金を送って貰っているから借りにくい。あなたは自分の稼いだお金を自分で管理しているから頼みやすい』、と。

私は一言もそんなことを言った覚えはありません。
正直、よく観察しているなあ、とびっくりしたのを覚えています。

『200ドル貸して』
あの日、ブレンダはそう言いました。
急に金額があがったので不思議に思った私は何に使うのかと尋ねました。

すると彼女は、『もうすぐメキシコに帰るから、思い出にスカイダイビングをするんだ』と。

私は特に何も思わず貸してあげましたが、黙っていなかったのが私のルームメイトのドイツ人、イルカでした。彼女の言い分はこうでした。

借りたお金で遊びにいくなんて人間性を疑う、と。

イルカが言うには、『ブレンダは毎日節約もしないでコンビニでお菓子ばかり買っている。その証拠にまるまると太っているでしょ!その上、あなたに借金してまでスカイダイビングなんて、信じられない!』

確かにイルカの言うことも一理あります。
しかし私は、「きっちり返してくれさえすれば、ブレンダが私に借りたお金を何に使おうが問題ない」と思っていました。そしてやっぱりお金は返ってきました。

ブレンダはメキシコに帰っていきました。
私は彼女が帰国してから2週間後、ハワイからメキシコの彼女の家に遊びにいく約束をしていました。

お土産で荷物が増えすぎて、持って帰れなくなっていた荷物を預かってもいました。まるで運び屋のようですが、それでも私は彼女に会いにメキシコに行く日を楽しみにしていました。

メキシコに行く直前、スペイン人の友達が私のところに来ました。

ブレンダにお金を貸したままなんだけど、彼女、あなたに返してもらってって言ってる』と。私は耳を疑いました。

ブレンダに確認すると、ハワイからメキシコに出発する時に100ドル借りたそうです。飛行機に乗せる荷物が重くて超過料金をとられても払えないから、と。

私をなんだと思ってるんだ?
心の中のモヤモヤはさておき、とりあえず私はそのスペイン人に100ドル払いました。

結局、メキシコには集金に行ったようなものなのです。しかも、あろうことかそのお金をメキシコペソで払おうとされました。もちろんメキシコ国内でドルを買うと高いからです。

さすがにこれには強くノーと言い、ドルで返してもらいました。
翌日にはもうアメリカに戻りますし、ペソなんて必要ありませんでしたから。

ブレンダとは、その金銭のごたごたで気まずくなり、私たちの友情には亀裂が入ってしまいました。

留学という特別な環境で、お互い異文化を共有しあって生活してきたのに、お金が原因で心が離れてしまうなんて。悲しいことです。

ドイツ人にお金を貸す

さて、次はブレンダのお金の問題に目くじらを立てていたイルカのお話です。

彼女はドイツの車屋さんの末娘で裕福でした。両親からクレジットカードを渡され、お金は比較的自由に使えていたようです。ただ、いかんせん性格がルーズで、よくクレジットカードをなくしていました。

ある日、一緒にでかけようとしていると、また『クレジットカードがない』と大騒ぎ。二人で家捜しするも出てきません。

最後に使ったのはいつかと尋ねると、『マックスに貸したのが最後』と理解不能なことを言います。

本人が言うに、『自分が信用している人にはカードを貸しても問題ない』と。自分のカードならまだしも、親のカードです。そう言って注意してもまるで柳に風でした。

しかし、そんなリッチな彼女の生活にも暗雲が垂れ込みはじめました。ブレンダ同様、ドイツに住むご両親が、毎回のクレジットカードの請求に辟易し始めたのです。

かくして、彼女の使用金額は制限され、旅行や買い物をしたいときにはご両親に了承を得るように義務づけられました。

使えるお金が減ったからといって、彼女の生活スタイルは変わりません。自炊はしないでほとんどが外食。毎日何かしら買い物をして、授業の間には必ずスターバックスのコーヒー。それではお金がいくらあっても足りません。

それでもイルカは私にお金を貸してくれるように頼むようなことはありませんでした。この時点では。

そろそろ彼女がドイツに帰る日が近づいてきました。何ヶ月も一緒に過ごしたルームメイトです。親友でした。

帰国してしまうと、ドイツと日本。なかなか会う機会はないでしょう。二度と会えない可能性だってあります。二人ともさびしくて泣いてばかりの日々でした。

『500ドル貸してほしい』
イルカは言いました。
あろうことか、彼女は帰国の寸前またクレジットカードをなくしたのです。

『家族やボーイフレンドにお土産を買って帰りたいのだけれど、お金がないのではどうしようもない。今から両親にクレジットカードを送ってもらっても間に合わない。だからお願い。あなたにしか頼めない』こういう内容でした。

私は可哀想に思いました。
そう思って500ドル貸してあげました。

彼女がその500ドルをどう使ったのか、私にはわかりません。どう使おうかなんて私には関係のないことでした。

ところが...

次の日のことです。
『もう300ドル貸してほしい』

私はびっくりしました。昨日500ドル貸したところです。聞くと、『ドイツに帰るまでにニューヨークで1泊する。ニューヨークでお金がないと不安だから』と。

一泊するのにそんなにお金がいるのでしょうか?
なぜ昨日貸したお金でやりくりしなかったのでしょうか。

今ならそんな疑問がふつふつと涌いて来て、説教のひとつもするのでしょうが、そのときは、ただ離ればなれになる寂しさで、何も言わずに貸してあげました。

結局、私は彼女に合計800ドルも貸したまま、帰国を許してしまったのです。帰ったらすぐに振り込むから、という言葉を信じて。

イルカの荷物を売って300ドルを稼ぐ

その後、800ドルの入金はありませんでした。
帰国後すぐに入金すると言っていたのに、それ以前に連絡が途絶えてしまったのです。

帰国前、お互いの住所や電話番号は交換していましたが、電話をかけたところで本人が出なければ、家人の言語はドイツ語です。コミュニケーションはほとんど不可能でしょう。

今は帰国直後で忙しいに違いない。
彼女が私との連絡を断つわけがない。
落ち着いたら連絡があるだろう。
私は彼女を信じていました。

実は彼女、私とシェアしている部屋を何一つ片付けずに帰ってしまいました。部屋の中には彼女が置いていった大量の服、靴でいっぱいです。

それとサーフボード。
これらを売って、彼女の借金の足しにしてあげよう。
私はそう決意しました。

それから私がハワイを発つまでの4週間、イルカのものを売りさばく日々が始まります。

まず服と靴。寮の中に張り紙をし、私の部屋をガレージセールのようにしました。寮生たちが入れ替わり立ち代わり、イルカの残した服を物色し、気に入ったものがあったら、買っていってくれました。

しかしそこはガレージセール。
あまり高い値段はつけられません。
手間ばかりかかって思うように集金は出来ませんでした。

20ドルばかりになったところで、売れ残った服や靴はホームレスのおばあさんにあげてしまいました。

あとはサーフボードです。
私もサーフィンをするのですが、イルカのサーフボードはなかなか良いものでした。私と二人で買いに行った、思い出深い品でもありました。

本当のことを言うと売らずに日本に持って帰りたかったのですが、飛行機に乗せるのにもお金がかかります。まして私も一本持っていて、合わせて二本となると、更に倍の費用がかかります。

損失を埋めるために、このサーフボードも泣く泣く売ることを決意しました。

最近は日本でも利用している人がいるようですが、個人のものを売ったり買ったりするのに、アメリカには専用のサイトがあります。

日本の『売ります、買います』のようなものです。

まずそこにサーフボードの売り出しの記事を乗せてみました。
しかしあまり反響がありませんでした。

私としては300ドルは回収したいところだったのですが、やっぱりそこはハワイです。サーフボードの売り出しなんてゴマンとあります。150ドルなら買う、という人が現れましたがお断りしました。

心のどこかに、『イルカの800ドルは回収できないかもしれない』という気持ちが芽生えはじめていました。

当初は、『彼女の借金を少しでも減らしてあげよう』。そんな思いでしたが、この頃になるとそんな思いは消え去っていました。損失補填です。

少しでも損失を補填しないといけない。
安売りは避けるべきでした。

次に語学学校と寮にポスターを掲示しました。
ちょうど学期始まりで、生徒の入れ替わりが始まっていました。

ハワイに留学にくる生徒の大半が一度はサーフィンをしてみよう、と思っているはずです。マイボードを持ちたい人だって必ず居るはずです。

ポスターを掲示してすぐ、何人かがサーフボードを見たいと申し出てくれました。その中のひとりに280ドルで彼女にサーフボードを売りました。

こうして、私は合計300ドル、自分で自分の損失を埋め、日本に帰国しました
さあ、あとはイルカからの回収です。

取り立てから集金まで

彼女から連絡が入りました。
ドイツに帰ってから落ち着かずにいた、と。
現実社会への適応が難しくて心を病んでいた、という内容でした。

確かに彼女は心の弱い人でした。
こうなることも、私はうすうす感づいていました。

そんな彼女に、「早速お金を返して」と私は言えませんでした。

数ヶ月して、彼女の心が落ち着いた頃にやんわりと、『あなたの借金は、500ドルになったよ。私があなたの持ち物を売ったから』と伝えました。

もちろん銀行口座の詳細も添付して。

『今お金がないから、少し待って欲しい』
彼女のメールはそれだけでした。
私が300ドルを得る為に奔走したことに対する感謝の言葉なんて、ひとつもありません。

『いつでもいいから、返せるときに返して』
私はそう返信しました。
いつになってもいい。
いつか必ず返してくれるだろう。

そう信じていましたし、ドイツに会いにいってもいい、とさえ思っていました。
そう、彼女は私の親友なのです。

お互い帰国して4ヶ月、春になりました。
イルカの誕生日です。
私は彼女が好きだった日本食やプレゼントを箱に詰め、ドイツに送りました。

『荷物届いた?』なんてヤボなことは、こちらから聞けません。

向こうから、『ありがとう!』と連絡があるのを今か今かと待っていました。ところが一ヶ月たっても、二ヶ月たっても、いっこうに連絡がないのです。

不安になった私は連絡をしてみました。
荷物はきっちり誕生日前に届いていたのです。

受け取っていたのになしのつぶてです。
彼女はそんな普通の心遣いさえしてくれなかったのです。

そこで私は気がつきました。
自分がばかなことに。
私が彼女を思っているようには、彼女は私を思っていない事に。

それから折にふれて借金の催促をはじめました。
『もう少し待って。』
返事はいつもこれです。
それでも私は待ちました。

秋になり、私の誕生日。
彼女からメールが来ました。

『すごいものを送ったから。きっと気に入ると思うよ』
私は舞い上がるような気持ちでした。
やっぱり私たちは親友だ、と。
一度や二度の不義理くらいで友情を疑った自分を恥じさえしました。

しかし、私のもとには何も届きませんでした。

次の春、またイルカの誕生日です。
私はカードを送りました。
案の定、カードへのお礼の連絡はありません。

メールでたずねると、ちゃんと届いているのです。
そして、とってつけたように『ありがとう。うれしかった』と言うのです。

この頃から、私はイルカに疑念を持つようになってしまいました。
メールでは親友だ、親友だなんて言って、借金を踏み倒そうとしているのではないか。都合良く私を利用したのではないか

ドイツに来たときに返す、なんて言ってその旅費は誰が出すんだ?

さすがの私も腹がたっていました。
ふと気がつくと、いつもイルカの借金のことばかり考えるようになっていました。

お金は返さない。
プレゼントのお礼も言わない。
嘘はつく。
調子のいいことしか言わない。
最低なやつだ。

気がついたら、親友のことが嫌いになっている自分がいました。

そのとき、とても自然にメールが打てました。

たった一言
Pay me back』と。
ようするに、『金返せ』です。

いつも私たちのメールは、体調のこと、家族のこと、仕事のこと、ボーイフレンドのことなど色んな話題で近況を伝え合っていました。私の場合、毎回文末に「お金返して」という一文はつくのですが。

このたった一言のメールに、イルカは激しく動揺しました。

『いつも優しいあなたなのに、なぜそんなひどいことを言うのか。いつでもいいって言ったでしょ』と。『あなたのメールからは友情が感じられない』とも。

私は、自分の心境を出来るだけ事務的に伝えました。
『今までの経緯から、私はあなたの友情こそ疑っている。とりあえず借金を返して下さい。それからリセットしよう』と。

それからほどなくして入金がありました。

あれからイルカは、前より頻繁に連絡をくれるようになりました。
ハワイでの思い出の写真なんかも添付してきたりします。
『私の親友へ』と素敵な文章を送ってきてくれることもあります。

それでももう、私の心は戻りません。
遅すぎたんだと思います。

大事な人にはお金を貸さないこと

ブレンダにしてもイルカにしても、一緒に寮で生活をしていたときのような、ただ無邪気に仲が良かった関係には戻れません。

何かしらしこりのようなものがお互いの胸にあるようです。
大事な海外の友達なのに。

この経験から学んだことは、大事な友達ほどお金を貸したり、借りたりしてはいけないということ。大事な友達であればあるほど、不義理を受けたときのダメージは大きく、また許しがたくなっていきます。

お金の問題で友達を失うなんて、悲しすぎる話です。

私は、「たとえ兄弟であってもお金は貸さない、保証人にならない。それはあなたとずっと良い関係でいたいから。」と心に決めています。

余談ですが、イルカに貸したお金は当時1ドル92円ぐらいでした。2年後に帰って来た今のレートはせいぜい80円。6,000円ばかり損をしていて、引き出せません。円が安くなるのを待っている日々です。

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