内職詐欺の被害者にインタビュー!その卑劣で巧妙な手口とは【体験談】

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内職詐欺について語ってくれた安田さん(後姿)

近年、インターネットを利用した内職詐欺が頻発しています。

「在宅で出来る」「最低でも月◯万円は稼げる」という謳い文句で、内職を希望する主婦が狙われています。

そして「サイト作成代」「教材代」など、さまざまな名目で金銭を要求し、お金がないとなれば、消費者金融からの借入れを持ちかけるのです。

当然、副業に励んでも報酬が支払われることはなく、連絡が途絶え、残されるのは借金のみ...。

今回は、実際に内職詐欺に遭ったという主婦に話を聞くことができました。

体験者の情報

名前(仮名):安田 晃子(やすだ あきこ)
性別:女
職業:専業主婦
年齢:47歳
借入件数:1件 
会社名(借入先):A社・アプラス
利用時期:2012年11月
借金の合計額:30万円+7万円

ごく普通の主婦が狙われる内職詐欺

終始、笑顔で語ってくれた安田さん

今回お話を伺ったのは、40代の主婦の安田晃子さん(仮名)。

ご主人と大学生の娘さんと3人暮らしで、普段はパートに出たり、内職でライターのお仕事をする以外は、専業主婦として生活しています。

待ち合わせ場所に現れた安田さんは、とても優しそうな「お母さん」という印象。

詐欺に遭われたことにショックを受けた様子もなく、私たちのインタビューに にこやかに答えてくださいました。

また、証拠となる様々な契約書や書類も見せてくださいました。

では、安田さんが悪徳業者とどんなやり取りをしたのか、お金をどのように借りたのかなど、詳しいお話を聞いていきましょう。

月に60万円稼げる?!

― この業者と連絡を取るようになったキッカケは、何ですか?

携帯のサイトで、「副業とか、在宅で仕事ができます」という内容で仕事を探していて、見つけた業者です。

私が申し込んだ時(2012年9~10月)は、携帯で「副業」と検索すると、上位に出てくる業者でした。

業者の謳い文句は「月に多い人で60万円、普通でも月に10万円くらいは稼げます」と書いてあって、月10万円、自分のお金があったら、結構嬉しいよなぁと思って。

しかも「ちょっと文章を書けばいいですよ」ということだったので。メールすると、すぐに連絡が来ました。

― 連絡を取り、最初に話した内容を教えてください。

「メールマガジンを書いて、お客さんを集めて、モノが売れたら、いくらかあなたにバックマージンでお金をあげます。1日1万円くらいは稼げます。そこから、各方面に大成して行った人もいますよ。」と言われました。

そして、すぐにファックスで労働契約書みたいなモノが送られてきて、即記入して送り返すように言われ、指示通りに行いました。

業者とのやり取りは、郵送ではなくファックスと電話のみでした。

最初の仕事の後、3~4日で報酬があった!

― 最初の仕事の内容について教えてください。

安田さんが見せてくれた業者との契約書

「250文字くらいの文章を3つほど書いてくれます?」と言われました。

「夫婦で長続きをする秘訣は何ですか?」と、私が文房具を好きだったこともあり「文房具について」と、それと・・・、もう1つ、合わせて3つの記事を書きました。

そして、3~4日後くらいには3000円くらいの振込みがありました。これは「記事を書いて、人が集まって、売れた報酬」ということでした。

業者に7万円支払ってしまった経緯

― 業者にお金を支払うようになった経緯を教えてください。

最初の記事を書いて、その報酬が振り込まれた後、「記事がとってもいいので、あなた専用のホームページを作りましょう」と言われ、サイト契約依頼とホームページ作成の書類がファックスで送られてきました。

ところが、サイト契約依頼とホームページ作成は30万円と言われたんです。

業者の人は、やり手の営業マンという感じの人で、「僕、頑張っているんです。一緒にやりましょう!!」と乗りに乗っている感じの言い方でした。

でも、私には30万円なんて大金はありません。

けれどその時、私はアプラスのカードを持っていて、そのカードの借入れできる枠が7万円あったので、ここから7万円を借りて、業者に7万円支払いました。

つまり30万円必要と言われたけれど、実際は7万円でもOKで、とにかく向こうからすれば、お金さえ取ればよかったのかもしれません。

こうして私専用のホームページができたので、そこに1~2日に1本、200文字くらいの記事を送っていました。

「金融業者で30万円借りて下さい」

― 金融業者でお金を借りるようになった経緯を教えてください。

11月頃、「7万円のサイトだとサーバーが小さい。問い合わせが多くて、サーバーがいっぱいになってしまうから、もっと大きいサーバーにした方がいい。そのためにあと35万円支払って下さい」と言われました。

もちろん、35万円も支払うお金は持っていませんでした。「持っていない」というと、「金融業者のA社で借りてきてください。」と言われました。

もちろん普通だったら、「ちょっと待ってください」と思うじゃないですか?

しかし業者は有無を言わさず、「今やらないとダメ、今日やらないとダメ」という言い方をしたんです。

「だって、チャンスだもん、仕事なんだから、やりましょうよ」「サーバー壊れちゃいますよ」と。私も乗せられて、すっかりその気になってしまいました。

それに業者は、「30万円かけても、1日1万円稼げるので、1ヵ月で回収できるし、保障があるから、もしダメだったらお金を返します」とも言っていたので、信用したんです。

そして、私が住む街の消費者金融A社の支店まで教えてくれて、「そこでお金を借りてきて、業者の口座に入れるように」と指示しました。

職業を偽って借入することを指示

― ほぼ収入のない安田(仮名)さんが、アコムでどのようにしてお金を借りたのですか?

嘘をついて借り入れした事を、申し訳なさそうに語る安田さん

仕事をしていないとA社からはお金は借りられません。しかも、個人の借入れ総額は、年収の3分の1が限度です。

どこかで仕事をしているということにしなければなりませんでした。

当時私は、この内職以外は仕事をしていませんでした。

そのことを業者に話すと、「A社の自動契約機の前に行ったら、電話をください」と指示され、実際に電話すると、「今から言う所に勤めていることにして下さいね。メモを取ってください」と言われたんです。

ある大手の電気メーカーB社が神奈川県に工場を持っていて、そこには従業員が1~3千名いるそうです。そして「その工場の総務部で、パートで仕事をしていることにして下さい」と言われたのです。

「大きな企業なので、名前を言ってもわからないだろうし、部署とか内線とか聞かれたら、『わからない』 と言って、しらばっくれて下さい。総務で、事務とか電話番をしているとか言って下さい」と。

そして、その工場の大代表の電話番号を教えてもらいました。

また借りる金額は50万円で、A社の人には、「親が病気なので、今日どうしても必要なんです」と言って下さいと指示されました。

ウソをついて30万借入れ

― 実際に、その指示通りにキャッシングはできたのでしょうか?

自動契約機の前に座って、画面を見ながら入力しました。入力が終わったら、A社の方と音声だけでのやり取りがありました。そして

どこに勤めているか
パートか
月いくら位の収入があるか
年間いくら位の収入か
何年勤めているか

を聞かれたと思います。「月8万円くらいの収入で、勤めている期間は3年です。」「年間130万円を超えないように抑えています。」と、私の方も演技して答えました。

そして、「職場の内線は何番ですか?」と聞かれたので、「総務にいて、全体的な仕事をしているので、内線はないんです」とこれも業者に指示された通り答えたんです。

何千人もの社員がいて、ましてはパートだから、名前を捜せなくてもおかしく思われないということを、指示した業者は分かっていたのでしょう。

私はこのやり取りでは借りられないと思っていたのですが、A社の方は「50万円は無理だけど、年収の3分の1である30万円までのカードは作れます」とのこと。

こうしてあっさり、契約書の控えと、キャッシングできるカードが発行されました。

そしてすぐに、カードを使ってATMで限度額いっぱいの30万円を借りて、業者に振り込んでしまったのです。

家族には内緒

― ウソをついて借入してコワくはなかったですか?

怖かったです。バレたら、ヤバいなと思いました。

今になって思えば、A社に対しても大嘘をついて借りているので、A社に申し訳ないと思っています。

嘘をついている罪悪感と、バレたらヤバいなという不安と、「私、崖っぷちに立っちゃったな」という思いと、この先、自分でどうにかしないといけないという気持ちですね。

ですから今は、A社にきちんと返すことだけは守っています。

― 今回のことは、お友達やご家族にお話されましたか?

家族には一言も言っていません。夫や大学生の娘には頼れないと思っています。

友達には、なんとなく、「実は借金しちゃったんだ」という話はしました。そうしたら友達も、「私も借金している」って話をしてくれて、みんな大変なんだなぁと思いました。

業者と連絡途絶える

― 業者とは、いつの時点で連絡が取れなくなりましたか?

向こうから一方的に連絡が途絶えた訳ではなく、私の方から連絡しなくなったんです。

12月ごろ、返済のこともあったので、アパレルメーカーで商品の仕分けのアルバイトをはじめました。そして、昼休みにメールマガジンの用の200文字の記事を書いていたんです。

この頃に業者から1~2回電話があり、「こうした方がいい」と内容のことで連絡があったのですが、だんだん記事を書くのが面倒になって、原稿を送らなくなったら、向こうからも連絡が来なくなりました。

もちろん、この時点ではこれが詐欺だとは思っていませんでした。

― 30万円払っているのに、何とかやり続けないと元が取れないとか、焦りはなかったですか?

目の前のバイトをやっている方が、確実にお金になるので、借金を返すという面では、当てにならない業者よりも、1日働けば7000円になるバイトの方が確実だなと思っちゃったんです。

― 業者から、最初の3000円以外の報酬はありましたか?

12月の頭までに、トータルで2万円弱くらいの報酬がありました。

最後は、12月11日に1400円くらいの振込みがありました。それが最後で、その日以降、業者からの連絡はなかったように思います。

半年後に初めて詐欺と気がつく

― なぜ詐欺だということが分かったのですか?

実は、この取材がキッカケで、詐欺だと気づきました

この取材(業者でお金を借りたことがある方へのインタビュー)を引き受けたのは、借りた時に、ものすごく怖い思いをしながら、演技をしながら借りたということを、兎に角、誰かに言いたかったんです。

それで取材を受ける前に改めて、「この業者は何だったんだろう」と思い、インターネットで、「○○会社 評判」と検索すると、バーっと出てきて・・・。

しかも2位くらいにヒットした、Yahoo!知恵袋で「この会社大丈夫でしょうか?」という質問があり、その回答に思いっきり、「詐欺です」と書いてあって

次に出てきたのが、弁護士の事務所さんで、「この会社は絶対にヤバいんで、絶対に泣き寝入りしないで下さい」と書いてあって。

その次にも、「気をつけて下さいね」と、掲示板のサイトがたくさん出てきて、片っ端から、全部読みました。

そして同じ会社か確認しようと、契約書を引っ張り出してきたら、サイトに載っている住所と同じで。初めて「そうか、詐欺か」と納得しました。

もっと多額の借金をした人がいた

― 詐欺だと気がついた時は、どう思いましたか?

「びっくりした」の一言です。でも、言われてみれば、「そうか、詐欺ってこういう事か」と。

私としては、メールマガジンを書かなくなったのは私の勝手なので、返金保障があっても、それを使えないと思ったのです。

だって、その時点で、「もう、いいや」と思って止めているわけで、ここで払った40万円近くを取り戻す人は、もっとメールマガジンの記事を書くだろう、

「1日2~3時間で月30万円~60万円の収入がありますよ」という謳い文句だったので、私がそれをやらなかったから、しょうがないと思っちゃったんです。

Yahoo!知恵袋で見た内容は、もっと凄い被害に遭っている人もいて、ある人は、アコムで30万円、プロミスで30万円、別の消費者金融で3~40万円、トータルで150万円くらい次々と借入れを指示されたとか言う人もいて。

しかも他のサイトでは、もっと多く借りている人もいました。

これらの被害にあった方は、みなさん主婦なんです。自分ではどうすることもできずに、どうしたらいいのでしょうと言う人もいました。

私も、12月以降、メールマガジンのお仕事を続け、連絡を取り続けていたら、次は別の金融業者で30万円と借金が増えて行ったかも知れません。

弁護士事務所に相談

― 詐欺と気がついてから、何か行動を起こしましたか?

インターネットの検索で出てきた弁護士事務所さんの所に、「兎に角電話して」と書いてあったので、夜だったこともあり、メールをしました。

すると、翌日の午前中に電話があり、弁護士さんと話をしました。その弁護士事務所は、その業者の案件を多く扱っている様子でした。

弁護士さんに「あなたはどうしたいんですか?」と言われたので、「詐欺に遭った自覚がないので、兎に角、話を聞いて欲しい」と言いました。

そして「これって、詐欺ですか?」と聞いたら、その弁護士さんは「詐欺ですよ。」と。

「弁護士さんにお願いしたら、お金は返ってくるのですか?」と聞いたら、

「可能性はあります。ただし、弁護士はタダでは動きません。着手金で84,000円支払って頂くか、着手金42,000円と成功報酬で返ってきた金額の15%を頂くかのどちらかです。」

と言われました。

そんなお金があるのだったら、私は借金を返していますから、「考えてみます。」と言って電話は終わりました。

― 弁護士にお願いするよりも、お金を返す方が、指し当たって楽ということですか?

そうですね。もし、30万円(15%お支払いすることになりますけど)戻ってくるかもしれなくても、借金を返済した方が、私にとってはいいですね。

法テラスに相談する予定は?

― 弁護士料が心配なら、無料で法律相談できる所(法テラス)に相談はしないのですか?

安田さんの表情からは、30万円を惜しがる様子は感じられなかった

調べました。法テラスが、新宿や四谷にあることも。

私が法テラスで頼める収入かどうかも調べて、結果、頼めると判断されました。申込書も見ました。

でも結局、法テラスに行くのにも交通費かかっちゃうんで、まぁいいかっと思って。

― でも30万円を取り返したくはないですか?

30万円は大金です。借りたのは一瞬ですけれど、返すのは2年くらいかかりますから

でも煩雑な手続きをするよりも、こつこつ返して行った方が、私にはいいです。

現在、その業者は?

― 現在、その業者はどうなっているのか分かりますか?

12月11日、最後の振込みの後は、何の連絡もありませんでした。その後、電話すると、「担当者がいません」か、電話が通じないで、逃げちゃっている状態です。

しかも最近調べてみたら、この業者は名前が変わっていました。

新しい名前の業者のホームページを見ると、今流行りの「TIコンサルティング」みたいな綺麗なホームページになっているんです。

けれども、作りが、私のホームページとまったく同じなんです。ロゴも同じようなロゴを使っていました。

― じゃあ、その業者、今も活動しているのですね?

だから、弁護士さんも、その会社を潰したいから、本当は訴えて欲しいという思いはあるんですよね。これ以上、被害を拡大させないためにも...。

今回の出来事を振り返って

― A社で借りた30万円、アプラスの7万円は、どうやってご自身で返済しているのですか?

今はネットの原稿を書いているので、収入があります。月に3~4万円くらいの収入で、そのうちA社の返済に月1万3千円ほど充てていて、今、半分くらい返しました。

来年いっぱいには、全額返済の予定です。

アプラスの返済は、2013年7月で終わりました。

12月から3月までアパレルのバイトをしていたのですが、時給1000円で、7時間くらいアルバイトをしていましたので、それを返済に回しました。

― 今思うことはありますか?

詐欺に遭ったということが、自分でもびっくりです。平凡に生きているので。

― ショックですか?

ショックというより、びっくりです。映画を見ているように、客観視しています。

終始私たちのインタビューに笑顔で語ってくれた安田さん。

まだ詐欺に遭ったという実感がないようで、他人の出来事を話すように、業者とのやり取りを話してくれました。

一方で、嘘の申告でお金を借りてしまったことには、罪悪感を持ち続けていらっしゃる様子。

実際、このことが明るみになれば、山本さんは消費者金融から、何らかのペナルティーを受ける可能性があります。

このように内職詐欺を行う悪徳業者は、お金を騙し取るだけでなく、虚偽の申告で借入れをさせるという「犯罪」に、罪のない人を加担させているのです。

またこうした詐欺は、例え訴えることになっても、警察や弁護士を通した手続きに時間がかかり、結局安田さんのように泣き寝入りするケースが多くを占めています。

「副業で高収入」「簡単なメールマガジン作成で月50万」など、甘い誘い文句には、必ずウラがあります。顔が見えないネットでのやりとりや、副業選びには注意が必要です。

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