更新日:2019/10/29
なぜ、個人事業主の私が日本政策金融公庫でお金を借り続けるのか?【体験談】
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評価を設定してください ×「個人事業主(自営業)です。事業資金の融資を希望しているのですが、どこでお金を借りるのがいいですか?」
「日本政策金融公庫の審査について教えてください!過去の借金などは問題になりますか?」
「金融公庫で生活費を借りられると聞きました。本当ですか?」
自営業やフリーランスなどの個人事業主が低金利でお金を借りることのできる日本政策金融公庫。
「名前は聞いたことがある」という方が多いのではないでしょうか?
日本政策金融公庫は、政府が100%出資する政策金融機関。
民間企業と違い、営利を第一目的としていない点が特徴です。
教育ローンが有名ですが、個人事業主向けの融資制度も充実しています。
個人事業主がお金を借りるというと、まず銀行を想像される方が多いですよね。
でも、実は日本政策金融公庫の金利は、銀行と比べてもだいぶ低金利(1%~2%)なんです。
さらに、連帯保証人・担保なしで融資を受けられ、銀行より審査が厳しくありません。
まさにフリーランスにはうってつけの融資制度といえます。
こんにちは。
今回、実際に日本政策金融公庫で融資を受けた6名にインタビューを行ったファイグー編集部の田中です。
この記事をご覧になっているということは、これからまさに日本政策金融公庫へ申込もうとしているのかもしれませんね。
または、融資を申し込んだのに審査に落ちてしまって、途方に暮れているのかもしれませんね。
先ほどお伝えしたとおり、日本政策金融公庫の融資は低金利で、審査も厳しくありません。
個人事業主がお金を借りるなら、最初に申込むべきといっても言い過ぎじゃないんです。
しかし、それにもかかわらず、多くの人が銀行の融資やビジネスローンなどに申込んでしまい、高い利息を払っている現状があります・・・。
なぜ、わざわざそんな高金利の借入先からお金を借りてしまう人が多いのでしょうか?
実は、日本政策金融公庫は申込みがちょっと面倒なんです。
さらに、時間もだいぶかかります。
申込みから融資までに最長2ヶ月かかってしまうんですね。
ここが日本政策金融公庫を敬遠する理由かもしれません。
でも、その面倒さを考えても日本政策金融公庫で借りるメリットは大きいですよ。
ということで今回は、そのメリットをわかりやすくお伝えするため、実際に融資を受けた方々に徹底取材してきました。
最初に取材をしたのは、フリーランスのグラフィックデザイナー、伊藤美智子さん(仮名)。
シングルマザーの伊藤さんは、日本政策金融公庫でから合計300万円以上の融資に成功しています。
まだ売上も少ないときに低金利で300万円以上も借りられたので、とても助かったそうです。
今回は、伊藤さんと同じような融資に成功された方5名にもお話をうかがいました。
「とっつきづらい日本政策金融公庫の融資についてわかりやすく解説すれば、もっとたくさんの方が低金利で借りられるはず!」
今回の記事はそんな思いで執筆しましたので、ぜひ最後までお付き合いください。
審査も厳しくなく、金利も低い。
下手に銀行で融資を受けるより、はるかにオススメです。
まして銀行カードローンや消費者金融と比べたら月とスッポン。
ここまであからさまに勧めると、日本政策金融公庫の回し者のようですが、そんなことは一切ありません(笑)
ぜひこの機会にひとりでも多くの方に日本政策金融公庫の存在を知ってもらえばと思います!
それではまいりましょう!
-
田中 靖子編集者
編集・ライター歴20年。読み手にわかりやすく、正確・誠実に情報を伝えることをモットーにしています。ファイグーでは読み手が求める情報をいかに適切に把握し、発信できるかを日々模索中。ささやかでも生活に役立つヒントをお届けできたら幸いです!現在は保育士とのダブルワーク中。高校球児の母。朝5時起きで白飯大盛弁当づくりが日課です。
日本政策金融公庫で『パソコン購入資金』として300万円借りました(体験談)
今回お話をうかがったのは、フリーのグラフィックデザイナー伊藤美智子さん(仮名)、52歳。
個人事業主として働きながら、2人の娘さんを育てたシングルマザーです。
伊藤さんは、日本政策金融公庫で、合計300万円以上のお金を借りることができました。
今回は、その当時のことをくわしくうかがっています。
体験者の情報
名前:伊藤 美智子(仮名)
性別:女性
職業:グラフィックデザイナー
当時の年齢:33歳~
借入先:日本政策金融公庫
借入時期:2000年~2013年
借入額(合計):310万円
パソコン購入のために日本政策金融公庫で借入れ
― はじめて日本政策金融公庫(これ以降『公庫』とします)へ申込んだのは、いつ頃のことですか?
2000年頃のことです。
― 当時のお仕事を教えてください。
フリーのグラフィックデザイナーです。
昔はデザイン事務所に勤めていたこともあるのですが、独立し、自宅で仕事をしていました。
― どうして公庫でお金を借りることになったのでしょうか?
仕事で使うパソコンを購入するために融資を申込みました。
公庫のことは、「自営業にお金を貸してくれる政府の金融機関」という認識だったので、力を借りてみようと思ったのです。
― 当時の収入はどのくらいでしたか?
この頃はまだ景気がよかったので、およそ年収400万円です。
でも、当時はまだ娘たちにお金がかかり、パソコンを購入する余裕がありませんでした・・・。
― このときの借入希望額はいくらでしたか?
公庫には、150万円で申請しました。
― パソコンの購入費用だけで150万円ですか?
いいえ。実際の購入費用はそこまで高くありません。
でも、せっかく借りるなら多めに借りて、ほかの費用にもあてたかったんです。
日頃から、パソコンのメンテナンスをしてもらっていた出入りの業者さんに見積書をお願いしたので、少し高めに書いてもらいました。
申込みに必要なもの
― 融資を申込むにあたり、まずなにをしましたか?
近くに公庫の窓口があったので、そこへ相談にいきました。
― 申込みにはなにが必要でしたか?
身分証明書、印鑑証明書、所得証明書、パソコンの見積書です。
所得証明書は前年度の確定申告書の写しを提出しました。
― 連帯保証人は必要でしたか?
はい。はじめは保証人が2人必要でした。
お願いしたのは、同じ母子家庭の友人2人です。
日頃から助け合っていて、かなり深い付き合いをしていた方たちでした。
保証人の身分証明書、印鑑証明書、所得証明書も一緒に提出する必要があります。
融資まで1ヶ月はかかった
― 担当者にはなにを聞かれましたか?
「今までのパソコンは使えないのか?」「ソフトがそんなに高いのか?」と詰められましたね。
きちんと答えたら、納得してもらえました。
― 融資を受けるまでどのくらいかかりましたか?
審査が下りて融資を受けるまで1ヵ月はかかりましたね。
― 結局、いくら借入れましたか?
150万円の融資は受けられず、90万円になりました。
金利は8%くらいだったと思います。
また当時は、『パソコン購入資金』という融資項目がなかったので、『事業開始資金』という扱いになりました。
― 月々の返済額はいくらでしたか?
月1万5,000円ずつの返済です。
でも実際はパソコンに90万円も使わなかったので、余ったお金はすぐに返済用の口座に入れておきました。
2回目の借入れ!融資額大幅アップの理由
― その後、ふたたび公庫へ申込みしたんですよね?
はい。最初の借入れから1年後のことです。
まだ前回の借入れを完済していませんでしたが、並行して借りることができました。
― どんな名目で、いくら申請したのですか?
このときは、『パソコン購入資金』という名目で150万円申請しました。
― いくら借入れできましたか?
150万円全額借入れできましたし、金利も2%まで下がりました。
ちなみに、月の返済額は2万円くらいです。
― 申込手続きや必要なものは前回と同じでしたか?
だいたい同じですが、保証人は別の人に頼みました。
以前勤めていたデザイン事務所の社長です。
この社長自身、長年、公庫から融資を受けていたので、保証人の必要書類(身分証明書、印鑑証明書、所得証明書)は不要でした。
代わりに社長本人へ確認の電話がいったみたいですが。
― 融資までどのくらい時間がかかりましたか?
申込みから2週間くらいでお金が振込まれました。
― 前回より融資額はアップしていますし、審査スピードも上がっていますよね。なにが原因か、わかりますでしょうか?
あくまでも推測ですが、「返済の実績ができたこと」「公庫での実績がある方に保証人をお願いしたこと」が理由だと思います。
ありがたいかぎりです。
毎月の返済額を4万円 ➡ 8,800円に減額
― 返済は順調でしたか?
公庫だけで毎月4万円ほど返済しなければならないうえに、他の返済(信金、消費者金融)も抱えていたので、とても大変でした・・・。
しかもちょうどデザインの仕事が激減して、月収10万円くらいに下がってしまったのです。
これでは返済どころじゃないので、副業を開始。
昼間は三菱系列の工場でライン作業をし、夜はスナックでアルバイトというトリプルワークの生活をはじめました。
― トリプルワークは大変ですね。体は大丈夫でしたか?
いや、あの頃(40代前半)はやばかったです。
3時間睡眠の生活が3年くらい続き、血を吐いたり、血尿が出たりすることもあって(笑)。
結局、これでは身が持たないと思い、公庫で減額の手続きをしたんです。
― 減額の手続きとは、具体的になにをしたのでしょうか?
公庫の窓口へ行って、
「収入が激減したので生活が苦しい。毎月の返済額を減らしてもらえないか?」
・・・という交渉をしました。
収入減の証拠として、前年度の確定申告の書類を持っていきましたね。
それをみれば収入減が一目瞭然だったので、手続きは簡単に終わりました。
― 結局いくらに減額されたのでしょうか?
4万円くらいだった毎月の返済額を8,800円まで圧縮してもらえました。
ただ、かわりに返済期間は延長になってしまいましたね・・・。
三度目の借入れは生活費に使ってしまった
― その後も公庫で融資を受けましたか?
はい。最近だと、2010年頃に70万円を借りました。
金利は2%、月の返済額は3万円くらいです。
― このときの資金用途も『パソコン購入資金』でしたか?
はい。そのように申請しました。
ただ、このとき借りた70万円はすぐに生活費に消えてしまいましたね・・・。
公庫って、他の金融機関にくらべて圧倒的に低金利なんですよ。
たとえば、消費者金融で借りたら、金利は18%になってしまいますからね。
だから、『パソコン購入資金』という名目でとりあえず借りておいて、「生活費や事業資金で困ったら使おう」と思っていました。
― 申込手続きや必要なものは前回と同じでしたか?
とくに変わりはなかったと思います。
ただ、保証人はまた別の人にお願いしました。
中学時代の同級生です。
この方は、自営業で、ご自身も公庫での借入経験があり、高額所得者でした。
― 融資までどのくらい時間がかかりましたか?
申込みから2週間くらいで融資されました。
このときも速かったので、保証人効果だと思います(笑)。
滞納は絶対NG!次回以降借りられなくなる!
― 結局、公庫への返済はどうなりましたか?
去年(2013年)すべて完済しました。
結局、10年以上、借りたり返したりを繰り返していたことになります。
― かなり長くかかりましたね。もっとはやく返すこともできましたか?
できたかもしれません。
でも、公庫は金利が低いので、あえて長期間に渡って返済しました。
私の場合、金利の高い消費者金融などからも借りていたので、そちらを優先して返していましたね。
― 返済を滞納したことはありますか?
なかったです。
ほかの自営業者仲間から、「公庫の返済は絶対に遅れるな!」といわれていましたから。
「一度でも返済が遅れると融資を受け付けてもらえない」というウワサもありましたしね・・・。
私の場合は、地道に返済したおかげで、すっかり信用度が上がったみたいです。
今でも、公庫の担当者から、「借りてくれ」という電話がしょっちゅうかかってきますよ(笑)。
― 返済を滞納しないためのポイントを教えてください。
支払いが苦しい場合は、まず収入を増やす方法を考えましょう。
それが難しいなら、公庫に相談して月の返済額を減額してもらいましょう。
私のように体を壊してからだと遅いので、はやめに相談へ行ってくださいね。
― これからも日本政策金融公庫を利用しようと考えていますか?
はい。
最終的には、他の金融機関と合わせて合計1,000万円ほど借りたいなと思っています(笑)。
老後の資金で、子どもたちに迷惑かけたくありませんから!
伊藤さんへのインタビューはここまでです。
なお、伊藤さんは日本政策金融公庫のほかに、母子家庭の貸付制度や信金のカードローンを賢く利用しています。そのときのお話もぜひご覧になってください。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめていきます。
公庫で融資を受けるメリット
- 3%未満の低金利
- 実績がなくても(開業前、もしくは開業後まもなくでも)申込める
- 元金据置期間を設定できる
- 公庫の担当者に融資の相談ができる
公庫のデメリット
- 融資まで1ヶ月~2ヶ月かかる
- 連帯保証人や担保が必要なことがある
申込みから融資までの流れ
- 申込前に相談したいこと、聞きたいことがある場合は電話か支店窓口で相談可能
- 申込み(インターネット、支店窓口、郵送) ➡ 必要書類や面談日時を知らせる通知が届く ➡ 公庫の支店で面談 ➡ 融資可能の通知や契約書類が届く ➡ 記入した契約書類を返送する ➡ 融資を受ける
必要書類
- 公庫から指示されたものを準備する
- 主に必要なもの
- 借入申込書
- 確定申告書もしくは前職の源泉徴収票
- 事業(創業)計画書
- 収支計画書
- 見積書
- 賃貸借契約書(店舗や自宅の分)
- 家賃や水道光熱費の領収証(店舗や自宅の分)
- 預金通帳
- 住民票の写し
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 印鑑証明書
面談で質問される主な内容
- 経歴
- 開業理由
- その事業の強み
- 今後の事業拡大の可能性
- 自己資金はどうやって貯めたか
- 開業にあたり、家族の協力は得られるか
- 売上、収支の見込み
- 今後、どのようにPRしていくか
- 資金用途
公庫で融資を受けるためのポイント
- 一定以上の自己資金を準備する(たとえば、創業資金全体のうち、3割程度は自己資金でまかなう)
- お金のトラブル(ローン・クレジットカード、税金、公共料金の支払滞納など)を抱えていない
- 明確でわかりやすい事業計画を立てる(事業計画書・創業計画書をしっかり作成する)
- 見積もりは余裕をもって、必要額より多く設定しておく
- 公庫の担当者のアドバイスに従う
いかがでしたか。
公庫は必要書類が多く、融資まで時間もかかりますが、低金利ですし、担当者が親身に相談にのってくれます。
個人事業主や自営業でお金を借りたい、融資を受けたいと考えている方は最初に検討するといいかもしれません。
また、最初にお伝えしたとおり、ほとんどの場合でビジネスローンなどの高金利商品はオススメできません。
どうしても公庫から借りれないときにのみ、検討するようにしてください。
ちなみに、ビジネスローンについては別に特集も組んでいますので、もしよろしければご覧になってみてくださいね。
どんな事業?
メープルシロップ味見事業。
(なにそれ・・・)
いくらの融資を希望したの?
100億円。
100億!?
なんでそんな大金が必要なのさ?
・・・まあ、いろいろあるからね。
・・・。
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ぼくも事業をはじめたいんだけど、公庫に融資の申込みしたら断られたよ・・・。