母子福祉資金貸付金は母子家庭の強い味方。お金に困ったら相談すべし【体験談】

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貸付制度をたびたび利用しているというシングルマザーの伊藤さん

「もうすぐ1歳になる男児を持つ母親です。母子家庭ですが、家賃も払うことができずに困っています・・・」

「母子家庭の支援制度にはどのようなものがあるのでしょうか?父親がいないからといって、子どもに不自由な思いをさせたくありません・・・」

「母子(父子寡婦)福祉資金の審査はどんな中身なんでしょう?審査に通るまで不安で夜も眠れない状況です・・・」

お金がないために子どもに不便を強いる。

親としてこれほど悲しくて、みじめな気持ちになることはありませんよね。

とはいえ、子どもはお金がかかるもの・・・。

小さいときは、ベビー用品、保育料。
中学生になったら制服に通学カバン、体操服。
高校生になると参考書代・・・。

実にさまざまなお金がかかりますから、これをお母さんひとりで負担するのはほとんどムリなんですよね・・・。

こんにちは。
当サイト、ファイグーの取材で、日本学生支援機構や金融機関の教育ローン担当者に何度も取材してきた編集部の田中です。

また、私にはつい最近大学受験を終えた一人息子がいます。

今回の記事のテーマは、私も現在進行系で悩んでいる子どものお金の問題。

しかも、母子(父子寡婦)福祉資金が主役なので、いつもより気合いを入れて執筆しているところです。

小さなお子さんを持つ家庭に対する経済的な支援を目的とした公的な制度って、たくさんありますよね。

たとえば、奨学金児童手当児童扶養手当などはご存知の方も多いと思います。

それらに比べ、今回の主役である母子(父子寡婦)福祉資金は知名度の低い制度。

しか~し、実はこの母子(父子寡婦)福祉資金、非常に素晴らしい制度なんです!

たとえば、

  • 生活を維持するための資金を借りられる!(月額10万3,000円)
  • 引っ越し費用を借りられる!(26万円)
  • 就職するのに必要な衣類等の購入資金を借りられる!(10万円)
  • 仕事に必要な技能を身につけるための資金を借りられる!(月額6万8,000円)

これでもまだ一部で、このほかにもたくさんの用途に利用可能な貸付を受けることができます。

そしてなにより優れているのが、無利息、もしくは超低金利でお金を借りられるという点。

ただでさえ困窮しているのに、利息なんて払っていたらやっていけませんよね?

母子(父子寡婦)福祉資金は、営利を目的とした制度ではないので、民間のローンのように高額の利息を支払う必要がないわけです。

「お金がないからカードローンで借りちゃおうかな・・・」

もしそんなふうに思っているのなら、ちょっと待ってください。

まずはこの記事をご覧になり、母子(父子寡婦)福祉資金を検討してみましょう。

少なくとも高金利のカードローンで借りるよりは絶対にいいはずですから。

ということで今回は、実際に母子(父子寡婦)福祉資金を何度も利用したことのあるシングルマザーの伊藤さん(仮名)にくわしいお話をうかがいながら、その実態に迫っていきたいと思います。

伊藤さんは、最初に市役所の福祉課に相談してみたところ、

「あなたたちを贅沢させるために税金を払っているわけじゃないんだよ!」

市の担当者からこんな口調で責め立てられたそうです。

当時の伊藤さんは明日のお米を買うお金にも困っていたために、その後やむなく消費者金融に足を運んでしまいます・・・。

しかし、ふたたびどうしてもお金が必要になり、発憤興起(はっぷんこうき)して、もう一度市役所の窓口へ!

そうしたらなんと、借入れ審査に通過!

母子(父子寡婦)福祉資金から融資を受けることに成功します。

実は、母子(父子寡婦)福祉資金は、だれでも利用できる制度ではありません。

審査があるんです。

そこで今回は、福祉課の元職員の方々に取材を実施し、どんな人が審査落ちしてしまうのかを教えていただきました。

一般には公表されていない情報も含まれていますので、審査が不安な場合はこちらも忘れずにチェックしておいてくださいね。

今、お金が足りなくて困っている母子家庭のお母さん、お子さん。

数年後の大学進学時のお金のことで悩んでいるお母さん、お子さん。

今回の記事は、私と同じような子どものお金のことで悩む親御さんへお届けしたい内容になっています。

とにかく重要なポイントを詰め込みましたので、まずは一度ご覧になってみてくださいね。

それではまいりましょう。

この記事のアドバイザー情報

  • 田中 靖子 編集者

    田中 靖子編集者

    編集・ライター歴20年。読み手にわかりやすく、正確・誠実に情報を伝えることをモットーにしています。ファイグーでは読み手が求める情報をいかに適切に把握し、発信できるかを日々模索中。ささやかでも生活に役立つヒントをお届けできたら幸いです!現在は保育士とのダブルワーク中。高校球児の母。朝5時起きで白飯大盛弁当づくりが日課です。

母子家庭の貸付制度をフル活用して、2人の子どもを育てました(体験談)

今回お話をうかがったのは伊藤美智子さん(仮名)、52歳。

フリーのグラフィックデザイナーとして働いているハツラツとした女性です。

伊藤さんは2人の娘さんを持つシングルマザーでもあります。

離婚後は、お金のやりくりに苦労しながらお子さんを育ててこられました。

そんな伊藤さんの強い味方になったのが、母子家庭のための公的貸付制度『母子寡婦福祉資金貸付金』です。

今回はその伊藤さんに、母子寡婦福祉資金貸付金(※1)の手続きや返済についてくわしいお話を聞いていますので、まずはそのインタビューからご覧ください。

※1
現在の名称は『母子父子寡婦福祉資金貸付金』です(伊藤さんがお住まいの長崎県の場合。地域によって名称が微妙に異なります)。

体験者の情報

名前:伊藤 美智子(仮名)
性別:女性
当時の職業:グラフィックデザイナー
当時の年齢:33~52歳
借入件数:消費者金融3件、信用金庫1件、公的支援
利用時期:1995年~2010年
借金の合計額:総額600万円以上

余裕ゼロの母子家庭・・・ケガで働けなくなり大ピンチ

― 伊藤家は母子家庭ということなのですが、収入はどのぐらいあったのですか?

伊藤さん、成人した娘さんがいるとは思えない、若々しい方です

私は1993年に2人の娘を連れて離婚しました。

元夫から養育費はもらっていません。

でも私自身、フリーのグラフィックデザイナーとして働いていたので、3人分の生活費ぐらいはなんとかなったんです。

とくに当時は景気がよかったので、月に30万円くらい収入がありましたね。

自営業なので波がありますが、年収は400万円を超えていたと思います。

― お金を借りることになったきっかけは?

離婚して2年ほど経った頃、商売道具の利き腕を大ケガしてしまいました。

それで、1ヶ月くらい仕事ができなくなってしまったんです。

生命保険には加入していましたが、ケガの保障は付けていませんでした。

そのため、収入が途絶え、家賃や生活費がなくなってしまって・・・。

― 貯金を切り崩したりはしなかったのでしょうか?

貯金はほとんどありませんでした。

養育費をもらっていないですし、育ち盛りの子供が2人もいたので、貯められませんでしたね。

当時は小学生の娘たちがよく食べたので、極端にエンゲル係数が高い家計だったんですよ!(笑)

両親に頼ることもできたと思いますが、甘えるのがイヤで、行政に借りることにしたんです。

役所の職員からいわれた心ない言葉

― まずはどこへ相談にいったのですか?

ケガをした直後、管轄の役所(長崎市の市役所)の福祉課へ相談に行きました。

公的な貸付制度に申込むためです。

『母子寡婦福祉資金貸付金』(以下、母子福祉資金)といって、母子家庭が利子ゼロ、もしくは超低利子でお金を借りられる制度があるんです。

― 母子福祉資金のことはどこで知りましたか?

離婚した際、長崎県の母子会(長崎県母子寡婦福祉連合会)に入ったのですが、そこで母子福祉資金のことを教えてもらったんです。

― 市役所の福祉課に相談した結果、どうなりましたか?

それがひどいんです!
聞いてください!

福祉課の窓口で相談したら、「あなたたちを贅沢させるために税金を払っているわけじゃないんだよ!」と強い口調で責められたんです。

それでも「どうにかなりませんか?」とお願いしたのですが、「連帯保証人も必要だし、返済できるのか確証がない」といわれてしまって・・・。

さらに、長崎市役所から県庁まで書類を上げなくてはならないので、「審査に通ったとしても、お金を受け取るまで1ヶ月以上かります」と突き放すようにいわれました。

そのときは、それ以上お願いする気になれませんでしたね。

もっと粘って交渉すればよかったのかもしれませんが、責められたのがショックで・・・。

そもそも1ヶ月も待たされるなら、家賃の支払いに間に合いません。

残念ですが、他の手段を探すしかありませんでした。

消費者金融(キャッシング)の短期利用で窮地をのりきる

― 市役所で断られた後はどうしたのですか?

市役所を出たその足で、消費者金融に行きました。

当時は消費者金融のCMがよく流れていたので、「もうこれしかない」と思って。

ダメもとで10万円借入れを申込みました。

すると、「はいどうぞ」とあっさりOKが出ましたね。

― 消費者金融ではどんな手続きをしましたか?

申込用紙を記入して、あとは運転免許証を提出するだけでした。

利用限度額は10万円で金利は29%。

お金はその日のうちに引き出すことができました。

― 「金利が高い」と思いませんでしたか?

たしかに、母子福祉資金の利子(1%程度)と比べたら、かなり高金利ですよね。

でもそのときは、「明日のお米を買うお金がほしい!」という状況。

現金を手に入れることが最優先だったので、金利のことはまったく気にしていませんでした。

自営業で母子家庭、しかも収入が途絶えているのにお金を貸してくれるなんて、当時はありがたいと思いましたよ。

― その後、無事に仕事復帰できたのですか?

当初の予定通り、1ヶ月で仕事を再開しました。

消費者金融への返済は月1万円だったので、こちらも順調に返していきましたね。

当時は仕事がたくさんあったので、半年後に窓口へ行って一括返済しました。

― ちなみに、手のケガの治療費はどうしたのですか?

治療費は10万円ほどかかりましたね。

ただ、後から医療費補助の申請をしたので、ほとんど返ってきました。

公的補助や公的貸付は、現金が手に入るまでに時間がかかりますよね(苦笑)

ふたたび役所へ!母子福祉資金の借入れに成功

― それから数年後、別の機会に母子福祉資金を利用したんですよね?

カッターで切って大けがしてしまった指は、今でも傷跡が残っているという伊藤さん

はい。引っ越しをするときに費用が足りず、母子福祉資金を使いたいと思いました。

他で借りる選択肢もありましたが、できれば母子福祉資金を使いたかったんですよね。

やっぱり、どこよりも利子が安いですから。

役所へお願いに行くのは気が重かったですが、「使える制度は使うべきだ」と思って自分を奮い立たせました。

― 市役所の職員の対応はどうでしたか?

責められたり怒鳴られたりすることはなかったですね。

対応は年々よくなっていっていると感じました。

下手なことをいうと、訴えられてもおかしくないご時世ですもんね。

― 母子福祉資金では、そのそもいくら借りられるのでしょうか?

母子福祉資金は使用目的によって分類されていて、生活資金・修学資金(子供の進学費用)・住宅資金・医療介護資金など、12種類にわかれています。

その種類によって限度額や返済期限がちがうんです。

私の場合は、引越し費用のため『転宅資金』を申請したのですが、当時の限度額は24万円でしたね。

― 具体的にどんな手続きを行いましたか?

市役所の福祉課へ提出したのは、身分証明書、所得証明書、住民票、印鑑証明です。

本人(私)のもの・連帯保証人のものがそれぞれ必要でした。

それから、引越し費用の見積書と、地域の民生委員さんの印鑑も必要でしたね。

― 連帯保証人はどなたにお願いしたのでしょうか?

うちと同じような母子家庭の仲間で、長年病院に勤めている友人が快く引き受けてくれました。

― 審査は無事通過しましたか?

実は、担当の民生委員が中学時代の同級生のお父さんだったんですよ(笑)

その方がすぐに対応してくれて、おかげで審査にはすんなり通りました。

それでも、お金の受け取りまでおよそ1ヶ月はかかりましたね。

― 借入額、利子、月々の返済額はそれぞれいくらでしたか?

限度額いっぱいの24万円を借りることができました。

利子はゼロです。

月々の返済額は、記憶が曖昧でよく覚えていませんが、2年以内には完済したと思います。

返済期限は自分で設定することができましたし、返済開始まで半年間の猶予があったので非常にたすかりましたね。

子どもの進学資金にも母子福祉資金を活用

― その後も母子福祉資金を利用する機会がありましたか?

はい。2人の娘の進学(中学への進学、高校への進学)が重なったときに利用しました。

入学金や制服、学用品などをそろえるための費用です。

そのときは、母子福祉資金の『就学支度資金』に申込みましたね。

― 具体的にはどんな手続きを行いましたか?

基本的な必要書類は、前回(引越し費用を借りたとき)と同じです。

同様に、連帯保証人も必要でした。

― 連帯保証人はどなたにお願いしたのでしょうか?

このときはたしか、正社員をしている妹にお願いしましたね。

― 借入れまでにかかった時間を教えてください

このときもやはり1ヵ月ほどかかってしまいました。

でも、娘の進学に合わせて計画的に申込みしておいたので、無事入学式に間に合わせることができましたよ!

― 借入額、利子、月々の返済額はそれぞれいくらでしたか?

いくら借りたか記憶があいまいなんですが、20万円前後だったと思います。

利子は2%前後でした。

返済額もはっきり覚えていませんが、月々3,000円程度だったような気がします。

このときも返済開始までの猶予が半年間あったので、とても助かりましたね。

母子福祉資金は子どもの成人後も利用できる

― すでに娘さんは成人されたそうですが、現在も母子福祉資金を利用できるのですか?

お金を借りるためのノウハウをたくさん持っている伊藤さん

子供が成人するまでは『母子家庭の母』なのですが、子どもが成人すると『寡婦』になります。

実は、寡婦になってもお金を借りることができるのです(※2)

※2
母子家庭への貸付制度と寡婦への貸付制度が別のこともあります。たとえば東京都の場合、寡婦が利用できる貸付制度は『女性福祉資金』です。似ていますが、母子福祉資金とは別のものです。

― 寡婦になってから、母子福祉資金を利用することがありましたか?

実は先日、下の娘(25歳)の結婚資金を借りようとしたんです。

母子福祉資金には『結婚資金』という項目があり、「30万円まで借りられる」とあったので・・・。

ということで、ふたたび市役所へ相談に行ったのですが、結論からいうと借りられませんでした。

「お子さんが社会に出ている場合はお貸しすることができません」と断られてしまったのです。

結局、「働いているのなら自分でどうにかしろ!」ということなのでしょう。

披露宴の見積もりまで持っていったのですが、「ご祝儀でどうにかなるんじゃないですか?」なんていわれてしまいました。

手続きは面倒でも超低利子は助かる

― 母子福祉資金を利用した感想は?

やっぱり公的貸付だから審査が厳しいですね。

でも、消費者金融に比べて、利子が圧倒的に低いです。

手続きが多少面倒でも、利用する価値は十二分にあったと思います。

― その後、役所の職員にイヤなことをいわれたりしたことはありますか?

うーん。

まぁ、イヤミのひとつやふたついわれることはありましたが、私も精神的に強くなったので、あまり気にしていません。

― 今後も母子福祉資金を利用することがあるでしょうか?

私は自営業のシングルマザーで、貯金もありません。

これからは年を取るので、ますます経済的にも社会的にも弱い立場になります。

ですから、今後も寡婦として母子福祉資金を活用したいです。

伊藤さんへのインタビューはここまでです。

個人事業主である伊藤さんは、母子福祉資金以外でも上手にお金を借りています。

彼女が利用したのは、日本政策金融公庫の個人事業主向け融資です。

そのときのことについては、次のインタビューでくわしく聞いていますので、こちらもよろしければご覧になってくださいね。

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