まさか学費が払えないで自己破産するなんて思ってもみませんでした【体験談】

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子どもの進学のために、複数の業者から借入れをした体験を語ってくれた高橋さん

「まさか学費で破産するなんて・・・」

「貯金を切り崩しながら生活していますが、もうどうしようもない状態です・・・」

「学資保険を積み立てていたのに、夫が失業して払えなくなり、途中解約しました・・・」

子どもの学費。
驚くほど高額ですよね。
国公立ならまだしも、私立へ進学させるには途方もないお金が必要です。

もちろん親御さんは将来に備えて蓄えておこうとするわけですが、そう予定通りにはいきません。

そのうち余裕ができたら貯金にまわそう!
なんて先延ばしにするうちに、気づけば大学受験目前。

大学の学費を確認しては、こんなお金をどう捻出すればいいのかと頭を抱える日々・・・。

そのお気持ち、すっごくよくわかります!
すみません、なんだか切羽詰まった話になってしまいましたね。

こんにちは。
当サイト、ファイグーの取材で、日本学生支援機構や金融機関の教育ローン担当者に何度も取材してきた編集部の田中です。

また、私には大学受験を控える息子がいます。

人生はなかなか計画通りにいきませんよね。

倒産・失業・病気・事故など、思いもよらないことが起こります。

今回ご紹介する高橋智恵さん(仮名)もそのおひとり。

高橋さんは家計が苦しいなか、お子さんを私立の高校・大学へ進学させるため、いくつものキャッシングでお金を借りてしまいます・・・。

それがきっかけで最終的に破産してしまうのですが、今回はその経緯をおうかがいしました。

そして、記事の後半では、学費に困っている家庭を救済する(学費を貸してくれたり給付してくれる)制度を紹介していきます。

さきほどもお伝えしたとおり、私はこれまで日本学生支援機構や金融機関の教育ローン担当者を取材してきました。

その経験をもとに、学費に困っている家庭にぜひ知っておいてほしい制度・ローンをくまなく紹介していきたいと思います。

今回は、大学だけでなく、私立小学校、私立中学校、高校で利用できる制度についても取り上げました。

さらには、塾代や受験料の貸付制度もピックアップしています!

現在進行系で学費に困っている方はもちろんですが、いざというときに備えて知っておきたい制度ばかりを集めたつもりです。

今回の記事は、体験談中の高橋さんのような悲劇を少しでも減らすことができれば・・・と思いながら執筆しました。

大切なお子さんの人生。
選択肢をせばめるようなことはしたくないものです。

この記事が、ひとりでも多くの親御さんのお役に立てたら幸いです。

それではまいりましょう。

この記事のアドバイザー情報

  • 田中 靖子 編集者

    田中 靖子編集者

    編集・ライター歴20年。読み手にわかりやすく、正確・誠実に情報を伝えることをモットーにしています。ファイグーでは読み手が求める情報をいかに適切に把握し、発信できるかを日々模索中。ささやかでも生活に役立つヒントをお届けできたら幸いです!現在は保育士とのダブルワーク中。高校球児の母。朝5時起きで白飯大盛弁当づくりが日課です。

子どもの学費のために多額の借金、最終的には破産(体験談)

今回お話をうかがったのは、高橋智恵さん(仮名)、45歳。

『優しいお母さん』の印象で、現在はコンビニでパートをしながら家計を助けていらっしゃいます。

高橋家の場合、旦那さんの病気、給料カットなどにより、娘さんの私立高校・大学の学費を払えなくなってしまいました。

自分でなんとかしようと考えた高橋さんは、みずからキャッシングをすることで解決を試みます。

今回は、はじめてキャッシングを利用したきっかけから、最終的に破産するまでの経緯について、くわしくお話を聞きました。

体験者の情報

名前:高橋 智恵(仮名)
性別:女性
当時の職業:パート
当時の年齢:38歳
借入件数:5件
会社名(借入先):中央出版クレジット、UCSカード、イオンカード、じぶん銀行、セゾンカード
借金の合計額:350万円
利用期間:2006年~2013年

子どもの教材費のためにローンを組む

― 最初にローンを組んだきっかけは?

優しいお母さんという雰囲気の高橋さん

子どもが中学校に進学するとき、中央出版のセールスにすすめられて、115万円の学習教材をローンで購入してしまいました。

ローンを組んだのは、中央出版クレジットという会社です。

ローンの金利は12%、月の返済は1万3,000円でした。

中高6年分とはいえ、正直高いと思いましたが、娘の勉強のことが心配で・・・。

また、週に一度、プリントを提出すると、FAXや電話で先生の指導を受けられるシステムも利用していました。

別途、月8,000円かかるので、ローンの返済と合わせると、毎月2万円くらい払っていましたね。

ただ、私のパート代が月に9万円くらいあったので、そこまできつくはありませんでした。

夫の休職をきっかけにキャッシング

― その後、キャッシングを利用するようになったのは、どういうきっかけですか?

夫が体調を崩し、ひと月くらい入院したときがあって・・・その間の生活費のためです。

退院してもすぐに仕事復帰できなくて、結局2ヶ月近く休みました。

その間、夫の会社から、いつもの給料の半分くらい(月10万円)が出たのですが、住宅ローンの支払い(月6万円)もあるし、それだけで生活費をまかなうことはできません。

― その際に利用した業者は?

UCSカードとイオンカード。カードの名義は私です。

どちらもクレジットカードで、最初からキャッシング枠がついていました。

カード自体は以前から持っていて、たまに買い物に使うくらいだったのですが、このときはじめてキャッシング枠を使うようになりました。

両方とも利用限度額は30万円で、金利はたしか14~15%だったと思います。

― 返済は順調でしたか?

UCSカードとイオンカードには、それぞれ月1万円ずつ返済していましたが、そのうち借入れが返済を上回るようになっていきました。

そして、娘が中学を卒業する頃にはどちらも限度額いっぱいになってしまったのです。

娘の高校入学後、さらに家計が苦しくなる

― 娘さんは私立高校に進学されたんですね?

朝早くから夕方まで、コンビニで働いているという高橋さん

はい。
推薦で私立高校に進学することになったのですが、入学金など入学費用のほかに授業料が毎月4万円かかるんです。

そして、相変わらず、中央出版クレジットに2万円、USCカードとイオンカードに1万円ずつ返済していました。

結局、毎月の私のパート代から8万円を学費や返済にまわす計算です。

それだけでもカツカツなのに、この頃25万円だった夫のお給料が、20万円に下がってしまって・・・。

もうお金がない、払えない状況でした。次の借入先を見つけるしかありませんでしたね。

― どちらで借りましたか?

当時利用していたauから、じぶん銀行カードローンの案内メールが届いので、そのまま、じぶん銀行のカードローンに申込みしました。

― そのとき、どんな手続きをしましたか?

まず、じぶん銀行の申込みフォームで、名前・住所・勤め先・収入・勤続年数などの個人情報を入力して送信しました。

すると、3日後に本人確認の電話があり、さらにその1週間後に結果を知らせるメールが到着。

「口座開設可能、キャッシング可能」という内容でしたね。

金利は14%くらい。

利用限度額は自分で設定できたので、30万円にしました。

娘が私立大学に進学!学費のためにさらにふくらむ借金

― 娘さんはストレートで大学に入ったんですね?

「入学の度にお金がかかりますよねぇ」と、苦笑いしていた高橋さん

はい。娘は私立の大学に進学しました。もちろん入学時にまたお金がかかります。

入学金はそれまで積み立てていた学資保険でどうにかなったのですが、教材費も必要ですし、前期の授業料だけで50万円もしたんです。

それで学内の奨学金を申請してみたら、それは通らなくて・・・。

ただ、今は色々な事情を抱えている親も多いから、大学の学費を一括で払えないときは分割払いができるんです。

もちろん、この分割払いに利息はかかりません(笑)

ですから、うちの場合は50万円を6ヶ月に分けてもらって、毎月10万円ずつどうにか支払いました。

― 月10万円の支払いは、借入れせずになんとかなったのですか?

いえ。ムリでした。

この支払いのために、今度はセゾンカードのキャッシングを利用することになったのです。

― セゾンカードへは新たに申込みをしたのですか?

終始、柔らかい雰囲気の高橋さん

セゾンカードはもともと持っていました。

ときどきカードローンの案内が届いていたので、今回利用しようと思いついたのです。

キャッシングの利用限度額は30万円で、金利は14~15%でしたね。

― このころ返済はどうなっていたのでしょうか?

かなりきつかったです。

借金はふくらみ続け、月々の返済が全部で10万円を超えていましたね・・・。

教育ローンの審査に通らない・・・破産を決意

― 債務整理を決意したきっかけは?

後期の授業料は、夫名義で教育ローンを組んでなんとかなりました。

でも、問題は2年目前期の授業料です。

夫が別の教育ローンに申込みしたのですが、今度は審査に通らなかったんです・・・。

すでに住宅ローンや車のローンもあるし、主の収入でそれ以上借りるのはムリだったんでしょうね。

私もすでに5社からの借入れがあります。

「もうこれ以上ローンやキャッシングを増やしたら払えない」と思い、「債務整理(※1)しかないかも」と考えるようになりました。

ということで、娘が2年生に進級する少し前、2013年の3月に、法テラス(※2)へ相談に行きました。

夫にはすべて内緒です。

実は・・・夫は私の借金のことを知らないんですよ(笑)

※1
法律にのっとり借金を整理する手続き。借金や返済額の減額が目的です。

※2
法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。法律に関することなら何でも相談できます。もちろん、多重債務などの借金問題や債務整理に関する相談も受け付けています。

― 最終的に破産されたそうですね?

はい。

はじめは任意整理(※3)を希望していましたが、「月々の支払いが苦しく、かといってこれ以上収入を増やすのも難しい」と弁護士さんに相談したところ、破産(※4)をすすめられました。

それからはスムーズで、はじめの相談から3ヶ月ぐらいで決着がつきましたね。

破産手続きにより、すべての借金が免責になったんです。

※3
借入先と話し合い、返済計画を立て直す手続きです。交渉がうまくいけば利息や返済額を減額できます。

※4
ほとんどの財産を返済にあてるかわりに、すべての返済が免除される手続きです。ただし、裁判所が免責を認めない場合は返済が免除されません。

― 弁護士費用はいくらかかりましたか?

弁護士報酬は9万円。

それを、月1万円ずつの9回払いにしてもらいました。

以前はお給料のほとんどを返済にあてていたので、それに比べたら本当に楽になりました。

― 破産してみて、いかがでしょうか?

もうキャッシングもできないし、クレジットカードも作れません。

でも、カードを持てないことに対して、特別不便は感じていませんし、いざとなれば夫のカードを使うこともできます。

ただ、破産したことは、いまだに夫に内緒なんですけどね(笑)

現在は家族で協力して学費を払っている

― キャッシングを利用した感想は?

キャッシングって、困っているときは本当に助かるのですが、今振り返ってみれば悪いことのほうが多かったように思います。

「どうやって払おう」とお金のことばかりを考えている時期は、本当に大変でしたね。

― 現在はどうやって大学の学費を払っているのですか?

夫、私、娘で払っています。娘にもアルバイトをしてもらってますね。

だいたい月8万円くらいの授業料を払わなければならないのでかなり負担ですが、今は借金の返済がないので、なんとか払うことができています。

ただ、来年以降の授業料は教育ローンに頼らざるをえないかもしれません・・・。

破産したのは私だけなので、夫のローンはすべて残っています。

すでに住宅ローン、車のローン、教育ローンがあるので、また返せなくなったら困るなと思っていますね・・・。

まとめ

最後に、今回紹介した制度・ローンを簡単におさらいしてみましょう。

  対象となる学校 給付・貸付 利子
日本学生支援機構の奨学金 大学・短大・大学院 両方あり
(貸付がメイン)
  • 第一種:無利子
  • 第二種:有利子
日本政策金融公庫『国の教育ローン』 高校・大学・短大・大学院・塾 貸付 有利子
生活福祉資金貸付制度の教育支援資金 高校・大学・短大 貸付 無利子
高等学校等就学支援金制度 高校 給付
高校生等奨学給付金 高校 給付
私立高等学校等授業料軽減助成金事業(東京都) 私立高校 給付
育英資金貸付事業(東京都) 高校 貸付 無利子
私立小中学校等修学支援実証事業費補助金 私立小学校、私立中学校 給付
受験生チャレンジ支援貸付事業(東京都) 中学3年生、高校3年生の塾代、受験料 貸付 無利子
民間金融機関の教育ローン 小学校、中学校、高校、大学、短大、大学院、塾など 貸付 有利子

あなたが利用できる(かもしれない)制度は見つかりましたか?

今回紹介したように、学費を支援する制度やローンは多くあるので、まずは学校や自治体に問い合わせてみましょう。

申込時期が限定されているものも多いので、期限に間に合うよう、余裕をもって準備したいですね。

最後になりましたが、他にも学費調達方法(主に大学)の特集記事を組んでおりますので、あわせて参考にしてみてください。

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