出会い系サイトや課金制の携帯ゲームなど、インターネットでやりとりをするうちに、気がつくと高額な料金を請求されていたという金銭のトラブルが、近年相次いでいます。

オンライン上で決済できるクレジットカードはとても便利なものですが、悪質な業者から法外な料金を請求される場合もあるので非常に危険です。

今回は出会い系サイトにハマってしまい、短期間のうちに200万円もの高額な利用料を請求された女性から話を聞くことができました。

仕事のストレスから出会い系サイトにハマって高額請求された女性

今回お話をうかがったのは、専業主婦のせりすみほ（仮名）さん36歳。色白でとてもほっそりしていますが、ハキハキと話す真面目な印象の女性です。

彼女は過去にストレスから心身を壊した経験があり、今でもどこか精神的に脆そうな印象を受けます。

そんな彼女は過去に2度借入れの経験があります。

1度目は弟の結婚式を用立てるため。そして2度目は仕事のストレスから心身を壊して出会い系サイトにハマり、200万円もの高額な利用料を請求されたためでした。

彼女が出会い系詐欺に遭い多額の借金を背負うことになった経緯と、自己破産について語ってくださいました。

弟の結婚式の費用のために初めてキャッシングを利用

― 初めて借り入れをされたきっかけは？

弟が結婚することになって、結婚式の費用の一部をいくらか立て替えて欲しいと両親に頼まれたことがきっかけです。

当時はそんなに貯金もなかったものだから、キャッシングでお金を用立てることにしました。

元々キャッシング機能付きのクレジットカードは何枚か持っていたのですが、金利が18%以上と高くて。

でもその中でジャックスの「遊ingカード」というキャッシング専用カードは、金利が15.8%と他のものよりも低かったんです。

それに大手の信販会社で安心感もあったので、そこから限度額の30万円を借りることにしました。

直接店舗に足を運ぶことも無く、コンビニのATMで下ろすことができたので、本当に簡単でしたね。

― カードを作る際はどのような審査がありましたか？

遊ingカードは以前「パソコンが安くなるから」と電気店で勧められて、ジャックスカードを申し込んだ時におまけのようなかんじで付いてきたものです。

申し込みも名前と住所と勤め先を用紙に記入したくらいで、特別な審査はなかったですね。

当時は準大手の証券会社に勤務していて、入社1年目でも手取りが18万円くらいあったので、カードが簡単に作れたのかもしれません。

カードは申し込んでから2～3週間後に自宅に送られてきました。

月々5千円ずつのリボルビング払いだからどうにかなると思った

― 返済は順調だったのですか？

実際にカードを利用した頃は、以前の証券会社から転職をしていて、お給料も14～15万円と安くなっていました。

それでも実家住まいだったし「1万円だと苦しいけど月々5千円ずつのリボルビング払いだからどうにかなるかなぁ」と思って。

ただ月々の負担は少なくても、5年払いで先は長いし、金利もたくさんとられますよね。

増額返済をすればもっと早くに返し終えたのかもしれませんが、実際には7～8年かけて完済しました。

年に1、2度ハガキで支払い予定を送ってきていたのですが、着実に借金が減っているのがわかったので良かったですね。

― 「遊ingカード」を利用されて、また完済されてどのような感想を持たれましたか？

やっぱりキャッシングは好きではないと言うか、もう使いたくないと思って完済後は解約してしまいました。やっぱり金利の部分がネックですね。

繰り上げ返済をしたり、月々の返済額を増額したりもっと早く返す方法はあったと思うのですが、お小遣いが減ってしまうのも嫌だし「月々5千円だからいいや」となぁなぁになっていました。「この一度きりの借り入れでおしまい」と思っていました。

仕事のストレスのはけ口に出会い系サイトにハマる

― 出会い系を利用するようになった経緯は？

その頃はもう結婚をしていて、いくつかパートをしていたのですが、職場の待遇や人間関係のストレスから心を病んでしまい、精神的に不安定になっていました。ですから当時のことはあまり詳しく憶えていないんです。

でもそんな時に、携帯電話に送られてくる出会い系サイトからの勧誘メールに引っ掛かってしまったみたいで。

以前から出会い系サイトの「迷惑メール」は頻繁に届いていたのですが、いつもは「ウザイな」と思っていたんです。でも少し不安定な時期に興味本位でサイトを覗いて、ハマってしまったんですね。

相手とは携帯のみのやり取りだったのですが、仕事の悩みとかを相談して、それに対しての「頑張って」「大丈夫だよ」という慰めの言葉を読んでいるうちに、夢中になってしまったんです。

当時は本当に善悪の判断ができなくなっていたんですね。普通ならありえませんが、サクラ相手にのめり込んでしまって。

それを利用したのは1週間くらいの間だったのですが、気付けば登録料や利用料で200万円近くを浪費していました。

支払いのために限度額いっぱいまで使い込んでしまった

― 高額の利用料をどうやって払ったのですか？

主人がソニーの関連会社に勤めていたので、5年くらい前にソニーファイナンスの家族カードを作っていて、そのカードのクレジット枠、キャシンッグ枠の20万円全部を使ってしまいました。

他にも以前から持っていた、イオンカード、ライフカード、DCMXカードなど持っているすべてのカードの利用枠を使い切ったかんじで、その総額が200万円にもなっていました。

途中でカードが使えなくなって、その時に初めて高額請求されていることに気が付きました。

被害届の提出から自己破産

― どうやって解決されたのですか？

経験も豊富で、色々と詳しい友人に助けを求めました。

その友人の旦那さんからも「それは詐欺ではないか」とアドバイスを受けて警察に被害届を出しました。

警察からは消費者センターにも相談するよう言われたので、消費者センターからも出会い系業者に働きかけてもらいました。

それで若干借金は減ったのですが、働ける状況ではないから、残りの借金はとても払えなくて。

すると消費者センターの方から自己破産を勧められて、法テラスを紹介してもらいました。

― 自己破産の手続きはどのようなものでしたか？

その後、弁護士さんが借金を圧縮できないかクレジットカード会社に働きかけてくれたのですが、支払わなければならない金額は変わりませんでした。

だからといって自己破産だと主人に迷惑が掛かるのではないかと抵抗があって。でも友人からも「失うものはないよ」と諭されて決断しました。

この時になって初めて主人にすべてを打ち明けました。

その後、弁護士さんに手続きを進めてもらって3～4ヶ月で自己破産の免責が下りて。

弁護士費用は法テラスが補助してくれる制度を利用したので、15万5千円くらいで済みました。それは無金利で月々5千円ずつ3年間かけて払いました。

結局主人のほうには何の影響も無かったのでホッとしています。

―　出会い系サイト詐欺について今はどのような考えをお持ちですか？

相手は私のように、正常な判断力を失った人間をターゲットにしているから本当に悪質だと思います。

しかし1枚目のカードが使えなくなった時点でもっと早く気付けば良かったという後悔が今でもあります。

正常な判断ができない状況でも、カードが簡単に利用できるということはとても怖いことですよね。

インタビューを終えて

ほっそりとした体で、明るくハキハキと答えてくださったせりすさん。真面目で一途な彼女のような人は、相手の言葉を真に受けてしまうところがあるのかもしれません。

せりすさんのように、出会い系サイトで法外な利用料を請求されるというようなケースは後を絶ちません。

こうした法外な請求を行う詐欺グループは、せりすさんのように、「正常な判断ができない精神的に不安定な人」や「お金に困っているなどの窮地に陥っている人」など「弱い立場の人」をターゲットにしています。

彼女の場合は友人の助けもあり、自己破産の手続きをすることによって事なきを得ましたが、もっと大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるのです。

インターネットや電話など、顔が見えない相手との交渉は、慎重さが必要です。

またクレジットカードやキャッシングカードは便利なものですが、せりすさんが言うように、正常な判断が出来ない状況でも利用できてしまうことも頭に入れておきましょう。

高額な支払いが発生する場合は、自分一人で判断せずに、家族や周囲の人にも相談してみることをおすすめいたします。

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