審査を受けた時、収入を偽るように業者から指示されました【体験談】

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無理に業者から借入れをすすめられ、多額の借金を抱えてしまった体験を語ってくれた松藤さん

消費者金融業界に勢いがあった1990年代~2000年代前半ごろ。

この頃は、どの貸金業者も顧客獲得のためにしのぎを削っていました。

なかには、利用者に年収を偽らせ、収入に見合わない金額を貸し付ける業者もあったようです。

今回は、業者に必要以上の借入れをすすめられ、多額の借金を抱えてしまった男性から話を聞くことができました。

体験者の情報

名前:松藤 健二(仮名)
性別:男性
当時の職業:会社員
当時の年齢:23~30歳
借入件数:消費者金融3件、クレジットカード1件
会社名:武富士、ダイエーOMCカード、消費者金融P社、消費者金融A社
利用時期:1998年~2005年頃
借金の合計額:200万円

10年以上前の消費者金融の実態

お話をうかがったのは、松藤健二(仮名)さん38歳。真面目で優しそうな印象の男性です。

現在はサービス業で働きながら、奥さんやお子さんたちと穏やかな生活を送っています。

しかし、そんな彼にもかつては200万円の借金がありました。

当時は強引に借入を勧めてくる業者も多く、「今日中に50万円借りて下さい」「年収は実際より多めに書いて」などと言っては、強引に貸付ける業者もあったようです。

今回は、当時の貸金業者の実態について、詳しく話を聞きました。

「父親は経営者」と言ったら審査に通った

― 初めて借入れをしたきっかけは?

気さくで、優しいパパという印象の松藤さん

遊興費や車の改造のためにお金が必要だったからです。

当時は父親から譲り受けたクラウンを若者仕様に改造することに夢中になっていたので、自分の稼ぎだけではどうしても足りなくて。

それで23歳の時に初めて武富士を利用しました。

― 当時の収入はどのくらいあったのですか?

高校卒業後、すぐ父の会社で働くようになっていたのですが、給料は手取りで10~12万円くらいしかありませんでした。

しかも実家に友達がよく出入りして、ご飯を食べたり泊まったりしていたので、母から「お金がかかる」と文句を言われ、家にも5万円ほど入れていたんです。

ですから、経済的にはかなり厳しい状況で。

― お父様にお給料を上げてもらうことはできなかったのですか?

長い間交渉していたけど、給料は上げてもらえませんでした。

父の会社は鉄筋関係で、従業員も10人くらいはいて、利益もそれなりにあったのですが、身内には厳しくて。

稼いだお金は毎月使い切ってしまって貯金どころではなかったですし、次の給料までに「足りないな」と感じるようになって。

それで武富士から借りることにしたんです。

― 武富士を選んだ理由は?

仲の良い友人が武富士を利用していて、自分も消費者金融で借りようと思っていることを話したら、「武富士だったらすぐに貸してくれるよ」と話してくれました。

申込みのときもその友人に付き合ってもらって、一緒に武富士の窓口まで行ったのですが、繁華街の古いビルにある、いかにも「サラ金」「ヤクザ」なイメージの店舗でした。

今はどの消費者金融のお店も綺麗で怖い雰囲気はないみたいですけど、当時(1998年頃)はそんなかんじのところが多かったように思います。

― どのような審査がありましたか?

申込用紙に、住所、氏名、年齢、職業、収入などの個人情報を記入しました。

ただし、職業の欄で「父親の経営する会社で働いている」と書くと、「どれくらいの規模の会社なのか?」「従業員は何人いるのか?」などやたらとしつこく聞かれましたね。

結局、父が会社を持っているから貸してもらえたような印象でした。

「今日中に50万円下ろしてください」

― 武富士の限度額はいくらでしたか?

最初は「限度額30万円」と言われたので、30万円だけ借りるつもりでした。

しかし帰り際、なぜか「表のATMで50万円を下ろしてください」と言われて。

さっきは「限度額30万円」と言われたので不思議に思いましたが、「必要なければ20万円は後日返せばいい」と言いくるめられて。結局 ワケのわからないまま50万円借りてしまいました(笑)

あとから聞いた話だと、武富士には支店ごとにノルマがあって、ノルマを達成させるためにそういう方法がまかり通っていたようなんです。

結構有名な話らしいですよ。今なら絶対ありえないと思いますが。

― 金利や月々の支払いは?

今思うと信じられないのですが、当時は金利が40%もあって。月々の支払いが2万2,000円くらいでしたが、そのうちの4割は利息だったんです。

でも当時の私は本当に無知で、「そんなものかな」くらいにしか思わなくて。

返済額もそこまで高くないので、それほど気にしていませんでした。

― お金は何に使ったのですか?

50万円借りたうちの30万円は、車にエアサスペンションをつけたり、ホイールをアルミに変えたりして使ってしまいました。残りの20万円も、2~3ヶ月の内に使ってしまいましたね。ほとんど遊興費だったと思います。

― その後 OMCカードからも借入れたようですが?

近所のダイエーによく行っていたのですが、そこでカードを勧誘されて、「ここ(ダイエー)で買い物をする機会も多いから便利かな?」となんとなく作ったかんじです。

手続きも簡単で、申込用紙を書いた30分後には店内放送で呼び出されて、サービスカウンターでカードを受け取ることができました。

金利についてはよく覚えていませんが、32%くらいだったと思います。

キャッシング機能もついていたのですが、最初のうちは翌月一括払いのショッピングしか使っていませんでした。

― OMCカードのキャッシングを利用するようになったきっかけは?

カードを作ってから半年くらい経った頃に、「限度額が50万円まで上げられますよ」という案内が届いたことがきっかけでした。

ちょうど武富士の返済が苦しかった時期で、だからといって返済が滞るのも怖かったので、OMCで借りて武富士の返済に充てるようになったんです。

最初は3万円とか5万円とか、必要な分だけちょこちょこ借りていました。

OMCの返済は月々1万5,000円でしたが、そのうち武富士から借りてOMCを返済するようにもなりましたね。

結局1年後くらいには、OMCも限度額の50万円に達してしまって。つまり武富士とOMC合わせて、借金の合計額が100万円になってしまったんです。

このあたりから本当に、支払いがきつくなっていきました。

年収を偽るように指示した消費者金融A社

― その後、消費者金融のA社で「おまとめ」しようとしたそうですが?

友達が多く、付き合いも多いという人の良さそうな松藤さん。

借金の合計が100万円に達した頃、武富士から「OMCで借りている50万円を、うちで借りて完済させませんか?」という案内がありました。この時に「借金をまとめる」という方法があることを初めて知ったんです。

でも武富士の「怖いイメージ」をどうしても拭えなくて。でもA社だったら明るいイメージで、大丈夫なんじゃないかと思ったんです。

― A社ではどんな審査・手続きがありましたか?

初めは、「A社でまとめられたらいいなぁ」くらいの気持ちで店舗を訪ねました。

それで「100万円をおまとめしたい」と相談したところ、「実際に申込まなければ限度額はわからない」と言われたので、とりあえず手続きだけしてみることになりました。

若く優しいかんじの男性が対応してくれて、申込書を書かされたのですが、その時に年収の欄に150万円と記入しようとしたら、「100万円を借りたいのなら、年収の欄には440万円と記入してください」と言われて。

他にも「両親の年収も700~800万円と記入するように」と指示されました。

しかし指示通りにしても、結局、限度額は50万円でおまとめすることはできなかったのですが。

― 金利や月々の返済額は?

金利は32%、月々の返済は2万1,000円でした。

でもA社から借りた50万円は、「おまとめ」に充てることなく、趣味や遊興費に使ってしまったんです。

結局A社から借入れしただけで終わったというか(笑)

偽りの年収を申告

― 続いて消費者金融P社からも借りたようですね?

返済を負担に感じていた27歳のころ、交通事故を起こして2ヶ月入院することになってしまいました。

あれだけお金をかけた車も廃車になってしまって。

入院費用だけは親が出してくれたのですが、収入も途絶えるし、その間の返済をどうするかが問題でした。

親には借金のことは内緒だったので...。

幸い友人が返済を立て替えてくれたのですが、退院後すぐに収入がある訳ではないし、結局はどこかで借りるしかなくて。

それで退院後すぐに、P社に申込みました。

― すでに3社から借入れがありますが、P社の審査はどうでしたか?

P社の審査は一番シビアでしたね。

すでに150万円の借金を抱えていたわけですし、最初は「貸付は厳しい」と渋られました。

でも今度は自分で「年収200万円以上」と偽って申し込んだので、限度額30万円で審査に通りました。

金利は27%で、当時としては一番低かったです。

申し込んだその日に一気に30万円を下ろしました。月々の返済額は1万5,000円です。

― 返済は順調でしたか?

「今の自分がいるのは母のおかげ・・・」お母さんにとても感謝している松藤さん

武富士、OMC、A社、P社すべてあわせて月に7万円近い返済がありましたから、正直厳しかったですね。

遅延や滞納はなかったのですが、あっちへ借りたのをこっちに返すという綱渡り状態でした。

しかも金利が高いので、返済しても全然元金が減らず、どの業者も常に限度額いっぱい。それで首が回らなくなってしまいました。

最後に助けてくれたのは母

― 最終的にはどうやって完済させたのですか?

結局、母親に相談したら、父には内緒で200万円貸してくれたんです。

それで2005年にすべての業者からの借入れを完済させることができました。借金をはじめて7年後のことです。

ただしその時に母が、「二度と貸さないで下さい」と直接業者に連絡を入れて...。

カードもすべて処分させられましたが、自分自身も懲りていたので、これ以降借入れたことはありません。

― 過払い金がかなりあると思いますが、過払い請求は?

してないですね。

インターネットのサイトで引き直し計算もしてみたので、だいぶ取り返せることはわかっているのですが、今後も過払い請求をする予定はないです。

高い金利に納得して借りたわけだから、今さらどうこう言うのも違う気がするし、自己責任とでも言いますか...。

― 当時を振り返って感想は?

借入れを重ねていた当時は、感覚がマヒしていたとしか思えません。

カードでキャッシングしても、「自分のお金を下ろしている」と錯覚してしまって、返済のことは頭から抜け落ちていました。

常に「どうやって現金を手にするのか」ばかり考えていましたね。

でも母のおかげで完済もできて、2010年に転職してからはそれなりに安定した生活を送っています。

もちろん借りた200万円はコツコツと母に返済していたのですが、それも4年前結婚する時に「もういいよ」とチャラにしてくれて。いまだに父は当時のことを知らないんですよ(笑)

今は妻や子供もいて、自分の給料だけで生活できています。

当たり前のことですが、それも当時助けてくれた母のおかげですね。今でも本当に感謝しています。

インタビューを終えて

松藤さんが話していたように、1990年代~2000年前半の消費者金融業界では、一部の業者で強引な貸付けが行われていたようです。

彼が店舗の窓口で言われたような、「限度額まですべて下ろしてください」という要求や、偽りの年収を書かせてまで借入れをすすめる行為はもちろん違法です。

現在は取締りが厳しいので、大手の消費者金融でこうした行為を行っている業者はありません。

もし借入れを強いるようなところがあれば、それは違法業者かもしれないので注意が必要です。

また松藤さんが消費者金融P社での借入れ時に行ったような、自分自身の年収を偽る行為も違法です。

キャッシングはルールを守って利用しましょう。

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