今回は、僕が高校３年生の時に経験した、日雇いアルバイトに関するとてもショッキングな出来事についてお話したいと思います。

【体験者の情報】
名前：上野 裕次郎（仮名）
性別：男性
アルバイトの内容：袋詰めになっているお米をベルトコンベアーに移動する
給与（１日）：8,000円
当時の年齢：１８歳

割の良いアルバイト

それは、部活仲間数人でいつものように集まり話をしているときでした。仲間の一人が突然、「皆でアルバイトやらないか？」と誘ってきたのです。

詳しく話を聞いていくと、仕事の内容は家の近所のお米屋さんで袋詰めになっているお米をベルトコンベアーに乗せるだけの簡単なもので、お給料は日給８千円即日支払い。

日給８千円で作業期間は３日間。
作業は学校が終わってから開始でその日の分が終了したら終わりになるというものでした。

「３日間働けば２万４千円ももらえる！」
そう考えた僕はその場でOKの返事をし、一緒に話を聞いていた他の３名も同意しました。

こうして僕は日雇いアルバイトをすることになったのです。

仕事は大変だったけどやりがいのあるアルバイト

アルバイトの当日、僕たち５名は自転車で３０分程の場所にある作業現場に向かいました。

まずはお米屋さんの奥さんにご挨拶をしたあと、仕事の進めかたを教えてもらいました。疲れてきたら適当に休憩をしても良いし、のどが渇いたらジュースも飲み放題、お腹がすいたら菓子パンも食べ放題の特典付きであることがわかり、何て気楽なアルバイトなのだろうと僕は心の中で小躍りしました。

しかし実際に作業が始まり３０分もすると汗だくになり、腕が疲れてだるくなってきました。やっぱり楽にはお金を稼げないものですね＾＾；

結局休憩を何度も取り、６時間位かけてこの日の作業は終了となりました。作業終了後に茶封筒に入ったアルバイト代を受け取り、この時ばかりは、達成感・充実感があったのを今も覚えています。

そして事件は起こった！

次の日も学校が終わると昨日と同じように自転車でお米屋さんに向かいました。

現場に到着すると、その日は菓子パンではなくおにぎりが大量に握って置いてありました。昨日の僕たち腹ペコアルバイト軍団の食べっぷりをみて奥さんが用意してくれたのだろうと思います。僕たちはお腹が空いていたので、遠慮しないで食べました。

そして、３回目の休憩が終了してすぐのころ。
突然叫び声が聞こえてきました。

僕は最初、誰かがふざけているのかと思ったのですがどうも様子が違います。

叫び声のあとに、「機械を止めてくれ！」という声が聞こえ、そのあと一番近くにいた仲間の一人が、大変だと叫びながらお店に駆け込んで行くのが見えたのです。

僕は何事かと思い、ベルトコンベアーに近づいてよく見ると、ベルトコンベアーが血まみれになっていて小指のない手がみえました。そして、その本人は意外にも落ち着いた声で「指がとれちゃった。」と言っていました。

一瞬頭がパニックになりましたが、すぐに「仲間のひとりの指が機械に巻き込まれた」のだとわかりました。

お店からタオルをもってきた仲間が、すぐにその手首の周辺をタオルでぐるぐる巻きにして応急処置をし、お米屋さんの従業員の人が急いで店の配達用の車に仲間を乗せ病院へ行く準備をしていました。

私は実際に目にしていないのですが、取れた小指を拾い上げ氷が入った袋に入れ一緒に病院に持っていたようです。

それからは皆無言で作業を再開しました。
もちろんコンベアー付近は水で良く洗い流してからですが。

一応そのあとは何もなく、無事その日の作業が終了し、昨日同様に茶封筒に入れられたアルバイト代が支給されました。

それと同時に今後のアルバイトは中止だと聞かされました。
無理もありません。
帰りは、４人とも一言も喋らず無言で自転車を運転して帰りました。

事故のその後

事故の責任問題については結局大人同士で話し合って解決したのだろうと思います。

本人は事故翌日より入院したので僕は早速お見舞いにむかいました。落ち込んでいるだろうな・・・と思っていたのですが、意外にも元気で笑いながら事故の事を話していました。

詳しい手術の内容はわからないのですが、取れてしまった指はなんとかつけることができたようです。それを聞いて少しホッとしました。ただ、指の動き方など、「そのまま元のように」とはいかなかったようですが・・・。

日雇いアルバイトをやるときは

巷では日雇いアルバイトや即日支払いのアルバイトが流行っていますが、もしやるならちゃんとした派遣会社に登録して行ったほうがいいと思います。

また、アルバイトを始める前に労災などの保険がしっかりしているのかキチンと調べてから仕事をしたほうが良いでしょう。（おそらく登録の際の契約書などに書かれているかと思いますので、そこをよく確認するようにするようにしましょう。

他にも契約書にはさまざまなきまり、約款が載っていると思いますので、面倒だと思わずにひと通り確認するようにしましょう。また、わからないことがあれば何でもその会社の社員さんに聞いてみて下さい。疑問点・不審点があるまま仕事をしてはいけません。）