更新日:2020/03/10
定年後も働きたい人は絶対得する!高年齢雇用継続給付制度とは?
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評価を設定してください ×「定年後に会社から再雇用の打診がありました。その場合は年収が3分の1になるものの、収入の減額分を補助する雇用保険制度があるそうです。おいくらほど支給されるのでしょうか?」
「来年定年を迎えた後も今の会社で再雇用されることになり、高年齢雇用継続給付を受けられるようなのですが、高年齢雇用継続給付の申請には、どんな手続きが必要なのか教えてください」
「高年齢雇用継続給付制度の利用中です。この制度は賃金が以前と比べて75%未満でないと支給されませんよね。75%以上になった場合、そこで受給資格を失うのでしょうか?」
基礎年金の受給開始年齢が徐々に引き上げられている今のご時世。
最近は60歳以降も働き続けることを覚悟している方が増えてきたように思います。
しかし、高齢になってから仕事をしようにも、雇ってもらえる会社があるのかはわかりませんよね。
60歳を過ぎてから希望の条件に合う新たな勤務先を探すのは、カンタンなことではありません。
また、継続雇用が決まったり再就職先が見つかったりしたとしても、収入が大幅にダウンしてしまうことが多いんですよね。
そこで今回は、そんな方の心強い味方となる高年齢雇用継続給付制度について解説していきたいと思います。
高年齢雇用継続給付は、収入が下がってしまった60歳以上65歳未満の人を対象に、雇用保険から給付を受けられる制度です。
ちなみに、ここまで読んで「年齢的に自分にはまだ早いかな・・・」と思った方がいましたら、それは少し違うかもしれません。
60歳以上の方が対象の制度のことは、60歳になってから把握すればいい。
そう思う気持ちは、とてもよくわかります。
なぜなら、この記事を執筆しはじめた時点ではアラフォー前半の私もまったく同じことを考えていたからです。
しかし、今回の取材を経て、高年齢雇用継続給付については、できるだけ早めに知っておくべきと確信しました。
なぜなら、60歳になってから準備しようとしても取り返しがつかない可能性があるからです・・・。
こんにちは。
今回は現役のファイナンシャルプランナーの方への取材をもとに、高年齢雇用継続給付に関するポイントをお伝えさせていただく当サイト・ファイグー編集部のささきです。
この記事をご覧になっているのは、60歳以降も働く場合に雇用保険から給付を受けられることを聞き、その詳細を知りたいと思っている方ではないでしょうか。
あるいは、失業中に給付を受けられる制度がないかを調べている過程で、この記事に辿り着いた方もいらっしゃるかもしれません。
高年齢雇用継続給付制度は、雇用保険制度のひとつとして厚生労働省のホームページにも載っています。
でも、高年齢雇用継続給付のページをご覧になった方なら共感いただけると思いますが、厚労省のホームページは専門用語が多すぎて内容がよくわからない・・・。
正直、一度読んだぐらいではまったく理解できませんでした。
「それなら、私がもっとわかりやすく解説しよう!」
「少なくともこの記事を読んでおけば、おおまかに理解できるようにしよう!」
そう思ったのが今回筆を執ったきっかけです。
ですから、今回はなるべくカンタンな言葉で、噛み砕きながら高年齢雇用継続給付制度についてお伝えしていきます。
また、「60歳なんてまだまだ先・・・」と思っているあなたにも、高年齢雇用継続給付制度に関して知っておいてほしいことがあります。
それは、雇用保険の加入期間に関する条件です。
実は高年齢雇用継続給付も高年齢再就職給付も、給付を受けるためには『連続5年以上の雇用保険加入期間』が必要なんですよね。
この条件を満たしていないまま60歳になると、最悪の場合は給付を受けられません・・・。
このように年齢を問わず把握しておくべき高年齢雇用継続給付制度のポイントを解説していきますので、ぜひ最後までご覧になってみてくださいね。
それでは、本編に参りましょう。
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内田 恵子編集者
東京生まれ。アラフィフ。出版社勤務の後独立。編集・ライター歴30年。ファイグーでは「わかりにくいお金の話を、わかりやすくお伝えすること」「少しでも役に立つ情報をお届けすること」をモットーに、より具体的で、身近に感じていただける記事を目指しています。猫派で今は元ノラを多頭飼い中。日々癒してもらってます。
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ささき 英雄編集者
七夕生まれ、編集・ライティング歴10年。前職ではグルメ雑誌の制作に携わっていましたが、30歳の誕生日をきっかけに独立しました。ファイグーでは「自分の仕事は書くことではなく伝えること」という意識で記事に取組んでいます。担当記事は、利息や審査などライバル記事だらけのテーマが多いです。そのため、「他のどの記事よりも正しい」のは当然として、さらに「どうすれば読みやすくなるか」を日々追求しています。
高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付。似ているけど異なる2つの高年齢者向け給付制度
高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付か・・・。
さっぱりワカラン・・・。
たしかに、どちらもすごく似ているし、わかりづらいよね。
カンタンにいうと、どちらも収入が75%未満に下がってしまった60歳から65歳の人を対象に、雇用保険から給付を受けられる制度のことなんだ。
なるほど。
60歳を超えると仕事に就くのも難しいし、仕事が見つかったとしても収入が下がる・・・なんて話も聞くからなぁ・・・。
うん。そのうえで、高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付のなにが違うかというと、
失業手当を受取らないで60歳以降も働き続けている人に支給されるのが、高年齢再就職給付。
失業手当を受取っている人が60歳以降に再就職した場合に支給されるのが、高年齢再就職給付金なんだ。
なーんだ。
違いは「失業手当を受取ったかどうか」だけなんだろ?
それならカンタンだな!
いやいや、それだけで説明できるならカンタンなんだけど・・・。
実際には雇用保険への加入期間の条件があったり、賃金がどれだけ減ったかによって支給額が変わったり、すごく複雑な制度なんだ。
そうなの・・・?
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの藤澤さんに高年齢雇用継続給付制度のポイントをわかりやすく教えてもらったよ。
どんな人が制度を利用できるのか、どれくらい給付を受けられるのかを説明していくから、がんばってついてきてね。
・・・おう(不安でしかない)
高年齢雇用継続給付制度は、以前よりも収入が下がってしまった60歳以上65歳未満の人を対象に、雇用保険から給付を受けられる制度のことです。
ただし、この制度のなかには高年齢雇用継続給付のほかに高年齢再就職給付があり、それぞれ受給資格や受給額の条件が異なります。
ここではまず、2つの給付制度にどんな違いがあるのかを解説していきますので、いっしょに確認していきましょう。
高年齢雇用継続基本給付は『失業手当を受給せず働き続ける場合』に支給される
それでは、高年齢雇用継続基本給付からみていきたいと思います。
受給資格を以下にまとめてみました。
- 60歳以上65歳未満で雇用保険に加入している
- 失業手当を受給せず、60歳以降も働いている
- 60歳になった時点を含めて雇用保険への加入期間が連続5年以上ある
- 60歳以降の賃金月額が『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金』の75%未満になっている
対象となるのは失業手当を受給せず働いている60歳以上65歳未満の人
高年齢雇用継続給付は、失業手当を受け取らず60歳以降も働き続ける場合に支払われる給付金です。
もっとも多いのは、60歳まで勤務していた会社で60歳以降も継続雇用されるケースですね。
ただし、かならずしも同じ会社で継続雇用される必要はありません。
たとえば、60歳の定年後に他の会社へ再就職した場合も、以下の条件を満たしていれば給付の対象となります。
- 離職期間が1年以内
- 離職期間中に失業手当を受給していない
60歳になった時点を含めて雇用保険への加入期間が連続5年以上
60歳の時点を含めて雇用保険に連続5年以上加入していることも、高年齢雇用継続給付を受けるための条件です。
以下のように、60歳になる5年以上前から雇用保険に継続加入している場合は、60歳になった時点で受給資格が発生します。
勤務先 | A社 | A社にて継続雇用 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 54歳 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 |
雇用保険への加入期間 |
5年以上⬆ 受給資格発生 |
ここで注意したいのは、失業や再就職などで雇用保険への未加入期間があることです。
勤務先 | A社 | B社 | B社にて継続雇用 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 54歳 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 |
雇用保険への加入期間 | 3年 |
2年⬆ 受給資格発生 |
上記のような場合、54歳の時点で雇用保険への加入期間が5年以上あったとしても、60歳時点での雇用保険加入期間は連続3年です。
そのため、60歳以降、雇用保険への加入期間が連続5年以上になるまで高年齢雇用継続給付は受けられません。
雇用保険への未加入期間が1年以下でも『連続』でカウントされる場合あり
雇用保険への未加入期間があったとしても、以下3つの条件を満たしている場合は『雇用保険への加入期間が連続している』とみなされます。
- 前職の退職後1年以内に再就職し、雇用保険へ加入している
- 離職期間中に求職者給付(※1)を受給していない
- 再就職後に再就職手当(※2)や就業促進定着手当(※3)を受給していない
これらの条件を満たしていれば、1年以下の未加入期間を含めて加入期間が連続5年になった時点から高年齢雇用継続給付を受けられます。
勤務先 | A社 | B社 | B社にて継続雇用 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 54歳 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 |
雇用保険への加入期間 | 3年 |
2年⬆ 受給資格発生 |
勤務先 | A社 | B社 | B社にて継続雇用 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 54歳 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 |
雇用保険への加入期間 | 2年 |
3年⬆ 受給資格発生 |
※1
求職者給付とは、失業手当や傷病手当など失業中や休職中に受取れる給付金のこと。
※2
再就職手当とは、再就職後、失業給付の支給残日数に応じて受取れる給付金のこと。
※3
就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が前職より下がった場合に受取れる給付金のこと。
賃金月額が『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金の75%未満』になっている
高年齢雇用継続給付は以下のように、60歳以降の賃金が『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金』と比べて75%未満に下がってしまった場合に支払われます。
- 60歳到達前の平均賃金が40万円・・・60歳以降の賃金月額が30万円未満の場合
- 60歳到達前の平均賃金が30万円・・・60歳以降の賃金月額が22万5,000円未満の場合
- 60歳到達前の平均賃金が20万円・・・60歳以降の賃金月額が15万円未満の場合
ちなみに、60歳時点の賃金が『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金の75%未満』でも、それ以降に賃金が75%未満に下がった場合は高年齢雇用継続給付の対象となります。
以下は、60歳到達前の平均賃金が40万円だった場合の例です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
月額賃金 | 30万円 | 30万円 | 30万円 | 28万円 | 28万円 | 28万円 | 28万円 |
平均賃金に対する割合 | 75% | 75% | 75% | 70% | 70% | 70% | 70% |
高年齢雇用継続給付 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
このケースだと、3月までは『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金』の75%が支払われているため、高年齢雇用継続給付を受けることはできません。
しかし、賃金月額が『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金』の70%に下がった4月以降は給付を受けることが可能です。
また、下記のように60歳以降の賃金が月によって変動する場合も、賃金月額が『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金の75%未満』になっている月は高年齢雇用継続給付の対象となります。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
月額賃金 | 30万円 | 28万円 | 35万円 | 20万円 | 25万円 | 30万円 | 28万円 |
平均賃金に対する割合 | 75% | 70% | 87.5% | 50% | 62.5% | 75% | 70% |
高年齢雇用継続給付 | × | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ |
なお、ここでいう賃金に賞与(ボーナス)は含まれません。
ただし、以下のようなものはすべて賃金として計算されます。
- 基本給
- 残業手当(休日手当、深夜手当など)
- 扶養手当
- 住宅手当
- 役職手当(管理職に支払われる手当)
- 技能手当(有資格者に支払われる手当)
- 通勤手当
『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金』には上限額と下限額がある
『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金』には、以下のように上限と下限が設定されています。
- 上限額・・・47万6,700円
- 下限額・・・7万5,000円
60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金が47万6,700円以上の場合は、一律、『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金=47万6,700円』、7万5,000円以下の場合は、一律、『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金=7万5,000円』として計算します。
ちなみに、この基準は2019年8月1日時点でのものです。
ファイナンシャルプランナーの藤澤さん
上限額と下限額の基準は毎年8月1日に見直されますので、毎年かならず確認するようにしましょう。
給付を受けられるのは最大で61ヶ月分まで
高年齢雇用継続給付を受けられるのは、60歳になる月から65歳になる月までです。
たとえば、誕生日が1月の場合は以下のとおりです。
- 60歳・・・1月~12月までの12ヶ月分
- 61歳・・・1月~12月までの12ヶ月分
- 62歳・・・1月~12月までの12ヶ月分
- 63歳・・・1月~12月までの12ヶ月分
- 64歳・・・1月~12月までの12ヶ月分
- 65歳・・・1月のみ1ヶ月分
このように、給付を受けられる回数は61回(61ヶ月分)が最大です。
60歳以降、『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金の75%以上』の賃金が支払われる月が多いほど、給付を受けられる回数は少なくなります。
また、『雇用保険への加入期間が連続5年以上』の条件を満たすのが遅くなるほど、給付回数は減りますので注意してください。
給付金は2ヶ月ごとに銀行振込で受取る
高年齢雇用継続給付の給付金は、2ヶ月ごとに指定の銀行口座へ振込まれます。
申請方法は『受給の申請は勤務先を管轄しているハローワークでおこなう』の章でまとめていますので、そちらをご確認ください。
高年齢再就職給付は『失業手当受給中に再就職した場合』に支給される
次は、高年齢再就職給付についてみていきたいと思います。
受給資格は以下のとおりです。
- 60歳以上65歳未満で雇用保険に加入している
- 前職の退職時点で雇用保険への加入期間が連続5年以上
- 前職の退職後に失業手当を受給し、60歳以降に再就職をしている
- 前職の退職から1年以内に再就職をしている
- 再就職した日の前日時点で、失業手当の残日数が100日以上残っている
- 再就職先で1年を超える継続雇用が確定している
- 再就職先の賃金月額が『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』の75%未満
- 再就職後、再就職手当を受給していない
前職の退職時点で雇用保険への加入期間が連続5年以上ある
ひとつめの条件は、雇用保険への連続加入期間。
高年齢雇用継続給付と異なるのは、前職を退職した時点で雇用保険への加入期間が連続5年以上でなければいけない点です。
勤務先 | A社 | B社 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 |
雇用保険への加入期間 | 5年以上 | ⬆ 受給資格発生 |
たとえば、上記のようにA社を退職した時点で雇用保険へ5年以上加入していれば、加入期間に関する条件は満たせます。
勤務先 | A社 | B社 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 |
勤務先 | 4年 |
しかし、このようにA社の退職時点で雇用保険への加入期間が5年に満たない場合、高年齢再就職給付を受けられません。
『前々職 ⇒ 前職』の雇用保険未加入期間が1年以下の場合は『連続として』で計算される場合あり
前職を退職するまでの雇用保険への未加入期間について、以下3つの条件を満たしている場合は『雇用保険への加入期間が連続している』とみなされます。
- 前々職の退職後1年以内に前職へ再就職し、雇用保険へ加入している
- 前職へ再就職するまでの離職期間中に求職者給付(※4)を受給していない
- 前職への再就職後に再就職手当(※5)や就業促進定着手当(※6)を受給していない
勤務先 | A社 | B社 | C社 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 54歳 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 |
勤務先 | 2年 | 3年 | ⬆ 受給資格発生 |
つまり、上記のようなケースでA社の退職後に求職者給付・再就職手当・就業促進定着手当を受給せず、1年以内にB社へ就職した場合、雇用保険の加入期間に関する条件は満たせるということです。
※4
求職者給付とは、失業手当や傷病手当など失業中や休職中に受取れる給付金のこと。
※5
再就職手当とは、再就職後、失業給付の支給残日数に応じて受取れる給付金のこと。
※6
就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が前職より下がった場合に受取れる給付金のこと。
前職の退職後、1年以内に再就職し、さらに失業手当の残日数が100日以上
前職を辞めてから再就職するまでの間に満たさなければいけない条件もあります。
それが以下の3つです。
- 前職の退職後に失業手当を受給し、60歳以降に再就職をしている
- 前職の退職から1年以内に再就職をしている
- 再就職した日の前日時点で、失業手当の残日数が100日以上残っている
『前職の退職時点で雇用保険への加入期間が連続5年以上ある』の条件を満たしていても、以下のように1年以内の再就職ができなかった場合は給付を受けられません。
勤務先 | A社 | B社 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 55歳 | 56歳 | 57歳 | 58歳 | 59歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 |
雇用保険への加入期間 | 5年以上 |
また、たとえ1年以内に再就職したとしても、失業手当の残日数が100日未満の場合は給付を受けられませんので注意しましょう。
再就職先の雇用条件が安定していて、賃金月額が前職よりも下がった人が対象
再就職後に関しても以下3つの条件があります。
- 再就職先で1年を超える継続雇用が確定している
- 再就職先の賃金月額が『前職の直近6ヶ月間の平均賃金の75%未満』
- 再就職後、再就職手当を受給していない
まず、再就職先とは安定した条件で雇用契約を結んでいる必要があり、最低でも1年を超える継続雇用が確定している必要があります。
また、高年齢再就職給付を受けられるのは、再就職後の賃金月額が『前職の直近6ヶ月間の平均賃金の75%未満』の場合のみです。
賃金の条件については、高年齢雇用継続給付と同じように見えるかもしれませんが・・・。
- 高年齢雇用継続給付・・・『60歳到達前の直近6ヶ月間の平均賃金』が基準
- 高年齢再就職給付・・・『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』が基準
このように平均賃金の算出対象が異なりますので注意してください。
『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』には上限額と下限額がある
高年齢雇用継続給付と同じように、高年齢再就職給付にも『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』の上限と下限が設定されています。
上限額も下限額も、高年齢雇用継続給付と共通です。
- 上限額・・・47万6,700円
- 下限額・・・7万5,000円
ファイナンシャルプランナーの藤澤さん
高年齢再就職給付を受ける場合も、毎年8月1日に上限額と下限額の基準を確認しておきましょう。
高年齢再就職給付と再就職手当の両方を受給することはできない
高年齢再就職給付の受給資格がある人のなかには、以下のような再就職手当の給付条件を同時に満たしている人もいます。
- 失業手当の残日数が3分の1以上
- 再就職先で1年を超える継続雇用が確定
- 『失業手当の受給手続き後7日間』の待期期間を満了
- 前職を自己都合退職していて失業後1ヶ月以内に再就職が決まった場合、再就職先がハローワークまたは人材紹介会社から紹介された会社である
- 前職とはまったく関係性のない会社へ再就職している
- 再就職日から数えて3年位内に、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていない
- 再就職先が、失業手当の受給資格確定前から採用が内定していた会社ではない
ただし、高年齢雇用継続給付と再就職手当は、どちらか一方しか受取ることができませんので注意しましょう。
ファイナンシャルプランナーの藤澤さん
受給額は、年齢・前職の平均賃金・失業手当の給付日数・失業手当の残日数・再就職後の賃金月額などの条件によって変わります。
そのため、高年齢雇用継続給付と再就職手当のどちらが有利になるかは、一概には言えません。
それぞれ具体的な受給額を知りたい場合は、管轄のハローワークへ問い合わせましょう。
なお、再就職手当の申請期限は『再就職日の翌日から1ヶ月以内』となっていますので、再就職が決まったらなるべく早めにハローワークで相談してください。
給付を受けられるのは最大で24ヶ月分まで
高年齢再就職給付を受けられる期間は、失業手当の残日数によって以下のように異なります。
- 失業手当の残日数が200日以上・・・再就職日の翌日から2年が経過する月まで
- 失業手当の残日数が100日以上200日未満・・・再就職日の翌日から1年が経過する月まで
たとえば、2020年3月5日に再就職をした場合の給付期間は以下のとおりです。
- 2020年3月4日時点での失業手当残日数が200日以上・・・2022年3月まで受給可能
- 2020年3月4日時点での失業手当残日数が100日以上200日未満・・・2021年3月まで受給可能
ただし、高年齢再就職給付を受けられるのは65歳になる月までです。
給付期間の途中で65歳になった場合は、たとえ給付期間が残っていたとしてもその月で給付が打ち切られますので注意してください。
給付金は2ヶ月ごとに銀行振込で受取る
高年齢再就職給付の給付金も、2ヶ月ごとに指定の銀行口座へ振込まれます。
申請方法は、後ほど『受給の申請は勤務先を管轄しているハローワークでおこなう』で解説しますので、そちらをご確認ください。
賃金の低下率が大きいほど給付額も多くなる
給付資格の条件だけみても、高年齢再就職給付と高年齢再就職給付でまったく違うんだな。
しかも、どっちも条件がすごく細かい・・・。
一度説明を受けただけで理解するのは難しいよね。
だから、まず「失業手当を受取っているかどうか」で利用できる制度を絞り込んで、あらためて給付資格や給付額の条件を見直したほうがいいかもしれない。
そうだな・・・。
ちなみに、給付ってどれくらいもらえるんだ?
さっきの説明に戻るけれど、こんな条件があったよね。
- 高年齢雇用継続給付は、賃金月額が『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金の75%未満』の場合に給付される
- 高年齢再就職給付金は、賃金月額が『前職の直近6ヶ月間の平均賃金の75%未満』の場合に給付される
あー、そんなこといってたな。
この平均賃金を基準に、今現在もらっている賃金月額の低下率が大きい人ほど、たくさんの給付を受けられるようになっているんだ。
なるほど・・・。
支給率は『支払われた賃金月額の15%』が最大
高年齢雇用継続給付も高年齢再就職給付も、支給額は以下のように計算されます。
- 支給額=実際に支払われた賃金月額×賃金の低下率に応じた支給率
そして、以下のように賃金の低下率が大きいほど、支給率が高くなるように設定されています。
賃金の低下率 | 支給率 | 賃金の低下率 | 支給率 |
---|---|---|---|
75%以上 | 0.00% | 67.5% | 7.26% |
74.5% | 0.44% | 67.0% | 7.80% |
74.0% | 0.88% | 66.5% | 8.35% |
73.5% | 1.33% | 66.0% | 8.91% |
73.0% | 1.79% | 65.5% | 9.48% |
72.5% | 2.25% | 65.0% | 10.05% |
72.0% | 2.72% | 64.5% | 10.64% |
71.5% | 3.20% | 64.0% | 11.23% |
71.0% | 3.68% | 63.5% | 11.84% |
70.5% | 4.17% | 63.0% | 12.45% |
70.0% | 4.67% | 62.5% | 13.07% |
69.5% | 5.17% | 62.0% | 13.70% |
69.0% | 5.68% | 61.5% | 14.35% |
68.5% | 6.20% | 61%以下 | 15.00% |
68.0% | 6.73% |
たとえば、『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金=40万円』の場合、高年齢雇用継続給付の支給額は以下のとおりです。
- 60歳以降の賃金月額が24万円の場合・・・支給額は3万6,000円(24万円×15%)
- 60歳以降の賃金月額が26万円の場合・・・支給額は2万6,130円(26万円×10.05%)
- 60歳以降の賃金月額が28万円の場合・・・支給額は1万3,076円(28万円×4.67%)
- 60歳以降の賃金月額が30万円以上の場合・・・支給なし(賃金の低下率が75%以上のため)
本人や会社の都合により賃金が減額された場合は支給額が下がる
以下のような理由で賃金が減額された場合は、高年齢雇用継続給付や高年齢再就職給付の支給額が下がります。
- 本人の私的な都合による欠勤・遅刻・早退などで賃金が減額された場合
- 本人の疾病や負傷による欠勤・遅刻・早退などで賃金が減額された場合
- 妊娠・出産・育児・介護などによる欠勤・遅刻・早退などで賃金が減額された場合
- 勤務先の休業などにより賃金が減額された場合
こちらも例を挙げながら、なぜ支給額が下がるのかを説明していきますね。
まず、『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金=40万円』『60歳以降の賃金月額が28万円』の場合、高年齢雇用継続給付で支給される金額は1万3,076円(28万円×4.67%)です。
しかし、本人の欠勤が理由で賃金が減額され、26万円しかになったとします
この場合、単純に先ほどの賃金低下率・支給率を当てはめて計算すると、2万6,130円(26万円×10.05%)が支給されるはずですよね。
ところが、実際の支給額は1万2,142円です。
なぜなら、このケースで賃金が減額された場合は、以下の式で支給額を算出するからです。
- 減額後の賃金月額(26万円)×減額前の賃金に応じた支給率(4.67%)=支給額(1万2,142円)
このように、賃金が減額された場合、理由によっては支給額も減額されることもありますので注意しましょう。
『実際に支払われた賃金月額+支給額』にも上限額と下限額がある
ちなみに、『実際に支払われた賃金月額+支給額』も上限と下限が決まっています。
- 上限額・・・実際に支払われた賃金月額+支給額=36万3,359円
- 下限額・・・実際に支払われた賃金月額+支給額=2,000円
上限額・下限額は、高年齢雇用継続給付でも高年齢再就職給付でも同じで、上記の基準は2019年8月1日時点のものです。
こちらも毎年8月1日に見直されますので、前章でお伝えした『平均賃金の上限額・下限額』と合わせてかならず確認するようにしてください。
受給の申請は勤務先を管轄しているハローワークでおこなう
フムフム。
なんとなくだけれど、高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付のことがわかってきた気がする。
それなら、最後に給付の申請方法についても確認していくよ。
そういえば、どうやって申請するのかはまだ教えてもらってなかったな。
どこかへ行って手続きをするのか?
申請先は、勤務先の会社があるエリアを管轄しているハローワークでおこなうんだ。
でも、申請に必要なのは基本的に必要書類の提出だけなんだよね。
だから、申請は郵送や窓口だけじゃなくて、インターネット経由でも申請できるよ。
ハローワークまで行くの面倒だから、インターネットで手続きが完結するならありがたいぜ。
ここでは、手続きの流れと合わせて、申請にどんな書類が必要なのかを確認していくよ。
高年齢雇用継続給付の受給申請方法
それでは、高年齢雇用継続給付の申請方法から確認していきましょう。
高年齢雇用継続給付の申請を初めておこなう場合
高年齢雇用継続給付の申請を初めておこなう場合は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から数えて4ヶ月以内に、勤務先の会社を管轄しているハローワークへ以下の書類を提出してください。
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
- 賃金の支払状況がわかる書類
- 年齢を確認できる本人確認書類
❶高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書は、下記の書類です。
※下の画像はタップで大きくなります。
こちらはハローワークの窓口で入手できますし、以下のページからダウンロードすることも可能です。
e-Gov 電子政府の総合窓口
『雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書の提出及び高年齢雇用継続給付受給資格確認』
https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?DISPLAY=DETAIL&SYORIMODE=&SEQNO=0000015054&keywordOr=&dspcnt=&frompos=&CLASSNAME=GTAMSTDETAIL&id=4950000020663&fromGTAMSTLIST=&fromGRPTETMSTLIST=true&keywordNameIn=&displayHusho=&grpid=4950000008&keyword=&serverState=1
上記ページで確認できる記載例と照らし合わせながら、必要事項を記入しましょう。
『個人番号(マイナンバー)』が必須となっていますので、記入漏れのないように注意してください。
❷雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書は、以下の書類です。
※下の画像はタップで大きくなります。
こちらもハローワークの窓口、または以下のホームページからのダウンロードで入手可能です。
e-Gov 電子政府の総合窓口
『雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書の提出及び高年齢雇用継続給付受給資格確認』
https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?DISPLAY=DETAIL&SYORIMODE=&SEQNO=0000015054&keywordOr=&dspcnt=&frompos=&CLASSNAME=GTAMSTDETAIL&id=4950000020663&fromGTAMSTLIST=&fromGRPTETMSTLIST=true&keywordNameIn=&displayHusho=&grpid=4950000008&keyword=&serverState=1
上記ホームページにある記載例を見ながら、必要事項を記入してください。
❸賃金の支払状況がわかる書類
雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書へ記載した内容が正しいことを証明する書類も必要です。
雇用契約書や給与明細書など、『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金』および『60歳以降の賃金月額』がわかるものを用意しましょう。
❹年齢を確認できる本人確認書類
以下のような本人確認書類も提出する必要があります。
- 運転免許証
- 住民票記載事項証明書
上記のいずれも用意できない場合は、『公的機関が発行した証明書』かつ『本人の年齢が確認できるもの』を提出してください。
高年齢雇用継続給付の申請が2回目以降の場合
高年齢雇用継続給付の給付金は2ヶ月ごとに指定の銀行口座へ振込まれます。
ただし、これは一度申請すれば、それ以降も自動的に振込まれるわけではなく、2ヶ月ごとに給付の申請をしなければいけません。
指定された申請日までに書類を提出する
2回目以降の給付申請は、ハローワークから送られてくる次回支給申請日指定通知書に記載されている期日までにおこなってください。
申請に必要なのは次の2点の書類提出のみです。
❶年齢雇用継続給付支給申請書
ひとつめは、高年齢雇用継続給付支給申請書です。
これは、初回の申請で給付が決定した後にハローワークから送られてくる書類なので、あらためて準備する必要はありません。
❷賃金の支払状況がわかる書類
2つ目は、雇用継続給付の対象月の賃金月額を証明する書類です。
こちらは給与明細書など、賃金の支払状況がわかるものを提出しましょう。
書類に不備がなければ最短3週間後に給付金が振込まれる
必要書類の提出から給付金の振込みまでにかかる時間は、初回申請時も2回目以降も同じです。
書類提出日から数えて、最短3週間で給付金が振込まれます。
ファイナンシャルプランナーの藤澤さん
提出した書類に不備がなければ、ハローワークの審査にかかる期間は必要書類を提出してから2~3週間ほどです。
また、給付の決定から1週間ほどで、指定した銀行口座へ給付金が振込まれます。
書類に不備がなければ最短3週間後に給付金が振込まれる
必要書類の提出から給付金の振込みまでの時間は、初回申請時と同じです。
書類提出日から数えて最短3週間で給付金が振込まれます。
高年齢再就職給付の受給申請方法
次は、高年齢再就職給付の申請方法です。
高年齢再就職給付の申請を初めておこなう場合
高年齢再就職給付の申請を初めておこなう場合、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から数えて4ヶ月以内に、勤務先の会社を管轄しているハローワークへ以下の書類を提出しなければいけません。
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 再就職後の賃金の支払状況がわかる書類
- 年齢を確認できる本人確認書類
❶高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書は、『高年齢雇用継続給付の申請を初めておこなう場合』のところで説明した書類と同じものです。
ハローワークの窓口または以下のホームページからダウンロードして、必要事項を記入してください。
なお、高年齢再就職給付を受ける場合も、『個人番号(マイナンバー)』の記入は必須となっています。
e-Gov 電子政府の総合窓口
『雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書の提出及び高年齢雇用継続給付受給資格確認』
https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?DISPLAY=DETAIL&SYORIMODE=&SEQNO=0000015054&keywordOr=&dspcnt=&frompos=&CLASSNAME=GTAMSTDETAIL&id=4950000020663&fromGTAMSTLIST=&fromGRPTETMSTLIST=true&keywordNameIn=&displayHusho=&grpid=4950000008&keyword=&serverState=1
❷雇用保険受給資格者証
雇用保険受給資格者証は、失業手当の受給確定後にハローワークから発行される書類です。
高年齢再就職給付の対象となるのは、失業手当を受給している人でしたよね。
つまり、これはすでに手元にある書類なので、あらためて準備する必要はありません。
❸再就職後の賃金の支払状況がわかる書類
再就職後の賃金月額を証明する書類も必要です。
雇用契約書や給与明細書などを用意しておきましょう。
❹年齢を確認できる本人確認書類
以下のような本人確認書類も提出する必要があります。
- 運転免許証
- 住民票記載事項証明書
上記のいずれも用意できない場合は、『公的機関が発行した証明書』かつ『本人の年齢が確認できるもの』を提出してください。
高年齢再就職給付の申請が2回目以降の場合
高年齢再就職給付の場合も、2ヶ月ごとに給付の申請が必要です。
ハローワークから送られてくる次回支給申請日指定通知書に記載されている期日までに申請を済ませましょう。
申請に必要な書類は高年齢雇用継続給付の2回目以降と同じで、以下の2点です。
- 高年齢雇用継続給付支給申請書・・・初回の申請で給付が決定後にハローワークから送られてくる書類
- 賃金の支払状況がわかる書類・・・給与明細書など、賃金の支払状況がわかるもの
書類に不備がなければ最短3週間後に給付金が振込まれる
必要書類の提出から給付金の振込みまでにかかる時間も、高年齢雇用継続給付と同じです。
初回も2回目以降の場合も、書類提出日から数えて最短3週間で給付金が振込まれます。
高年齢雇用継続給付・高年齢再就職給付の申請はインターネット経由で済ませることも可能
高年齢雇用継続給付や高年齢再就職給付の申請は、郵送やハローワークの窓口での申請だけでなく、インターネット経由で完結させることもできます。
「ハローワークの窓口まで行く時間がない・・・」
「申請期限が迫っていて、郵送では間に合わない・・・」
このような場合は、インターネット上で給付の申請をしてみてください。
高年齢雇用継続給付は、『e-Gov』の以下のページから申請できます。
e-Gov 電子政府の総合窓口
『雇用保険高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金)の申請』
https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAMSTDETAIL&id=4950000020333&fromGTAMSTLIST=true&dspcnt=10&keyword=%8D%82%94%4E%97%EE%8C%D9%97%70%8C%70%91%B1%8B%8B%95%74&keywordOr=0&keywordNameIn=0&SYORIMODE=SID001&displayHusho=1&frompos=1
また、高年齢再就職給付は、以下のページから申請可能です。
e-Gov 電子政府の総合窓口
『雇用保険高年齢雇用継続給付(高年齢再就職給付金)の申請』
https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAMSTDETAIL&id=4950000020334&fromGTAMSTLIST=true&dspcnt=10&keyword=%8D%82%94%4E%97%EE%8D%C4%8F%41%90%45%8B%8B%95%74%8B%E0&keywordOr=0&keywordNameIn=0&SYORIMODE=SID001&displayHusho=0&frompos=1
※下の画像はタップで大きくなります。
どちらのページも上記の赤丸で囲ってある部分から、申請に必要な書類の作成・アップロード・送信が可能です。
勤務先が給付の申請をしてくれる場合もある
高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付金は、給付を受ける本人だけでなく、事業主(勤務先)でも申請可能です。
自分で申請をすることに不安がある場合は、勤務先に給付の申請をしてもらえないか相談してみてください。
ファイナンシャルプランナーの藤澤さん
勤務先が給付の申請をおこなってくれる場合は、自分で申請をすることなく給付を受けることができます。
まとめ
それでは最後に、この記事で紹介した高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付のポイントをおさらいしましょう。
高年齢雇用継続基本給付の受給条件
- 60歳以上65歳未満で雇用保険に加入している
- 失業手当を受給せず、60歳以降も働いている
- 60歳まで勤務していた会社で60歳以降も継続雇用されている場合
- 60歳の定年後、失業手当を受給せず1年以内に他の会社へ再就職した場合
- 60歳になった時点を含めて雇用保険への加入期間が連続5年以上ある
- 60歳以降の賃金月額が『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金』の75%未満になっている
- 『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金』には上限額と下限額がある
- 上限額・・・47万6,700円
- 下限額・・・7万5,000円
- 『60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金』には上限額と下限額がある
- 給付を受けられるのは60歳になる月から65歳になる月まで(最大で61ヶ月分)
- 給付金は2ヶ月ごとに銀行振込で受取る
高年齢再就職給付の受給条件
- 60歳以上65歳未満で雇用保険に加入している
- 前職の退職時点で雇用保険への加入期間が連続5年以上
- 前職の退職後に失業手当を受給し、60歳以降に再就職をしている
- 前職の退職から1年以内に再就職をしている
- 再就職した日の前日時点で、失業手当の残日数が100日以上
- 再就職先で1年を超える継続雇用が確定している
- 再就職先の賃金月額が『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』の75%未満になっている
- 『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』には上限額と下限額がある
- 上限額・・・47万6,700円
- 下限額・・・7万5,000円
- 『前職の直近6ヶ月間の平均賃金』には上限額と下限額がある
- 再就職後、再就職手当を受給していない
- 高年齢再就職給付と再就職手当の両方を受給することはできない
- 給付を受けられるのは最大で24ヶ月分まで
- 失業手当の残日数が200日以上・・・再就職日の翌日から2年が経過する月まで
- 失業手当の残日数が100日以上200日未満・・・再就職日の翌日から1年が経過する月まで
- 給付期間の途中で65歳になった場合、たとえ給付期間が残っていたとしてもその月で給付が打ち切られる
- 給付金は2ヶ月ごとに銀行振込で受取る
高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付の支給額
- 支給額=実際に支払われた賃金月額×賃金の低下率に応じた支給率
- 賃金の低下率が大きいほど、支給率は高くなる
- 支給率は『支払われた賃金月額の15%』が最大
- 例)『60歳到達前6ヶ月間の平均賃金=40万円』で高年齢雇用継続給付の支給を受ける場合
- 60歳以降の賃金月額が24万円の場合・・・支給額は3万6,000円(24万円×15%)
- 60歳以降の賃金月額が26万円の場合・・・支給額は2万6,130円(26万円×10.05%)
- 60歳以降の賃金月額が28万円の場合・・・支給額は1万3,076円(28万円×4.67%)
- 60歳以降の賃金月額が30万円以上の場合・・・支給なし(賃金の低下率が75%以上のため)
- 本人や会社の都合により賃金が減額された場合は支給額が下がる
- 本人の私的な都合による欠勤・遅刻・早退などで賃金が減額された場合
- 本人の疾病や負傷による欠勤・遅刻・早退などで賃金が減額された場合
- 妊娠・出産・育児・介護などによる欠勤・遅刻・早退などで賃金が減額された場合
- 勤務先の休業などにより賃金が減額された場合
- 『減額前の賃金』で計算される支給率は、実際に支払われた賃金の支給率よりも低くなるため
- 『実際に支払われた賃金月額+支給額』には上限額と下限額がある
- 上限額・・・実際に支払われた賃金月額+支給額=36万3,359円
- 下限額・・・実際に支払われた賃金月額+支給額=2,000円
高年齢雇用継続給付の申請に必要な書類
- 申請が初めての場合
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- ハローワークの窓口で入手可能
- 『e-Gov 電子政府の総合窓口』のホームページからダウンロード可能
- 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
- ハローワークの窓口で入手可能
- 『e-Gov 電子政府の総合窓口』のホームページからダウンロード可能
- 賃金の支払状況がわかる書類
- 雇用契約書、給与明細書
- 年齢を確認できる本人確認書類
- 運転免許証、住民票記載事項証明書
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- 申請が2回目以降の場合(2ヶ月ごとに給付の申請が必要)
- 高年齢雇用継続給付支給申請書
- 初回の申請で給付が決定した後にハローワークから送られてくる
- 賃金の支払状況がわかる書類
- 給与明細書
- 高年齢雇用継続給付支給申請書
- 書類に不備がなければ最短3週間後に給付金が振込まれる
- ハローワークの審査にかかる期間・・・約2~3週間
- 給付の決定から給付金の振込みまでにかかる期間・・・約1週間
高年齢再就職給付の申請に必要な書類
- 申請が初めての場合
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- ハローワークの窓口で入手可能
- 『e-Gov 電子政府の総合窓口』のホームページからダウンロード可能
- 雇用保険受給資格者証
- 失業手当の受給確定後にハローワークから発行される
- 再就職後の賃金の支払状況がわかる書類
- 雇用契約書、給与明細書
- 年齢を確認できる本人確認書類
- 運転免許証、住民票記載事項証明書
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- 申請が2回目以降の場合(2ヶ月ごとに給付の申請が必要)
- 高年齢雇用継続給付支給申請書
- 初回の申請で給付が決定後にハローワークから送られてくる
- 賃金の支払状況がわかる書類
- 給与明細書
- 高年齢雇用継続給付支給申請書
- 書類に不備がなければ最短3週間後に給付金が振込まれる
- ハローワークの審査にかかる期間・・・約2~3週間
- 給付の決定から給付金の振込みまでにかかる期間・・・約1週間
- 高年齢雇用継続給付・高年齢再就職給付の申請はインターネット経由で済ませることも可能
- 『e-Gov 電子政府の総合窓口』のホームページから申請できる
- 勤務先が給付の申請をしてくれる場合もある
- 勤務先が給付の申請をおこなってくれる場合は、自分で申請をしなくてもOK
以上、高年齢雇用継続給付と高年齢再就職給付についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
私自身、この記事を書くまでは「60歳なんてまだまだ先だから・・・」という、どこか他人事のようなスタンスでした。
しかし、高年齢雇用継続給付制度の条件のなかには、事前に把握しておくべきこともありましたよね。
たとえば、以下の雇用保険への加入期間に関する条件です。
- 高年齢雇用継続基本給付・・・60歳になった時点を含めて雇用保険への加入期間が連続5年以上ある
- 高年齢再就職給付・・・前職の退職時点で雇用保険への加入期間が連続5年以上ある
高年齢雇用継続給付を61ヶ月分きっちり受取るためには、60歳になったと同時に受給資格を満たさなければいけません。
そのため、60歳の時点で雇用保険への加入期間が5年以上になっていないとアウトです。
また、高年齢再就職給付は『前職の退職時点で連続5年以上の雇用保険加入期間』が必要ですよね。
この条件を満たしていなかった場合、60歳になってからそれに気づいても後の祭りです。
高年齢雇用継続給付制度を利用する準備は、早くはじめるに越したことはありません。
遅くとも50歳を過ぎたあたりからは、10年後の収入状況を予測しつつ計画的に働くことを心がけたいですね。
なお、この記事のなかでも何度か登場した『失業手当』は、失業者なら年齢を問わず利用できる可能性のある給付制度です。
ただし、失業手当にも受給資格を得るうえで満たさなければいけない条件がありますし、給付される金額も人によって異なります。
その詳細は以下の記事で解説していますので、こちらもぜひ読んでみてください。
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高齢者継続雇用制度は高齢者にとっては良い制度なのですが、若者の仕事を取ってしまうので、若者にとっては良い制度ではありませんよね。
私が高齢者になったら今までどおり60歳で定年退職して、後は年金で遊んで暮らしたいです。高齢者になってまで仕事するの嫌だなぁ。
わかりやすく説明いただきありがとうございます。基礎的な質問で恐縮ですが、例の支給額は、15%でなく、なぜ18%の36,000円でしょうか?
月給はあまり変動がないけれど、ボーナスが無くなってかなりの減収になります。
その場合は、どうなりますか?