更新日:2018/07/20
闇雲な金策に走るな!資金繰りが悪化する理由と原因別解決法
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評価を設定してください ×事業を経営している方には必ず資金繰りの悩みがついて回るものですよね。
あなたのような個人事業主や中小企業の場合は特に、経営者自身がその負担を背負わなければならないことが多いものです。
経常利益のマイナスが数週間も続いてしまえば、本業への打撃はかなり大きくなるでしょう。
資金繰りの悪化は、企業の病気です。
会社の資金という「血液」が何らかの原因によりドロドロと流れが悪くなった結果、「お金が足りない」という病気にかかったのです。このままでは、もっと大きな病気を引き起こしかねません。
お医者さんである行政書士や企業の再生コンサルタントに相談するのもひとつですが、症状が軽いうちならなるべく自力で治してしまいたいものですよね。
ここでは、どのようにして自分でこの病気を改善させていけばよいかを考えていきましょう。
原因を正しく見極める
まじめで一生懸命な経営者ほど、資金繰りの悪化にはいち早く気付きます。早めに気付くことはとてもよいことなのですが、そこからが問題です。
資金繰り悪化という一大事に心が取り乱してしまい、なんでもいいから借金をしたり買掛金の収納を待ってもらったりと、闇雲な金策に走ってしまうことがあるのです。
何とか傷が浅いうちに食い止めようと必死なのはわかりますが、これはいちばん陥りたくないパターンの典型です。
病気には必ず原因があります。その原因に対して正しいやり方で治療をしなければ、どんなに一生懸命な措置であっても全く意味がないからです。
では、正しい治療法を行うにはどうしたらよいのでしょうか。
資金繰りの悪化に気付いたときに経営者が第一にすべきことは、まず心を落ち着けることです。そして、なぜこうなったのか原因を客観的な目できちんと分析し、対策を練りましょう。
資金繰りの悪化の原因は、大まかに分けて以下の2つに分類されます。あなたの企業の資金繰り悪化は、どちらの原因に該当するでしょうか?
- 会社の成長のスピードが速すぎるため、資金が追いつかない
- 業績不振のため、資金が足りなくなってきた
病気の完治を目指すには、問題点をじっくり見極め、原因を取り除けばよいのです。
また、その病気の悪化の度合いによって、どの程度手厚いケアをすべきかも決める必要がありますね。原因が判明し一番効率的と思える対策が決められたら、速やかに実行に移すことが大切です。
次項で、それぞれの原因の詳細と、それに合わせた対策を考えていきましょう。
会社の成長のスピードが速すぎるため、資金が追いつかない
資金力が会社の成長スピードに追いついていない状態とは、売上げ自体はコンスタントに上がっているものの、売上げを向上させるための先行投資にかかる費用(商品の仕入れや広告宣伝費用等)を売上金の入金よりも先に払う必要が出たときに、資金不足に陥るケースです。
これは、成長過程の若い企業にはよく起こりがちなことです。
せっかくの成長気流に乗っているこの状態、資金不足だからといって水をさすのはもったいないですね。では、どうすればよいのでしょう。
ここでとるべき対策はファンドからの出資や借金での金策です。
今さえ乗り切れば会社は持ちこたえ更に大きく飛躍できるという時ですから、ここでは何とか金策をして当面のをしのぎます。また、状況に応じて金策の方法も以下のように選ぶと良いでしょう。
ある程度時間に余裕がある場合の対策
専門の出資ファンドに株式投資を募る方法
「会社」として経営している企業の場合は、専門の出資ファンドに株式投資を募る方法があります。この方法は、企業本体と事業の成長性が見込めると認められた場合に、ファンドが株主となってお金を出資してくれるのです。
当然、その将来性への審査は非常に厳しいですが、この厳しい審査を通過して出資してもらえた場合には、返済義務のない資金を入手できるという大きなメリットを受けることができます。
ですから、借金返済が以後の業務を圧迫する恐れはありません。
ただし、以後会社が起動に乗って利益を上げられるようになってきた時には株主への利益分配が必要になります。
また、株価が上がった場合に株主側で大きく売却を仕掛けられる可能性もありますので、この点は注意が必要です。
気をつけたい点としては、出資ファンドを語る詐欺のような集団が横行しているので、そういったものに引っかからないように注意してください。
審査が異様に甘かったり、先に多額の手数料などを要求される場合等は怪しいとにらんだ方が良いでしょう。
経済産業省の管轄のひとつに「独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)」という機関がありますが、ここで投資を募る手伝いをしてもらえます。投資を募りたい場合は一度相談してみると良いでしょう。
▼(参考)中小機構HP「ファンドから融資を受けたい」
http://www.smrj.go.jp/fund/toshi_ukeru/026055.html
銀行・国民生活金融公庫・自治体の融資を頼る
出資要請に応じてもらえなかった場合や、個人事業主などで株式出資を受けることはできない場合には、銀行・国民生活金融公庫・自治体の融資を頼るという方法があります。
こちらはあくまで「融資」ですので、返済義務が生じます。
その反面、借りたお金は企業の「負債」として減税の対象となりますし、出資の場合に生じる利益分配の義務はありませんので、悪いことばかりではありません。
この方法のデメリットは、は融資が受けられるかどうかの審査が厳しく、また決定までに少し時間がかかる点です。
しかしながら比較的金利が小さいので、返済が楽にできる点は見逃せません。
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意外と知らない銀行との借入交渉の基礎。まずはここだけ抑えよう!
時間の余裕がない場合の対策
一部信販会社が提供しているビジネスローンなど、早い日数で審査・貸し出しを行っているローン会社にお金を借ります。
高金利なため、以後の事業の圧迫は覚悟が必要ですが、勢いのある会社であれば、返済以上の利益を上げることも可能でしょう。
一例ですが、アイフルと三井住友信託銀行が提携している「ビジネクスト」は、最短3営業日で融資を受けることが可能なようです。
なお、ビジネスローンの選びかたについてはこちらでも解説しておりますので、よろしければご覧ください。
短い期間だけ少額の融資が必要な場合の対策
経営者が個人名義で即日融資を受け、それを更に会社に貸し付けるという方法です。借りることができる金額は概ね数十万円と大きな額ではありません。
しかしながら、ローン会社によっては1週間~30日間程度の短い期間なら無利息で貸し付けてくれる場合もあるので、「あと数日間だけ持ちこたえれば資金繰りの目処が立つ」という時などに賢く利用すると良いでしょう。
反対に、この時期には避けたほうが良いと思われる金策の方法もお話します。
仕入れの見直しや制限
企業の成長過程では、何が幸いするかわかりません。
ムダだと思っていた在庫が役に立つこともあるかもしれませんから、仕入れは「商品が枯渇しないこと」を一番に考えて行うべきです。
取引先に支払いを待ってもらう
商売は信用第一です。
成長過程にある時ほど取引先との信用は構築できますので、その途中段階ではなるべく信用を落とさないことに全力を尽くす必要があります。
支払の先延ばしなどは信用力を低下させる原因ですから、今はグッと我慢して、気前良く納期までに支払を行うことが肝心です。
業績不振のため、資金が足りなくなってきた
物が利益を稼げる価格で売られていない(安売りしすぎ)ため売れば売るほど赤字になる場合や、そもそも物が売れていないため、業績不振に陥り資金が滞っている状態です。
このような時は、当面の営業を続けるための金策と、根本的な解決に向けたアプローチを同時に図る必要があります。
業績不振の解消
優先順位としてまず行うのは、業績不振に陥った原因の追究と、解決策の検討です。
ムダの洗い出しと改善
第一に、経営上のムダとなっている部分を洗い出し必要に応じた節約を行います。無駄な在庫商品の処分や換金も徹底的に行いましょう。
逆に、本来必要とされていたものを改めてそろえた方が良いということもあるかもしれません。
例えば、従業員3名の3ヶ月分の給料と同じ額で機械を導入することにより、その3名分の仕事を賄うことができるとしたら、長い目で考えるとその機械を導入し従業員をリストラするほうが会社への利益は大きくなるかもしれません。
これは一例ですが、ムダの削減と併せて経済状態の抜本的見直しをこの段階で行うことが理想です。
商品や販売価格の見直し
商品や販売価格の見直しも必須です。
今販売している商品の価格は、仕入れ・整備・販売までにかかった費用を賄い、更に利益を生み出せる価格に設定されているでしょうか?
商品販売までにかかる材料代や人件費・時間を全て計算し、費用対効果に合った価格を改めてつけ直します。
安さについては、手広く商売をしている大手量販店に勝つのは難しいでしょう。
しかし、消費者は安ければ安いほど買いたくなると考えがちですが、実は値段が高いことで消費者側が勝手に商品に対して抱いてくれる良いイメージがあるのです。
比較的小さな規模で販売される値段が高いものは、丁寧さ・手作り感・本物感をかもし出してくれますので、「本当に良いもの」を求めるお客にはかえって好まれる傾向があります。
更に、高いお金を払って高級なものを手にした喜びは、安物を手にした時の喜びとは全く違うでしょう。高い値段で売ることは、決して悪い効果を生みません。
しかしながら、ただ値段だけを上げてもお客は納得しません。
商品が高級に見えるように、店頭での見せ方やパッケージを工夫し、ちまたの安い商品とはこんなにも違うのだと、お客を納得させられるだけの付加価値をつけるのです。
商品価値そのものが底上げされ、商品の価値にあなた自身が自信を持つことが一番大切です。
このように「高いけれど良いもの」を提供することによって、お店・会社のイメージまでを高級なものに作りかえることができるのです。
営業力の向上
見直した販売価格で目標の売上げを達成させるために、何よりも営業能力を向上させる必要があります。
一番手っ取り早いのは、成功者の書いたノウハウ本やマニュアルを読んだり、セミナーなどに社員みんなで参加することです。
この、「社員みんな」というのが結構ポイントです。
その会社・店に関わる人全員で一丸となって会社の抱えている問題に取り組むことで、団結力が生まれ発展の大きな力になるのです。
というのも、営業力が低下する理由のひとつには、営業担当者本人に愛社精神や問題意識が欠けていて、改善の意思が足りないということがあるからです。
これは、営業担当者だけのせいではありません。
そこには、本来営業担当者をサポートする営業事務や上司の関わりが薄弱であったり、経営者からの社員への感謝の気持ちが足りないことが大きく影響します。
ですので、ここで経営者自らが腹をくくり、必要ならば頭を下げ関係者をひとつにまとめ、「全員の力で何かを学ぼう」というお膳立てをする必要があります。
そして今までの固定観念を捨て、素直な気持ちでノウハウを吸収し、営業戦略的な観点・接客方法の観点、それぞれから見直しを図ります。
このノウハウとの出会いは、今の現実と突合せて「あなたの会社・お店を改善させるには何が必要か?」を改めて真剣に考えるよいきっかけになるでしょう。
これらで学んだことを全て鵜呑みにする必要はありませんが、素直な気持ちで挑めば、あなたの会社を立ち直らせるヒントが必ず何かみつかるはずです。
必要なことが見えてきたら、それを片っ端から実践してみるのです。
たとえば、接客方法そのものに問題があることがわかった場合、営業担当者同士でロールプレイングをして評価しあうのもよいかもしれませんね。
社員ひとりひとりが、愛社精神とそれに付随する顧客への思いから積極的に行動することで、営業力というのは自然と向上していくことでしょう。
以後、安定した価格でコンスタントに売上げをつくることのできる企業に生まれ変わること、これが業績不振の根本治療です。
広告宣伝のやり方の見直し
業績が伸び悩んでいる背景には、お客にあなたのお店の良さが正しく伝えられていない可能性はありませんか?また、宣伝広告費が経営を圧迫している可能性はいかがでしょうか?
心当たりがあるなら、宣伝の仕方に見直しをする必要があるでしょう。
今はそれほど費用をかけなくてもインターネットなどで効率的に広告を掲示する方法があります。
例えば、地域のホームページには無料で広告バナーを貼れるコーナーを設けている場合があります。また、あなたの会社自身のホームページを改変するなど見直しを図ってもよいかもしれません。
インターネット以外に、タウン誌で宣伝を行うなどの方法もありますので、これまで手を出したことのない宣伝手法にも、この機会に挑戦してみると良いと思います。
以上を行いながら、一体どのくらいで業績不振を解消できるか計画立てをし、具体的な解消の目処をつけるましょう。
こうすることで、それまでにいくら必要なのか具体的な金額を出すことができるはずです。
このような計画立てを自分ひとりで実行するのが難しいと感じる場合は、企業診断士などに協力をお願いするものひとつだと思います。
ここまで正確に算出できて初めて、借金することを検討します。
では、次に借金のポイントを考えていきましょう。
業績不振による借金の注意点
業績不振の状態でのむやみな借金は命取りです。
なぜなら、このような状態では借金につき物の利息を返済できるほどの体力がないと考えられるからです。
借金をする場合も、上記で算出された当面の運転資金の確保にとどめ、ムダなお金は借りないこと。可能であれば利子の少ない銀行や自治体の融資を利用し、これ以上の負担増を最大限控える努力をしましょう。そして、会社の体力を回復させるための時間稼ぎを行うのです。
資金繰りの良い状態をキープし続けるには
以上のように柔軟で迅速な対応ができることは、決して大きな企業ではできない個人事業主・中小企業だからこその利点といえるでしょう。
しかしながら、逆に資金繰りの悪化から脱出できたとしても、また同じような状況に陥ってしまいがちなのも個人事業主・中小企業なのです。
二度と同じ過ちは犯さないためには、これからは資金管理を徹底して行う必要があります。
その方法として、常に現状を把握できるように、日々の帳簿の記帳と併せて、1週間に1回程度「資金繰り表」みたいなものをつけることをオススメします。
「資金繰り表」は帳簿と連動させ、「売上」「経費」「買掛金支払」「売掛金入金」等、現金が動いた金額に関する1週間の合計額をまとめて記入します。
今はエクセルなどに関数を挿入して簡単に帳簿と連動させた表をつくることができますから、こう言った計算ソフトを使うのもひとつです。
いくらの売上げを作るためにどれだけの費用がかかっているのか?
それは実際の売上げを作るどのくらい前に先行投資されているのか?
など、継続して資金の動きを「見える化」することで、自然とある程度先を見据えた資金把握ができるようになります。
すると、未来の資金繰り悪化の原因を前もって見つけることも容易くなるでしょう。早め早めの対応をすることで傷口は小さくて済みますし、余裕を持った資金運転ができるのです。
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