更新日:2017/05/02
意外と知らない銀行との借入交渉の基礎。まずはここだけ抑えよう!
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評価を設定してください ×不景気の昨今、大企業でも銀行からお金を借りるのが難しい時代です。中小零細企業ともなると、さらに貸し渋りが厳しいでしょう・・・。
中小零細企業が銀行と交渉するときは、大企業が交渉するときとは異なるポイントがあります。
今回は、中小零細企業が銀行に借入を申し込むときのポイント、銀行と交渉するときの注意ポイントについてまとめてみました。
銀行に借入を申し込むときの重要ポイント
中小零細企業が銀行に借入を申し込む場合、3つの重要ポイントがあります。
1. 借入枠を知る
銀行融資では自社の借入枠を知ることが重要です。
銀行は、取引年数や規模、営業成績を考慮して借入枠を設定しています。(最低限の基準として、返済日までの売上額や営業利益が返済額に達していなければいけません。もちろん借入額に見合う担保があれば問題はありませんが、担保不足や新規企業の場合は、借入枠について詳細な検討が行われます。)
近々の業績を示す財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)は「最低でも3期分の黒字決算を確認できるもの」、資金繰り表は「3ヶ月、期末までに資金ショートがないようなもの」にしなければなりません。
その後、個別の借入申込について短期借入金か長期借入金かを決定します。
短期の場合、返済は一括か短期間の分割となり、融資額は少なく金利は高くなります。返済が終了すれば、再度同条件での借入が可能です。
長期の場合、返済は一定期間の分割となり、融資額は多く、金利は低くなります。
返済が終わっても借り入れ条件が整わなければ、再度借り入れを申し込むことはできません。
2. 借入目的を明確にする
借入目的を明確にすることもまた重要です。
借入目的は大別すると2つ。
1つ目は運転資金。
運転資金とは、売上入金までの経費支払いを目的に調達する、主に短期借入金です。
運転資金の審査対象としては、資金繰り表がもっとも重要。「融資以降に資金ショートがなく、返済財源が確保されているかどうか」が重要なポイントとなるので、あらかじめ会計士等に相談し作成しておきましょう。
2つ目は設備資金。
設備資金とは、設備するものの支払いに充てる、主に長期借入金です。
設備資金を融資してもらうためには、直近3年間の財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)が必要になります。特に決算内容は「3期連続の黒字決算であること」、「予定する借入金の返済が可能であること」が必須。
近年の業績と見通しを把握しておかなければいけません。
3. 返済条件をたてる
借入金申込の際は、返済条件を提示することが最も重要です。借入金は返済することが前提で融資を受けますので、返済可能な条件を設定し、その裏づけとして資金繰り表を提出します。
資金繰り表は、直近の3ヶ月、決算期まで、返済期間に分けて作成した方がいいでしょう。
▽ 資金繰り表は2種類作りましょう。
1つ目は、新規の借入金が入ったもの
(新規の返済が始まっても資金ショートがないように作成しなければいけません。)
2つ目は、従来の資金繰り表を継続したもの
(審査の際、新規融資の資金繰り表との比較に必要なケースがあります。)
銀行と交渉するとき注意しなければいけないポイント
銀行と交渉する際、注意しなければいけない3つのポイントがあります。
銀行は、融資の貸倒れを最も警戒しているので、当然 貸したお金を確実に回収できる方法を選びます。
借入によっては、プロパー(銀行自体が貸し出している)ではなく、国や地方自治体の補助制度を経由しているにすぎないものもあるのです。
1.保証協会付きは別枠
保証協会付きの借入は通常借入とは別枠で申し込み可能です。
各都道府県にある保証協会が一定額までの保証を有償で行っているので、銀行はそれを利用して元金保証をすることができます。
ちなみに、中小零細企業の経営者が個人で保証しても、会社が返済不能になれば個人からの回収も難しいですし、担保や保証人などの第三者保証も、現在は要求されることが少なくなりました。
時間が経つと担保物件の価値が下落したり、保証人が代位弁済できなくなってしまうケースが多いのがその理由だそうです。
2.制度融資は別枠
融資の目的が、「国や地方自治体の定めた利用目的」に合致した場合は通常借入とは別枠で申し込めます。
国や地方自治体が定めた低率利息の融資は、銀行を経由して国や自治体から融資を受けているに過ぎませんので、制度融資を利用した場合は、銀行からの借入であっても借入枠外の融資となります。
このように、「定められた使途に利用する場合の融資」を制度融資と言います。
制度融資の審査は日本政策金融公庫が行います。例えば、ソーラーパネルを設置して省エネを推進する場合、制度融資で申し込めば現行の借入枠を超えて融資を受けることができます。
3.経営者の数値管理
中小零細企業の場合は特に、経営者の才覚で業績が左右されます。銀行は財務諸表や資金繰り表の数値を元に交渉することを求めますので、数値を充分に把握しておくことが重要です。
中小零細企業にとって銀行の融資は一度きりではありません。お互いに信頼関係が深まる取引となるように心がけましょう。
まとめ
銀行の融資は血管に血液を送るポンプの役目をします。
血液となる融資は途切れることなく、でも多過ぎることのないように、しっかりした計画のもとに借り入れを申し込み、期日までに返していくことで相互の信頼関係が深まっていきます。
とりわけ中小零細企業の場合は目先の融資額にとらわれることなく、じっくりと落ち着いた金融処置で息の長い取引を心がけましょう。
【ビジネスローン徹底比較】都市銀行・地銀ノンバンクのレビューまとめ
この記事の筆者
旭田 旭(あさひだ のぼる)
上場会社勤務後、中小企業である小売業、飲食業、医療法人、社会福祉法人等の経営および監査に携わり、起業、債務整理の経験があります。
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