債務整理は家族に迷惑がかかると思い込んでいました。でも...【体験談】

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債務整理を検討せずに10年以上支払いを続けているという竹内さん

複数の金融機関から借り入れを繰り返すと、なかなか完済という出口が見えないことがあります。

そのような人は思い切って「債務整理」を行うと、負担を軽くしたり、借金そのものを取り消すことができるかもしれません。

しかし「債務整理すると、借金を家族や周囲に知られてしまうのではないか?」「高額な弁護士費用がかかるのではないか?」と思い込み、二の足を踏んでしまう人も多いようです。

今回は120万円もの借金の返済に苦しみながら、一度も債務整理を検討せずに10年以上支払いを続けているという男性から、話を聞くことができました。

体験者の情報

名前:竹内 孝之(仮名)
性別:男性
当時の職業:契約社員
当時の年齢:21歳~
借金の合計額:合計120万円
会社名(借入先):アコム、アイフル、ファインクレジット、アプラス、セゾンファンデックス、エポスカード
借入件数:消費者金3件、信販系2件、クレジットカード1件
利用時期:2000年~2013年現在

詐欺に遭ったことをきっかけに、借金が当たり前の生活に

今回、お話をうかがったのは竹内孝之(仮名)さん、35歳。真面目で優しそうな印象の男性です。

現在は求職中で、失業保険を貰いながら、清掃作業のアルバイトをされています。

彼はまだ学生だった頃、悪質な詐欺に遭い、120万円もの多額の借金を背負わされてしまいました。

その後も次々と複数の業者からの借り入れを重ね、10年以上も返済を続けているそうです。

今回は、竹内さんがどのような手口で詐欺に遭ったのか、また複数の業者からの借り入れに至った経緯や返済の苦労について語ってくださいました。

詐欺に遭い120万円のローンを組まされる

― どんな詐欺に遭ったのですか?

優しい、真面目な雰囲気の竹内さん

 

進学を機に長野から東京に出てきて、一人暮らしをするようになったのですが、ある日「あなたは当選したので、パソコンやゲーム機をプレゼントします」と書かれたハガキが届きました。

今思えば明らかに詐欺まがいのダイレクトメールだったのですが、そういう詐欺があることも知らなかったんです。

きちんと宛名にも名前が書かれているし、「何か応募したものが当たったのかな?」と思って、何の疑いも持たずにハガキに書かれていた渋谷の会社までノコノコと行ってしまいました。

(※これは「会員権商法詐欺」と呼ばれ、パソコンなど高価な商品が当選したと偽って呼び出し、高額な商品やサービスを購入させる詐欺です)

「トゥギャザーネット」という名前の会社で、雑居ビルの中にあったのですが、実際に行ってみると会社というよりカフェっぽい作りで、コーヒーまで出てきました。

そこで普通のビジネススーツを着た男性4~5人に囲まれて、「ここの会員になると、パソコンが貰えたり、飲食店やリゾートホテルの優待や割引を一生受けられます」という説明を受けたんです。

今だったら考えられないことですが、当時は若くて無知だったから信じてしまいました。

そしてその場で契約し、ファインクレジットという信販会社で120万円ものローンを組んでしまったんです。

金利は覚えていないのですが、月々2万円の支払いでした。

― ローンの返済は順調でしたか?

親からの仕送りと、天丼屋のアルバイトで月に3~4万円の収入はあったのです。しかし家賃や生活費もかかるので、月2万円は正直苦しかったですね。

契約して3ヵ月目には、とうとう支払いが滞りそうになって。

友達からは「騙されているよ」と言われましたが、まだ信じたい気持ちがあったので、「払い続けるしかない」と思ってしまったんです。

結局、親にも言えないまま、返済のためにアコムから借りることにしました。

ローン返済のためにアコムで借入れ

― 学生でも、アコムの審査はスムーズにいきましたか?

竹内さんが見せてくれたアコムの明細書

無人契約機で手続きをしましたが、住所や氏名、収入について聞かれて、20分ほどで審査が終了したと思います。

限度額は20万円で、当時はまだグレーゾーン金利が適用されていた時代だから、金利は29.2%と当時の上限だったと記憶しています。

審査に通ったら、限度額の20万円を一気に借りました。

― アコムの返済はどうなりましたか?

アコムの返済は月に2万円だったのですが、結局ファインクレジットの分と両方払う羽目になってしまったので、かえって負担は大きくなってしまいました。

返してもまた枠が空けば借りるといったことを繰り返しながら、いつのまにか生活費や遊びにも使うようになっていて、自分でもどのくらい借りているのかわからなくなってしまって。

途中増額の案内がきて、限度額は30万円に上がったのですが、それも一年も経ないうちに使い切ってしまいました。

返済も利息分だけを払ったりして、元金はなかなか減りませんでした。

― トュギャザーネットの特典は利用できたのですか?

結局一度も会員特典を利用することなく、2年目の2002年にはトゥギャザーネットを退会しました。

でも支払いは信販会社にしなければならないので、騙されたと分かっていても返済を続けました。

当時は消費者センターに相談することも思いつかなかったので、泣き寝入りですよね。

電気料金を支払うように借金返済が当たり前に

― 次にアイフルを利用されたきっかけは?

長年の苦労のせいか、年齢よりはやや年上に見える竹内さん

アコムを初めて利用してから4~5年経った、2004年くらいのことだったと思います。

その時は契約社員として働き始めて2~3年目で、月収は20万円くらいだったのですが、やはりファインクレジットとアコムへの返済で生活は厳しくて。

アイフルの審査や手順はアコムとほとんど一緒で、収入証明の提出も必要ありませんでした。

限度額は40万円、金利はアコムと同じで29%くらいだったと思います。

― 3つの返済を抱えて、生活はできていたのですか?

まるで電気料金を払っているみたいに、借金の返済が当たり前のことになっていました。

そのおかげで最初に組んだファインクレジットの返済は、途中でどうにか完済できましたね。

でも節約も全然できないし、給料が入っても常に生活は苦しかったです。

最初はアコムを払うためにアイフルで借りたはずなのに、手元にお金があるとついつい使い過ぎてしまって。

限度額40万円のうち30万円も、いつの間にか使ってしまっていましたね。

月々の返済額は1万円くらいだったのですが、真面目に返済する月もあれば、利子だけしか払えない月もあって、全然借金は減りませんでした。

セゾンファンデックスでおまとめ

― おまとめをしたきっかけは?

アイフルを利用してから2年後、2006~2007年のことだったと思いますが、セゾンファンデックスという信販会社のおまとめローン案内の折り込み広告を見たことがきっかけです。

この時、アコムとアイフルの残債が70万円くらいありました。

ちょうどその頃に出資法の改正で、グレーゾーン金利が撤廃されたのです。

アコムとアイフルの金利はまだ20%以上でしたが、セゾンファンデックスは18%でおまとめができたんです。

90万円まで借りることができたので、それで一気にアコムとアイフルを完済させて、カードも処分してしまいました。

ただセゾンファンデックスのおまとめローンは、これ以上の借り入れはできないローンだったので、返済だけ続けていくことになりました。

月々の返済は2万5千円くらいで、ボーナス月は5万円くらい多めに支払う設定になっていたので、やはり厳しかったですね。

給料は24~25万円に増えていましたが、契約社員だからボーナスはないので必死にやり繰りをしていました。

― おまとめをしてよかったことは?

ハキハキとしていて、とても丁寧に話してくれた竹内さん

借金をひとつにまとめることができて、気持ち的にはすっきりしましたね。もうこれ以上借金が増えることもないという心の余裕すら生まれました。

でもやっぱり苦しいことには変わりないというか。

月々の返済は3万円から2万5千円に減ったんですが、付き合いも多いから出費も減らないし、相変わらず貯蓄もできていないし、あまり大きな変化はなかったですね。

それどころか借金は90万円に増えている訳ですから(笑)

2度目の詐欺に遭い、さらに膨らむ借金

― その後も借金が増えていったようですが、どうしてですか?

実はトゥギャザーネットの他にも詐欺に遭ってしまって。

街を歩いていたら「お店を見て行きませんか~?」と最初は軽い感じで声をかけられました。

赤坂にある宝石店だというので、ついて行ったところ、「将来のために、今のうちに婚約指輪を作っておきましょう」という提案をされたんです。

そして「とりあえずお金を積み立てておきましょう」「石だけでも用意しておきましょう」みたいなことを、物凄い勢いで勧められました。

それで断りきれなくて、ついつい契約してしまったんです。

44万円もするダイヤモンドを買わされて、アプラスという信販会社でローンを組みました。

― いつ詐欺だと気がついたのですか?

1年ほど経った頃に、たまたま宝石の鑑定をしてもらったら、「10万円以下の価値しかない」と言われて、そこで初めて詐欺だったことに気付いたんです。

でも前回のことで少しは学んでいたから、今度は泣き寝入りだけはしたくないと思って国民生活センターに相談をしました。

するとセンターの方が宝石会社に話をしてくれたんですよ。でも向こうも強気で「買ったほうが悪い、こっちは普通に売っただけ」と開き直られてしまって。

何度かそういうやり取りをしていただいたのですが、最終的にはその会社自体が無くなってしまったので、今度も泣き寝入りするしかありませんでした。

トゥギャザーネットの時と同じように、月々1万4千円の返済だけが残ってしまうという状況になってしまったんです。

― アプラスの返済も加わってしまったのですね?

返済だけで月々の家賃を上回りそうなこともありました。アプラスの支払いが滞ってしまったこともあって、一度家に来られたことがあります。

電話も無視していたら、突然、男の人が二人訪ねてきたんです。

ただ怖そうな取り立てというかんじではなく「支払いはいつできますか?」と言う風に、とても丁寧な対応でした。

その時は遅延損害金も発生しました。

― 返済のお金がない時はどうしたのですか?

以前から持っていたエポスカードのキャッシング枠を、返済に使いました。セゾンのおまとめでは、それ以上の借り入れはできませんから。

結局エポスカードも1年くらいで限度額の20万円に達してしまって。

もう感覚が麻痺していたというか、一度こういう世界に足を突っ込んでしまうとなかなか抜け出せないものですね。

アコムで2度目のおまとめローン

― 再びおまとめローンを利用されたそうですが?

2010年頃、一度解約したアコムで、またおまとめローンを組むことにしました。

それでセゾン50万円、エポス20万円の計70万円残っていた借金を完済させました。金利は18%でセゾンと同じです。

なぜアコムに乗り換えたのかというと、セゾンと違って「おまとめローンなのに下ろせる」からです。

普通のキャッシングのように、返済して空いた枠でまた借り入れることが可能なんです。

一度解約しているので再契約というかたちになりましたが、手続きも以前と変わりませんでした。

限度額は104万円だったのですが、それも結局満額まで使い切ってしまって。

70万円をまとめるつもりだったのに、また借金が増えてしまったんです。

― 現在の借入額と月々の返済額は?

アコムのおまとめで104万円と、エポスからまた15万円ほど借りてしまったので、総額は120万円くらいになります。

アコムが2万円、エポスが1万円なので月々の返済額は3万円くらいです。

苦しみながらも返済中、でも債務整理には抵抗が

― 今後順調に返済できるのでしょうか?

実はその後3回転職をして、一番最近は9ヵ月ほど前に会社を自己都合で辞めているんです。

現在は清掃のアルバイトをしながら失業保険を受給しています。年収は150万円くらいでしょうか。失業保険受給中だから、あまり働けないんですよ。

失業保険は自己都合での退職だから3ヶ月分しか出ないんです。それも今月で終わってしまうので、返済は相当厳しいですね。

新しい仕事が見つかれば、状況は変わってくると思うのですが。

しかも最近アコムから「職業や収入に変更はありませんか?」という問い合わせがあって、正直に現在休職中であることを話したところ、「これ以上の借入れはできない」と言われてしまいました。

今は総量規制があるから、仕方がありませんよね。

― 債務整理をすることは考えていないのですか?

「法テラスに行ってみます!」決意を新たにしているような様子の竹内さん

全く考えない訳ではないけれど、また仕事が見つかればちゃんと払えるようになると思うんです。

だから現在のところ保留中ですね。あくまでも希望的観測ですが。

それに債務整理に関する知識がほとんどないから、いまいち踏ん切りがつかないんです。

もちろん大きなメリットがあることは分かっているのですが、逆に「自分の将来にとってマイナスになるんじゃないか?」とか「家族に迷惑が掛かるんじゃないか?」とかデメリットの部分が気になってしまって。

どちらにしろ、もっと債務整理について自分なりに調べてみる必要がありますね。

インタビューを終えて

月3万円の返済を抱えているのに、現在失業中で、しかも次の仕事は見つかっていないという竹内さん。その上、彼の借金は、そもそも詐欺に遭ったことが原因です。

インタビューの最後に「法テラスに行かれた方がいいのでは?」と提案してみたところ、始めは首をかしげていた竹内さん。

しかし債務整理のメリットをお話するうちに、だんだん興味を持ったようです。

竹内さんのように債務整理のデメリットを気にして、あるいは債務整理という手段そのものを知らずに、返済に苦しみ続ける人は少なくありません。

債務整理にはいくつか種類がありますが、基本的には借金が圧縮され、月々の支払いが軽減されることになります。

また業者からの催促もストップするので、返済のプレッシャーからも開放されますし、家族に知られてしまうという心配もありません。

また払い過ぎた利息「過払い金」が業者から返還されることもあります。

そしてどうしても返済を続けていくことが難しい場合は、借金をチャラにしてもらうこともできます。それが債務整理の中でも、最も深刻なケースに適応される自己破産です。

もちろん債務整理を行うと、最低5年は新たにカードを作ったり、ローンを組んだりできないなどのデメリットもあります。

ただし竹内さんのように、返済のために借入れを繰り返す状態がこの先も続いてしまうようなら、どこかでそれを断ち切る必要があるでしょう。

債務整理に興味を持った人は、まず無料で弁護士が相談に乗ってくれる法テラスを訪ねてみましょう。

特に精神的に追い詰められている方は、少しでも早く決断することをおすすめします。

別れ際、「法テラスに行ってみます!」と決意を新たにしていた竹内さん。早く彼が苦しみから解放されるようにと祈るばかりです。

債務整理の種類とメリット・デメリットについては『「おまとめ」と「債務整理」どっちがお得?比較表』で詳しく解説しております。

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