「おまとめ」と「債務整理」どっちがお得?比較表

「おまとめローンで返済を楽に!」

こんな広告を見かけたことはありませんか?

おまとめローンは、複数の借金をまとめることで利息負担を減らす方法です。

今、このホームページを読んでいるということは、複数の借入れ(借金)があり、その返済に困っているのではないでしょうか。

そんな時におまとめローンの広告を見かけたり、話を聞くと、

「返済が楽になるのかな?」

「自分もやってみようかな?」

そう思ってしまいますよね?

でも、ちょっと待ってください!

なかには、おまとめローンを組むことでかえって利息負担が増えて損するケースもあるのです。

また、借金の負担を減らす方法は、おまとめローンだけじゃありません。

「債務整理」という言葉を聞いたことはないですか?

債務整理とは、法にのっとって借金の負担を減らす方法(総称)です。

債務整理に対して、

「難しそう・・・」

「弁護士に相談したりして大変そう・・・」

このようなイメージを持ち、なかなか踏み出せない方が多いのですが、実は債務整理にはおまとめローンにはないメリットがあるんです!

そこで今回は、おまとめローンと債務整理について、メリットとデメリットを比較しながら、紹介していきたいと思います。

ちなみ、この記事では、おまとめローンと債務整理のどちらかをオススメするようなことはしていません。

あくまで、中立・客観的に比較・検証することを目的としています。

この記事のアドバイザー・編集者情報

  • 田所 伸吾弁護士・司法書士

    京都大学法科大学院を修了後、司法試験に合格。
    宮崎県にて弁護士として活動中。
    得意分野は、債務整理、債務整理。中小企業支援などにも取り組んでいます。
    ※ アドバイザーはこちらの記事の筆者ではありません。記事の途中でアドバイザーとしてコメントしております。

  • 田中 靖子私が編集者です!

    編集・ライター歴20年。読み手にわかりやすく、正確・誠実に情報を伝えることをモットーにしています。ファイグーでは読み手が求める情報をいかに適切に把握し、発信できるかを日々模索中。ささやかでも生活に役立つヒントをお届けできたら幸いです!現在は保育士とのダブルワーク中。高校球児の母。朝5時起きで白飯大盛弁当づくりが日課です。

  • 糸井 耕佑弁護士・司法書士

    地方法律事務所に勤務する若手の弁護士。離婚、交通事故、債務整理、労働トラブル、刑事事件など幅広い案件を取り扱っています。
    ※ アドバイザーはこちらの記事の筆者ではありません。記事の途中でアドバイザーとしてコメントしております。

おまとめローンのメリットとデメリット

まずは、おまとめローンについて説明しましょう。

おまとめローンとはどんなローン?

おまとめローンとは、複数の借金をまとめて返済していくローンです。

たとえば、あなたがA社とB社からそれぞれ100万円ずつ、合わせて200万円を借りているとします。

そこで、C社から200万円を借り、A社とB社に100万円ずつ返済すれば、A社とB社からの借金は完済。

今後は、C社に返済していくのみになります。

これがおまとめローンです。

一本化や、借換えとも呼ぼれます。

おまとめローンのメリット

おまとめローンにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

金利が下がる

利用中のローンより低金利のローンで借金をまとめれば、金利が下がります。

月々の返済額を減らすことができる

ローンにはそれぞれ最少返済額(必ず返済しなければならない金額)が決められています。

たとえば、消費者金融のアコムとプロミスで30万円ずつ借入れている場合、

業者名 借入額 月々の最少返済額
アコム 30万円 1万3,000円
(※1)
プロミス 30万円 1万1,000円
合計 60万円 2万4,000円

毎月2万4,000円は返済しなければなりません。

この借入れを、下記3行のカードローンでそれぞれまとめたとしましょう。

業者名 借入額 月々の最少返済額 おまとめ前との差額
三井住友銀行カードローン 60万円 1万2,000円
(※2)
-1万2,000円
みずほ銀行カードローン 60万円 2万円 -4,000円
住信SBIネット銀行
MR.カードローン
60万円 8,000円 -1万6,000円

たとえば、三井住友銀行カードローンで60万円を借入れた場合の最少返済額は1万2,000円なので、おまとめ前と比べて1万2,000円も安くなります。

このように、借金をまとめると月々の返済額が下がるケースが多いのです。

ちなみに、「一本化の長所・短所から考えるホントにお得な一本化とは」では、さらに詳しくメリットについて解説しています。

※1
利用限度額が30万円以下の場合の最少返済額です。

※2
適用されている金利が8.1%超の場合の最少返済額です。

おまとめローンのデメリット

もちろん、おまとめローンはいいことばかりではありません。
注意しなければならない点があります。

かえって利息が増えてしまうことがある

おまとめ前より金利が低くなったのに、かえって利息が増えてしまうケースがあります。

ここでポイントとなるのが、月々の返済額です。

月々の返済額が低くなるほど返済期間が延びるので、どんどん利息が大きくなってしまうのです。

たとえば、さきほどのアコムとプロミスからの借入れをそのまま完済した場合、支払う利息の総額は15万9,676円です(最少返済額での返済を仮定しています)。

業者名 借入額 月々の最少返済額 金利 返済期間 利息総額
アコム 30万円 1万3,000円 18% 29ヵ月 7万993円
プロミス 30万円 1万1,000円 18% 36ヵ月 8万8,683円
合計 60万円 2万4,000円
(アコム完済後は1万1,000円)
36ヵ月 15万9,676円

では、この借入れを三井住友銀行カードローンでまとめた場合はどうでしょう(最少返済額での返済を仮定しています)。

業者名 借入額 月々の最少返済額 金利 返済期間 利息総額
三井住友銀行カードローン 60万円 1万2,000円 14.5% 78ヵ月 33万2,415円

利息総額は33万66円。

なんと、おまとめ前に比べて利息が倍近くに増えてしまいました。

このように、せっかく金利が下がったのに、おまとめ前より利息が増えてしまうこともあります。

月々の負担を減らすことを優先すると、長期的には損をする可能性があるのです。

再び借金を増やしてしまう危険

せっかく借金をまとめたのに、その後、再び借入れを増やしてしまう人は少なくありません。

特に多いのは下記のようなケースです。

  • おまとめ用に(既存の借金返済のために)借りたお金を別のことで使ってしまい、結果的に「ただ借金を増やしただけ」となった
  • 借金をまとめた後、さらに別の業者から借入れを行った

おまとめローンを組んだ後も、その気になれば借入れできるので、再び借金を増やしてしまうリスクは消えません。

おまとめローンのデメリットについて、さらに詳しくは「意外と知られていないおまとめローンの落とし穴(デメリット)」をご覧ください。

債務整理のメリット・デメリット

債務整理とは、法的に借金を整理することです。

主に、借金を減らす目的で行われます。

債務整理の種類は4種類

個人が行う主な債務整理方法は、任意整理特定調停小規模個人再生破産です。

それぞれ簡単に説明しましょう。

任意整理とは?

債権者(借入先)と交渉して、「未払いの利息・今後発生する利息・遅延損害金のカット」を求めます。

そのうえで、返済計画を立て直す手続きです。

多くは、3年で完済できるよう計画を立て直しますが、債権者や借入残高次第で3年以内になることも、3年以上になることもあります。

また、過払い金が発生していた場合は、過払い金請求をしたうえで返済計画を立てることになります。

過払い金とは?

過払い金は、利息制限法の定める上限金利を超えて支払った利息のことです。

利息制限法では、下記のように、借入額にあわせて上限の金利が設定されています。

借入額 上限金利
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

上記を超える金利で支払った利息があれば、債権者に返還請求できるのです。

まだ完済していない場合は、先に借入残高と過払い金が相殺され、それでも過払い金が残ったときに返還請求できます。

過払い金を請求できるのはどんな人?

下記の条件にいずれも当てはまる場合、過払い金を請求できる可能性があります。

  • 2010年より前に借入れた
  • 金利は18%超だった
  • 5年以上返済し続けた

過払い金は、完済後10年以内に請求しなければなりません。

心当たりがある方は急いで確認したほうがいいでしょう。

任意整理がオススメなのはこんな人

あくまでも返済を続ける前提なので、下記の条件を満たす方でないと利用できません。

  • 安定した収入と返済能力がある
  • 立て直した計画通りに返済していける

自分ひとりで手続きできる?

ひとりで債権者と交渉することもできますが、素人だと知識も交渉力もないので難しいでしょう。

一般的には、弁護士(※3)に依頼して交渉を代行してもらいます。

※3
場合によっては司法書士にも依頼できます。任意整理以外でも、債務整理の手続きによっては司法書士に依頼可能です。ただし、今回の記事中では「弁護士」に統一します。

特定調停とは?

簡易裁判所を通して債権者と話し合い、「未払いの利息・今後発生する利息・遅延損害金のカット」を求めます。

そのうえで、返済計画を立て直していきます(基本的に、3年での完済を目指します)。

なお、任意整理とちがい、特定調停と同時に過払い金請求することはできないので、注意してください。

特定調停中は過払い金請求できない?

特定調停と同時に過払い金を請求することはできません。

特定調停では、過払い金と借入残高を相殺させられますが、過払い金の返還を求めることはできないのです。

過払い金請求を希望する場合、特定調停とは別に手続きを行う必要があります。

特定調停後に過払い金請求をする予定なら、先に調停委員に伝えておくようにしましょう。

特定調停がオススメなのはこんな人

任意整理同様、返済計画を立て直すことが前提なので、次のような方でないと利用できません。

  • 安定した収入と返済能力がある
  • 立て直した計画通りに返済していける

特定調停で決まった返済計画は、判決と同等の法的効力があります。

つまり、特定調停で決まった返済計画を守れなかった場合、すぐに財産(預金・給料など)を差し押さえられることもあるのです。

特定調停は自分でできる?

特定調停は、原則として本人が行う手続きです。

また、裁判所選定の調停委員が債権者との話し合いを仲介します。

そのため、弁護士は必ずしも必要ではありません。

ちなみに、自分で特定調停をする場合、最低3回は裁判所に出向く必要があります。

小規模個人再生とは?

地方裁判所に小規模個人再生を申立てると、借金(住宅ローン除く)を大幅に減額したうえで返済プランを立てることになります。

田所 伸吾(弁護士)

借金はいくらまで減額されるのか?

「最低弁済額」か「清算価値」、いずれか多いほうの金額まで減額されます。

まず、最低弁済額は、借金(総額)によって下記のように設定されています。

借金の総額 最低弁済額
100万円未満 減額無し
100万円以上500万円以下 借金は100万円になる
500万円超1500万円以下 借金は5分の1になる
1500万円超3000万円以下 借金は300万円になる
3000万円超5000万円以下 借金は10分の1になる

清算価値は、債務者が破産した場合に借入先に分配される金額のことです。

例)
借金総額が1500万円、無担保不動産が100万円ある場合、最低弁済額が300万円、清算価値が100万円となります。

清算価値<最低弁済額なので、この場合、借金は300万円まで減額されます。

田所 伸吾(弁護士)談

減額後の借金は、原則 3年間で完済できるよう返済計画を立てます。

小規模個人再生がオススメなのはこんな人

下記の条件すべてを満たす方でないと、小規模個人再生を利用できません。

  • 客観的にみて「自力での返済が難しい」方
  • 住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下
  • 安定した収入と返済能力がある
  • 立て直した計画通りに返済していける

小規模個人再生で決定した計画通りに返済できなかった場合、計画自体が取り消され、減額前の借金を全額返済しなければならないケースもあります。

ご注意ください。

小規模個人再生は自分でできる?

ひとりで行うこともできますが、専門的な知識が必要なうえ、手続きも煩雑なため、弁護士に依頼するケースが多いです。

破産とは?

破産を裁判所に申し立てると、すべての財産(必要最低限のものを除く)が借金の返済にあてられます。

それでも借金が残った場合、裁判所が免責を認めれば返済がすべて免除されます。

破産がオススメなのはこんな人

下記の条件をすべて満たす方でないと、破産を申立てられません。

  • 客観的にみて「自力での返済は絶対に無理」な方
  • 7年以内に免責を受けていない方

客観的にみて、「自力で返済するのは絶対に無理」と判断される方でないと申立てできません。

借金を減額して返済できる見込みがあれば、小規模個人再生や任意整理を検討しましょう。

破産は自分でできる?

本人がひとりで手続きすることもできますが、必要書類が多く手続きも煩雑です。

そのため、弁護士に依頼して手続きしてもらうのが一般的です。

ただし、弁護士に依頼したとしても、本人が裁判所に出頭しなければならないことがあるので注意してください。

特に管財人(破産を申立てた本人の財産を調査したり、財産を処分する役割を持つ)が付く場合は、複数回の出頭が必要になることが多いです。

管財人が付くのはどんなとき?

田所 伸吾(弁護士)

財産を隠し持っている場合に管財人が付きます

管財人の有無は、申立てる裁判所の運用により大きく異なるため、一概に言うことはできません。

一般的に、下記のような場合は管財人が付くことが多いです。

  • 債権者に配当すべき財産を持っている場合
  • 意図的に、持っている財産を隠そうとした場合
  • 支払不能であるにもかかわらず、買い物、ギャンブル、投資などで財産を不当に減らした場合
  • 破産を申立てる前に一部の債権者に返済を行っていた場合

田所 伸吾(弁護士)談

債務整理のメリット

では、ここから債務整理のメリットを紹介していきましょう。

利息や借金を減らすことができる

債務整理を行えば、利息や借金(元金)を減らすことができます。

債務整理の種類 減額できるもの
任意整理
  • 未払いの利息
  • 遅延損害金
  • 今後発生する利息
特定調停
  • 未払いの利息
  • 遅延損害金
  • 今後発生する利息
小規模個人再生
  • 未払いの利息
  • 遅延損害金
  • 今後発生する利息
  • 元金(大幅に減額可能)
破産 免責が下りればすべて

ただし、上記はすべて順調に進んだ場合を想定しています。

思った通りにならないケースもあるので注意が必要です(詳しくはデメリットのところで解説します)。

債権者からの督促が止まる

債務整理を行うと、特定の段階で債権者からの督促がストップします。

債務整理の種類 督促が止まる時期
任意整理 債権者が弁護士からの「受任通知」を受け取った段階
(※4)
特定調停 債権者が裁判所からの申立受理通知を受け取った段階
(裁判所に特定調停の申立てを行うと、裁判所から債権者に申立受理通知などの書類が発送される)
小規模個人再生 債権者が弁護士からの「受任通知」を受け取った段階
(※4)
破産 債権者が弁護士からの「受任通知」を受け取った段階
(※4)

※4 弁護士に依頼することが前提です。

督促はすぐに止まります

任意整理、小規模個人再生、破産を弁護士に依頼すると、弁護士は書面で金融業者に通知します(受任通知といいます)。

受任通知を受け取ったら、もう金融業者は督促を行うことができません。

また、通常、書面は郵送しますが、なかには郵送と同時にFAXを送信する弁護士もいます。

この場合は、弁護士に依頼したら、すぐに督促がストップすると思っていいでしょう。

糸井 耕佑 (弁護士)談

債務整理のデメリット

では、債務整理にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

費用がかかる

債務整理をすることで、費用がかかります。

では、任意整理、小規模個人再生、破産を弁護士に依頼する場合、それぞれいくらの費用がかかるのでしょうか?

東京弁護士会の「クレジット・サラ金事件報酬基準」を参考に、相場を調べてみました。

  任意整理 小規模個人再生 破産
相談料 30分ごとに5,000~1万円
(無料の場合あり)
30分ごとに5,000~1万円
(無料の場合あり)
30分ごとに5,000~1万円
(無料の場合あり)
着手金 1社あたり2万円 30万円 20万円
解決報酬金 1社あたり2万円
減額報酬金 任意整理により減額できた金額の10%(※5)
報酬金 過払い金請求で回収額できた額の20%~25% 20万~30万円 無事免責が下りたら20万円
実費 5,000~1万円 1万~2万円 1万~2万円
(管財人が付く場合は、裁判所へ納める予納金として別途17万円~40万円必要)

※5 過払い金請求のみで完済できた場合、減額報酬金は発生しません。

任意整理の場合は数万円以上、小規模個人再生の場合は50万円以上、破産の場合は40万円以上の費用がかかります。

決して安くはない費用ですね。

田所 伸吾(弁護士)

費用は弁護士事務所ごとに違う

弁護士費用は現在自由化されており、各弁事務所によって異なるため、確たる相場を示すことはできません。

もっとも、多重債務事件の費用については、東京弁護士会が「クレジット・サラ金事件報酬基準」を定めており、一応の目安にはなります。

田所 伸吾(弁護士)談

一方、特定調停は本人が行うため、かかるのは実費だけです。

特定調停の申立て費用について

東京簡易裁判所に特定調停を申立てる場合の申立手数料は、1社あたり500円(収入印紙で納付)です。

また、郵便切手代は1社あたり420円かかります。

ただし、実際の費用は管轄裁判所あるいは案件によって異なるため、あらかじめ申立先の裁判所に確認しておきましょう。

糸井 耕佑 (弁護士)談

5年間はローンやクレジットカードを利用できない

あなたがローンやクレジットカードに申込みをすると、金融業者は信用情報機関を使ってあなたの信用情報を確認します。

信用情報には、あなたのお金に関するあらゆる記録が載っているのです。

たとえば、過去に利用したローンやクレジットカードの契約、借入れ、支払いに関する情報、債務整理の記録や、返済滞納の記録も、くまなく記録されています。

金融業者は、審査の過程であなたの信用情報を確認し、「契約して問題ないか」「いくら貸付けるか」を決めます。

あたりまえですが、「債務整理の記録がある人」と契約したがる金融業者はいませんよね。

基本的に、信用情報に債務整理の記録が残っているうちは、ローンやクレジットカードを契約できないと思っておきましょう。

また、すでに契約済のローンやクレジットカードも、債務整理後に利用不可となる可能性があります。

債務整理の記録は何年間残る?

日本には3つの信用情報機関があり、機関ごとに「記録が残る債務整理の種類」や「登録期間」が異なります。

信用情報機関 任意整理を行った場合 特定調停を申立てた場合 個人再生を申立てた場合 破産を申立てた場合
株式会社シー・アイ・シー
(CIC)
記録されない 記録されない 記録されない 5年間は破産の記録が残る
株式会社日本信用情報機
(JICC)
5年間は任意整理の記録が残る 5年間は特定調停の記録が残る 5年間は個人再生の記録が残る 5年間は破産の記録が残る
全国銀行個人信用情報センター
(KSC)
記録されない 記録されない 10年間は個人再生の記録が残る 10年間は破産の記録が残る

また、債務整理を行う前に返済を延滞していた場合は、その情報も信用情報に記録されています。

  返済を延滞した場合 長期延滞(2~3ヵ月以上の延滞)を起こした場合
株式会社シー・アイ・シー
(CIC)
完済後5年間は延滞の記録が残る 完済後5年間は長期延滞の記録が残る
株式会社日本信用情報機構
(JICC)
完済後1年間は延滞の記録が残る 完済後1年間は長期延滞の記録が残る
全国銀行個人信用情報センター
(KSC)
完済後5年間は延滞の記録が残る 完済後5年間は長期延滞の記録が残る

信用情報に延滞や長期延滞の記録が残っていると、それだけでローンやクレジットカードの審査に落ちることもあるので注意してください。

特に、長期延滞はいわゆる金融事故なので、記録が残っているうちは新規の契約が難しいと思っておきましょう(ちなみに、債務整理も金融事故の一種です。金融事故について詳しくはこちらで解説しています)。

債務整理ができないケースもある

債務整理が必ずしも思った通りに進むとは限りません。

任意整理・特定調停の場合

任意整理も特定調停も、債権者との話し合いのうえで成立するものなので、和解できなければ元も子もありません。

和解できなかった場合は、別の方法を検討する必要があります。

和解できないのはどんなケース?

田所 伸吾(弁護士)

無茶な減額は難しい

依頼人が無茶な減額にこだわっているケースや、債権者が減額にまったく応じないケースだとうまくいきません。

また、そもそも最近の特定調停では、「調停成立日までの利息」はカットされないケースが多いそうです。

田所 伸吾(弁護士)談

一度も返済していない人は要注意

たとえば、お金を借りてから一度も返済をしていない状態で任意整理の交渉をしても、和解に応じてもらえないことがあります。

また、依頼者が、名義貸しなど債権者を騙す形で借入れを行っていた場合も、応じてもらえない可能性がありますね。

糸井 耕佑 (弁護士)談

小規模個人再生の場合

再生計画(減額後の借金の返済計画)を債権者と裁判所に認めてもらえない場合は成立しません。

この場合も、別の方法を検討する必要があります。

再生計画が認められないのはどんなケース?

田所 伸吾(弁護士)

代表的な不認可事由とは?

不認可事由に該当する場合は、裁判所に再生計画を認めてもらえません。

代表的な不認可事由としては、「再生計画の遂行の見込みがない」、すなわち、計画通りに返済できる見込みのないケースです。

また、小規模個人再生の場合、債権者の過半数の消極的同意(反対をしなければ同意とみなされる)を得なければならないので、反対する債権者が多いとNGです。

もっとも、最近は反対する債権者があまりいませんね...

田所 伸吾(弁護士)談

無職や専業主婦は小規模個人再生に不向き

継続的・安定的な収入がある方でなければ、再生計画を認められません。

そのため、無職や専業主婦の方、定年退職間近の方は小規模個人再生に向いていないでしょう。

また、特定の債権者だけに返済を行ったり、故意に財産を隠したりすると、再生計画が認められなくなるので注意してください。

糸井 耕佑 (弁護士)談

破産の場合

裁判所から免責が下りないと、借金の支払いは免除されません。

万一、免責が下りなかった場合は、他の方法を検討するしかないのです。

免責が下りないのはどんなケース?

こんな人は免責が下りない

下記のような場合は免責が下りない可能性があります。

  • 破産による財産処分をまぬがれるために、高額の財産を隠していた
  • 破産手続中なのに浪費やギャンブルを続けていた
  • 高収入なのに、ギャンブル・浪費のために返済できない
  • 財産を処分すれば、借金全額あるいはほとんどを返済できる
  • 裁判所や管財人にウソをついたり、適切な説明を行わなかった

糸井 耕佑 (弁護士)談

田所 伸吾(弁護士)

実は免責が下りないことは珍しい

免責を認められないような理由があっても、裁判所が「破産に至った経緯」を考慮して免責を許可するケースが多いです。

そのため、実際のところ免責が下りないケースは非常にまれです。

ただし、裁判所に対してウソの説明をした場合や、裁判所や管財人の業務を妨害した場合は、裁判所の判断が厳しくなるようです。

田所 伸吾(弁護士)談

財産を処分しなければならない(破産のみ)

破産を申立てる場合は、一定以上の財産を処分して返済にあてなければなりません。

例)

  • 99万円超の現金
  • 残高20万円超の預貯金

個人再生と違い、マイホームも手放すことになります。

所有が認められる財産は?

こんな財産はOK!

個人が破産を申立てる場合、特定の財産は処分の対象から外れます。

主に、下記のようなものです。

  • 99万円以下の現金
  • 残高20万円以下の預貯金
  • 見込額20万円以下の生命保険解約返戻金
  • 見込額20万円以下の自動車
  • 賃貸住宅等の敷金
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
  • 家財道具
  • 差押禁止財産

糸井 耕佑 (弁護士)談

田所 伸吾(弁護士)

どうしても必要な財産がある場合

生活のためにどうしても必要な財産がある場合、裁判所に認めてもらえれば、処分の対象から外すことができます。

田所 伸吾(弁護士)談

官報に掲載される(破産と個人再生のみ)

破産もしくは個人再生の手続きを行うと、官報に名前と住所が掲載されます。

官報とは、国が毎日発行する新聞のようなもので、基本的にだれでも閲覧可能です。

普通の人が官報を読むことはまずありませんが、悪質業者や違法業者の人間は官報をチェックしています。

破産や個人再生を行った方に対し、ダイレクトメールを送ったり勧誘をかけてくる可能性があるので注意しましょう。

一定期間 特定の職業に就けない(破産のみ)

破産を申立て、破産手続きが開始された後、免責が下りるまで特定の仕事をすることができません。

特定の職業の例)

  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引主任者
  • 保険の外交員
  • 警備会社の警備員

免責が下りるまで、最短3~6ヶ月はかかります。

債務整理については実際に債務整理をされた方の体験談が寄せられていますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

また、債務整理関連の記事をこちらにまとめていますから、こちらも参考にしてみてください。

おまとめローンと債務整理を客観的に比較

最後に、おまとめローンと債務整理を比較していきます。

「減額されるもの」で比較

おまとめローンと債務整理、それぞれ「減額されるもの」で比較してみました。

  種類 減額されるもの
おまとめローン 金利の低いローンに借換えれば、今後、発生する利息を減らせるケースもある
債務整理 任意整理
  • 未払いの利息
  • 遅延損害金
  • 今後発生する利息
特定調停
  • 未払いの利息
  • 遅延損害金
  • 今後発生する利息
小規模個人再生
  • 未払いの利息
  • 遅延損害金
  • 今後発生する利息
  • 元金(大幅に減額可能)
破産 すべて

「減額できるもの」で比較すると、断然、債務整理のほうが有利ですね。

もっとも手続きが簡単な任意整理・特定調停でも、交渉がうまくいけば利息と遅延損害金をカットできます(※6)

一方、おまとめローンの場合は、金利の低いローンに借換えて今後発生する利息を節約するくらいしかできません。

※6
交渉次第で、利息や遅延損害金をカットできないこともあります。「最近の特定調停では、調停成立日までの利息はカットされないケースが多い」という弁護士の意見もありました。

「利用できる人」で比較

次に、「利用できる人の条件」についてそれぞれ比較してみました。

  種類 利用できる人の条件
おまとめローン おまとめローンの最少返済額での返済が可能
債務整理 任意整理
  • 安定した収入と返済能力がある
  • 立て直した計画通りに返済できる
特定調停
  • 安定した収入と返済能力がある
  • 立て直した計画通りに返済できる
小規模個人再生
  • 客観的にみて「自力での返済が難しい」
  • 住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下
  • 安定した収入と返済能力がある
  • 立て直した計画通りに返済できる
破産
  • 客観的にみて「自力での返済は絶対に無理」
  • 7年以内に免責を受けていない

おまとめローンを組む場合、そのローンの最少返済額以上の金額を返済していけるなら問題ありません。

一方、任意整理、特定調停、小規模個人再生に関しては、返済計画を立て直した後、「計画通りに返済していけるかどうか」が重要となります。

また、小規模個人再生と破産の場合、客観的にみて「自力での返済が難しい方」でないと利用できません。

「返済期間」で比較

次に、「計画立て直し後の返済期間」についてそれぞれ比較してみました。

  種類 返済期間
おまとめローン 金融業者によって異なる(最長10年など)
債務整理 任意整理 原則3年間
特定調停 原則3年間
小規模個人再生 原則3年間
破産

任意整理、特定調停、小規模個人再生の場合、減額後の借金を原則3年間で返済していくことになります。

そのため、これまでより月々の返済額が大きくなるケースもあります。注意してください。

一方、おまとめローンを組む場合、3年などの短期間で完済を求められることはありません。

返済期間は「特に設定されていない」か「最長10年」の場合が多いでしょう。

そのため、月々の返済負担をおさえられることが多いですが、かえって支払う利息が増えてしまう可能性もあるので注意が必要です。

「信用情報への悪影響」で比較

では、「信用情報への悪影響」について比較してみましょう。

  種類 信用情報への悪影響
おまとめローン 特になし
債務整理 任意整理 5年間はローンやクレジットカードを契約できない
特定調停 5年間はローンやクレジットカードを契約できない
小規模個人再生 5年~10年間はローンやクレジットカードを契約できない
破産 5年~10年間はローンやクレジットカードを契約できない

おまとめローンを組んだとしても、信用情報への悪影響はありません。

一方、債務整理をした場合、5年~10年間はローンやクレジットカードを契約できない可能性があります。

また、すでに契約しているローンやカードを止められるおそれもあります。

もちろん、不便だと思いますが、「これ以上借金を増やさなくて済む」という見方もできますね。

「費用」で比較

かかる費用で比較してみましょう。

  種類 費用
おまとめローン 特になし
債務整理 任意整理 数万円~
(弁護士に依頼する前提)
特定調停 1,000円程度~
小規模個人再生 50万円~
(弁護士に依頼する前提)
破産 40万円~
(弁護士に依頼する前提)

おまとめローンの場合、費用はかかりませんが、引き続き利息を支払っていく必要があります。

一方、債務整理の場合は利息がかからない代わりに費用が発生します。

特定調停なら1社あたり1,000円程度ですが、小規模個人再生や破産となると数十万円が相場です。

費用が大きいほど借金減額の効果も高いので、よく比較検討する必要がありますね。

「手放すもの」で比較

おまとめローンを利用しても、特に手放すものはありません。

債務整理を行う場合も、破産以外なら何も手放さずに済みます。

ただし、破産を申立てる場合は、「99万円超の現金」「残高20万円超の預貯金」「見込額20万円超の自動車」など、一定以上の財産を処分しなければなりません。

「仕事への影響」で比較

おまとめローンを利用する場合、仕事への影響はありません。

債務整理を行う場合も、破産以外なら仕事への影響はありません。

ただ、破産を申立てた場合は、破産手続き開始決定から免責決定を受けるまでの間、弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、行政書士、宅地建物取引主任者、保険の外交員、警備会社の警備員など特定の職業に就けなくなってしまいます。

以上がおまとめローンと債務整理の比較ですが、いかがでしたか。

この記事を参考に、おまとめローンを組むか、債務整理をするかよくご検討いただければ幸いです。

ただし、すでに自転車操業状態に陥っていて、返済のために借入れを繰り返しているような場合は、債務整理を検討すべきでしょう。

また、月々の返済が厳しく、大幅な減額を望む場合や、利息しか支払っていない方もすぐに債務整理を検討してください。

どこに相談していいかわからないときは、借金に関して無料で相談できる機関を頼ってもいいかもしれませんね。

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