なぜ借り換えせずに住宅ローン金利が下がるのか?現役銀行員のアドバイス

「住宅ローンを借換えれば、ローンの総額を100万円以上抑えられます!」

「借換えで月々の返済額を5,000円減額できます!」

こんな宣伝に惹かれて、住宅ローンの借換えを検討されているかたも多いのではないでしょうか。

たしかに住宅ローンを借換えれば、月々の返済額を引下げられるかもしれません。

しかし、面倒な手続きをして借換えたのに、プラスマイナスゼロ、あまり意味がなかったというケースも少なくないようです。

住宅ローンの借換えには数十万円の手数料がかかりますし、やり方次第で損をしてしまう可能性さえあります。

そこで 今回は、地方銀行にお勤めで住宅ローンの審査に携わっていたという現役の銀行員に、「住宅ローンの借換えは本当にお得なのか?」というテーマでお話をうかがいました。

借換え検討時に注意しなければならないポイント、また、借換えずに金利を引下げる方法について、わかりやすく解説してもらっています。

今回インタビューにご協力いただいたのは...

名前:伊藤 和夫(仮名)
性別:男性
勤めている金融機関:地方銀行A銀行
勤めている期間:1991年~2015年現在
主な仕事内容:営業・融資担当

実はそんなにおいしくない?住宅ローンの借換え

お話をうかがったのは、関西にお住まいの伊藤和夫さん(仮名)。

大学を卒業してから20年近く地方銀行のA銀行にお勤めされている現役の銀行員です。

現在は本社で、大口顧客や法人を対象に、資産運用のコンサルタントをされています。

数年前までは支店の営業を担当されていて、住宅ローンをはじめとする多くの融資を担当していたとのこと。

そんな伊藤さんに「住宅ローンの借換えはお得なのか?」とうかがったところ、「借換えしても得にならないことがある」らしいのです。

さらに、「借換えなくても住宅ローンの金利は引下げられる」とおっしゃっていました。

そこで今回は、借換えを検討するときのポイント、また、借り換えずに金利を引下げる方法について、詳しく解説していただきました。

借り換えを検討するなら必ず踏むべき4つのステップ

伊藤さんがおっしゃる「借り換えずに金利を引下げる方法」とはどのようなものなのでしょうか?

まずはそのことについて聞いてみました。

― 最近、どの銀行でも「住宅ローンの借換え」を派手に宣伝していますね。これはローンの返済額を抑えたい方にとって、本当に有効な手段なのでしょうか?

住宅ローンの借換えは有効な手段といえます。

しかし、借換えにはさまざまなデメリットがあることも知っておくべきです。

また、意外と知られていないのですが、すでに住宅ローンを組んでいる銀行に交渉すれば、金利を引下げてもらえるかもしれません。

つまり、返済中の住宅ローンの金利を引下げる方法は、下記の2つです。

  • 借換える
  • 現在返済中の銀行に交渉する

― なかには固定金利でローンを組んでいる人もいますよね。その場合も金利の引下げ交渉に応じてもらえるのでしょうか?

はい。
変動金利でも固定金利でも大丈夫です。

交渉すれば、ローンの金利を引下げてもらえる可能性はあります。

※編集より補足
住宅ローンの金利には、契約時からずっと金利が変わらない固定金利と、半年ごとに金利が見直される変動金利があります。変動金利のほうが低金利ですが、返済中に金利が上昇するリスクもあります。どちらがお得かは、その時の経済状況によるので、一概にいえません。

― 「借換え」と「銀行への交渉」―ズバリ、どちらがおすすめですか?

一概にいえません。

このことについては、次のような手順で検討してみてください。

  • 1他行の住宅ローンのスペック(金利等)を比較
  • 2借換えが本当にお得かどうか判断
  • 3返済中の銀行に金利引下げ交渉
  • 4(交渉に失敗したら)借換えを実行

では、それぞれの手順について詳しくみていきましょう。

他行の住宅ローンのスペック(金利等)を比較

まずは他行の住宅ローンのスペックをチェックしましょう。

金利はどれくらいなのか?
保険はどうなっているのか?

他行の住宅ローンを調べるとき、どんな点に注目すればいいかうかがいました。

― 借り換え先の候補は、どのように調べればいいですか?

まずは身近にある都市銀行・地方銀行のホームページを見てみましょう。

さらに、住信SBIネット銀行・ソニー銀行・楽天銀行・イオン銀行などのネット銀行もチェックしてみてください。

正直、都市銀行と地方銀行だと、住宅ローンのサービスに大きな差はありません。

一方、ネット銀行は都銀、地銀よりも先行したサービスを行っています。

金利の引下げを考えるなら、ネット銀行のサービスがとても参考になると思います。

― どのような点をチェックすればいいでしょうか?

特に下記の点に着目しましょう。

  • 金利
  • 団体信用生命保険
  • その他サービス

金利を比較

― 都市銀行や地方銀行よりも、ネット銀行のほうが低金利なのでしょうか?

一概にいえません。

これまではネット銀行が先行して金利を引下げてきましたが、現在(2015年)それほど大きな差は見られません。

ここで、都市銀行・地方銀行・ネット銀行の金利を比較してみましょう。

2015年現在の住宅ローンの金利(変動金利)

銀行名 基準金利(店頭金利) 適用金利
都市銀行
三菱東京UFJ銀行 2.475% 0.775~0.975%
みずほ銀行 2.475% 0.775~0.975%
三井住友銀行 2.475% 0.775~0.975%
地方銀行 横浜銀行 2.475% 0.725%
近畿大阪銀行 2.675% 0.775%
福岡銀行 3.075% 1.325%
ネット銀行 ソニー銀行 1.889% 0.889%
楽天銀行 1.308% 0.658~1.308%
イオン銀行 2.370% 0.570%
住信SBIネット銀行 2.775% 0.65%

基準金利(店頭金利)とは、その銀行の基準になる金利で、上限金利といってもいいでしょう。

適用金利とは、実際にお客様に適用される金利で、ほとんどのお客様はこの適用金利が設定されます(ただし審査の結果、返済能力が低いと判断されたお客様には基準金利が設定されることもあります)。

ですから、金利を比較するときは各行の適用金利をチェックしてください。

近年、ネット銀行の低金利に押され、都市銀行や地方銀行も金利を下げざるを得ない状況になっています。

そのため、全体的にどこもかなり低金利です。個人的に1.0%前後の金利はかなりの低金利だと思います。

ただし、ここに挙げた銀行はあくまで一例ですので、あなたが検討している銀行の適用金利をチェックしてみてください。

団体信用生命保険(団信)の比較

― 団体信用生命保険とは何ですか?

団体信用生命保険(以下「団信」)とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡もしくは高度障害になったときに、保険金で残ったローンを返済するための保険です。

さらに最近は、がん・脳卒中・心筋梗塞などの三大疾病保障特約や、七大疾病保障特約、八大疾病保障特約などの特約が付くものが多く、保障の範囲が拡大しているのです。

また、病気で収入が途絶えたり、減ったりした時に、一時的にローンの返済を肩代わりしてくれる収入保障(所得保障)が付いていることもあります。

いずれにせよ、銀行で住宅ローンを組むなら、団信には必ず加入しなければなりません。

いくら低金利の銀行を選んでも、団信の保障が充実していなければ意味がありませんから、保障内容はしっかり比較したほうがいいですね。

― 銀行によって団信の保障内容は大きく異なるのでしょうか?

少し前まで、ネット銀行が先駆けて保障を充実させている傾向がありましたが、最近では都市銀行や地方銀行と大きな差はないように思います。

ここで、主な銀行の団信の特約(一例)を挙げてみましょう。

主な銀行の団体信用生命保険の特約の一例(死亡もしくは高度障害になったときの保障は除く)

銀行名 団信の特約 保険料
都市銀行
三菱東京UFJ銀行 七大疾病保障付き ローンの残高による
みずほ銀行  三大疾病保障特約 +0.3%(金利に上乗せ)
八大疾病保障プラス ローンの残高による
三井住友銀行 三大疾病ワイド保障+5 +0.3%(金利に上乗せ)
地方銀行 横浜銀行 八大疾病保障特約 +0.3%(金利に上乗せ)
近畿大阪銀行 がん100%保障プラン +0.1~0.2%(金利に上乗せ)
福岡銀行 三大疾病+5つの重度慢性疾患保障 ローンの残高による
ネット銀行 ソニー銀行 三大疾病特約 +0.3%(金利に上乗せ)
楽天銀行 ガン保障特約付き +0.3%(金利に上乗せ)
失業保障・入院保障特約 ローンの残高による
イオン銀行 八大疾病保障付 +0.3%(金利に上乗せ)
住信SBIネット銀行 八大疾病特約 なし

三大疾病が保障されるのは、どの銀行でも常識となりつつあるようです。

※編集より補足
実際に保障が必要な状況になったときも、一定の条件をクリアしていないと保険が下りないことがあります。契約時は、規約をすみずみまで確認しておきましょう。

― 団信の保険料に差はあるのでしょうか?

基本的な団信―つまり、死亡保障と重度障害保障のみの場合、保険料はかかりません。

しかし、三大疾病保障特約や八大疾病保障特約のように、特約付きの場合は、保険料が金利に上乗せされるケースが多いです。

たとえば、三大疾病保障特約が付くと、住宅ローンの金利に0.3%の保険料が上乗せされます。

保障が手厚いほど金利(保険料も含め)が高い傾向があるので、よく比較して選びましょう。

ただ、なかには住信SBIネット銀行のように、八大疾病保障特約が付いても保険料がかからないところもあります。

その他サービスの比較

住宅ローンを組むと、特典が付く場合もあります。

たとえば、イオン銀行で住宅ローンを組むと、「イオンでの買い物がすべて5%オフになる」という特典が付きます。

また、給与振込先の銀行で住宅ローンを組んだほうが良い、という人もいるでしょう。

利便性も含め、どんなメリットがあるのか総合的に検討したほうがいいですね。

借換えがお得かどうか判断

ここまでの話を参考に、借り換え先の情報を集め、自分にとって有利な銀行をしぼりこみましょう。

そうしたら次は、「借換えが本当にお得なのか」を判断します。

ここでは、どのようなことがポイントになるのでしょうか?

― 借換えがお得かどうかはどのように見極めればいいでしょうか?

現在、住宅ローンを組んでいる銀行よりも、「金利が低い」「団信の保障が充実している」など魅力的な銀行があったら、すぐに借換えたいと思うでしょう。

しかし、その前に、検討すべきことがあります。それは、下記の2つです。

  • 借換え手続きの手間
  • 借換えにかかる手数料

そのうえで、本当に借換えたほうがいいのか判断する必要があります。

借換え手続きの手間

― 住宅ローンの借換え手続きには、何が必要でしょうか?

借り換えの手続きにあたり、下記のような書類を提出する必要があります(書類の内容は、金融機関によって異なります)。

役所で発行してもらえる
  • 住民票
  • 印鑑証明等
法務局で発行してもらえる
  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 平面図
  • 地籍測量図等

そのため、役所や法務局へわざわざ取りに行かなければなりません(法務局は平日しか空いていません)。

また、物件の図面も必要になりますが、かなり大きなサイズなので、縮小コピーの作業はとても面倒です。

借換え手数料はいくら?

― 借換えると、手数料がかかるのですか?

借換えの手続きには手数料などの費用がかかります。

銀行やローンの総額によって異なりますが、だいたい下記のような費用が必要です。

住宅ローン借換え時に必要な費用

項目 金額の目安
現在ローンを組んでいる銀行に支払う繰上げ返済手数料 数千~数万円
借換え先の銀行に支払う事務手数料 数万円
法務局への登記費用(抵当権の抹消・抵当権の設定) 数万~十数万円
収入印紙 数万円
合計 10万~20万円前後

いくらかかるかは、ローンの総額によります。

たとえば2,000万円の住宅ローンを組んでいる場合、20万円前後の費用が必要になるでしょう。

この費用がバカになりません。

せっかく借換えて金利を低くしても、借り換えの手続き費用のせいでプラスマイナスゼロだった、なんてことも少なくないのです。

また、注意しなければならないのは、「借換え費用0円」と宣伝している銀行です。

この場合、費用はすべてローンの残高に加算されるので、結局はローンが増えるだけです。

借り換えにかかる費用をしっかり計算し、「本当に借り換えたほうが得なのか」慎重に見極めてくださいね。

返済中の銀行に金利引下げ交渉

手数料や手間のことを考慮した結果、「借換えたほうが良い」となったら、次は返済中の銀行に金利引下げ交渉をしましょう。

この場合、どのように交渉すればいいのでしょうか。

― 借換えを実行する前に、やることがあるのですね?

はい。
新たな銀行に借換えると、もろもろ手続きが必要ですし、手数料もかかります。

もし、現在返済中の銀行に金利を引下げてもらえたら、それに越したことはありません。

ですから、借換えを実行する前に、現在返済中の銀行に金利引下げの交渉をしてみましょう。

場合によっては、固定金利から変動金利への変更も可能です。

― どうやって交渉すればいいのでしょうか?

単刀直入に、「金利を引下げて欲しい」と申し出てください。

電話でも、窓口を訪問するのでも構いません。

このとき、他行の金利を例にあげて、アピールしたほうがいいでしょう。

たとえば、「おたくの銀行の金利は1.2%だけど、A銀行は0.8%ですよね」というように、具体的な数字をあげると効果的です。

お客様に逃げられてしまうかもと思わせれば勝ち。銀行側は必死になります。

― 金利の引下げ交渉をする前に、他行で事前審査を受けておいた方がいいでしょうか?

はい。
借り換え先候補の銀行で事前審査まで受けておいたほうがいいでしょう。

そして、「すでに他行で事前審査を受けている」とハッキリ伝えましょう。

そうすれば、現在返済中の銀行にプレッシャーがかけられます。

ただし、ウソはだめです。

本当は事前審査を受けていないのに、「事前審査を受けた結果、他行から金利○%と提示されている」というウソをついてもすぐにバレます。

彼らもプロなので、他行が提示する金利の目安はだいたいわかりますから。

※編集より補足
住宅ローンの審査は、通常 事前審査本審査、二段階あります。事前審査に通らないと本審査に進むことはできません。事前審査だけなら、ホームページ上の手続きで受けられる銀行もあります。また最近は、事前審査の精度が上がっているので、「事前審査に通ったのに本審査で落ちてしまった」というケースは極端に減っているそうです。

― 金利を引下げて欲しい理由も話したほうがいいのでしょうか?

「借換えを考えているから、金利を下げられないか」といった理由は伝えるべきです。

ただし、「返済が苦しい」「給料が減った」などの事情があるなら、正直に言わないほうがいいかもしれません。

銀行側にマイナスの印象を与え、金利の引下げどころではなくなってしまいます。

― 引下げ交渉に都合のいいタイミングはありますか?

3月と9月は引下げに応じてもらいやすい時期だといえます。

この時期は決算なので、住宅ローン残高が目標に達しないと、銀行側も困るからです。

お客様に「他行で借換える予定だ」と言われたら、3月31日でも交渉に応じる可能性があります(笑)

― 金利の引下げをするにあたり、再審査は必要でしょうか?

金利の引下げには再審査が必要です。

勤務先が変わってないか、収入が変わっていないかなどのことを確認する必要があります。

このとき、健康保険証や収入証明書の再提出が必要になるでしょう。

また、お客様の信用情報も確認します(再審査の内容は銀行によって異なります)。

ただし、住宅の明細書や登記簿謄本、公図、平面図、地籍測量図など物件に関する書類は、再度提出する必要はありません。

※編集より補足
信用情報とは、その人のローンやクレジットカードの利用状況を示すものです。

― 交渉次第で、金利を1%以上引下げることはできますか?

すでに1%前後の金利で住宅ローンを組んでいるなら、そこまで引下げるのは難しいでしょう。

ほとんど限界まで下がっている状態だからです。

ただし、現在の金利が2%~3%以上なら可能性があるかもしれません。

― 交渉の結果、金利の引下げを断られることもありますか?

はい。
たとえば、過去に返済を延滞したことのあるお客様なら、引下げをお断りするかもしれません。

審査の際に信用情報もチェックするので、他行や他社のローン・クレジットカードの利用状況も確認しますよ。

たとえば、携帯電話料金(機種代の割賦支払い含む)を何度も延滞しているような人はお断りするでしょう。

一度だけ遅れた程度なら見逃すかもしれませんが...。

― 交渉の結果に満足しなかったら、他行で借換えを実行すればいいのですね?

はい。そうです。

「住宅ローンの金利を引下げるには借換えしかない」と思っていらっしゃるかたが多いようですが、もっとも手っ取り早いのは、金利の引下げ交渉です。

借換えをチラつかせれば、お客様のほうが優位に立てます。

借換えをする前に、ぜひ引下げ交渉にトライしていただきたいですね。

ただし、今回お話したように交渉には十分な下調べが必要です!

しっかり準備して、銀行員との交渉にのぞんでください。

インタビューを終えて

「住宅ローンの金利引下げは言ったもの勝ち」と話してくれた伊藤さん。

借り換えを検討しているなら、金利の引下げ交渉は試してみる価値がありそうですね!

ただし、現在の住宅ローンの金利相場は1.0%前後。

すでにかなりの低金利ですよね。

たとえば、フラット35は固定金利ですが、それでもかなりの低金利になっています。

伊藤さんも、「現在の住宅ローン金利は下がるだけ下がっている状況」とおっしゃっていたので、すでに1.0%前後の超低金利が適用されている場合は、交渉してもそれ以上下がらないかもしれません。

一方、現在の金利が2%~3%以上なら、さらに下げてもらえる可能性があります。

また、借換えをするにしても、より低金利の銀行が見つかる可能性が高いでしょう。

どちらを選ぶにしても、金利や団信の比較を十分に行ってから、トライしてみて下さい。

ちなみに、伊藤さんには新たに住宅を購入する時に、住宅ローンの金利を下げる方法についてもうかがっています。

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