会社の運転資金が厳しい時でもキャッシングには頼っちゃダメ【体験談】

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経営悪化を理由に消費者金融からお金を借入れた体験を語ってくれた小林さん

経営者にとって、資金繰りは常に頭を悩ませる問題ですね。
借入れをすれば一時的に気持ちは楽になりますが、根本的な解決にはなりません。

銀行からならまだしも、経営悪化を理由に消費者金融から借入れる方がいらっしゃいます。

今回紹介する小林さんのもその一人です。

消費者金融のローンはあくまで個人用のもの。
事業用資金に利用してはいけません。

今回は事業の資金のために消費者金融から借入れ、結果的に破産してしまったという元経営者の方から話をうかがいました。

体験者の情報

名前:小林 昭夫(仮名)
性別:男
当時の職業:会社員
当時の年齢:24歳~48歳
借入件数:消費者金融4件、クレジットカード1件、銀行1件
会社名(借入先):オリックスクレジット、アコム、プロミス、モビット、マイワンカード、三菱UFJ銀行、日本政策金融公庫
利用時期:1989年~2012年
借金の合計額:(法人)1,000万円、(個人)435万円
※体験談中に複数社への借入れに関する記述(プロミス等)がありますが、複数社へ申込み、及び利用をしますと状況によって審査に通らないことがあります。

会社の資金繰りに失敗、公私ともに破産したエリート

今回お話をうかがったのは小林昭夫さん(仮名)、49歳。とてもクールな印象の男性です。

現在はフリーのライターとして活躍されている小林さんですが、過去にビジネススクールを経営していました。

しかし不況や震災の影響で会社の経営が悪化し、最終的には破産してしまいます。

今回は資金繰りに追われた当時の状況と、債務整理について語っていただきました。

華やかな生活を送っていた20代

― 会社を経営する前から、お金を借りることがあったようですが?

クールな印象の小林さん

はい。初めて借入れたのは20年以上前の24歳の頃です。

当時、私はオリックスクレジットに勤めていました。

月収は30万円ぐらい。年齢の割に高収入だと思いますが、生活も派手だったので、交際費や遊興費にお金がかかってたんですよね。

あるとき、小遣いが足りなかくなったので、自社のオリックス カードレスVIPというカードローンで1万円借りました。

― 社員の方もオリックスクレジットのローンを利用できるのですか?

当時、社員はオリックスクレジットのローンカードを支給されていました。

オリックスクレジットのローンカードにはいくつかランクがあったのですが、社員が渡されるのはその中で最も限度額の大きい「オリックス カードレスVIP」でした。

これは限度額が300万円あり、金利も社員割りのため2.6%ととても優遇されていました。

― ローンカードはどのくらい使ったのですか?

あっという間に10万円~20万円使ってしまいました。仕事上の付き合いが多くて、飲食代がかかるうえに、当時は節約することを知らなかったので。

そのうち、ローンカードでしのぐのが当たり前になってしまいましたね。

ただしサラリーマン時代の借入れは、オリックスクレジットだけでした。当時はボーナスが120万円くらいあったので、そのたびにちゃんと満額返済していましたよ。

念願の起業!ビジネススクールを開校

― その後起業されたそうですが?

金融や投資の知識が豊富な「デキル男」オーラ全開の方でした

2006年に15年以上勤めた会社を辞めました。

それまでの知識や経験を生かして、株やFXについて学ぶ投資専門のビジネススクールを開校したんです。

そこで経営者兼講師として働きはじめました。

― 開業資金はどうしたのですか?

開業資金は2,000万円くらいあった貯金と、日本政策金融公庫(政府出資の金融機関。低金利で小規模事業者や創業企業へ資金融資を行っている)から借りた500万円です。

― 日本政策金融公庫の審査はどのようなものですか?

「地域の起業支援の一環」として融資を受けることができました。

審査ではビジネススクールの事業計画を提出し、資本金の300万円を支払った通帳を見せました。比較的簡単に通ったと思います。

手続き開始から融資までにかかった期間は1ヶ月くらいです。金利は1%、とても低金利で助かりました。

― 借金を抱えての経営に不安はありませんでしたか?

生徒が集まる自信はありましたから、不安はありませんでしたね。それにスクールには大きな設備投資が必要ありません。

ただし「自営業になると、消費者金融の審査が通りにくくなるだろう」と思ってました。だから会社に籍があるうちに、カードローンの申込みをしておいたんです。

すぐ借りる予定はありませんでしたが、「もしもの時のために」と、アコムやプロミス、モビットなど消費者金融のカードを作っておきました。

リーマンショックの影響でピンチに

― ビジネススクールの経営は順調でしたか?

会社を興してから2年目の2008年くらいまでは、増収増益で推移していました。

ところが、その後のリーマンショックで経営が厳しくなってしまったんです。

なぜかというと、リーマンショックで打撃を受けたのは投資家です。私のスクールは「投資」がメインテーマ。

「投資ビジネスは危ない」という印象が世間に広まってしまって、生徒の数が激減したのです。

それまでは生徒を募集すると、ほぼ定員いっぱいになっていたのに、一気に半分以下になってしまって。

― どのように乗り越えたのですか?

日本政策金融公庫から、400万円の追加融資を受けました。やはり金利は1%。

まだ前回の融資の返済は終わっていませんでしたが、それでも追加で融資を受けることができました。

このおかげでどうにか経営を維持、少しずつ回復することができたんです。

東日本大震災で窮地に陥る

― その後、再び経営が危機に陥ったのはなぜですか?

東日本大震災は、小林さんの会社に大打撃を与えました

2011年の東日本大震災が致命的でした。

世の中が「投資どころではない」となってしまい、それからまったく生徒が集まらなくなってしまったんです。

それでオリックスクレジットから、限度額いっぱいの300万円を借りました。

オリックス カードレスVIPは、退職後も金利が4.2%と低かったのです。

― この頃、会社の借金はどれくらいだったのでしょう?

会社としては、すでに三菱UFJ銀行からも融資を受けていました。

また「震災特例融資」として、日本政策金融公庫からさらに400万円の追加融資も受けたんです。よって会社の借入総額は1,000万円以上になっていました。

消費者金融から借りたのが運命の分かれ道に

― その後、消費者金融からも借りることになってしまった?

収入がないので、会社の借金返済のために借りるしかなかったんです。消費者金融は「高金利だからなるべく借りないようにしよう」と思っていたのですが...。

― 消費者金融のカードを作ってから数年が経過していると思いますが、アコムやプロミスで新たな審査はありましたか?

追加の審査はありませんでした。カードを使ってATMから普通に借りることができましたね。ダイレクトメールは頻繁に届いていたので、カードが生きていることはわかっていましたし。

― 消費者金融の金利や限度額は?

金利は15%くらいだったと思います。日本政策金融公庫の1%や、オリックスの2.6%と比べるとかなりの高金利ですよね

限度額はそれぞれ20~30万円くらいでした。

― 個人としての借入れの総額は?

アコムやプロミス以外にもモビットやマイワンカードからの借入れもありました。

それにオリックスクレジットを合わせると、個人的な借入は最終的に435万円まで膨らんでしまったのです。

この頃は、会社の借入れと、個人名義の借入れがごちゃまぜになっていました。

結局1年くらいかけて、消費者金融の限度額を食い潰していっていたのです。私は少しずつ追い詰められていきました。

ついにその時が来た!破産へ

― 債務整理を決意したきっかけは?

ピンチになってから破産までの話は、言葉少なに語っていました

震災からおよそ1年後の2012年の1月、ついに資金が回らなくなりました。

日本政策金融公庫への返済ができなくなってしまったのです。銀行や消費者金融からの借入れは満額の状態で、もう打つ手はありません。

いよいよ債務整理を決意しました。

― 債務整理の手続きはどのようなものでしたか?

会社に顧問弁護士がいたので、法人と個人、両方で破産の手続きをお願いしました。両方同時にお願いしても、そんなに費用は変わらないので。

結果として、3ヶ月後には個人の435万円と法人の債務1,000万円も、無事免責が下りました。

― 弁護士費用はどうしたのですか?

合計で86万円かかりましたが、親から借りて支払いました。

経営者は公私の区別も大切!

― 破産をするまでを振り返っていかがですか?

破産してしまいましたが、小林さんにはまだまだ野心がみなぎっている様子でした

オリックスクレジットや日本政策金融公庫からの借入れは金利が低かったので、それだけを利用しているうちは会社を維持することができたでしょう。

しかし、高金利の消費者金融から借りた時点で、黄色から赤信号に変わったと思います。

― 消費者金融を利用する前にできることはなかったのでしょうか?

事業の見直しをはかるとか、生活費を見直す必要もあったかもしれません。

私は個人事業主だったので、個人と会社の境界が曖昧で、それも問題でした。

個人名義で借りたお金を、会社名義の返済に使っていたので、公私ともに破産してしまいましたから。

経営者は公私の区別もきちんとしなければダメだと思います。

インタビューを終えて

何かのきっかけでピンチに陥ったとき、経営者はワラをもつかむ思いで借入れに走ってしまいます。

しかし、借入れにはリスクがともなうことを十分に意識すべきでしょう。一歩間違えば自分の首を絞めることになりかねません。

小林さんが自身で振り返っていたように、まずは事業内容や支出を見直すなど、追加融資以外の手段を冷静に考えることが先決だったかもしれません。

経営者が緊急事態に陥った時の対処法については、『即効性あり!資金ショートを回避するための5つの応急処置。何を削るべきか?』でも詳しく解説しております。

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